超高速!? ベトナムの歴史(古代編まで)

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August 13, 23

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歴史が好きな趣味仙人。 写真撮ったり、落書き載せたり、物書いたりする。

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各ページのテキスト
1.

超高速!? ベトナムの歴史 大体わかった気になれる、ベトナム中学生レベルの歴史教養 やすみさん

2.

目次 • 僕(ら)がベトナムの歴史を知る意義 • ベトナムの基本情報 • ベトナムの歴史はキン族の歴史 • 建国〜10世紀までの年表 • Ⅰ.原始の時代:ベトナム最古の人類〜ドンソン(東山)文化 • Ⅱ.国家の起点:ヴァンラン(文郎)国・アウラク(甌雒)国 • Ⅲ.中国支配の時代:北属と抗争 • Ⅳ.初めての独立:自主権の獲得〜独立王朝の樹立

3.

目次(続き) • 10世紀〜19世紀半ばまでの年表 • Ⅴ.初期の短命王朝:ゴ(呉)/ディン(丁)/ティエン・レ(前黎)朝 • Ⅵ.中央集権化の推進:リ(李)朝 • Ⅶ.元軍を破る発展:チャン(陳)朝 • Ⅷ.国家の低迷:ホー(胡)/第四次北属/ハウ・チャン(後陳)朝 • Ⅸ.再びの独立:ハウ・レ(後黎)朝前期 • Ⅹ.封建国家の衰退:ハウ・レ(後黎)朝後期/タイソン(西山)朝 • Ⅺ.最後の王朝:グェン(阮)朝

4.

目次(続き) • 19世紀半ば〜2000年代までの年表 • Ⅻ.フランス植民地の時代:植民地化と抗仏運動 • ⅩⅢ.フランスからの独立:ベトナム八月革命〜第一次インドシナ戦争 • ⅩⅣ.南部解放と再統一:第二次・第三次インドシナ戦争 • ⅩⅤ.再統一から2000年代まで

5.

僕(ら)がベトナムの歴 史を知る意義 文廟の亀趺(キフ)に集まるベトナムの学生(筆者撮影)

6.

僕の普段の仕事 • システム開発会社のwebディレクター • お客様の要望を聞いて、webサイトの仕様に落とし込んで、 エンジニアに指示して進捗を管理する人(※業種や会社による) • ベトナム南部のホーチミンに子会社があり、開発部隊は現地のベトナム人 • 対面では、ベトナム人の通訳を交えてコミュニケーション • ビジネスチャットツールでは、 Google翻訳などを使って英語で指示することも(一言で終わるような簡易的なレスポンス) • 現地のコミュニケーションは、お互いにスマホでGoogle翻訳を使い筆談 (通訳はつきっきりではないので) • 僕のメインの仕事ではないが、日本企業のベトナム法人設立支援も会社のサービスとしてはやっている

7.

現代日本の一番身近なビジネスパートナー • 厚生労働省発表の”「外国人雇用状況」の届出状 況(令和4年10月末時点)”によると、外国人労 働者数は182万2725人。 • 届出が義務化された平成19年以降、 過去最高を更新。 • 対前年増加率は5.5% • 国籍ではベトナム人が46万2384人と最多 (全体の25.4%) • ちなみに日本企業の現地法人数はベトナムは5 位、増加数はトップ(東洋経済新報社調べ) 「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在) https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf

8.

現代日本の一番身近なビジネスパートナー • 日本貿易振興機構(ジェトロ)の記事 (2023年3月1日発表) • ベトナムの海外労働管理局の発表では、 海外への労働者派遣総数は14万2,779人 (2022年時点) • 前年(4万5,058人)の3倍以上増加 年間目標(9万人)の1.5倍以上達成 • 国・地域別では、日本が6万7,295人で 最大の派遣先 ジェトロ「ビジネス短信」添付資料 https://www.jetro.go.jp/view̲interface.php?blockId=35312289

9.

外国人材の職場における課題 • パーソル総合研究所の、日本で働く外国人材の就業 実態・意識調査 結果報告書(2020年2月) • 日本で働く外国籍の就業者、正社員500サンプル、 パート・アルバイト500サンプルを対象にしたイン ターネット定量調査。 ※対象はベトナムに限らない • 外国人材の多くが職場で孤独感を感じている。 • 職場の不満は、企業が把握しているよりも、 実態は2.6倍の開きがある。 • 待遇に対する不満の次に、日本独特のビジネス習 慣、外国人材に対する理解の希薄がみられる。 • コミュニケーション、異文化理解の欠如が課題。 日本で働く外国人材の就業実態・意識調査 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/surveyofForeigners̲3.pdf

10.

コミュニケーション不全に潜む影 • コミュニケーション不全は、言語の壁も大きいが、機械翻訳の精度は日々向上している。 • ツールを用いれば意外となんとかなるため、個人的には言語の壁は思っているより低いと感じる。 • それよりも、心の壁 無関心、排他意識のほうが大きな壁なのでは。

11.

実際、職場での関わりは薄いケースが多い • パーソル総合研究所の、多文化共生意識に関する 定量調査(2021年3月) • 日本全国15-79歳男女、日本人1000サンプル・ 在留外国人500サンプルを対象にしたインターネ ット定量調査。 ※対象はベトナムに限らない • 職場の外国人社員との接触頻度のアンケートで は、挨拶は6割を超えるが、より密な関わりは5 割を下回る。 • 一方で、社内共通語が「英語」になる抵抗感のほ か、日本のビジネスマナーなど、暗黙の同調圧力 が見られる。 多文化共生意識に関する定量調査 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/multicultural-consciousness.pdf

12.

関心を持つきっかけに、歴史を知る意義がある(と思う) • 自発的にコミュニケーションをとるためには、相手のことを知ろうという気持ち=関心 がない事には始まらない。 • そのきっかけに歴史はとても有益だと思う。 • 基本的に学校で習うので、誰にでも通用する話題。(覚えてる、覚えてないはさておき) • また、自国の歴史・文化は知らず知らずのうちに人格形成や価値観に影響を与えるので、 自分の当たり前を疑う事きっかけにも、相手の思考の背景を理解する一助にもなる。 • 地元の事に興味を示して、聞いてくれる事自体は基本的に嬉しいよね。

13.

ベトナムの基本情報 10万ドン札と文廟 奎文閣(けいぶんかく/クエ・ヴァン・カック)(筆者撮影)

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ベトナムの基本情報 • 正式名称:ベトナム社会主義共和国 • 面積:32万9241平方km • 日本の国土面積は約37万8000平方km 九州と四国を抜いた日本の面積と大体同じ • 人口:約9,762万人(2020年、ベトナム統計総局) • 首都:ハノイ(河内) • ほかハイフォン(海坊)、ダナン(沱㶞)、 ホーチミン(胡志明)、カントー(芹苴)を含む 5市が省級の中央直轄市。 • お金:ベトナムドン(VND) • お金は全て紙幣で貨幣はない。現金文化が根強い。 • 成田からハノイまで平均フライト時間は6時間前後 • 日本との時差:-2時間 • 日本でAM10時の時、ベトナムだとAM8時 ハノイ

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ベトナムの基本情報 • 民族:キン(京)族(約86%) • 他に53の少数民族 • 言語:ベトナム語 • 文法:SVO(主語・動詞・目的語) ※日本語はSOV(主語・目的語・動詞) • 文字:チュ・クォック・グー( 國語) ラテン文字に補助記号をつけたもの。 • 系統:一般にはオーストロアジア語族 ※クメール語(カンボジア語)と同じ • 中国語と漢字文化の影響を強く受けつつ、 言語系統は中国語と異なる。 (中国語はシナ・チベット語族) 𡨸 ハノイの人力車(筆者撮影)

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ベトナムの地理 • 北は中国、真西はラオス、南西はカンボジアと接 する。 • 主に北部、中部、南部にわけられる。 • 北部は紅河(ホンハ)デルタ、南部はメコンデル タの上に都市が形成されている。 • 中部は西はギリギリまで山、東は南シナ海が広が る。 Google Mapに加筆

17.

ベトナム北部の地理 • 主要都市:ハノイ(河内)、ハイフォン(海防) • 紅河(ホンハ)が蛇行しながら流れ、 巨大な三角州=紅河デルタを形成しながら、 トンキン(東京)湾へ注ぐ。 • デルタ内では川床の高い天井川となっており、 川沿いでは堤防を見かける事も多い。 • 南国的な樹木は少なく、日本の田園風景に割と近い。 個人的には都市部は大阪に近い。 • 日本の扇状地のような地形はあまりなく、 平坦な田園風景に、空から落としてきたかのように岩山が ボンボンボンとある。(個人の感想) • 北は中国と隣接しており、 長らく中国王朝の支配下だった。 安南都護府が置かれいたのもハノイ(河内)。 • 中国系の顔が多い。 見慣れた顔付きにちょっと安心する。 Google Mapに加筆

18.

ベトナム北部の気候 • 亜熱帯性気候に属し、 春夏秋冬の四季(らしきもの)がある。 • 高温多湿の夏が、5月頃から10月頃まで長く続く。 • ベストシーズンは乾季の11月〜4月。 • 気候的要因もあるし、大気汚染も相まって、 曇っていることが多い。 • 冬は意外と寒い。 皆ユニクロのウルトラライトダウン着る。 (by 現地ガイドのおばちゃん) ちなみに大気汚染も冬が一番ひどい。気をつけよう。 • 雨季: 5月〜10月頃 最低気温:24℃〜28℃/最高気温:30℃〜34℃ • 乾季:11〜4月 最低気温:13℃〜20℃/最高気温:20℃〜27℃ ハノイの気候 ベトナムまとめサイト:ベトナム 気候 https://stw-vietnam.com/weather/

19.

ベトナム中部の地理 • 主要都市:ダナン(沱㶞)、フエ(順化)、 ホイアン(會安) • 西はギリギリまで山、東は南シナ海が広がる、 細く入り組んだ地形。 • 天然の良港が多い。 • 北部や南部に比べると自然環境が厳しく 貧しいエリア。 • 2世紀末〜15世紀後半(または17世紀)まで、 チャム人の港市国家・チャンパ王国があった。 平群広成が漂着したのがこのあたり。 • 『西遊記』で孫悟空が封じ込められた五行山がある。 • ベトナム最後の王朝、グェン(阮)朝の宮都が フエにあった。 • 個人的には中国地方の日本海側に近いイメージがある。 (まだ行ったことがなく、空から見ただけ) Google Mapに加筆

20.

ベトナム中部の気候 • 熱帯モンスーン気候に属する。 • 北中部、南中部にわけられる。 • 北中部:冬と夏しかない。 • 冬は空気が冷たく、雨が多い。 • 夏は湿気が少なく、空気が暑く乾いている。 • 南中部:一年中暑く、雨季と乾季がある。 • 雨季:8月〜12月 • 乾季:1月〜7月 • 乾季は旱魃が起こりやすく、雨季はしばしば 河が氾濫する。 フエの気候 ベトナムまとめサイト:ベトナム 気候 https://stw-vietnam.com/weather/

21.

ベトナム南部の地理 • 主要都市:ホーチミン(胡志明)、カントー(芹苴) • インドシナ最大の河川、メコン川が形成する 巨大な三角州=メコンデルタの上に都市が築かれている。 • 玄武岩が風化した紅土の肥沃な沖積土壌地域で、 アジアの一大穀倉地帯。 • 年に3回栽培・収穫する三毛作が行われている。 ※紅河デルタでは二毛作 餓死する心配はまずない。 • 政治の中心・ハノイに対して、商業の中心・ホーチミン。 • 山がほとんどなく、平坦な地形が特徴。 まじで坂や山がない。ド平坦。 大阪に例えられる事が多いが、個人的には博多にも近い。 • 18世紀頃まではクメール人の土地で、 クメール朝(アンコール朝)の文化圏だった。 • 南方系の顔が多い。 南国に来た感を味わえる。 Google Mapに加筆

22.

ベトナム南部の気候 • 熱帯モンスーン気候に属する。 • 一年を通して高温多湿の環境。 • 季節は雨季・乾季に大別され、乾季は比較的過ごしやすい。 • 雨季の入道雲は見たこともない厚さでやばい。 • といっても一日中降り続く事は少なく、 夕刻にシャワーのように雨が短時間降る。 (マンゴーシャワーというらしい) • 乾季は紫外線がやばい。 紫外線指数が10〜12の危険レベルに達することも。 • 日本に比べ、空がどことなく黄色い。 詳しく調べてないが、紅土、粉塵、大気汚染が要因か。 • 雨季:5月〜10月 最低気温:22〜25℃/最高気温:30〜34℃ • 乾季:11月〜4月 最低気温:20℃〜22℃/最高気温:29℃〜31℃ ホーチミンの気候 ベトナムまとめサイト:ベトナム 気候 https://stw-vietnam.com/weather/

23.

ベトナム人の気性 • 全体的には「したたか」&「超現実主義」だと言われる。「詩と実利と遊興」。 • 北部:詩 • 落ち着きがあり、秘密主義で、詩などの文化・芸術を愛する。 • 自己主張は強いが、内向的な性格で、家族や礼儀を重視する。 • 学識を重視し、学問への投資を好む傾向がある。 • 中部:実利 • 土地やお金などの現実的な利益を重視。 • 忍耐強く、勤勉かつ倹約家。 • 学問で高い成績を上げる人が多い。 • 南部:遊興 • 酒を酌み交わせる仲間や時間を重視。 • 活発、クリエイティブ、 寛大、率直、頑健。 • 歓待大好きで、外交的な性格。

24.

ベトナム人の気性(個人の肌感) • 友愛・忍耐・勝利。 • アジア人の勤勉さと、南国風土のユルさの ハイブリッド。 • 絶対に負けて終わらせない忍耐力、 負けず嫌い。 • 強大国に挑み続けて勝ち取ってきた誇りと自信 • 取られたもんはきっちり取り返すしたたかさ、 必要以上の争いは望まず、和解してあげる 勝者の余裕。 • 「やられた事は許せないけど、おかげで 学ばせもらって成長できたんで誇りある歴史」 • ※子会社はホーチミンなので、 南部の人の特徴かもしれない。 ジャンプの三大原則は、友情・努力・勝利 ©尾田栄一郎/集英社

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個人的なざっくりイメージ • 北部: • 地理的・歴史的性格は河内(大阪) • 気性的には東京 • 中国の影響が強く、文官っぽい。 • 中部: • 地理的・歴史的性格は出雲(島根) • 気性的には名古屋 • 厳しい環境ながら生き抜く根性、 独自の港市国家があった自負 • 南部: • 地理的・歴史的性格は筑前(福岡) • 気性的には大阪 • THE 南国気質。 Google Mapに加筆

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ベトナムの歴史はキン族の歴史 • これまで見てきたように、ベトナムは北部・中部・南部で地理、歩んできた歴史が異なる。 • 一般に「ベトナムの歴史」とは、北部ハノイを中心とするキン族の歴史である。

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というわけで、ようやく本編

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ベトナムの歴史:Ⅰ〜Ⅳ 先史・古代編 ゴ・クェン(呉権)が都とした古都・ホアルー(華閭)(筆者撮影)

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Ⅰ.原始の時代:ベトナム最古の人類〜ドンソン(東山)文化

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旧石器時代:約40-30万年前 • タムハイのタムクエン洞窟(ランソン省)で最古の人類 (原人)の歯。 • クアンイエンのド山(タインホア省=ベトナム北中部)、 スアンロク(ドンナイ省=ベトナム南部)などで 打製石器や剥片石器。 • 何十万年と長い時間をかけて、石器改良をしながら 生活圏を広げていった。 『 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』

31.

旧石器時代: 約3-2万年前 • ホモ・サピエンス登場。 • グオム石窟(タイグエン省)、ソンヴィー(フート省)や ライチャウ、ソンラ、バクザン、タインホア、ゲアンの 各省に見られる。 • 主に、自然石を粗く打ち欠けて作った石斧を 使用していた。 『 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』

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新石器時代: 紀元前1万-4000年前 • 原始人の生活の遺物が残る洞窟遺跡が多数見つかっている。 • 多種の石材を用いて、石器の加工が発展。 磨製石器ができた。 • キュウリ、豆などの種子もたくさん発見されているので、 野菜の栽培が始まったという意見がある。 • 頭蓋骨から、アウストロ・ネグロイド系人種、 北方のモンゴロイド系人種が確認されている。 両者は混血していったと考えられる。 • 南方ではアウストロ・ネグロイド系が優勢となった。 『 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』

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石器時代:補足 • 紀元前2万5000-2万年頃:ソンビ文化 • 紀元前1万-5000年頃:ホアビン文化 • この頃、現在と同じ気候、地理的環境になる。 • ベトナムの歴史観では、原始農業の発生、土器の出現を見出している。 • 紀元前8000-6000年頃:バクソン文化 • 稲作が始まったという説が主張されている。 • 紀元前4000年頃:ダブット文化、クインヴァン文化 • 洞窟や岩陰を離れて丘陵地に降り、狩猟、漁猟、農耕に従事。 • 紀元前3000年頃:バウチョ文化、ハロン文化 • 農耕文化とともに漁労文化が発展。

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青銅器文化:紀元前2000-1000年前 • フングエン、ドンダウ、ゴームン文化 • フングエン文化は、フン・ヴォン(雄王)廟があるヴィンフー省(現フート省)のフングエン(興元)で 見つかった遺跡にちなむ。 • 石器と青銅器の両方が確認される。 • 農耕が主体で、農業生産に青銅器が使用されだす。 • 社会の階層分化がみられる。 • この遺跡から、ベトナムの歴史観では、歴代フン・ヴォン(雄王)が君臨した ヴァンラン(文郎)国が実在したとされている。

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青銅器文化:紀元前5世紀頃-後1、2世紀頃 • ドンソン文化 • タインホア省のドンソン(東山)で見つかった遺跡にちなむ。 • この時代の代表的遺物は銅鼓(どうこ)。 • 農耕生活を行い、首長が共同体の成員を支配する階級社会だっと考えられる。 • 鉄器も出土しており、鉄器時代に入るものと考えられる。 • フングエン文化からドンソン文化にかけ、北部丘陵地帯から次第にデルタ地帯へと降り、 定住をはじめたと推定されている。 • 同時期に、中部では青銅器を持つ漁猟文化=サーフィン文化が成立。 ベトナムの歴史観では、後のチャンパと位置づけている。

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ゴックルー銅鼓 銅鼓ーハノイ歴史研究会 http://hanoirekishi.web.fc2.com/douko.html

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先史時代の要約 • 旧石器時代にベトナムで人間が活動していた。 • 石器時代〜鉄器時代にかけての人間社会の連続的発展によって、域内独自の文化の発展様式が認められる。 • 青銅器時代文明が続いた数世紀の間、原始的な国家が成立した。

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Ⅱ.国家の起点:ヴァンラン(文郎)国・オウラク(甌雒)国

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伝説の国:ヴァンラン(文郎)国 • 日本で言うところの、欠史八代(神武〜崇神)みたいな王朝。 • 古代、ベトナム北中部にあったとされる原始国家。 • ベトナム初の国家として信じられている。 • 歴史書では、紀元前2879年以降に建国、前257年に滅亡。 • 「文狼(郎)」の名称は、北魏の地理志『水経注』(515年成立)36巻・溫水 林邑(リンユウ)記が 初出らしい。 • 《林邑記》曰:渡比景至朱吾。朱吾縣浦、今之封界、朱吾以南、有文狼人、野居無室宅、依樹止宿、 食生魚肉、採香爲業、與人交市、若上皇之民矣。 • 《林邑記》曰く:比景を渡り、朱吾に至る。朱吾縣の浦、今これ封界、朱吾より以南、文狼人有り、室宅無 く野に居し、樹に依りて止宿す、生魚の肉を食し、香を採りて業と為す、人ともに市で交わること、上皇の 民の若し!

40.

史書におけるヴァンラン(文郎)国の経緯 • • ベトナムの歴史書『大越史記全書』(1479年編纂)曰く、 西暦 紀元前2879年、炎帝神農氏の三世孫・帝明(デ・ミン)が南方に巡幸した際、 婺僊(ヴ・ティエン=婺女星の仙)と出会い結婚し、禄続(ロク・トゥク)が生まれた。 帝明は、聖地聡明な禄続に跡を継がせようとしたが、兄の帝宜(デ・ギ)の手前断った。 帝明は、帝宜に位を譲って北方を治めさせ、禄続を涇陽王(キン・ズォン・ヴォン)に 封じ、南方を治めさせた。その地を赤鬼(スィクキ)国と呼んだ。 • 王(涇陽王)は、洞庭君(ドン・ディン・クァン)の娘・神龍(タン・ロン)と 結婚し、貉龍君(ラク・ロン・クァン)が生まれた。諱を崇纜(スン・ラム)という。 • 貉龍君は帝来(デ・ライ=炎帝神農氏の五世孫)の娘・嫗姫(オウ・コウ)と結婚し、 百男を生んだ。(俗に、百卵とも)これが百越(バク・ヴェト)の祖先である。 • ところが貉龍君は姫に「私は龍で、お前は仙女であるから、水と火のように互いに 相容れないものがある。一緒に居ることが難しいから、互いに別れよう」と、 五十子が母に従って山に戻り、五十子が父に従って南に住んだ。 • その中の長子を封じて雄王(フン・ヴォン)と名付け、位を継がせた。 炎帝神農 帝明 (三世孫) 涇陽王 (禄続) 帝来 (五世孫) 貉龍君 (崇纜) 嫗姫 雄王

41.

百越とは • 中国史における南方、江南(長江以南)から現在のベトナム北部までの広範囲の地域、 及びそこに住む諸民族を指す。 • ベトナムの歴史観では、そのうちの貉越(ラク・ヴェト)を文郎国に当てているようだ。 • 貉越は紅河デルタにあったとされ、ベトナム最北部から中国南部にかけての山岳部に 甌越(オウ・ヴェト)があったとされる。 • 甌越東部を東甌、西部を西甌(タイ・オウ)という。 • 西甌は、あとでまたでてくる。

42.

史書におけるヴァンラン(文郎)国時代 • 雄王(フン・ヴォン)は峯州(フォンチャウ=現在のベトナム北部 フート省)を都とした。 • 即位して建国し、文郎(ヴァンラン)国と称した。 • その国は、東は南海に、西は巴蜀に、北は洞庭湖に至り、南は胡孫国(= チャンパ)に接している。 →これだと南中国一帯が文郎国の領域になる。 →『ベトナム史略』(1919年編纂)では、現在のベトナム北中部〜北部 を領域としている。 • 国を十五部に分け、臣としていた。 • 相(文官)として貉侯(ラクハウ)、将(武官)として 貉将(ラクトゥン)を置いた。 • 王子を官郎(クァンラン)、王女を媚娘(ミーヌォン)といった。 • 蒲正(ボーチン)という司(官吏)があり、代々父から子へ継いだ。 • 王は皆雄王(フン・ヴォン)といった。 • ベトナムの歴史観では、文郎国を中央集権組織の基礎としてみている。 『 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』

43.

文郎国時代の説話1:タイン・ゾン(聖揀) • 別名:フー・ドン・ティエン・ヴォン(扶董天王) • 第6代雄王の時代、武寧部の扶董(フー・ドン)鄉に、 3歳になっても物を言わない、揀(ゾン)という男の子が いた。 ちょうどその頃、殷が侵略した。 王は、敵を倒すことができる優れた若者を探すために 使いを各地にやった。 使いが大声で探すのを聞くと、揀は突然言葉を発して 名乗り出た。 王は剣と馬を与え、揀は官軍を率いて見事賊を撃破した。 揀は馬を躍らせ空に飛び去った。 • 『記紀』にいう、誉津別(ホムツワケ)命のようですね。

44.

文郎国時代の説話2:山精(ソンティン)・水精(トゥインティン) • 第18代雄王には美しい媚娘(ミーヌォン=王女)が一人いた。 蜀王(※)は結婚を申し込んだが断られ、怨みを思った。 雄王がふさわしい娘婿を探すと、山精(ソンティン)・水精(トゥインティン)の二人が 婚姻を求めて来朝した。 王は「娘は一人しかいないので両方とは結婚ができない」と言い、結納のための贈り物を 先に持ってきた物に嫁がせることとした。 先に到着したのは山精だった。 王は山精との結婚を認め、二人は山へと戻っていった。 水精は一足遅れ来て、及ばなかった。 水精は恨んで、雨を降らせ洪水を起こしたが、山精を破れずに終わった。 俗に、山精と水精は後世でも争い続け、毎年洪水になるという。 • ここでいう”蜀王"は、文脈から、次期王朝の甌貉(オウラク)国を興した安陽王(アン・ズォン・ヴォン) を指すと思われる。 • 紅河デルタに住む人達が暴れる水を克服してきた歴史を反映している。 • 日本でいう「山幸彦と海幸彦」「八岐大蛇退治」と似ている。

45.

オウラク(甌貉)国の興亡 • • ベトナムの歴史書『大越史記全書』(1479年編纂)曰く、 安陽王(アンズォンヴォン)元年(紀元前257年) 王は文郎国を併合し、国号を甌貉(オウラク)国に改めた。 はじめ、蜀軍が雄王を攻めたが、雄王の兵は勇ましく、いつも 撃退していた。 雄王は過信し、備えを怠り、酒宴をもって享楽的に過ごしていた。 蜀軍が真近に迫ってもなお酔って覚醒めず、吐血して井戸に落ちて 死んだ。 民は戦いに倒れ、蜀に降った。 蜀王は越裳部の封溪(フォンケー)に城を築き、 古螺(コーロア)城と名付けた。 • 安陽王(アンズォンヴォン)は、姓と諱を、蜀泮(トゥク・ファン) といい、蜀の人であったと記されている。 • 元は古蜀の王子で、古蜀が秦に滅ばされたあと、流浪の末に西甌に 至り、文郎国を併合して甌貉国を建国したとみられる。 • オウラク(甌貉)国は、ドンソン文化の時代だった。 『 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』

46.

南越(ナン・ヴェト)の興亡 • 中国は雲南から海に出る最短ルートとして、紅河デルタの支配 を望んでいた。紅河デルタは、西方との交易のための交通の要衝だった。 • 秦は始皇帝の死後、ベトナムへの影響力が弱まると、 南海尉であった趙佗(チョウタ)が独立し、今の中国・広州を首都とした 南越(ナン・ヴェト)を建国。 • 『大越史記全書』によれば、 • 秦は任囂(ジンゴウ)を南海尉に、趙佗(チョウタ)を龍川令に任命。 二人は謀略を以て越南に侵攻した。 しかし安陽王(アンズォンヴォン)の軍勢に敗け、任囂は病に伏す。 趙佗は王に講和を打診し、王は分平江の以北を趙佗が治める事を許した。 秦国内が反乱により混乱が起こると、任囂は南海尉を趙佗に譲り、病没。 趙佗は反乱軍の侵入を防ぐよう南海郡の兵に檄を飛ばし、 また、秦が郡に派遣していた官僚を尽く誅殺し、自らの腹心を登用。 その後、趙佗は安陽王を攻め、王は海に入って去った。 • 紀元前207年に、武帝(趙佗)は林邑と象郡を併合し、南越国を建国。 • その後、漢の侵攻より、紀元前111年に滅亡。 趙佗

47.

補足:ベトナム史観における趙佗(チョウタ)の評価 • 『大越史記全書』では、文郎国を併合して甌貉国を建てた安陽王(アンズォンヴォン)、 甌貉国を滅ばして南越国を建てた趙佗は、歴代の王朝の統治者として同列に扱っているように見える。 • 一方、ベトナムの歴史の教科書の完訳である『ベトナムの歴史』(明石書店)では、 安陽王(アンズォンヴォン)は秦の侵略に抗った優れた人物として扱い、趙佗は侵略者と見做しているようで、 南越について詳細に触れられない。ほぼそのまま北属時代へ移行する印象を受ける。 • しかし、『物語 ヴェトナムの歴史』(中央公論新社)によると、ベトナムは、趙佗の南越王国のことを あまり悪く言わないらしい。 • 曰く、ベトナム人の考え方は、趙佗の南越王国を中国支配のはじまりとは受け止めていない空気がある。 • 漢の覇権主義を批判して、中国支配は漢からはじまるとする。 • 趙佗が漢に反抗したことはベトナム人にとって共感を覚える。らしい。

48.

参考資料 • 厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】 (令和4年10月末現在) 令和5年1月27日 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage̲30367.html • 東洋経済オンライン:『日本企業が進出している「国・地域」ランキング』 2023年5月8日 10:00 https://toyokeizai.net/articles/-/669377 • 日本貿易振興機構(ジェトロ):2022年の海外労働者派遣、日本向けが最多で約7万人 2023年3月1日 https://www.jetro.go.jp/biznews/2023/03/f1e9f94588c66a7a.html • パーソル総合研究所:日本で働く外国人材の就業実態・意識調査 公開日:2020年2月7日 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/foreigners-working-in-japan.html • パーソル総合研究所:多文化共生意識に関する定量調査 公開日:2021年3月15日 https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/multicultural-consciousness.html • (編著)福森 哲也・(著)實原 享之/工藤 拓人/チャン・グェン・チュン『<決定版>ベトナムのことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版社) • ベトナムまとめサイト:ベトナム 気候 2023年8月11日閲覧 https://stw-vietnam.com/weather/ • 岡山県庁:岡山県ベトナムビジネスサポートデスクレポート Vol.29 ベトナム各地域(北部・中部・南部)の地理的、風土的、人材的特色について 2023年8月11日閲覧 https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/330052̲1523254̲misc.pdf • クラブツーリズム:ベトナム基本情報 2023年8月11日閲覧 https://www.club-t.com/sp/kaigai/guide/vietnam/info/ • 外務省:ベトナム 令和4年10月1日 https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/asia/viet.html • 世界史の窓:チャンパー/林邑/占城 2023年8月11日閲覧 https://www.y-history.net/appendix/wh0202-006.html

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参考資料 • (編著)宮田 崇『地球の歩き方 ベトナム 2023-2024年版』(株式会社Gakken) • (監修)ファン・ゴク・リエン・(監修)今井昭夫『世界の教科書シリーズ21 ベトナム中学校歴史教科書 ベトナムの歴史』(明石書店) • (著)小倉貞男『物語 ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』(中央公論新社) • 銅鼓ーハノイ歴史研究会 2023年8月12日閲覧 http://hanoirekishi.web.fc2.com/douko.html • 文郎国 2023年8月12日閲覧 http://zae06141.client.jp/bunrou.html • 水經注/36 - 维基文库,自由的图书 2023年8月12日閲覧 https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%B0%B4%E7%B6%93%E6%B3%A8/36 • 大越史記全書/外紀卷之一 - 维基文库,自由的图书馆 2023年8月13日閲覧 https://zh.wikisource.org/wiki/ %E5%A4%A7%E8%B6%8A%E5%8F%B2%E8%A8%98%E5%85%A8%E6%9B%B8/%E5%A4%96%E7%B4%80%E5%8D%B7%E4%B9%8B%E4%B8%80 • 大越史記全書/外紀卷之二 - 维基文库,自由的图书馆 2023年8月13日閲覧 https://zh.wikisource.org/wiki/ %E5%A4%A7%E8%B6%8A%E5%8F%B2%E8%A8%98%E5%85%A8%E6%9B%B8/%E5%A4%96%E7%B4%80%E5%8D%B7%E4%B9%8B%E4%BA%8C