デジタル教科書学会_2016

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July 31, 23

スライド概要

2016年度 デジタル教科書学会で使用したスライドです

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

ICTを活用した教科横断型の授業実践 デジタル教科書学会 @京都産業大学むすびわざ館 2016.08.21 河合 豊明(品川女子学院)

2.

1.はじめに 1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 品川女子学院 ・PBL)

3.

1.はじめに 1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 品川女子学院 ・PBL) 2014〜 SGH指定校

4.

1.はじめに 1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 品川女子学院 ・PBL) 2014〜 SGH指定校 iPadの導入(レンタル) 2015〜 iPadのBYODを開始

5.

1.はじめに 1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 品川女子学院 ・PBL) 2014〜 SGH指定校 iPadの導入(レンタル) 2015〜 iPadのBYODを開始 ↓ ホームルーム活動や総合学習、A.L型授業での活用が中心 高2・高3(受験対策)での活用機会が限られているのが課題

6.

1.はじめに 現行の受験対策 (偏差値・難関大 合格者数の底上げ) SGH実践校として (教科横断型 ・PBL) ICTの活用 (1人1台のiPad所有) 校務としての役割

7.

1.はじめに 高等学校・高等学校地理を取り巻く動き 2020〜 高大接続の入試改革「達成度テスト(仮)」 2022〜 高校「地理総合(仮)」新設

8.

1.はじめに 高校地理教員としての役割 高大接続の改革 (思考力・表現力の涵養) 地理必修化 (「地理総合」開設)

9.

1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 ・PBL) 現行の受験対策 (偏差値・難関大 合格者数の底上げ) 高大接続の改革 (思考力・表現力の涵養) ICTの活用 (1人1台のiPad所有) 地理必修化 (「地理総合」開設)

10.

1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 ・PBL) 現行の受験対策 (偏差値・難関大 合格者数の底上げ) ICTの活用 (1人1台のiPad所有) 高大接続の改革 地理必修化 (思考力・表現力の涵養) (「地理総合」開設)

11.

1.はじめに SGH実践校として (教科横断型 ・PBL) 受験対策の授業において 現行の受験対策 どのようにICTを活用することが可能? ICTの活用 (偏差値・難関大 (1人1台のiPad所有) 合格者数の底上げ) 教科横断型の授業実践を通して検証 高大接続の改革 地理必修化 (思考力・表現力の涵養) (「地理総合」開設)

12.

2.授業におけるICT活用① オゾンホールの拡大 〜従来型の授業〜 場所:南極 現象:オゾンホールが拡大している 結果:オセアニアには強烈な紫外線が降り注いでいる 原因:

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2.授業におけるICT活用① オゾンホールの拡大 〜従来型の授業〜 場所:南極 現象:オゾンホールが拡大している 結果:オセアニアには強烈な紫外線が降り注いでいる 原因:理科の先生に聞いてください Team Teachingや特別授業でなければ、 地球環境問題の原因追求を扱うことは稀

14.

2.授業におけるICT活用① オゾンホールの拡大 場所:南極 現象:オゾンホールが拡大している 結果:オセアニアには強烈な紫外線が降り注いでいる 原因:調べてみましょう。 どのようなメカニズムで起きているのかを理解し, 他者に説明できる能力を培うことが目的

15.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 仮説を立てさせる ↓ 仮説が正しいかどうか調査させる ↓ 論理的に説明できているかどうかで評価 (教員が評価する)

16.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ いつ 、IC仮説を立てさせる Tを ↓ 活用 して 仮説が正しいかどうか調査させる いる の? ↓ 論理的に説明できているかどうかで評価

17.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 仮説を立てさせる ↓ 仮説が正しいかどうか調査させる 調査:インターネット ↓ 論理的に説明できているかどうかで評価 提出:iPadでGoogle Docsに入力。 添削:文書をPDF化し、Good notesで書き込む。 共有:添削した文書を、そのままGoogle Driveに。

18.

2.授業におけるICT活用①

19.

2.授業におけるICT活用① これを共有することで ↓ 他者の意見が分かる。 他者の意見への評価が分かる。 ↓ 自分の意見を再考する上でのヒントとなる。

20.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 受動 仮説を立てさせる 的な ↓ 学習 と変 仮説が正しいかどうか調査させる わり ↓ ない の 論理的に説明できているかどうかで評価 で は?

21.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 仮説を立てさせる ↓ 仮説が正しいかどうか調査させる ↓ 論理的に説明できているかどうかで評価 〜ここで矛盾が発生〜 気象庁Webと授業の食い違い (授業では極東風、気象庁では「西風」と記述…)

22.

2.授業におけるICT活用① ICTを活用したことによって、 「気になっていること」の共有 共有した情報を用いて、情報の正確さを増す

23.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 仮説を立てさせる どこ ↓ が受 仮説が正しいかどうか調査させる 験対 策 ↓ なの か ? 論理的に説明できているかどうかで評価

24.

2.授業におけるICT活用① 結果(画像)を見せる ↓ 取り扱うテーマ、課題は、 仮説を立てさせる 大学入学試験の過去問(筆記・論述試験)から抽出 ↓ 仮説が正しいかどうか調査させる ↓ 論理的に説明できているかどうかで評価 説明に用いたキーワードが適切であるか(基礎学力) 説明の論理が成立しているか(論理的思考力)

25.

2.授業におけるICT活用② ナイルデルタ 海岸侵食 〜従来型の授業〜 場所:ナイル川の河口 現象:海岸線の形状が円弧状 特徴的なので、知っておきましょう 原因:気にしないでください

26.

2.授業におけるICT活用② ナイルデルタ 海岸侵食 〜従来型の授業〜 場所:ナイル川の河口 特徴的な海岸線の 現象:海岸線の形状が円弧状 場所と名称の学習が中心 理屈の学習は不要 特徴的なので、知っておきましょう 原因:気にしないでください ナイルデルタが 取り上げられることは稀 そこで…

27.

2.授業におけるICT活用② 海岸侵食の授業でナイルデルタを取り上げる

28.

2.授業におけるICT活用② なぜ海岸線が後退しているのか、仮説を立てる (国語でいう、登場人物の確認) 宇宙圏:隕石が落ちてきたので流路が変化した 大気圏:干ばつによって、流量が減少した 生物圏:ダムが建設された 工業化により水が多く使われた 岩石圏:これ以上流れる土砂がなくなった 水 圏:スエズ運河の開通で海流が変化した それから、それぞれの因果関係を探る

29.

2.授業におけるICT活用② 結果(画像)を示す ↓ 仮説を立て、共有する ↓ 仮説が正しいかどうか、他の事例に当てはめて論じる ↓ (論理的に説明できているかで評価する) ↓ 論理的に説明できているかどうかを、 共有することによって、生徒同士で確認する

30.

2.授業におけるICT活用② 結果(画像)を示す ↓ 仮説を立て、共有する ↓ 仮説が正しいかどうか、他の事例に当てはめて論じる ↓ (論理的に説明できているかで評価する) ↓ 論理的に説明できているかどうかを、 共有することによって、生徒同士で確認する

31.

2.授業におけるICT活用② 1974年

32.

2.授業におけるICT活用② 2010年

33.

2.授業におけるICT活用② 消波ブロックが並ぶようになったのは、 海岸線の侵食を防ぐため。 つまり、ナイルデルタと同じ現象が、 日本でも起きている。 共有した仮説を用いて、 日本でも同じ現象だと説明できるならば、正解。

34.

2.授業におけるICT活用② 近代以前 現 在 ナイルの上流が雨季になる ↓ 【ダムが建設される】 水かさが増す ↓ 氾濫する ↓ 増える ↓ 増える ↓ ナイルの流量 堆積と侵食のバランスが均衡 海岸線 ナイルデルタ 浮遊土砂 堆砂量 年中安定 ↓ 氾濫しない ↓ 変化しない ↓ 変化しない ↓ 侵食されるばかり

35.

2.授業におけるICT活用② 近代以前 現 在 -日本の場合【ダムが建設された】 頻発 ↓ 土砂崩れ 頻度は少ない ↓ 頻繁に氾濫する ↓ 低地・平野 氾濫は少ない ↓ 増える ↓ 浮遊土砂 変化しない ↓ 増える ↓ 堆砂量 変化しない ↓ 堆積と侵食のバランスが均衡 海岸線 侵食されるばかり

36.

2.授業におけるICT活用② 【ダムが建設された】 エジプトでも日本でも、 土砂崩れ ↓ ↓ 論理正しく、説明の筋道が立てられる。 低地・平野 ↓ ↓ ↓ 成立

37.

2.授業におけるICT活用② 近代以前 現 在 ナイルの上流が雨季になる 水かさが増す ナイルの流量 水かさが増す ↓ ↓ 氾濫する ナイルデルタ 氾濫する ↓ ↓ 浮遊土砂 増える 増える ↓ ↓ 増える 堆砂量 増える ↓【スエズ運河の開通で海流が変化】 ↓ 堆積と侵食のバランスが均衡 海岸線 侵食されるばかり

38.

2.授業におけるICT活用② 近代以前 現 在 -日本の場合【瀬戸内海で、近代に海峡や運河が開削された?】 頻発 ↓ 土砂崩れ 頻発 ↓ 頻繁に氾濫する ↓ 低地・平野 頻繁に氾濫する ↓ 増える ↓ 浮遊土砂 増える ↓ 増える ↓ 堆砂量 増える ↓ 堆積と侵食のバランスが均衡 海岸線 侵食されるばかり

39.

2.授業におけるICT活用② 近代以前 現 在 -日本の場合近代以降の瀬戸内海で、 海流が変化するほどの土地改変はない。 頻発 ↓ 土砂崩れ 頻発 ↓ 頻繁に氾濫する ↓ 低地・平野 頻繁に氾濫する ↓ 増える ↓ 浮遊土砂 増える ↓ 増える ↓ 堆砂量 増える ↓ 堆積と侵食のバランスが均衡 海岸線 侵食されるばかり

40.

2.授業におけるICT活用② 近代以降の瀬戸内海で、 海流が変化するほどの土地改変はない。 土砂崩れ エジプトでは説明できるかもしれないが、 ↓ 日本の例に当てはめられないので 低地・平野 ↓ 論理が成立しない。 ↓ 浮遊土砂 不成立 堆砂量 ↓

41.

2.授業におけるICT活用② ICTを活用するタイミング Google Docsにて共有すことで、考察し、 ロジックを組み立てるためのヒントを出し合う。 ↓ ICTを活用することで、 仮説の共有と、仮説へのツッコミが容易となる。 ↓ つまり、生徒同士で「論理的」かどうかを 評価し合い、自分にない表現方法の習得につながる

42.

2.授業におけるICT活用③ 地方創生に関する講演会 その後の学習として 「地方創生につながるビジネス」について説明 ↓ RESAS(総務省地域経済分析システム)を用いて統計データを分析 ↓ 生徒自身にとって思い入れのある地域の概況を調査させる ↓ どのようなビジネス展開が可能で,地域から求められるか考察させる ↓ 投資呼びかけを想定し、ビジネスが成功する根拠づくりとして, 生徒自身が探した統計データを,CARTOを用いてマッピングさせる

43.

2.授業におけるICT活用③ 地方創生に関する講演会 その後の学習として

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2.授業におけるICT活用③ 地方創生に関する講演会 その後の学習として 受験勉強という観点から見ると… 「地方創生につながるビジネス」について説明 自然・社会現象の原因を把握する ↓ RESAS(総務省地域経済分析システム)を用いて統計データを分析 課題を発見する ↓ データの分析 生徒自身にとって思い入れのある地域の概況を調査させる 市場調査を踏まえレポートする 要約 ↓ どのようなビジネス展開が可能で,地域から求められるか考察させる 自然・社会現象の原因に対する答えとして成立しているか ↓ 投資呼びかけを想定し、ビジネスが成功する根拠づくりとして, 生徒自身が探した統計データを,CARTOを用いてマッピングさせる 論理正しく説明する(論述する)

45.

2.授業におけるICT活用③ 地方創生に関する講演会 その後の学習として これにICTは必要? 「地方創生につながるビジネス」について説明 ↓ RESAS(総務省地域経済分析システム)を用いて統計データを分析 数値データの処理・分析 ↓ 生徒自身にとって思い入れのある地域の概況を調査させる 調査 ↓ どのようなビジネス展開が可能で,地域から求められるか考察させる ↓ 投資呼びかけを想定し、ビジネスが成功する根拠づくりとして, 生徒自身が探した統計データを,CARTOを用いてマッピングさせる 表現・共有

46.

2.授業におけるICT活用③ 地方創生に関する講演会 その後の学習として これにICTは必要? CARTOというマッピングツールを使うことで、 生徒による調査・分析・表現・共有が簡単にできる。 ↓ 個々人に合わせた学習機会を提供できる + 教科横断的な見方・考え方がしやすくなる ↓ 個々人の学習成果を一般化できる 個々人の学習成果の、全体での位置付けができる

47.

3.授業を補完するためのICT活用 授業の予習・復習として授業スライドの共有

48.

3.授業を補完するためのICT活用 授業の予習・復習として授業スライドの共有 授業のスピード向上につながる (おおよそ12回分の授業が10回分で終了) 課題を出す訳でも、閲覧を義務付けている訳 でもないため、反転学習とは言えない。

49.

3.授業を補完するためのICT活用 質問掲示板の開設(高2・高3の全員に共有)

50.

3.授業を補完するためのICT活用 質問掲示板の開設(高2・高3の全員に共有) 生徒から質問が投稿される (口頭だと聞きづらくても、これなら聞ける) 教員・上級生が回答をする (生徒が理解できていない部分を認知できる) 他クラス・他学年の生徒が閲覧する (気に留めていなかった事項を、留意するように) (上級生が、振り返る機会として閲覧・回答する)

51.

4.まとめ ICTを活用することによる効果と課題 受験勉強対策としての効果 教科書の記述・与えた知識だけでは一面的な見方・考え方 生徒自身の思考だけでは、知識が乏しい ↓ 発想を共有することで、探究心をくすぐる 評価し合うことで、論理的思考力・論理的表現力が育つ (言語活動・プログラミング教育と方向性は同じ)

52.

4.まとめ ICTを活用することによる効果と課題 ICTを活用する意味は? 〜授業アンケートより抜粋〜 共有できる 63人/75人中 資料提示の多さ 58人/75人中 みんなで一緒に勉強できる 41人/75人中(中間・下位層) 一人で勉強するときに使い易い18人/75人中(上位層) その場で調べられる 29人/75人中 これまで以上に教科書を開くように 22人中/75人(上位・中間層) 一方で… 書き込みたい 38人中/75人(中間層) 容量不足(アプリ入れられない!) 24人中/75人 👈重大!

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ご清聴、ありがとうございました。 ICTを活用した教科横断型の授業実践 デジタル教科書学会 @京都産業大学むすびわざ館 河合 豊明(品川女子学院) ご質問、ご意見は t-kawai@shinagawajoshi.ed.jpへお願いいたします。