交通のデジタル化の現在地: MaaSブームその次を考える

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December 18, 23

スライド概要

2023年12月18日開催
第27回 スペース・サロン@kansai
主催:(公社)日本測量協会 関西支部
企画・運営 : SPの会 関西支部

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伊藤昌毅 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授。ITによる交通の高度化を研究しています。標準的なバス情報フォーマット広め隊/日本バス情報協会

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各ページのテキスト
1.

大阪市中央区南本町三丁目 第27回 スペース・サロン@kansai 主催:(公社)日本測量協会 関西支部 企画・運営 : SPの会 関西支部 2023年12月18日 日本インシーク社 交通のデジタル化の現在地: MaaSブームその次を考える 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 伊藤昌毅

2.

伊藤 昌毅 • • • • • • 東京大学 大学院情報理工学系研究科 附属ソーシャルICT研究センター 准教授 一般社団法人 日本バス情報協会 代表理事 静岡大学 土木情報学研究所 客員教授 専門分野 – – ユビキタスコンピューティング 交通情報学 – – – – – – – – 静岡県掛川市出身 2002 慶應義塾大学 環境情報学部卒 2009 博士(政策・メディア) 指導教員: 慶應義塾大学 徳田英幸教授 2008-2010 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特別研究助教 2010-2013 鳥取大学 大学院工学研究科 助教 2013-2019 東京大学 生産技術研究所 助教 2019-2021 東京大学 生産技術研究所 特任講師 2021-現在 現職 – 運行管理者(旅客) 経歴 資格 2

3.

伊藤×国土交通省 • • • • • • • • • 標準フォーマット関連 – – – – バス情報の効率的な収集・共有に向けた検討会 座長(H28年度) 標準的なバス情報フォーマット利活用検討会 座長(H29年度) バス情報の静的・動的データ利活用検討会 座長(H30年度) GTFS-JPに関する検討会 委員(R2年度) – 公共交通分野におけるオープンデータ推進に関する検討会 委員(H29年度-R3年度) – – 都市と地方における新たなモビリティサービスのあり方懇談会 委員(H30年度) 新モビリティサービス推進事業有識者委員会 委員(R1年度) – 交通政策基本計画小委員会 委員(R1年度-R5年度) – シェアサイクルの在り方検討委員(R1年度-) – 鉄道の混雑緩和に資する情報提供のあり方に関する勉強会 委員(R2年度) – 運行管理高度化検討会・ワーキンググループ(R2年度-) – バス事業者の許可申請等におけるGTFS-JPの実務者協議会(R5年度-) – 「地域公共交通計画」の実質化に向けた検討会(R5年度) オープンデータ関連 MaaS関連 交通政策審議会 シェアサイクル 鉄道 点呼 申請オンライン化 地域公共交通計画

4.

伊藤×経済産業省・総務省 • 経済産業省 オープンデータ関連 – 官民データの相互運用性実現に向けた検討会 座長(H29年度) – 情報共有基盤 利用促進ワーキンググループ 委員(H30年度) • 総務省 オープンデータ関連 – 地域情報化アドバイザー(R2年度〜R3年度)

5.

伊藤×地方自治体 • • • • • • • 沖縄観光2次交通の利便性向上に向けた検討委員会 座長(H30年度〜) 群馬県バスロケーションシステム実証実験 アドバイザー(R1年度) さいたま市 スマート駅広研究会 副会長(R2年度〜R3年度) 佐賀市 街なか未来技術活用モデルプラン策定業務有識者会議 委員(R2年度) 東京都 東京都における地域公共交通の在り方検討会 委員(R2年度〜R3年度) 熊本市 熊本版MaaS勉強会 有識者委員(R3年度〜) 杉並区地域公共交通活性化協議会 会長(R3年度〜) • その他自治体主催のイベントでの講演多数 – 静岡県掛川市、石川県能美市、群馬県、島根県安来市、沖縄県、富山県、岐阜県、北海道など

6.

本日のメニュー 1. 日本におけるMaaSの立ち上げと現状 2. 地理空間情報と交通情報の最新状況 3. (公共)交通のデジタル化は何を目指すべきか

7.

1. 日本における MaaSの立ち上げと現状

8.

モビリティは100年に一度の大変革の時代

9.

2018年3月5日号 2018年9月号 2019年4月29日号 2019年7月30日号

10.

車両目線で次のモビリティを考えるなら CASE

11.

CASE: 自動車産業が見据えている方向性 • C: Connected – 通信・ネットワーク化 • A: Autonomous – 自動運転 • S: Shared and Service – サービス化 • E: Electric – 電動化 • 2016年にダイムラーが提唱・一企業に留まらない自動車産業の方向性を示 すキーワードとなる https://www.daimler.com/innovation/case-2.html

12.

TESLA • イーロンマスク氏による電気自動車ベン チャー企業 – 2003年創業 • 自動運転に対応したハードウェアを標準 装備 – カメラや超音波、レーダーなどで周辺を認識 – オートパイロット機能を提供 – 現在は完全な自動運転ではないが、将来は完全自 動運転に対応? – ソフトウェアアップデートで機能追加 • 利用者の運転行動を通してアルゴリズム を進化 • Webでカスタマイズ・オーダー https://ja.wikipedia.org/wiki/テスラ・モデル3

13.

https://response.jp/article/2019/02/28/319596.html

14.

A: Autonomous 自動運転

15.

City of Tomorrow with Autonomous Vehicles (Drive Sweden) • 自動運転によって街がどう変わるかというビジョン – 街の空間を車のための場所から人のための場所へ • • • • • • 道路標識が不要に 道路を効率よく使えるようになり歩道が広がる 駐車場を街の中心に作らなくてよい 駅に到着したときに待たずに出迎え 自動運転トラックの隊列走行で効率よく 計画的に積み荷を処理することで駐車場削減 https://www.youtube.com/watch?v=WmYsWYDQxuI

17.

• x http://www.mlit.go.jp/common/001226541.pdf

18.

2020年!? • テスラは2020年に「完 全な自動運転」を実現 する – オートパイロット機能 – スマートサモン機能 https://wired.jp/2019/02/25/tesla-full-self-driving-promise/

19.

CES 2019 トヨタ・リサーチ・インスティテュート (TRI)ギル・プラットCEOスピーチ • レベル5の自動運転とは、いつどこで どんな環境でも、ドライバーなしで自 動運転が可能なシステムと定義されま す。 • これはすばらしい目標ですし、私たち もいつかは達成できるかもしれませ ん。 • しかしながら、こうした自動運転シス テムが抱える、技術的・社会学的な難 しさを甘く考えてはいけないと思って います。 2019年01月08日 https://global.toyota/jp/newsroom/corporate/26085185.html https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1161/181/html/001_o.jpg.html

20.

ウェイモ(Google)による無人タクシー(レベル4)がアリゾナ州フェニックスで実用化

21.

• x 官民 ITS 構想・ロードマップ 2019 より

22.

S: Shared and Service サービス化

23.

車両を売るビジネスからサービス化へ • 所有以外の方法で「移動」を実現する方法が多様化・高度化 • →顧客が欲しかったものはドリルではなく「穴」だった

24.

「公共交通」の可能性が 世界中で試されている

25.

Uber • 2010年 サンフランシス コで設立 • 2011年 NY、パリ進出 • 2013年 東京でタクシー 配車開始 • 2015年 CMUの研究者40 名を引き抜き • 2015年福岡市でライド シェア実証実験、国交省 が中止 • 2016年 トヨタと提携 • 2016年 京丹後市で「さ さえ合い交通」

26.

多くのライドシェア(ライドヘイリング) サービスが登場 2010年 サンフランシス コで設立 2013年 東京でタクシー 配車開始 2016年 トヨタと提携 2016年 京丹後市で「さ さえ合い交通」 2012年サンフランシス コで創業 2015年 楽天が出資 2017年 Googleが出資 2012年マレーシアにて創 業 2012年 中国で創業 東南アジア8ヶ国168都市 でサービス提供 2015年 Lyftと提携 2017年8月 トヨタ自動車 などと協業 2018年 Uberの東南アジ ア事業を買収 中国最大のライドシェア 2016年 Appleなどが出資 2016年 Uberの中国事業 を買収 2018年 日本で事業開始

27.

自動運転バス→大事だがモビリティサービス の構成要素の1つとも言える • NAVYA ARMA • – フランスのスタートアップ企業が開発した自 動運転バス • 15人乗り • 充電式で5時間から13時間走行可能 • 自動で障害物を検知し避けることができる 単に運転手なしで走るだけで無く、乗合で走らせる ための自律的なサービス実現技術が必要に EasyMile – 自動運転車EZ10を開発 • 定員12名(6名は立ち席)、走行速度20km/h、最 高40km/h • 最高で14時間走行 • 「メトロ」モード: 時刻表に従い各駅に停車 • 「バス」モード: 要求があった所にだけ停車 • 「オンデマンド」モード: スマホアプリで呼び出し

28.

自動運転バス @境町

29.

カーシェアリングの発展 • 世界的にはcar2goが大手 – ダイムラーの子会社 – 8ヶ国30都市でサービス提供中 – 乗り捨て型のカーシェアリング • 駐車可能な場所ならどこでも駐車可能 – 予約なしオンデマンドの利用、分単位の課金 • 日本では乗り捨て型カーシェアリングは発 展途上※ – 乗り捨て先の保管場所確保が必要なため ※ カーシェア「乗り捨て」、撤退相次ぐワケ 規制緩和から1年、実現に 行政裁量の壁(日経ビジネスオンライン 2015年10月) http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/102600116/

30.

Kutsuplus • 2013年に開始したヘルシンキ首都圏のための公営デマンド交通 – 市街地は駐車場が少ない • スマートフォンから出発バス停、到着バス停、5,10,45分以内を 指定して予約 – バスと違って路線や時刻を知ることなく利用可能 • 9人乗りのバスが最適ルートで走行 • 料金 – 3.5ユーロ+距離加算(タクシーより安価) – 速達性に応じて急行、普通、エコノミーの区分け • AALT大学(コンピュータサイエンス学部)の研究プロジェクトと してスタート

31.

• ああ http://www.muotoilutarinat.fi/en/project/kutsuplus/

32.

chariot • サンフランシスコのスタートアップ による次世代バスサービス – 通勤客対象 – 2014年創業 • 利用者からの「クラウドソーシン グ」で経路を作る仕組み – ユーザは出発地、目的地を投票 – 現在ベイエリアでは28のルートで100台が 走行中 • 2016年 Ford Smart Mobility が買 収 – 全米に

33.

マイクロモビリティの急速な普及 • 電動キックボードとシェアサイクルをマイ クロモビリティと総称 – ドックレス(どこでも乗り捨てられる)が流行 • Bird、Jump (Uber)、Lyft、Lime、Skip、 Spin (Ford)などが全米の都市で競争

34.

ああ • Toyota and Softbank Stockholder of Uber (US), DiDi (China), Grab Taxi (Singapore), Ola (India) MONET設立

35.

MaaS (Mobility as a Service)

36.

MaaSとは? • ドア・ツー・ドアの移動に対し、 様々な移動手法・サービスを組み合わ せて1つの移動サービスとして捉えるものであり、ワンストップでシーム レスな移動が可能となる。 • 加えて、様々な移動手段・サービスの個々のサービス自体と価格を統合 して、 一つのサービスとしてプライシングすることにより、いわば「統 合一貫サービス」 を新たに生み出すものであり、価格面における利便性 の向上により利用者の移動行動に変化をもたらし、移動需要・交通流の マネジメント、さらには、供給の効率化も期待できる。 • 小売・飲食等の商業、宿泊・観光、物流などあらゆるサービス分野との 連携や、医療、福祉、教育、一般行政サービスとの連携により、移動手 段・サービスの高付加価値化、より一層の需要の拡大も期待できる。 (国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会中間とりまとめより)

37.

MaaS Global社による定義 • あらゆる種類の移動手段を単一の 直感的なモバイルアプリにまとめ ます。さまざまな事業者が提供す る移動の選択肢をシームレスに組 み合わせて、旅行計画から支払い まですべてを取り扱います。オン デマンドで旅行を購入する場合で も、手頃な価格の月額パッケージ をサブスクライブする場合でも、 MaaSは最善の方法であなたの移 動のニーズに応えます。

38.

Whim by MaaS Global • • ヘルシンキ(フィンランド)でMaaSを実現 Whim というアプリを通して鉄道、バス、タ クシー、自転車などの組み合わせ検索や予約決 済を実現 https://whimapp.com

39.

https://note.mu/kakudosuzuki/n/n01c8ab0f9b84 Whimの利用 • xx

40.

Whimのプラン: 料金により交通行動を誘導

41.

統合の度合いで4段階のレベルが提唱されている • xx http://www.tut.fi/verne/aineisto/ICoMaaS_Proceedings_S6.pdf

42.

変身するLA マイカーなしでも移動に不自由なし モビリティー革命進行する米国 • 牧村和彦氏(計量計画研究所) による現地レポート • 米国にて、車社会から新しいモ ビリティサービスによるまちづ くりが始まっていることを報告 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33296960T20C18A7000000/

44.

「全ての交通サービスが自分の ポケットの中にある」 という、 今までに感じたことのない 異次元の感覚

45.

MaaS = ITによる公共交通の高度化

46.

モビリティのサービス化 (MaaS)は、自動運転より本質 的なモビリティ進化の方向性 流行語として消費される予感しかしない…

47.

国交省MaaS政策の立ち上げ

48.

経済産業省「IoTやAIが可能とする 新しいモビリティサービスに関する研究会」 • 有識者 – 石田 東生【座長】 筑波大学 社会工学域 名誉 教授・特命教授 – 小川 紘一 東京大学 政策ビジョン研究セン ター シニア・リサーチャー – 猿渡 俊介 大阪大学大学院 情報科学研究科 准教授 – 戸嶋 浩二 森・濱田松本法律事務所 弁護士 – 中村 吉明 専修大学 経済学部 経済学科 教授 – 牧村 和彦 一般財団法人計量計画研究所 理 事 兼 研究本部企画戦略部長 • 事業者委員 14名 • 2018年10月中間整理を公表 https://www.meti.go.jp/press/2018/10/20181017005/20181017005.html

49.

国交省 都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会 • MaaSをテーマにした懇親会 • 委員 – – – – – – – – – 石田東生 筑波大学特命教授 (座長) 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所助教 鎌田実 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授 川端由美 自動車ジャーナリスト、株式会社ローラン ド・ベルガー 須田義大 東京大学生産技術研究所教授 高原勇 筑波大学未来社会工学開発研究センター長 森本章倫 早稲田大学社会環境工学科教授 矢野裕児 流通経済大学流通情報学部教授 吉田樹 福島大学経済経営学類准教授 • 2019年3月に中間とりまとめ公表 http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000089.html

50.

スコープとする「新たなモビリティサービス」 • MaaS – ドア・ツー・ドアの移動に対し、様々な移動手法・サービスを組み合わせて1つの移動サー ビスとして捉え、ワンストップでシームレスな移動 – サービス自体と価格を統合して一つのサービスとしてプライシングし「統合一貫サービス」 • 価格面の利便性向上で移動需要や交通流のマネジメント、供給の効率化 – 小売・飲食等の商業、宿泊・観光、物流などとの連携や、医療、福祉、教育、一般行政サー ビスとの連携で、移動の高付加価値化や需要の拡大 • 新型輸送サービス(MaaSのコンテンツ) – – – – 効率的かつ利便性の高い移動手段 自動運転の実現で飛躍的な利便性や効率性が向上し一層のインパクト 担い手不足に悩む地方部で高齢者の有効な移動手段や物流手段 例 • • • • シェアリングサービス(カーシェアやシェアサイクル) AIによるオンデマンド交通 超小型モビリティ グリーンスローモビリティ

51.

日本が新たなモビリティサービスに取り組む意義 • 選択肢の拡大や、ワンストップでシームレスなサービスによ り、利用者の利便性の向上 • 移動の効率化や運転者不足解消で、持続的・安定的な交通・物 流手段の確保 • 混雑緩和や空間利用の効率化 • 都市・地域の課題解決を目指すスマートシティの実現 – 移動データからニーズに対応した路線への再構築 – 移動データとAI、IoTの活用による都市内の移動の全体最適化 • 自家用車から公共交通へのシフトによる環境負荷の低減

52.

目指すべき「日本版MaaS」 • 日本の特徴 – 交通サービスの多くが公的主体ではなく民間により提供されている – 関係者の多く調整の必要 • 日本版MaaS – MaaS相互の連携によるユニバーサル化 • 地域、対象者などで複数のMaaSが登場することを想定し、その連携を目指す – 移動の高付加価値化 • 移動円滑化や外出機会の創出 – まちづくりとの連携 • 交通結節点の整備など

53.

方向性1: データ連携のポイント • • • • 形式やAPIの標準化の推進 協調領域(オープン化)と競争領域の明確化 MaaSの構築の容易化 MaaS間の連携(ローミング)の実現

54.

運輸局への届出 • 2018年現在、紙が前提

55.

方向性2: 運賃・料金の柔軟化のポイント • 事前確定運賃、サブスクリプション、ダイナミックプライシン グの重要性への認識 – ワンストップの統合サービスとしての意味 – 都市内の移動の最適化の意味 • 法制上の整理(旅行業法の適用等) – 制度のあり方の検討の必要性 • キャッシュレス決済の必要性と課題認識 – ICカードの車載器などの投資コストとQRコードなど低コストな技術への期待

56.

方向性3: まちづくりとの連携のポイント • 都市と交通の相互作用を前提に、都市のハードウェア整備と都市交 通の変容を考慮したまちづくり • 都市・交通政策との整合化 – 立地適正化計画や地域公共交通網形成計画との整合性 • 多様なモード間の交通結節点の整備(拠点形成) – フィジカル空間での交通モード間のシームレス化 • 新型輸送サービスに対応した走行空間の整備(ネットワーク形成) – 道の駅を拠点とした自動運転サービスのような、道路空間の整備 • まちづくり計画への移動データの活用 – データに基づくスマートプランニング

57.

岩瀬浜駅@富山市 • 富山ライトレールからフィー ダーバスへの乗り継ぎを容易に

58.

方向性4: 新型輸送サービスの推進のポイント • 国内で検討されている上記のようなモビリティを推進し、地域の モビリティ確保などを実現 • 欧米で研究開発されているデマンド交通は俎上に上がらず?

59.

十分に議論出来ていない点 経産省資料より

60.

Uber Pool • 空港などで、同じ方向に向かう客が相乗りでダウ ンタウンなどに向かう – 一人で利用するUber Xよりはるかに安価 – 走行経路は最短経路とは限らない • アプリを通して同じ方向に向かう客同士をマッチ ング https://newsroom.uber.com/canada/uberpoolto/

61.

地域類型による実現シナリオ • 大都市型 – 日常的な渋滞や混雑 • 大都市近郊型 – 郊外の通勤エリア – ファースト・ラストマイルの交通の不足 • 地方都市型 – 公共交通の利便性・採算性が低下気味 • 地方郊外・過疎地型 – 自家用車への依存 – 地域交通の衰退 • 観光地型 – 観光向け二次交通の不足 – インバウンド増加

67.

日本におけるMaaSアプリの登場

68.

My route: トヨタ+西鉄によるMaaSアプリ • 日本初の本格MaaS実証実験 – 2018年11月〜2019年3月→延長 • バス・電車・タクシー・サ イクルシェア・ レンタカーの組み合わせ • 予約・支払がアプリで可能 • 2019年7月 ナビタイムと連 携発表

69.

小田急: MaaSアプリ EMot(エモット) • 観光: 箱根にて観光フリーパス実証実験 • 郊外: 新百合ヶ丘で公共交通へのシフト • 複合経路検索 – 鉄道+バス+タクシー+シェアサイクル等 • 電子チケットの発行 – 企画券、飲食チケット、無料モビリティチケット

70.

JR西日本のMaaS • 観光型MaaS setowa – 瀬戸内エリアの観光促進 • WESTER – 経路検索機能・駅混雑情報などを統合 – クーポン機能 • JR東日本アプリと連携予定 – 遅れを加味した検索

71.

MaaSデータ戦略

72.

MaaSプラットフォーマー • 交通をまとめて、アプリを提供する事業者 経路検索 ダイヤ情報 鉄道 シェアサイクル カーシェアリング タクシー バス 予約・決済 リアルタイム運行情報 予約・決済・配車 地図情報 MaaS プラット フォーマー 周辺情報 利用実績情報

73.

世界はMaaSの覇権競争? • GAFAに匹敵する強大なプ ラットフォーマーが出る説 • 覇権は無理、複数プラット フォーマーが共存する説 https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/112900306/ https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00150/00002/

74.

巨大プラットフォーマーの脅威? • モビリティにおいてGAFAほどの巨大プラットフォーマーは登 場しにくいのではないか? – 文化・既存事業の壁 • どこの国/地域にも既存事業者があり、ブランドを確立している – 規制産業の壁 • どこの国でも政府、行政の規制のもとで成り立つ事業であり、国境を越えた展開がインター ネットほど容易ではない – Uberの実例 • 中国、東南アジアの事業をDiDiやGrabに売却した実績

75.

健全なプラットフォーム競争を実現するために • モビリティのあり方はまちづくりなどにも大きな影響を及ぼす が、経済原理だけでは方向付けられない • モビリティのポテンシャルと地域の価値を伸ばすMaaSプラッ トフォーマーを育む必要 • MaaSプラットフォーマーが生まれる非独占的なオープン環境 を作るべき

76.

日本: MaaS関連データの連携に関するガイドライン • 2020年3月 国土交通省が公開

77.

2023年の日本版MaaSの現状

78.

本当の課題は何だったのか? • 様々な移動手法・サービスを組み合わせ – →そもそも交通ICカードで達成されていた – スマホとの連携は、いちアプリの中ではなく、スマホ全体の機能として達成されつつあ る • 多くのスマホがSuica, Pasmo機能を備える • 一つのサービスとしてプライシング – 様々な割引チケットが開発される – 交通ICカードでは実現不可能な割引のために、アプリが引き続き使われる • あらゆるサービス分野との連携、一般行政サービスとの連携 – 「交通は派生需要である」という一般論としては成り立っている – 「連携」ができてるとは言えない

79.

MaaSアプリの現状 • 伊藤の認識 – 日本においてはスマホによる簡易な割引チケットシステムに落ち着いた – 交通系ICカードの欠点(高コスト・柔軟性の欠如)が存在理由。現状はデータの 分断の要因でもある。

80.

2. 地理空間情報と交通情報の 最新状況

81.

GISと交通と・・・ • GIS – 計測・データ化と表現が大きなテーマ • 公共交通から見て – 技術としては当然必要であり、ベースとなる技術のひとつ – ドメインの知識や考え方を持った上で、道具としてGIS技術を用いるアプローチ – 例: 運行コストと収入 • 道路の距離や所要時間の計算と、交通ICカードの処理を同時に行う必要 – 複雑な制度や法体系に合わせて資料や数字を作っていくイメージ • 例: 運賃計算にはそのための距離を用いる

82.

交通分野におけるGIS技術を活かす事業の例 • 公共交通 – – – – – 地域公共交通会議の運営・地域公共交通計画の策定 パーソントリップ調査の実施・マスタープラン策定 減便・運転手不足シミュレーション 駅前計画・バスターミナル設計 交通結節点のサイン計画 • 道路交通 – 道路設計・道路建設 – 交通量調査 – 道路建設の企画・効果予測

83.

GISとは • 地理空間情報の地理的な把握又は分析を可 能とするため、電磁的方式により記録され た地理空間情報を電子計算機を使用して電 子地図上で一体的に処理する情報システム – 地理空間情報活用基本法(平成19年法律第63号) 第2条 • 様々なデータを電子地図の上に層(レイ ヤ)ごとに分けて載せ、位置をキーにして 多くの情報を結びつけることで、相互の位 置関係の把握、データ検索と表示、データ 間の関連性の分析などが可能に https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/kokudoseisaku_tk1_000041.html

84.

重ねれば見えることがある! • 基礎地図、人口、バス路線図

87.

オープンデータによる交通分析

89.

単に重ねるだけでなく、地理的な分析も… • 距離、面積の計測 • 重ね合わせ – 例: 文京区内のバス停の数など • 近傍(バッファリング) – 駅や線路500m以内の人口など • 分類・クラスタリング – 距離が近いものをまとめるなど • 最適地点 – 複数都市から等距離の地点を探すなど • 空間補完 – 限定的な空間データから全体を推定

90.

技術の民主化 (democratization)が進行中 • 技術の民主化 – ここでは大学、大企業、先進国などにいなくても、誰もがその技術を身に付け活 用できる状況 – 例: • 3Dプリンタによって安価に工業製品レベルのモノづくりが個人で可能に • 低廉なコンピュータによって発展途上国でも情報教育が可能に • 背景:インターネットによりノウハウ、情報交換が加速 – 個人が知識やノウハウをメディアに乗せ発信することに追い風 – 検索によって世界最先端の知識に容易にたどり着ける https://en.wikipedia.org/wiki/Democratization_of_technology

91.

オープンソースソフトウェア(OSS)で 交通の課題に取り組める時代 • GISなら – ArcGIS 対 QGIS • データベース(RDBMS)なら – Oracle Database 対 PostgreSQL • 交通シミュレーションなら – PTV Vissim 対 sumo

92.

データにおいてもオープンデータが進行中 • 国の基礎データは多くが公開されている – 国勢調査、道路交通センサス • 交通データのオープン化も進行中 – 公共交通オープンデータ(路線バスなど) https://gtfs-data.jp https://www.e-stat.go.jp

93.

オープンを前提としたエコシステムの中で スキルを身に付ける必要性 • 技術(ツール)もデータもオープン化され、世界の誰もが最先端の ものにアクセスできるように • オープンソースは誰でも開発に参加できるため、最先端の知見が集 まるように • オープンな技術を前提としたスキルは所属組織などに因らず持ち運 び可能 • 特定の立場でのみアクセスできるデータ、特殊なツールや一般的で ないデータ形式などはあるが、スキルの中心にはなりにくい

94.

オープンソースとは? • ソフトウェアのソースコードがインターネットで公開されており、 誰もがプログラムの中身を読んだり開発に参加できる仕組み – オンラインで開発者コミュニティが組織されていることも多い • ソフトウェアは誰でも無料で入手でき、商用目的の利用や販売など も可能。 – オープンソースの要件を満たしたライセンスに従うソフトウェアがオープンソース – 企業がオープンソース開発者を雇用したり開発者に寄付することで貢献も • 用語(だいたい一緒) – アプリ=アプリケーション=ソフト=ソフトウェア – プログラム=ソースコード=ソース=コード

95.

QGISの場合 • GitHubにソースコード公開 – 開発者同士のディスカッション、 プログラムの修正などがオンライ ンで行われている https://github.com/qgis/QGIS

96.

なぜ苦労して作った プログラムを無料で 公開する? • (私見)インター ネットという無限の 知識や情報が交換さ れるプラットフォー ムにおける個人とし ての最善手ではない か?

97.

交通を研究・分析・開発する際に用いるデータの例 • 基礎データ – 一般的な地図 – 自治体・市町村境界 – 統計・国勢調査データ • 道路 – 道路形状、名称、規格、規制など – 信号機・交差点 – 交通量・渋滞状況 • 公共交通 – – – – 駅・バス停・路線 種別・路線形状、ダイヤなど 運行状況・位置情報・混雑状況 利用状況・乗降駅/バス停 • タクシー、シェアリング – 車両の現在地・利用状況 – 利用実績・利用経路 • 利用者 – 現在の人口分布、混雑状況 – 移動需要 • 収支・コスト • 自作データ – 計画路線・計画ダイヤ – 分析のための情報

98.

基礎データ

99.

基礎データ: 地理院地図 • 国土地理院が提供する – × Web地図サービス – ○ タイル地図配信サービス

100.

タイルによる地図配信 • 正方形の地図データを敷き詰めることで地表面全体を表現 – 一枚一枚に固有のURLが振られるため、事前にデータを生成できキャッ シュが可能 – Google Mapsなどで使われた技術 • ズームレベル – 地球全体を正方形に展開したものが0 – 一つ進むごとに1/4分割。 • URL – https://cyberjapandata.gsi.go.jp/xyz/{t}/{z}/{x}/{y}.{ext} – ズームレベルや座標などを埋め込んだ規則的なURLによってデータを要求 https://maps.gsi.go.jp/development/siyou.html

101.

QGISへの地理院地図の取り込み設定 1/3 • XYZレイヤを追加

102.

国勢調査の人口データ • Qiitaに公表した記事の前半 部分までを参照 – ただし記事は2015年データに基 づく。現在は2020年データも公 開 https://qiita.com/niyalist/items/d70f471c259211aa1554

103.

国土数値情報 • 国土交通省が整備している基礎的なGISデータ集

104.

国土数値情報 行政区域データ • 市区町村の境界を入手可能 • https://nlftp.mlit.go.jp/k sj/gml/datalist/KsjTmplt -N03-v3_1.html

105.

国土数値情報 鉄道データ

106.

公共交通データ

107.

GTFSオープンデータ • 公共交通の静的データ(路線、バス停や駅、時刻表)などを格 納する世界標準のフォーマット • 世界の公共交通事業者において、GTFSに準拠したデータを公 開することが一般的 • 日本では路線バス業界が「標準的なバス情報フォーマット」と して採用し整備、公開が進む

108.

GTFS形式 • 世界で広く使われる形式 • 乗換案内に必要な情報(バス停・駅+路線+時刻表+運賃)をまとめて格納 したファイル形式 バス停/駅+路線 時刻 運賃 189

109.

GTFSデータにはCSV形式で以下の情報が格納 • • • • • • 事業者データ バス停データ 路線データ 時刻表データ 路線図(緯度経度)データ など 190

110.

GTFSデータ一覧 • 旭川高専 嶋田鉄兵氏が管 理するGTFSオープンデー タの一覧 • https://tshimada291.sa kura.ne.jp/transport/gtf s-list.html

111.

参考)GTFS-GOが欧米で話題に、運行頻度図 UKのスタートアップThe Data City社 GitHub上の評価☆が急上昇 が高評価 CTOのTweetをきっかけに話題に SEPTA地域鉄道 (米国ペンシルバニア州) https://twitter.com/yfreemark/status/1565030476439494658 英国内の鉄道 287RT, 1619いいね https://twitter.com/thomasforth/status/1564683686330736646 FLiXBUS (ドイツ・欧州各国) https://twitter.com/BorisMericskay/status/1565301466243506177 オープンソースとオープンデータによる 公共交通EBPMエコシステムに貢献 192

112.

GTFS-GO • QGISプラグインとして 提供されているGTFS可 視化ツール • GTFSに基づいた路線図、 運行頻度図などを出力 が可能

114.

シェアモビリティデータ

115.

GBFS • シェアモビリティの国際標準 フォーマット – シェアサイクル、シェアキック ボードなどのポートデータが公開 されている • 日本では2022年よりドコモ バイクシェア、ハローサイク リングのデータが公開 https://www.odpt.org

116.

主なデータ項目: それぞれjsonファイルに収納 vehicle_types.json station_information.json, • 提供されている車両の種 station_status.json 類 • ポート情報 – 自転車、キックボードなどの 種類 – 動力の種類やバッテリ残量 – 緯度経度、現在の車両台数、 返却出来る台数など – 乗り捨て自由の場合は free_bike_statusとして車両 の緯度経度などを提供 station_regions.json • サービス提供エリア system_pricing_plans.json • 利用料金 • サービスの利用者向け情報提供が目的 • シェアリングサービスの現在の状況を表現 (過去の情報は残らない)

117.
[beta]
https://api-public.odpt.org/api/v4/gbfs/hellocycling/station_information.json
(大量のポート情報のひとつを抜粋)
{
"lat": 35.707252,
ポート名、緯度経度、住所
"lon": 139.777587,
"name": "新御徒町ステーション",
"address": "東京都台東区台東4丁目31-1",
"station_id": "17",
"rental_uris": {
"ios": "https://www.hellocycling.jp/app/port/detail/17?referrer=odpt",
"web": "https://www.hellocycling.jp/app/port/detail/17?referrer=odpt",
"android": "https://www.hellocycling.jp/app/port/detail/17?referrer=odpt"
},
"parking_hoop": false,
利用する際のURL
"parking_type": "street_parking",
"contact_phone": "+8105038218282",
"is_charging_station": false,
"vehicle_type_capacity": {
"num_bikes_now": 0,
"num_bikes_limit": 8,
"num_bikes_parkable": 8,
利用可能/返却可能な
"num_bikes_rentalable": 0
自転車の数
}

},

118.

GBFSフォーマットの詳細はこちら • VAL研究所 熊野氏による 解説記事 • https://qiita.com/kumati ra/items/f9229c21d9f0d b3b5ae3

119.

BGFS-NOW • GBFSデータを表示する QGISプラグイン

121.

道路データ

122.

道路交通センサス • 一般交通量調査と道路交 通起終点調査を実施し、 現在の道路の使われ方、 道路整備の現状等を把握 し、道路計画の策定や道 路の維持・修繕等に活用 • データの解釈には有償の デジタル道路地図 (DRM)データが必要 https://www.mlit.go.jp/road/census/h27/index.html

123.

https://www.mlit.go.jp/common/001187536.pdf

124.

JARTIC(日本道路交通情報センター)オープン データ • • • • • • 「交通規制情報」 一般道路の「断面交通量情報」 一般道路の「交差点制御情報」 それぞれ、2ヶ月遅れの最新データをWeb掲載 位置情報の取得には別途有償データが必要 https://www.jartic.or.jp/service/opendata/

125.

利用者データ

126.

大都市交通センサス • 国土交通省が5年毎に首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏に おいて、鉄道・バス等の大量公共交通機関の利用実態を調査 • 最新データは令和3年度に実施 • 調査方法 – 第12回まで:駅において鉄道利用者に紙の調査票を配布し、郵送等にて回収した うえで拡大する手法にて調査を実施(サンプル調査(32万件) – 第13回: 鉄道ICカードの利用実績をもとに集計する手法(非接触かつ全数調査 (1915万件)等に変更 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000007.html

127.

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/content/001596536.pdf

128.

パーソントリップ調査 • 都市における人の移動に着目し た調査 – 世帯や個人属性に関する情報と1日の 移動をセットで尋ね「どのような人が、 どのような目的で、どこから どこへ、 どのような時間帯に、どのような交通 手段で」移動しているかを把握 – 公共交通、自動車、自転車、徒歩と いった交通手段の乗り継ぎ状況を捉え る – 全国の都市圏でおよそ10年おきに実施 https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

129.

第6回(平成30年)東京都市圏パーソントリップ調査 • 一部の集計データはWebよ り取得可能

130.

国土数値情報 駅別乗降客数データ • 鉄道事業者からの情報提供に基 づき、駅ごとの乗降客数を提供 • https://nlftp.mlit.go.jp/ksj/g ml/datalist/KsjTmplt-S12v3_0.html

131.

大都市交通センサスを用いた SQL演習

132.

今週・来週の目標 • 交通ビッグデータ をSQLとGISで可 視化・分析 – 今週:データ整形・分 析 – 来週:複数データの統 合・GISとの統合 https://twitter.com/kasobus/status/1650806981043814401 https://twitter.com/ShinagawaJP/st atus/1649382482947739648

133.

大都市交通センサス • 国土交通省が5年毎に首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏に おいて、鉄道・バス等の大量公共交通機関の利用実態を調査 • 最新データは令和3年度に実施 • 調査方法 – 第12回まで:駅において鉄道利用者に紙の調査票を配布し、郵送等にて回収した うえで拡大する手法にて調査を実施(サンプル調査(32万件) – 第13回: 鉄道ICカードの利用実績をもとに集計する手法(非接触かつ全数調査 (1915万件)等に変更 • 令和5年3月公開 https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000007.html

134.

調査データ • 3大都市圏で実施 – 首都圏、中京圏、近畿圏 • 一件明細調査 – 交通系ICカードから取得 – 2021年12月の平日の2日(日付は非公開) – 定期券の利用は含まない • 定期券調査 – 2021年12月に有効な定期券発売枚数 – 事業者によって回収率が異なる • JR東日本は32.5%

135.

一件明細調査のデータ種類 • 0次OD – 複数のICカード媒体毎の1日の改札機通過データを元に、個人が駅を出場した後に駅に入場するという、 出場/入場の組み合わせを一組にしたトリップデータ • 1次OD – 複数のICカード媒体毎の1日の改札機通過データを元に、入場/出場を一組にしたトリップデータ • 2次OD – 複数のICカード媒体毎の1日の改札機通過データを元に、入場/出場を一組にしたトリップデータ。ただ し、次のトリップまでの時間がある閾値時間以内の場合は同一トリップとみなす – 閾値は15分、30分、60分の3種類 • 3次OD – 個人の一日の動きを1レコードとして出力したデータ。複数のICカード媒体毎の1日の改札機通過データ から作成した、2次ODデータ(入場/出場を一組にしたトリップデータであり、次のトリップまでの時間 がある閾値時間以内の場合は同一トリップとみなしている)を元に、各IDの入場/出場の組を一日分並べ たトリップデータを作成 – 閾値は15分、30分、60分の3種類

136.

定期券データ • 回収率が事業者によって異なる – JR東日本が約1/3 であり、集計の際は注意が必要 • 区間を定めない全線定期券なども存在する

137.

大学院講義「交通情報学特論」では PostgreSQL + PostGISを用いた 交通データ処理をレクチャー

138.

分析SQL: 表から表に変換する穴埋め型言語 select 出力する列(コラム)に関する記述 どの列をどのような表現で表示するか *は全部出力 from 入力する表(テーブル)の指定 where 出力する行に関する記述 どのような条件で絞り込むか

139.

駅間で検索(三鷹→根津) • 何時台に何人いる? • 東大前駅、本郷三丁目前駅利用者とどれが多い? • 今日の自分と同じ経路・時間帯の利用者は何人いた? select * from census13.od_level2 where origin_station ='三鷹' and destination_station = '本郷三丁目'

140.

見やすくなるようにコラムを絞る • 注目したいコラムだけ select節に明記 select card_type, origin_line, origin_station, destination_line, destination_station, origin_hour, travel_time, transfer_station, passenger_count – 順番も設定可能 • order by で出発時刻順に ソート from census13.od_level2 where origin_station ='三鷹' and destination_station = '本郷三丁目' order by origin_hour

141.

Join: 複数のテーブルをある条件で横に結合 Line 開業年 一日利用者数 駅数 総延長(km) 丸ノ内線 1954 約130万 28 27.4 千代田線 1969 約60万 20 18.8 京葉線 1978 約30万 17 42.6 Line 山手線 1909 約400万 29 34.5 丸ノ内線 1954 約130万 28 27.4 東京メトロ 2004 常磐線 1895 約100万 69 209.4 千代田線 1969 約60万 20 18.8 東京メトロ 2004 東横線 1926 約70万 21 24.2 京葉線 1978 約30万 17 42.6 JR東日本 1987 井の頭線 1933 約30万 18 12.7 山手線 1909 約400万 29 34.5 JR東日本 1987 京王線 1913 約50万 29 37.9 常磐線 1895 約100万 69 209.4 JR東日本 1987 東横線 1926 約70万 21 24.2 東急電鉄 1922 井の頭線 1933 約30万 18 12.7 京王電鉄 1948 京王線 1913 約50万 29 37.9 京王電鉄 1948 Operator 東京メトロ 設立年 従業員数 2004 約9,000 総売上 約4,000億 JR東日本 1987 約70,000 約3兆 東急電鉄 1922 約5,000 約1,000億 京王電鉄 1948 約3,500 約500億 開業年 一日利用者 駅数 数 路線Tableの右に事業者Tableを結合 総延長(km) Operator 設立年

142.

そもそもなぜテーブルを分割する? • 1つのデータは一箇所で管理することで不整合を防 ぐ • データベースの正規化 – 通常、リレーショナルデータベースはjoinを前提に複数のテー ブルに分割してデータを保存する – 複数のテーブルに分割することを「データベースの正規化」と 呼ぶ • 良くある分割 – マスターテーブル: 人・モノなどの一覧(大きく変化しない) – トランザクションテーブル: 何かの処理の度に追加 Line Operator 丸ノ内線 東京メトロ 千代田線 東京メトロ 京葉線 JR東日本 山手線 JR東日本 常磐線 JR東日本 東横線 東急電鉄 井の頭線 京王電鉄 京王線 京王電鉄

143.

Joinの条件: IDで指定するのが基本 Line 開業年 一日利用者数 駅数 総延長(km) Operator 丸ノ内線 1954 約130万 28 27.4 10 千代田線 1969 約60万 20 18.8 10 京葉線 1978 約30万 17 42.6 20 山手線 1909 約400万 29 34.5 20 常磐線 1895 約100万 69 209.4 20 東横線 1926 約70万 21 24.2 30 井の頭線 1933 約30万 18 12.7 40 京王線 1913 約50万 29 37.9 40 ID Operator 設立年 従業員数 総売上 10 東京メトロ 2004 約9,000 約4,000億 20 JR東日本 1987 約70,000 約3兆 30 東急電鉄 1922 約5,000 約1,000億 40 京王電鉄 1948 約3,500 約500億 • データ各行を区別するIDを付与 – 1行を区別できるIDをプライマリーキー (primary key)と呼ぶ – この例では、OperatorテーブルのIDが相当 – 実際には、Lineを区別するIDもあった方がい い • 外部キー(foreign key) – 他のテーブルを参照するためのキー • 考察: Operator Table に foreign key としてLine IDを持てないか? – 1行に複数のkeyを設定できない – 一対多の関係では、多の側に外部キーを設定 する

144.

Primary Key について • DBを構築する際は、1行を区別できるID(primary key)を持 たせることが一般的 – Primary key は1つのコラムに限らない。複数のコラムの複合で区別できる場合 も多い • 現実のデータ分析ではIDの存在しないデータも多い – 例: 国土数値情報の駅データ。同名の駅を区別する方法がない – 第4回では、駅名+都道府県名を組み合わせて primary keyとした(それで区別 が出来ていたかは未検証)

145.

PostGISによるBuffering処理 • ST_Transformで一度 EPSG:32654に変換し、ST_Bufferで 800mの円を作成、更にそれをST_TransformでWGS84に戻す Select *, ST_Transform(ST_Buffer(ST_Transform(center, 32654), 800), 4326) as buffer from analysis.station_master where city is not null ; SQL-7-1 • city is not null を指定することで、市町村境界データとのjoin が成功した駅のみを抽出

146.

人口を面積で按分 • 5次メッシュ(250mメッシュ)の人口を面積で按分 駅勢圏の形状 重複部分を持つ5次メッシュ 重複部分を切り出したメッシュ

147.

• x

148.

select name, prefecture, city, sum(partial_population) as population from( select name, prefecture, city, ST_Area(ST_Intersection(buffer,wkb_geometry)::geography) wkb_geometry)::geography) population * ST_Area(ST_Intersection(buffer, partial_population / ST_Area(wkb_geometry::geography) as partial_population from( select *, ST_Transform(ST_Buffer(ST_Transform(center,32654), 32654),800), 800),4326) 4326)asasbuffer buffer ST_Transform(ST_Buffer(ST_Transform(center, from analysis.station_master analysis.station_master where city is not null )as data1 inner join base.population as pop ST_Intersects(data1.buffer,pop.wkb_geometry) pop.wkb_geometry) on ST_Intersects(data1.buffer, SQL-7-1 SQL-7-2改-2 )as data2 group by name, prefecture, city ; SQL-7-3

152.

ChatGPTを使って自動ダウンロードプログラム 作成方法を検討 • とりあえず聞くと大枠を教えて くれる – URLを直せばとりあえず使える • 更に修正するとしたら… – ダウンロードしたJSON形式をCSVに変 換してから保存 • Pandasを利用 – ファイル名にタイムスタンプを入れて、 重複がなくなるように – ダウンロードの度にデータを追記

153.

ハローサイクリング・ドコモバイクシェアのポート位置

154.

データを眺めてみる • station_information – ポートの名称、位置、容量など – マスターテーブル • station_status – 約5分おきに利用可能な自転車数、返却可能な自 転車数が並ぶ • 合計は常に15(ポートのキャパシティ) – トランザクションテーブル

155.

貸出可能な自転車数の変化 18 16 • x 14 12 10 8 6 4 2 0 5/25/23 0:00 5/25/23 4:48 5/25/23 9:36 5/25/23 14:24 5/25/23 19:12 5/26/23 0:00 5/26/23 4:48 5/26/23 9:36 5/26/23 14:24 5/26/23 19:12 5/27/23 0:00

156.

YouTubeで講義 動画を公開

157.

GTFS形式の公共交通オープンデータ整備が進行中 バス業界において「標準化」「オープン化」が同時に進行 路線 時刻 運賃 リアルタイム GTFS: 国際的な標準フォーマット(標準的なバス情報フォーマット・GTFS-JPと互換) 乗換案内・MaaS サイネージ・印刷物等 交通分析・計画 238

159.

2019年2月:90 2019年7月:126 240 21年1月 20年10月 20年7月 20年4月 20年1月 19年10月 19年7月 19年4月 19年1月 18年10月 18年7月 18年4月 2018年11月:30 18年1月 2018年7月:23 17年10月 17年7月 事業者数 350 300 250 200 150 100 50 0

160.

順調にオープンデータが増加 700 600 500 400 300 200 100 0 オープンデータ提供事業者数

161.

GTFS形式 • 世界で広く使われる形式(GTFS-JP, 標準的なバス情報フォーマットもほぼ 同等) • 乗換案内に必要な情報(バス停・駅+路線+時刻表+運賃)をまとめて格納 したファイル形式 バス停/駅+路線 時刻 運賃

162.

GTFS: Googleによるデファクト スタンダードが出発点 • 2005年オレゴン州ポートラン ドの公共交通事業者とGoogle によりGTFSという標準規格が 作られた – 2010年前後から米国で普及 – オープンデータとして公開 • 現在はGoogleの手を離れ、世 界中でデータが作られている http://qiita.com/niyalist/items/5eef5f9fef7fa1dc6644

163.

オープンデータとして自社などのWebページで公開 • Webページからデータを誰でもダウンロード出来るように

164.

GTFS データリポジトリの開発(2021〜) • 国土交通データプラット フォームにGTFSデータを投 入するために開発 – 国土交通省技術調査課 – 受託・社会基盤情報流通推進協議会 (AIGID) – 協力・ 日本バス情報協会 • 自治体、バス事業者がデータ を公開、管理するためのプ ラットフォームとして 251

165.

GTFSデータリポジトリを利用してデータ公開 • GTFSデータリポジトリにデータを登録、自社Webからリンク

166.

GTFSリアルタイム(バスロケ)提供も増加中(67事業者) • 便ごとのバス停通過時刻、緯度経 度情報などをリアルタイム公開 – Protocol Buffer形式 • 混雑情報も提供可能 – 2020年より宇野バス、横浜市交通局が対応

167.

2020年: 都バス・横浜市営バスの GTFS-JP・GTFSリアルタイムデータ公開 • 公共交通オープンデータ協議会(坂村健会長) による取り組み – 公共交通オープンデータセンター • 都バスは、Google Mapsでバスロケを考慮し た検索が可能に 2019年3月

168.

日本でデータ整備が進んだ経緯

169.

乗換案内サービスで検索出来ますか? 駅すぱあと Yahoo!乗換案内 駅探 乗換案内 NAVITIME ジョルダン 乗換案内 Google Maps Apple Maps

170.

地域の公共交通は乗換案内に出てこない

171.

地域の公共交通は乗換案内に出てこない データ整備にはコストが掛かるため 利用者数が少ない地域のバスにまで 手が回らない 交通事業者が自ら 標準形式のオープンデータを用意して 乗換案内に提供する

172.

日本の公共交通データ流通の現状 JR 私鉄 交通新聞社 私鉄 私鉄 バス バス バス JTBパブリッシング バスデータに関しては、集約して販売する 事業者がなく、乗換案内事業者それぞれが 独自で一社一社のデータを集めている 乗換案内サービス事業者

173.

海外の事例: 交通事業者がオープンデータを提供 • 路線図、時刻表、リアルタイム車両位置情報などのデータの利用を開放 • 自由に使ってもらうことで、アプリの作成や工夫を凝らした印刷物などの情 報提供を促進 • アメリカ、ヨーロッパでは当たり前になりつつある

174.

オープンデータから様々なアプリが開発される • 大企業、ベンチャー−企業、個人がアプリ開発

175.

2014年〜 静岡県でコミュニティバスのオー プンデータ化の取り組み • 県庁、市役所、地元IT企業等とGTFS、GTFSリア ルタイムによるオープンデータ化を実現 – Google Mapsへ提供可能に • アイデアソン、ハッカソンで地域でのデータ活用 を目指す

176.

学会発表を繰り返す • 交通の専門家は学会に結集している • ならばそこに参加してオープンデータ を訴える

177.

「交通ジオメディアサミット 〜 IT×公共交通 2020年とその先の未来を考える〜」 開催 • • • • • 2016年2月12日開催(東大駒場第2キャンパス コンベンションホール) 195人来場 産(現場寄り): JR東日本、バイタルリード(出雲市の交通コンサルタント) 産(IT寄り): ジョルダン、ナビタイム、ヴァル研究所(駅すぱあと) 官: 国土交通省、学: 東京大学(私) コミュニティ: Code for Japan、 路線図ドットコムなど

178.

バス情報の効率的な収集・共有に向けた 検討会(2016年12月〜2017年3月) • 事務局: 総合政策局公共交通政策部交通計画課 • 外部委員 – – – – – – – – – – 伊藤昌毅 東京大学生産技術研究所(座長) ー川雄一 株式会社構造計画研究所 伊藤浩之 公共交通利用促進ネットワーク 井上佳国 ジョルダン株式会社 遠藤治男 日本バス協会 櫻井浩司 株式会社駅探 篠原雄大 株式会社ナビタイムジャパン 丹賀浩太郎 株式会社工房 別所正博 公共交通オープンデータ協議会 山本直樹 株式会社ヴァル研究所

179.

2017年3月31日 「標準的なバス情報フォーマット」公開

180.

2019年3月 標準的なバス情報フォーマット 第2版 • GTFSリアルタイムをベースにバスロ ケデータの標準化にも対応 • GTFS-JPの改定作業 – 2年経って40項目以上の検討、見直し事項が蓄 積 • 国交省バス情報の静的・動的データ利 活用検討会 – バスロケ事業者も委員に

181.

2021年7月 標準的なバス情報フォーマット 第3版 • より精度が高いデータを作成するため – Google Maps は一定以上の精度が確保されたデータでないと受理しないよう に

182.

標準的なフェリー・旅客船航路情報フォーマット • 国土交通省海事局内航課に より船舶向けデータフォー マット(GTFS互換)が策定 – 受託 ジョルダン株式会社

183.

標準的なバス情報フォーマット広め隊 • 標準的なバス情報フォーマット (GTFS-JP)データ整備に関わる有志 によるコミュニティ – 2017年夏頃から、国交省検討会の関係者らを 中心に自然発生的に誕生 – 普及に関わるツール開発、勉強会やイベント 開催、関係者への働きかけなどを継続的に実 施 – チャットなどによる活発な情報交換 • 参加者 – – – – – – 大学研究者 乗換案内サービスデータ整備担当 バス事業者向けツール開発者 公共交通コンサルタント 交通事業者職員 自治体職員 等 20名程度

184.

フリーのデータ作成ツール開発・提供・利用支援 • 西沢ツール – 西沢明氏開発 – 約40+自治体・事業者が利用 • 見える化共通入力フォーマット – 伊藤浩之氏開発 • 当初は三重県のプロジェクトで利用 – 約33自治体・事業者が利用

185.

その筋屋 • 無償配布されているダイ ヤ編集システム • プロ向けシステムと同等 の機能を備え、バス事業 の運営に利用出来る • GTFS/標準的なバス情報 フォーマット出力機能を 備える – 42事業者がオープンデータ公 開 http://www.sinjidai.com/sujiya/

186.

広め隊による講演会・講習会 • 県や運輸局が実施する勉強会に講師として登壇 • 事業者や自治体にツール導入を指南

187.

県によるデータ整備事業 • 佐賀、富山、群馬、沖縄 • その他にも続々と・・・

188.

フリーのGTFS作成ツールによるデータ作成が主流に その筋屋 西沢ツール 見える化共通入力フォーマット • • 2020年12月現在 N=309(一部期限切れデータ含む) 資料 ⚫ GTFS公共交通オープンデータのリストは、「GTFS・「標準的なバス情報フォーマット」オープンデータ一覧(旭川工 業高専島田鉄兵先生)による。事業者・市町村単位で集計した。鉄道、航路等を含む。 ⚫ HODaP、OTTOPはこれらのプロジェクトで整備されたGTFSである。 HODaP、OTTOPの区分は上記一覧記載による。 ⚫ その筋屋、見える化共通入力フォーマット、西沢ツール、その他の区分は、各GTFSデータのtrips.txtを見て判断した。 284

189.

公共交通オープンデータ最前線 in インターナショナルオープンデータデイ2019開催 • 2019年3月2日(土) 東大生研 にて • https://geomedia2020.peatix.com

190.

3. (公共)交通のデジタル化は 何を目指すべきか

191.

都市交通計画 1版: 1993年 2版: 2003年 3版: 2017年 新谷教授の授業資料をもとに同分野の 研究者によって執筆 • 第3版は原田教授を中心に編集・執筆 • • • • • 本日の講義はこの書籍に準拠

192.

第6章 都市交通の予測と計画 • 交通需要を予測することで、交通整備などの効果をコストや痛 みとの兼ね合いで評価する

193.

幹線交通網評価と 4段階推定法 • 交通需要を予測する方法論 – 長期の幹線交通網計画の評価に用いる • 目的: 予測される移動と将来の幹 線交通網の供給量とのバランスを チェックする手法 • 手法: 現況の交通実態調査からモ デルを構築、将来の都市活動と交 通網をインプットして将来交通量 を算出 • 1950年代にアメリカで開発、日本 では1967年に広島で実施

194.

段階1: 発生・集中交通量の予測(都市圏) • まず都市圏全体の生成交通量(T)を予測し、各ゾーンに割り 当てる – ゾーン単位で考えると誤差が蓄積される可能性 • 生成原単位(一人あたりトリップ数)の推定 – 年齢別、属性別(性別、免許有無、就業有無など)で異なる原単位とすることも • 将来人口分布などを元に都市圏全体の生成交通量を推定

195.

段階1: 発生・集中交通量の予測(ゾーン別) • それぞれの手法において都市圏全体の推定生成交通量に合うように発生・ 集中量を調整 • 原単位法 – 現況の土地利用面積(or 床面積)当たりのトリップ数 × 将来の面積 – ある駅前で再開発によりオフィスビルや商業施設の床面積が3倍になる、などの場合に適す るか • クロス分類法 – 一人あたりトリップ発生・集中をゾーンの居住人口、従業人口、自動車保有台数、交通サー ビス条件などでクロス分類して計算(過去データを利用) – 一人あたりトリップ発生・集中 × 将来のゾーン別人口 • 重回帰モデル法 – 人口などから発生・集中交通量を求める回帰式を推定し、将来の推定人口などを代入して発生 /集中交通量を求める • 教科書では、2次、3次就業人口から求める例を紹介(人口密度毎にパラメータが異なる)

196.

段階2: 分布交通量の予測(Trip Distribution) • 将来におけるゾーン間の交通量を推定 – OD表を作成するような作業 • 既知のデータ – 現在のゾーン間の交通量 – 将来の各ゾーンの発生・集中交通量(段階1で推定) • 予測手法 – 現在パターン法 • 分布パターンが現在と同等であることを仮定 • PT調査データは単純なモデルより饒舌 – モデル法 • 道路や鉄道の開通などがある場合は何らかのモデルから推定する必要

197.

段階3: 交通手段別分担交通量の予測 (Model Split) • 各ゾーン間の移動に対し、どの交通手段をどれだけ利用するか (交通分担率)推定 • 分担を決定する要因 – サービス変数 • ゾーン間の所要時間や費用など – 個人属性 • 免許有無、自動車保有、年齢、就業形態など – ゾーン特性 • 人口密度や都心からの距離など

198.

四段階推定法の全体像

199.

: 812 : 1246 Zone A : 238 : 16 : 48 Zone B

200.

段階4: 配分交通量の予測 (Traffic Assignment) • 鉄道、バス、自動車など交通機関別のOD交通量を、与えられた交通網に 割り当て • 供給されている交通手段が需要を満たすか(過大か)を評価 • 配分手法 – 需要配分(All-or-Nothing配分) • 混雑が無い状態での最短経路を全員が利用する配分 – 実際配分(利用者均衡配分) • 道路容量を考慮し、どの経路を通る利用者も所要時間が同一になるよう最適化計算し配分 – (システム)最適配分 • 全利用者の総走行時間が最少となるように各経路に配分 • 利用者均衡配分における走行総時間は最少にはならない • 特に道路は交通量が増えると所要時間が増加するため単純には計算でき ない

201.

四段階推定法の全体像

202.

Zone B Zone A

203.

4段階推定法への批判と重要性 • 統計的なフィッティングに依存しており、モデルの説明変数と交通 量の間の因果関係を表すモデルとなっていない • 分布交通予測に用いるゾーン間所要時間と配分結果として得られる ゾーン間所要時間が一致しない • 予測計算に多大な時間と費用を要する • 単純な分割計算であり理論的には問題がある • 実務的、経験的なノウハウが蓄積され段階ごとに妥当性が検討、見 直しできている • 長期の幹線交通網計画を道路区間や鉄道区間の交通量に基づいて評 価するための実用的な予測手法として依然として重要

204.

実務としての パーソントリップ調査

205.

パーソントリップ調査 • 都市における人の移動に着目した調査 – 世帯や個人属性に関する情報と1日の移動をセットでアンケート調査 – 「どのような人が、どのような目的で、どこから どこへ、どのような時間帯に、 どのような交通手段で」移動しているかを把握 – 公共交通、自動車、自転車、徒歩といった複数の交通手段を把握 • 日本での実施状況 – 1967年に広島都市圏で初めて本格的に実施 – 現在は全国各地の都市圏で概ね10年に1度実施 – 都市交通の現況の把握、将来交通需要の予測、都市交通マスタープランの作成等 に活用 https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

206.

パーソントリップ調査とは https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

207.

全国での実施状況 • 3大都市圏に加え、地方 中核都市圏などでも実施 • 10年に一度の実施であ るが、実際は20年以上 実施されていない地域も 多い https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/toshi_tosiko_tk_000031.html

208.

https://www.tokyo-pt.jp/static/hp/file/data/tebiki.pdf PT調査 調査票の例(世帯票・個人票) • X

209.

第6回(平成30年)東京都市圏PT調査における 対象圏域 https://www.tokyo-pt.jp/data/01_01

210.

PT調査標本率 • 1〜9%程度 総合都市交通体系調査の事例集(平成30年6月) https://www.mlit.go.jp/common/001241231.pdf

211.

PT調査: 総合都市交通体系調査の一環として実施 • 総合都市交通体系調 査の一環として実施 – 管轄:国交省都市局 • 調査だけでな取り組 み全体をPT調査と呼 ぶことも多い 総合都市交通体系調査の手引き(平成19年9月) http://www.mlit.go.jp/crd/tosiko/sougou/pdf/01.pdf

212.

熊本における実施例 • 2016年に熊本地震が起 こっても、粛々と計画作り が進む。。。 • 次は2022年度にPT調査を 実施(2023年度に延期) 2018 • 鉄道会社、バス会社は行政 の管轄下にあるわけではな いので、詳細な路線や運行 計画はこの計画に従うわけ ではない

213.

交通計画 誰がど のように決めて る? • 熊本都市圏の例 • パーソントリッ プ調査 • 需要から計画を 作るための、4段 階推定法のよう な学術的な方法 論がある 2012 2013 2014 2015

214.

地域交通についての枠組み

215.

行政の役割の高まり • 地域公共交通活性化再生法(2007年 制定)により、行政が主導して地域 公共交通を計画、実現する枠組みが 明確化。 • 特徴(伊藤の理解) – 地域のことは地域(事業者、住民、行政な ど)で – 全体をネットワークで考える – やる気のある地域を金や制度でサポート – まちづくりとの連携

216.

地域公共交通会議など • 市町村が主体となり、地域の交通事業者や利用者などを集めた 協議会を開催できる 出展: 中部運輸局愛知運輸支局 「地域公共交通会議等運営マニュアル」

217.

http://wwwtb.mlit.go.jp/hokushin/hrt54/com_policy/pdf/H29startup-koutuukikaku1.pdf

218.

IT・スマートフォンによるデータ収集の革新 • 交通ビッグデータの収集、利用はスマホの普及とプラット フォーマーの競争により次の段階へ • リアルタイム性、網羅性 • 一方で、トリップの目的は分からない

219.

Google Maps • スマホデータから速度や通過時間、最適経路などを案内 https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/497134.html

220.

リアルタイム交通 ビッグデータの力 • • • • • • TomTom: Apple, Uberなどと協業することで、 世界75カ国以上を走る6億台の車の動きを把握 日本でも、2019年8月上旬時点で約26万台が接続 (その時点で国内で走行する車の5%程度) 渋滞の状況、工事や事故発生 ニューヨークの信号システムに接続しなくても、 マンハッタンの信号が、いまは赤か青かが分かる。 車両がトラックなのか乗用車なのかも判別(走行 パターンを解析) 応用可能性: 最短時間で目的地に到着するルート を、状況の変化に対応しながらドライバーに指示 https://globe.asahi.com/article/12813349

221.

これまで:「計画」の時代の交通 • 審議会などで議論された政策に基づきインフラ整備 – 長期的な視点で大規模、総合的に検討され後戻りは想定しない • モビリティの形態ごとに事業が成り立ち制度が作られる – 法律、習慣、企業、組織などとして固定化されがち • IT・アプリは業務効率化や利便性向上、交通の本質ではない アプリ 電車 線路 アプリ 路面 電車 線路 アプリ アプリ タク シー バス 軽薄短小 アプリ レンタ カー 自家 用車 道路 制度・政策 重厚長大 339

222.

これから: ユーザ主導のITサービスとしての交通 • ユーザから伝わる絶え間ない圧力に応えながら進化 • 出発点はユーザの移動需要や実績、評価 – アプリを通じてその場その時のユーザデータがリアルタイムにフィードバック 制度・政策 道路・線路 電車 路面 電車 タク シー バス レンタ カー 自家 用車 アプリ・サービス ユーザ 変化の圧力 340

223.

現状: ITサービスでは絶え間ない変化が当たり前に • ユーザ – アプリやOSの頻繁なアップデートが当たり前に – Webやアプリの利用データをリアルタイムにサービス提供者に提供 • 企業・開発者 – 絶え間ない変化によるサービスの進化やユーザのロイヤルティが競争力に • コンシューマ市場で技術を磨きブランドを高める – 頻繁に変化するための開発の方法論やツール、組織のあり方が研究され続ける • アジャイル開発、XP、DevOps、継続的デリバリー、クラウドなど • 系全体を方向付けドライブする「ビジョン」 ビジョン アプリ・サービス ユーザ 絶え間ない 変化の反復 341

224.

現状: ITサービスと交通の結合が高まり アプリが交通サービスや制度を変え始めている • 公共交通は多くの人が乗り換え案内アプリを使って利用 – 道路交通においてはカーナビ。いずれもスマホアプリとして一体化の方向へ • MaaS (Mobility as a Service) はこれをさらに加速する動き – データやサービスを集約する「プラットフォーマー」を目指す思惑や警戒感も 交通事業 制度 圧力 アプリ・サービス ユーザ 342

225.

例: 交通事業者による検索エンジン最適化的な発想 日経MJ 2015年10月19日 京阪電気鉄道社長インタビュー 鉄道に乗る際に利用者はスマホの 乗り換えサイトを利用します。 いくら沿線の良さをアピールしても大 半の方はサイトの上に表示された時 間が早いほうに乗ってしまう。先に 表示されないと選ばれない。鉄道を 選ぶ最大のポイントはサイトで上位 に表示されることになりつつある。 これは無視できない。だから1分でも 2分でも早くしようと努力しています 343

226.

例: アプリの起動をユーザの需要と解釈しアピール • Uber CEOが安倍首相にアプリを開いた場所を示した日本地図 をアピール(2018年2月) – 40万人以上の実績 344 https://www.uber.com/ja-JP/newsroom/dara-in-japan/

227.

国土交通省における交通DX? • 地域公共交通の「リ・デザイン」3本柱のひとつ – 交通DX – 交通GX – 3つの共創 • DXを誤用・限定解釈 – DX・GXと並べることで何でもアリに 「交通DX・GXによる経営改善支援事業」より

228.

そもそもDXとは? • 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル 技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、 ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、 プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立す ること – 「DX推進指標」における定義, 経済産業省, 2019年7月 • 結果:顧客や社会のニーズに基づいた製品やサービス • 手段:データとデジタル技術を活用 • 波及効果:業務、組織、プロセス、企業文化・風土の変革

229.

DXの実現とは:デジタル人馬一体で高速PDCA が継続する状態を作る • すべてITがやってくれる – AI・自動運転を導入して任せればオッケー • 絶え間なくデータを突き付けられ、迅速な判断・実行を求められる – 判断の結果も、デジタル技術のおかげで即現場に反映される – 「何を判断するか」自体も進化する • 乗りこなす人間の側に相応の能力が求められる→組織風土の変革 – 「顧客や社会のニーズに基づいた交通」をあらゆるスケールで考え続ける必要 – 事務職において「同じ仕事をミスなくやり続ける」スキルからの脱却

230.

都市交通計画はそもそもデータ活用? DXによって長期PDCAサイクルを活性化・実質化 データ 改善 パーソントリップ調査 地域公共交通計画 都市交通マスタープラン 都市・地域総合交通戦略 実施計画 DXのサイクルは 数日〜数ヶ月 データに基づいた課題解決? 5年サイクルの地域交通計画 現状の課題に対する地域交通資源の配分? 立地適正化計画 10年サイクルの都市交通計画 データに基づいたべき論? • • 数日から数ヶ月の超短期サイクルが常に回っていることで、 長期的なサイクルにおける質やスピードも高まる 長期計画が示すビジョン・目標・スケジュールとの整合性 を常にチェックする

231.

交通DXの対象の半分は行政組織 制度・政策・補助金の 効果や評価は? 国交省 制度・法令 地域交通のデータ一式 が溜まる(ただし紙) 運輸局 紙による 届出・申請・監査 検索、呼出、支払などの デジタル化が進行中 政策・補助金 協議会を開催 (ただしデータなし) 交通行政のDX 公共交通 事業者 自治体 スマホ アプリ 自治体へのデータ 提供義務なし 交通サービスのDX • 交通行政のDXが進まない限り公共交通事業者は帳票地獄が続く 利用者

232.

交通DXは誰がどう実施する? • 交通DXは交通事業者、自治体(地域交通部門)、地方運輸局、 国交省(交通政策部門)それぞれが進める必要 – 本日のテーマは自治体(地域交通部門)におけるDXと認識。ただし他の主体の DXが進まなければデータが流通しないので、全体で進める必要がある – 組織力から交通事業者のDXが全体のDXを引っ張る可能性 • データの流れを作る必要 – 取り組みの結果となるデータが返ってくるように – 交通行政DXにおいては運輸局への申請・届出のデジタル化、データに基づく政 策評価が重要

233.

未知・未来の技術をあてにするのは思考停止 • • • • 都市OS – 雰囲気だけのキーワードであり何の実態もない。 – – – データ流通の肝はオープン化と標準化。初手で「プラットフォーム」は不要 パワポに円筒形の絵は溢れているが本物のデータプラットフォームはほぼ存在しない 「プラットフォーマーが囲い込んで云々」はほぼ過剰反応 – – – 大きなゲームチェンジャーだが発展途上の技術。現時点での「実証実験」は無意味。 方向性1: 現時点での技術レベルで徹底的に実用化を目指す。(米国・中国の事例) 方向性2: 基礎技術に徹底的に投資し技術者に仕事をさせる。 – 補助金をあてにした低品質なシステムが乱立。田舎で小規模・低コストで「実証」している限り技術を検証・改良・淘汰出来 ない 都市向け: 自動運転の実用化を見越した先行投資。タクシー・ライドシェアの進化形を技術論から議論するべき。 田舎向け: AIは不要。地域や自治体を束ね、継続的な公金の投入を確約して最低限投資に値するマーケットを作る。紙と電 話のレベル感を維持しながら、導入しやすく使いやすい共通システムを構築 データプラットフォーム 自動運転 AIオンデマンド交通 – – • パワポ上ではデータプ ラットフォームと称する ただの絵をよく見ますよ ね MaaS – – 日本においてはスマホによる簡易な割引チケットシステムに落ち着いた 交通系ICカードの欠点(高コスト・柔軟性の欠如)が存在理由。現状はデータの分断の要因でもある。

234.

交通DXで本来目指すべきこと デジタルなら「顧客や社会のニーズに基づいた交通」を別次元で実現出来るはず

235.

交通資源台帳のデジタル化・リアルタイム化・共有 • 地域の路線・車両・人員 などの資源をデータ化し リアルタイムに更新・共 有 – 利用者向けにはGTFS/GTFSRTなどの形で実施済み • リアルタイムにデータ化 されていなければ「地域 の輸送資源を総動員」は 無理

236.

地域の交通モード別移動実績(分担率) • 自家用車、バス、鉄道な どの利用者総数を経路ご とに可視化 – 熊本において各種交通統計や ICカードデータを利用し作成 – PT調査データに類似している が経路単位の精度は無い • 分担率を視覚的に把握。 交通モードを俯瞰して政 策立案へ

237.

交通サービスレベルの可視化・評価 中心地からの到達時間 地域ごとの通える高校数

238.

顧客や社会のニーズに基づいた交通とは? • 交通事業者の内情に合わせたサービス – 交通事業者単独での収支改善 – 運転手不足に合わせた減便 • 移動の課題を解決するサービス – 通勤、通学、通院の足の確保 – 渋滞の解消

239.

熊本における増便シミュレーション →渋滞解消効果を評価 • 幹線8方面で1時間あたり8〜2本、23時頃まで運行を仮定 • 簡易で網羅的な推計により効果推定 – 1日あたり543便増 – 年間532万人利用増、10.7億増収、9.3億円減益 • バス利用が532万人増により、車利用が403万人減り、平日朝夕と 土曜夕方を中心に速度が1km/h前後向上し、市民の走行時間が178 万時間、時間価値換算で47.6億円の便益 • 充分な費用対効果だが渋滞解消のたっめにはさらなる施策が必要

240.

交通DX: 顧客や社会のニーズに基づいた交通に向けて • 交通DXの半分は交通行政のDX。行政の役割は大きい • 都市交通はデータで課題を把握し改善を進める余地が大きい – 10万〜300万人程度規模の都市圏か • ITが答えを出すのではなく、何を評価するかで結論が変わる。 事業者単独の収支ではなく都市交通の全体を評価するべき • サービスレベルの目標を設定したい。データを用いれば達成状 況の精密な算出が可能 • 公金の投入で技術開発への投資が可能なように – かつては都市新バスシステム、オムニバスタウンなどで技術開発が進んだ