答えを言わない技術_ソクラテス×フィンランド

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June 18, 26

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古典理論を学びたい初心者向け

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何卒よろしくお願い申し上げます。 一流のIT研修講師を目指し、日々研鑽を続けております。 本資料は外部公開用としてご提供するものです。

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各ページのテキスト
1.

今日から使える講師向け実践ガイド 答えを言わない技術 ソクラテス式問答とフィンランドの教育研究から 古典理論と最新の実証研究を組み合わせ、今日の研修からすぐ使える問いかけの型を持ち帰る うさうさ研修工房

2.

WHY なぜ今日、問いかけ型指導を始めるべきか 答えを与えるだけの指導は理解の定着率が低く、自走できない学習者を生みやすい。今日は 2,400年の歴史を持つソク ラテスの問答法と、現代フィンランドの教室で行われた実証研究を組み合わせ、今日からすぐ使える「問いかけの型」を持 ち帰ってもらう。 古典理論の型を知る 実証研究を知る 今日から使える型を持ち帰る Paul & Elderの6種類の質問を理解す る フィンランドの教室研究が示す効果を 知る 場面別フレーズ集とセルフチェックリス ト 02 / 15

3.

理論の起点 ソクラテスの問答法(産婆術) ソクラテスは自らを「知の産婆」と呼び、対話を通じて相手自身に矛盾を発見させ、考えを練り直させた。この技法はエレ ンコス(論駁法)と呼ばれ、答えを教えるのではなく、相手の内側にある理解を引き出すことを目的とする。 1 2 3 4 主張する 問いで吟味する 矛盾に気づく 考えを再構築する 自分の考えを言葉にする 「それはなぜ?」と問う 自分の考えの穴に気づく より深い理解にたどり着く 03 / 15

4.

理論の体系化 Paul & Elderの6種類の質問 哲学者リチャード・ポールと教育学者リンダ・エルダー(クリティカルシンキング財団)は、ソクラテス式問答を 6種類の質問 に体系化し、誰でも使える「型」として提示した。 1. 明確化 2. 前提 3. 根拠 「それはどういう意味?」 「何を当然と考えている?」 「なぜそう言える?」 4. 視点 5. 含意・結果 6. 問いそのもの 「他の見方はある?」 「そうすると何が起きる?」 「なぜこの質問だと思う?」 04 / 15

5.

実践 ① IT研修で使う:明確化・前提・根拠 明 前 根 明確化 前提 根拠 「今の説明を、自分の言葉で言うと?」 「このコードが正しく動く、と思った理由は?」 「そのエラーが出ている根拠はどこにある?」 05 / 15

6.

実践 ② IT研修で使う:視点・含意・問いそのもの 視 含 問 視点 含意・結果 問いそのもの 「他のやり方は考えられる?」 「このまま進めると、半年後どうなる?」 「今、なぜこの質問をしたと思う?」 06 / 15

7.

知見 ① 教師の4つの「問いかけの役割」 Kilpelä et al. (2023, Dialogic Pedagogy) は、フィンランドの中学校理科授業を分析し、教師の発話を4つの役割に分類 した。 dispenser moderator coach participant 配達人 調整者 コーチ 参加者 正しさを教師が握り、答えを配 る 議論の所有権を生徒に渡す 根拠をより深く語らせる 生徒同士の検討を支える dispenser役が減り、 moderator/coach/participant役が増えるほど、生徒同士の対話的な論証が活発になったと報告されてい る。 07 / 15

8.

知見 ② 18人の教師への聞き取り English, Keinonen, Havu-Nuutinen & Sormunen (2022, Education Sciences) は、フィンランドの教師18名への面接 から、「答えを与えない」指導の実例を報告した。 美術の授業で、教師は茶色の作り方を教えず、青・黄・赤の絵の具だけを渡した。生徒は自分で「 3色とも必 要だ」と気づいた、という(教師の発言より要約)。 論文はこの指導を、自己決定理論( SDT)の自律性支援と、 ZPD内に難易度を保つ足場かけの実践として分析している。 08 / 15

9.

FRAMEWORK 古典理論と現代研究をつなぐ ソクラテスの 問答法 Paul & Elderの 6つの質問 フィンランドの 教師の役割 今日のIT研修 への適用 原理 型 実践の指標 ゴール 2,400年前の問答法は、今日のフィンランドの教室でも、IT研修の現場でも、同じ原理で機能する。 09 / 15

10.

今日から使える 場面別フレーズ集 場面 フレーズ 質問の型 コードレビュー中 「このコード、何をしていると思う?」 明確化 設計に迷っている時 「他にどんな分割の仕方がある?」 視点 バグ修正後 「このまま進めると半年後どうなる?」 含意・結果 振り返りの場 「なぜそう判断したの?」 根拠 10 / 15

11.

実践 ③ dispenser役からmoderator役への切り替え BEFORE:dispenser役 「このアーキテクチャ、循環依存が あるので直してください」 AFTER:moderator / coach役 「このモジュール間の依存関係、 図にすると何が見える?」 「他にどんな分割の仕方が 考えられる?」 ポイント:moderator/coach役の問いは、視点・根拠・含意の3種類を組み合わせている。 11 / 15

12.

注意点 気をつけたい「問いかけの罠」 詰問になっている 連続した質問が尋問のようになり、安心して話せなくなる 誘導質問になっている 答えが一つしかない質問は、問いかけではなく指示と同じ 待てない 沈黙に耐えられず、数秒で答えを言ってしまう 対策:一呼吸おいて、相手が考える時間を十分に確保する。 12 / 15

13.

今日使う 今日のセッションで使うセルフチェック 答えを言う前に、まず 1つ問いを投げたか クローズドな質問(はい/いいえ)になっていないか 答える前に、数秒待てたか 相手自身の言葉で説明させたか 次に使う問いを 1つ準備できているか 13 / 15

14.

SUMMARY 今日から始める 5つのこと 1 2 3 4 5 答えの前に、まず問いを置く(ソクラテスの産婆術) 6種類の質問の「型」を使い分ける(Paul & Elder) dispenserからmoderator/coachへ役割を切り替える(Kilpelä et al., 2023) 自律性を支える問いを選ぶ(English et al., 2022) 待つ。沈黙を恐れない。 うさうさ研修工房 14 / 15

15.

REFERENCES 引用文献 Paul, R., & Elder, L. (2006). The Thinker's Guide to the Art of Socratic Questioning. Foundation for Critical Thinking. Kilpelä, J., Hiltunen, J., Hähkiöniemi, M., Jokiranta, K., Lehesvuori, S., Nieminen, P., & Viiri, J. (2023). Analyzing science teachers' support of dialogic argumentation using teacher roles of questioning and communicative approaches. Dialogic Pedagogy, 11(3), A88-A118. English, J. L., Keinonen, T., Havu-Nuutinen, S., & Sormunen, K. (2022). A Study of Finnish Teaching Practices: How to Optimise Student Learning and How to Teach Problem Solving. Education Sciences, 12(11), 821. Vygotsky, L. S. (1978). Mind in Society: The Development of Higher Psychological Processes. Harvard University Press.(上記論文内で ZPDの理論的背景として参照) うさうさ研修工房 15 / 15