研究室紹介

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March 21, 24

スライド概要

空間数理情報研究室の紹介です.

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Spatial statistical informatics lab., Kanazawa U.

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各ページのテキスト
1.

空間数理情報 研究室 Spatial Statistical Informatics Lab. 2024/03 中西 航 nakanishi [at] se.kanazawa-u.ac.jp

2.

はじめに 2 ◼ 空間数理情報研究室 (中西研) は,空間情報学・交通工学・ 都市計画と呼ばれる分野の課題に対して,主として数理統 計のアプローチを用いて対峙していく研究室です. ◼ 指導教員との相性は研究内容と同じくらい重要です.中西 は自主性・自律性・多様性をたいせつにします.また,中 西と一緒に研究したいという姿勢の人を求めています(=全部 教えてほしい人は不向き).指導方針もよく読んでください. ◼ 中西のこれまでの研究は中西個人のウェブサイトや Google Scholarを見ると分かります.学生の学位論文リスト は研究室のウェブサイトを見てください. ◼ 研究室について質問があればいつでもメールをください. 訪問も随時受け付けます.

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研究室の概要 ◼ 設立: 2021年10月 ◼ 教員: 中西航 (准教授) ◼ 学生: M2 4名,M1 3名,B4 ?名 (2024年度の想定) ◼ 教員(中西)の略歴: • 東京生まれ, 北海道育ち • 2005-2014 学生@東京大学 (学部・修士・博士) • 2014-現在 教員@東大, 東工大, 金沢大 • 専門: 交通・都市における統計,空間情報・GIS 3

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研究室の大きな目標 1. 4 「空間情報」から新たな知見を 見いだすこと • いままで分からなかったこと を明らかにする • いままで注目されていなかっ たことに光を当てる 2. データ活用を通じて公平で多様 な都市・交通を実現すること 出所) https://twitter.com/ka nazawacom/status/136 8186597376585728 • 位置情報が様々なサービスに 利用されていくなかで,知ら ず知らずのうちに発生しうる 不公平・不平等を未然に防ぐ 出所) https://intech.media/smartcities_jp/aiforthefuture/

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中西の興味(≒研究内容) 5 ◼ 社会空間の状態を理解し,数理的に記述したい • 問題の例:金沢はどんな街ですか? • 東京・大阪や富山・福井とはどう違いますか? 人口 面積 産業 地形 気候 ◼ 古くはこれ自体が学問=地理学,入念な現地調査が必要 ◼ いま,データはたくさん集まる時代 • 例:衛星写真があれば 現地に行かなくても様子がわかる 出所) google map

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中西の興味(≒研究内容) 6 ◼ 近年の一般的な課題: どのデータを用いて,何を,どのような観点で記述するか? • データが増えたため,従来よりも大きな課題 • データだけがあっても,結局よくわからない 様々な対象にチャレンジ • ヒトやモノのように,移動するも のの特徴を記述したい(交通) • 土地利用のように,時間とともに 変化するものを捉えたい(都市) • 交通と都市の相互作用を考えたい 様々な可能性にチャレンジ • 最新の統計的手法(→土木分野で 世界初の使い手になれる) • データの新しい表現方法(→将来, 誰もが使うようになるかも) ◼ 一言でいうと,社会空間のより適切な現状把握を行いたい

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現状把握と将来予測 7 ◼ よくある質問:現状把握だけでは役に立たないのでは? • もちろん施策に役立つ(≒将来を予測する)研究は必要 • でも,きちんと現状把握をしなければ,施策が絵に描い た餅…どころか,逆効果になることさえある 実情 理想 せっかくデータがあっても, • 熟練者がモデルを構築 • 偉い人の発言 • 思い込みで 誤った施策に なることもある データがあるのだから, • 理念や信念だけで モデルを作らない • 施策ありきの分析をしない • 分からないことは 無理に説明しない ◼ 真の意味でデータが活用される社会,データ社会における 公平で多様な交通・都市の実現を目指したい • 当たり前を再検討し,確かめていくことが必要!

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中西が行いたい研究の全体イメージ 数理的試行 トラフィックカウンタに 基づく交通制御 車両軌跡データに基づく 交通現象の分析 歩行空間の快適性評価 やればできる 土地利用モデルの パラメータ推定 位置情報データによる 地図生成 OD表の普遍的法則 住みやすい街の定量化 どうなるか トリップチェインの わからない 視覚的表現 歩行者通行量の 時間・空間分布 不動産価格のモデル化 調査・データ整理 多拠点居住 個人情報の適正な活用 文化施設の維持管理 8

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現在進行中の学生の研究テーマ ◼ 直近2年間の全研究テーマです(一部は中断中). ◼ 2024年度も類似の研究を行えます. • 連続車両軌跡データによる車線変更挙動分析 • ボトルネックにおける地点依存型流率密度関係の推定 • 交差点角地への自動車進入経路の分析 • 沿道店舗の入店待ち列による前面道路への影響把握 • 滞在人口データに基づく多様な人々の交流可能性評価 • 金沢周辺における不動産市場の地理的分割の解明 • 金沢周辺における飲食店の空間分布と時系列変化 • 小さなまちづくりにおける制度活用実態の包括的把握 • 金沢周辺における小地域地名の表出・滲出現象の解明 9

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そのほかの研究テーマ (想定) ◼ 前ページ以外に2024年度に想定されるテーマです. • 交通利便性・商業地魅力度の新たな定量化指標 • OD交通量のような多項関係の新たな可視化 • OD交通量や土地利用変化の新たな分析手法 • 周波数解析による都市内人口分布の表現 • 文化施設の網羅的把握と特徴分類 • 歩行者通行量の時空間分布の特性把握 ◼ なお,研究として成立し,卒業・修了のレベルに達するな らば,中西が提示したテーマ以外を行うことは自由です. • 相談はお気軽に. 10

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研究の過程で必要なこと ◼ 習得すること 1. 交通・都市・統計の基礎的知識 2. 具体的な問題の特定プロセス 3. 数理モデルの構築・理解力 4. プログラミングによる計算技術 5. 論理的な自然言語運用能力 ◼ 熟考すること 1. 社会空間のどのような現象をどのように切り出すか 2. 興味深い問題提起になっているか 3. 対象とする問題をどのように捨象してモデル化するか 4. 理論的・実践的な意味は何か 5. 本質的な興味と現実的な問題との交点はどこにあるか 11

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日々の研究生活_1 ◼ 日常 • 週に1度のゼミを除いてコアタイム等は一切なし. • 研究が進むならフルリモートも可.対面云々よりも,積 極的に手を動かし相談する意欲と習慣が重要. ◼ ゼミ: 毎週1回,2時間程度.参加必須. • 内容は論文紹介,進捗報告,発表練習など. • 2~4人が30~60分程度ずつ順番に発表. ◼ 勉強会: たまに開催.毎週1~2回,2時間程度. • 論文や書籍の輪読形式の勉強. ◼ 個別ミーティング: 毎週1回,30分~を推奨. • 対面・オンラインどちらでも.用件がなければ文字ベー スの報告のみでも可. 12

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日々の研究生活_2 ◼ 研究室のStock • 連絡はすべてStockというアプリケーションに集約. • 研究の相談,事務連絡から雑談まで. ◼ 研究室の設備 • 1人1つの座席,パソコン,デュアルディスプレイ. • 重い計算用のワークステーション. ◼ 学会発表・論文投稿 • 大学院では強く推奨.成果と意欲があれば国際学会も. • 対外的な成果発表を重要視. ◼ 他大学の先生や学生との研究を通じた交流 • (実施例) 北大との合同ゼミ,行動モデル夏の学校 13

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卒業研究のこと 14 ◼ 11ページの「習得すること」を学んでください. ◼ 11ページの「熟考すること」を日々繰り返しながら,自身 の研究について自身で成果を出し,まとめてください. ◼ 自分自身でやろうと思い,手を動かしてやってみなければ, 何も生まれない無駄な時間が過ぎていきます. ◼ 中西は,求められれば,できる限りの助言をします. 「やってみたけれど行き詰まった」「どうしたらよいか分 からない」などはすぐに相談してください.中西のスタン スは,放任ではなく不干渉という表現が近いと思います. ◼ 配属後に困った場合には気兼ねなく相談してください.大 学院で違う研究室に進学したいなどの相談も,まったく遠 慮しなくて良いです.

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博士前期 (修士) 課程のこと ◼ 大学院は研究組織なので,単に勉強を続けるだけではダメ です.研究を行い,発信できる形にまとめることを心がけ てください.具体的には,2年間で1回以上の学会発表と1編 以上の査読つき論文の掲載を目指してください. ◼ 遅くとも修了までには,自身の研究において中西よりも詳 しいといえる部分が出てこなければなりません. ◼ 単位取得,就職活動と並行して研究を行うので,とても忙 しいことが多いです.フルタイムで就職した人は週に40時 間程度働いているのですから,当然といえば当然です. ◼ したがって,1秒たりとも無駄にしないように,困ったらす ぐに相談してください.むしろ,しょっちゅう困って相談 が発生する程度には研究を行わなければなりません. 15

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おわりに ◼ ここまでの説明でピンと来た人には,きっと向いている研 究室だと思います. • 繰り返しになりますが,自主性を重視するので,自身の 責任でのスケジュール管理を求めます.研究さえしてい れば,いつどこで何をしてもOKです. • すべきことが終わっていなくても,なんらかの事情があ るのだと捉えます.研究以外の私生活に介入しないとい う観点から,相談がない限り注意はしません. ◼ 強いていえば,以下の人は特に楽しいと思います. • 都市空間,交通,地図,地理,統計が好きな人. • 答えを急がず,現象をじっくり眺めて考えられる人. • コンピュータでの計算が苦痛ではない人. 16