「プロダクト作り」のその先にある「システム作り」

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January 30, 24

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Productzine day 2024 winter

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1.

「プロダクト作り」の その先にある「システム作り」 Ichitani Toshihiro 市⾕聡啓

2.

市⾕ 聡啓 Ichitani Toshihiro 「正しいものを正しくつくる」⽀援、 「組織を芯からアジャイルにする」⽀援 (株式会社レッドジャーニー) 特に専⾨は 「仮説検証、アジャイル開発、組織アジャイル」 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 2

3.

プロダクト作りの 要諦 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 3

4.

“F” を得る PSF Problem-Solution-Fit 価値があるか 課題と解決策のFit PMF SPF Solution-Product-Fit Growth Product-Market-Fit プロダクトは 何か 儲かるか 解決策とプロダクト プロダクトと市場 のFit のFit Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 広く届くか 事業成⻑ 4

5.

何をFitさせるのか解像度を上げる (仮説キャンバス) ⽬的 われわれはなぜこの事業をやるのか︖ 実現⼿段 提案価値を 実現するのに 必要な⼿段と は何か︖ ビジョン 中⻑期的に顧客にどういう状況に なってもらいたいか︖ 優位性 提案価値 顕在課題 代替⼿段 状況 提案価値や 実現⼿段の提供 に貢献する リソースが何か あるか われわれは 顧客をどんな 解決状態に するのか︖ (何ができるよ うになるのか) 顧客が気づいて いる課題やニー ズに何があるか 課題を解決する為 どのような状況 にある顧客が 対象なのか (課題が最も 発⽣する状況 とは) 評価指標 どうなればこの 事業が進捗して いると判断でき るのか︖ (指標と基準値) 収益モデル どうやって儲けるのか︖ に顧客が現状、 取っている⼿段に 何があるか︖ (さらに現状⼿段へ の不満はあるか) 潜在課題 多くの顧客が 気づけていない 課題、解決を 諦めている課題 に何があるか チャネル 状況にあげた⼈ たちに出会うた めの⼿段は何か 傾向 同じ状況にある ⼈が⼀致して ⾏うことはある か 市場規模 対象となる市場の規模感は︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 5

6.

切実な課題に適した解決策を特定する (PSF) F Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 6

7.

期待収益に到達できるチャネルを特定する (PMF) F Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 7

8.

プロダクト作りで直⾯する “⼭場” 最初に捉えるPSFで 期待するビジネス規模になりうるか︖ 価値はある … が、期待するほど 儲からない Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 8

9.

PSFと事業規模の期待は必ずしも⼀致しない 組織が期待する 事業規模 単純に事業規模の期待をさげられるわけでもない PSF可能な課題 = ①分かりやすい課題 ②ニッチすぎる課題 ①はレッドオーシャンでしかなく ②は規模が出ない 現実的に計算 できる収益性 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 9

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⼀⽅、状況的は着実に進んでいく… 技術的負債は 順調に溜まっていく Dead End Start 価値はありそう (というバイアス) プロダクトの価値 が拡充できない チャネル検証の 結果が今ひとつ ⼤幅な追加投資は 難しい 今更ピボットも 中⽌もできない マーケティング 頑張ろう︕ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 10

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プロダクトの 価値が拡充 できない あんまり 儲からない 技術的負債だけ は順調に蓄積 やがて到達する “クリフハンガー” (断崖絶壁) 打つ⼿なし、どこにもいけない Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. Photo via Mars Williams via Visual hunt

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期待するビジネス規模をどうやって積むか もっと 広げる もっと 刈り取る 潜在課題 をあてる 対象顧客 を広げる 次の顕在 課題を 刈り取る 最初の 提案価値 最初の 提案価値 対象顧客 を広げる 期待する ビジネス 規模 最初の 提案価値 妥当だが マーケと 難易度は⾼い セールス勝負 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 最初の 提案価値 toB業務系 の定⽯ 12

13.

もう1つの作戦、 (実質的に) 新たな ”PSF→PMFをずらす” こと “前提” を作る 新たな前提に基づき ビジネス的な勝負をする Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 13

14.

勝てる「前提 = 状況」 を作り出す (⼀⼿⽬) (⼆⼿⽬) 最初の提案価値が 新たな前提になる ⼀⼿⽬のプロダクトは ⼆⼿⽬の現状⼿段になる Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 状況 (前提) は進む、 14 変化する

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より具体的に⽬指すことは、 ⼀⼿⽬で作る状況を “優位性” にする (⼀⼿⽬) 顧客体験 の創出 ⾃組織のみが前提に できる “優位性” (⼆⼿⽬) 新たな顧客体験、機会 … → 創出・獲得されるデータ 優位性があるからこそ 新たに対象にできる状況 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 15

16.

問題は、 この展開に要する時間を許容できるか︖ (相応のキャッシュアウト) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 16

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PL脳 から BS脳 的な⾒⽅転換は必要 「⽬の前の収益⾄上」から「勝てるアセット作り」 機会の創出、 優位性づくり あくまで短期 収益の発⽣源 (PL脳) (BS脳) キャッシュリッチなJTCには本来向いている作戦 実際に判断できるかは組織次第(適応課題になりがち) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 17

18.

2周⽬、3周⽬で勝負する「事業展開ストーリー」を描く 提案価値の連鎖 = 事業展開の仮説 対象顧客は… 実現⼿段として…が必要 解決対象の課題に…を 加えてサービスを拡充 対象顧客を…まで 広げる 獲得できる 優位性 顧客の…なデータを 蓄積する …に関するデータを 蓄積する サービスのブランド 想定する ビジネス規模 収益性ほぼ無し 単年想定収益… 3年想定収益… 単年想定収益… 3年想定収益… 仮説の前提 仮説モデル Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 18

19.

… ということを描くために必要なのは︖ ものの⾒⽅、世界観 に値するもの ものを⾒る切り⼝(視座、視野)を変える Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 19

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同じ地平で考える限り、世界線も同じ 例えば、よくあるダイエットを⽬的とした体重管理アプリ カロリー 写真からの AIによる (栄養)管理 ⾷材判定 ⾷事提案 運動量の 連携 ダイエット コースの提供 … 体重/バイタル の連携 提案価値は、あくまで “ダイエットのための体重管理” もちろん、ダイエットが顕在かつ切実課題の王道の為、ここに振り切り 続けること⾃体は妥当。競合優位、体験推敲で突破できるか。 Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 20

21.

世界観とは、「価値や意味の捉え⽅」 新たな 関係構築 状況共有 相互⽀援 遠⽅の家族(両親)との ⾷材や状況の共有 親しい友⼈や家族と ⾷材や状況の共有 関係性が弱くなった遠⽅の家族との間でデータ共有を ⾏うことで、そのデータを通した相⼿の状況を想像が 可能になる。単に⾒える化して終わりではなく、 新たなコミュニケーションの誘発が期待できる この⼿のアプリのネックは⾷材登録の煩雑さ。⽇常的 距離感が近い相⼿と⾷材共有ができれば、その体験の 改善が図れる。また、状況共有ができれば⽬標達成に 向けたコミット感、そのための相互⽀援が期待できる 体重管理 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ もちろん絶対的な正解などなく、何に価値や意味を置くのか が問われ、そこに他者の共感が伴うかどうか Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 21

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価値や意味の捉え⽅が変わると、 「ふつう」が変わる。 「ふつう」が「ふつう」ではなくなる。 (世界観が新たな課題⾃体を⽣み出す) ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ なぜ、⾃分⾃⾝の健診データをいつでも⾒ることができないのか︖ 紙の健康診断書 → すぐに所在不明 ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ ﹅ PHR(Personal Health Record) のアプリ管理 ﹅ ﹅ 新たな課題 健診結果が専⾨的 過ぎて分からん… ﹅ なぜ、⾃分⾃⾝の検査データをいつでも⾒ることができないのか︖ カルテは病院側で クローズ レントゲン写真をスマホ で撮らせてもらって… Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. ・・・ 22

23.

世界線の実現 vs 儲かるか 世界観と収益性を、排他的に扱うべきではない 「ふつう」(前提) を変える = 新たな課題を創り出す 事業活動を持続させる ための動⼒源 (当然確保必要) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 23

24.

世界観が⼤事なのは分かった。 … で、何を ⾒るのか︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 24

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⾒るのは「システム」(現状の構造) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 25

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実際、現状のシステムは課題が⼭積している いわゆる ”社会課題” はシステムとしての課題が 顕在化した領域 医療システム ⾼齢者と少⼦化 地域の⼈⼝減少 カーボン ニュートラル ・・・ ちなみに “組織” も、システムにあたる 組織の硬直化 (⾮効率での安定化) (DXとは組織システムの構造的転換への挑戦) Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 26

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「システム」をどこまで捉えるか 何が良い悪いではなく、事業としての意志に基づく 地域医療の保全 病院連携 治療の質の向上 本⼈の健康 ダイエット Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 27

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その⾏き着く先は「エコシステム」 システムが拡張されるほど登場⼈物(アクター)は増える 地域医療の保全 ⾃治体 病院連携 … 他病院 家族 治療の質の向上 本⼈の健康 介護 病院 本⼈ ダイエット Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 28

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システムとか、そんなデカイ話 遠すぎるのだけど︖ Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 29

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Minimum Viable Ecosystem (MVE) 「システム」も「Minimum Viable」で捉える 例えば、地域医療の保全、医療の質向上といった⼤きな系でも いきなり “複数病院の地域医療連携”ではなく まず患者と病院、病院と病院の間で1本通す 1本通すことで、価値が得られるかを検証する Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 30

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Minimum Viable Ecosystem (MVE) 「システム」も「Minimum Viable」で捉える 例えば、地域医療の保全、医療の質向上といった⼤きな系でも さらに「MVP」はその⼀部 いきなり “複数病院の地域医療連携”ではなく まず患者と病院、病院と病院の間で1本通す 1本通すことで、価値が得られるかを検証する Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 31

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現状のシステムに「変化」を与えよう 何を変えるのか︖ なぜ変えたいのか︖ これらの問いへの回答が、 「われわれはなぜここにいるのか」であり、 ミッションなり、ビジョンなり、パーパスなりで 表明していることのはず Toshihiro Ichitani All Rights Reserved. 32

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もちろん、その変化をわれわれは 「プロダクト」によって⽣み出そう (それこそがプロダクトを作れる⼈たちの使命だから) fl Photo credit: In Memoriam: saschapoh epp on VisualHunt / CC BY

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だから、⼿を動かそう。 「今」を変える可能性は、 その指先にかかっている。 Photo credit: Leo P. Hidalgo (@yompyz) on VisualHunt / CC BY-NC-SA

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Our Journey Continues. Photo on Visual hunt