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September 30, 24
スライド概要
ビジネスアジリティを実現するために、ソフトウェア由来のアジャイルを活用する勘所を提示した資料です。
ビジネスアジャイル 企業のアジリティに必要な 意思決定・仕事の仕方・取り組み方 サーバントワークス株式会社 代表取締役 長沢 智治 ©2024 Servant Works Inc.
長沢 智治 ソフトウェアエンジニアリングとプロセス改善のキャリア 組織と現場の支援 グローバルのSME スタートアップ企業支援 サーバントワークス株式会社 代表取締役アジャイルストラテジスト DASA アンバサダー/認定DevOpsトレーナー 株式会社 Helpfeel アドバイザー エンジニア 改善コンサルタント エバンジェリスト プロダクトマネージャー
長沢 智治 書籍やガイドの執筆・監訳・翻訳などの貢献活動
DXの必然 変化に適応する時代 © 2023 Servant Works Inc.
ビジネス DXの必然 IT ビジネスモデルと意思決定は変化している 2000s 1990s IT 便利 IT 有効 2010s IT 不可欠 IT はコストセンター 2020s IT コア IT はビジネス戦略 • 既存のビジネスモデル • 新しいビジネスモデル • 自社内での意思決定 • 市場が意思決定 • 支えるプロダクト • 攻めるプロダクト ©Tomoharu Nagasawa
DXの必然|変化速度 変化に適応する組織とは 組織内部の変化が、 外部の変化についていけなくなった時、 その組織の終わりは近い If the rate of change on the outside exceeds the rate of change on the inside, the end is near. ー 元GE CEO ジャック・ウェルチ ー
H/W DXの必然|“ファスト ムーバー”の台頭 S/W 消費者と直接対話しデータを収集できるハード的な変化を生み出すソフトウェア企業 2010s 2000s 1990s 2020s • 既存の商習慣 • 直接タッチとデータ収集 • 既存のビジネスモデル • 新しいビジネスモデル • 自社内での意思決定 • 市場が意思決定 iPhone Amazon Netflix Spotify Cloud ©Tomoharu Nagasawa
DXの必然|ユーザー体験(変化)を重視 意思決定・仕事の仕方・取り組み方の変化 1990s 2000s 2010s 2020s 提供者が主体 ユーザーが主体 《映画づくり》 《配信ドラマづくり》 大きな予算|long batch|dead or alive 適切な予算|short batch|continuous ©Tomoharu Nagasawa
DXの必然|ユーザー体験(変化)を重視 意思決定・仕事の仕方・取り組み方の変化 1990s 2000s 既存の正解に能力を与える け だ る す る ば が れ 上 す が 産 値 生 価 《線形》 2010s 2020s 正解自体を模索する能力を作る る る が す 上 索 が 模 値 を 価 か う ど か 複雑適応系《非線形》 ©Tomoharu Nagasawa
DXでの要点 方向性・変化・一貫性 方向性 変化 一貫性 • 共通の方向性 • 変化の兆しに機敏に • 事実から目を背けない • 変化するゴール • 変化を味方につける • 根拠に基づく判断 • データ(事実) • 一貫性の中での裁量
複雑適応系とは 意思決定・仕事の仕方・取り組み方への一貫性 © 2023 Servant Works Inc.
複雑適応系ではあらゆる変化が発生し続ける 意思決定・仕事の仕方・取り組み方の変化 1990s 2000s 既存の正解に能力を与える 2010s 2020s 正解自体を模索する能力を作る ゴール 仮のゴール 方向性 検査 進捗 検査 設定 設定 計画 設定 設定 検査 《線形》 設定 検査 《非線形》 ©Tomoharu Nagasawa
全体計画とプロジェクト管理の限界 プロジェクトマネジメントのスキルは成功に関連していない 従 来 型 • 統制的・官僚的なプロジェクトマネージャーが、 足を引っ張っている • 意思決定のミスと遅延 • 一体感の欠如 • 価値ではなく、計画に注力 • よいチームと環境が成果を生んでいる ア ジ ャ イ ル • 成熟度が低いチームの成功率は 1% • 50%以上 の成功率には、3つの成熟度が不可欠 • スポンサーの理解と関与 • チームの効果性 • 現場環境の整備
劣化速度が早まっている 半減期の変遷: 合意してもすぐに劣化していく要求仕様 • 1980年: 10〜12年 1 • 2000年: 2〜3年 • 2010年: 6ヶ月 • 2020年: 1ヶ月(推定) 1/ 2 1/ 4 半減期 半減期 1/ 8 半減期 1/ 16 1ヶ月後 2ヶ月後 3ヶ月後 半減期 4ヶ月後 https://www.infoq.com/articles/the-curse-of-the-change-control-mechanism/
複雑適応系ではあらゆる変化を検知し、反応する 意思決定・仕事の仕方・取り組み方の変化 1990s 2000s 2010s 2020s 工程|分業|リソース効率 成果|協働|フロー効率(効果性) 《線形》 複雑適応系 《非線形》 ©Tomoharu Nagasawa
複雑適応系における効果的な意思決定・仕事の仕方・取り組み方 目的に向かって協働して意思決定速度を高めていく • 反応性を上げるために 制約 に対して自由になる • 外部的な制約: 意思決定を自己管理する • 内部的な制約: 外部能力に頼らない機能横断的 • エンドツーエンドの責任の密度を高める
複雑適応系での要点 目的・協働・一貫性 目的 協働 一貫性 • 明確なゴール • 総力戦 • 事実から目を背けない • ゴールの変化 • 分散リーダーシップ • 根拠に基づく判断
アジリティ ビジネス・プロダクト・人事・マーケティング、そして社会のアジリティ © 2023 Servant Works Inc.
アジリティ アジリティの構造(プロダクトとHRの例) マーケのアジリティ プロダクトアジリティ 開発のアジリティ フロー効率 > リソース効率 HRアジリティ ビジネスアジリティ 適時採用/育成 > 一括採用/育成 1000人の 〇〇人材を育成
人材と実践環境の育成 組織 チーム 個人 Lv 3. 組織 チーム 個人 Lv 2. 組織 チーム 個人 支援を受けて実践できる環境 現場での実践と、適切な支援により、 実践知と集合知を最大化することで、 Lv 1. 標準化で均一化できる環境 プロセスやプラクティスの標準化ではなく、 考え方やベースとなる働き方の標準化 (フレームワーク)を醸成する チームの効果性と個人のスキルポートフォリオ を醸成する 自己管理で実践できる環境 現場で完結した意思決定と遂行を実現し、 ビジネスニーズに機敏に対応できるチーム の効果性と反応性を醸成する
アジリティの要素 アジリティが培われているかのチェック 変化を 検知 事実を 収集 反応 効果 • Week signal detection • 予想・予測ではなく、 • 機敏に反応し続ける • ムダをとる • 誰かではなく、 • フィードバックを得る • 集中する 誰もが意識する 事実に集中する • 常に計測する • 学習し、判断を速める
クネビンフレームワーク 複雑系 煩雑系 complex complicated 未知の未知 既知の未知 (液体) (液体) 困難 aporetic 混沌系 明確系 chaotic clear 不可知の未知 既知の既知 (個体) (気体) Cynefin Framework
を高速化することで、 OODAループ(参考) を有効にし機敏にするアプローチ アジリティを高める意思決定と行動のループ 方向づけ (O) 観察 (O) 意思決定 (D) 行動 (A)
経験的アプローチのススメ Empirical ‒ 科学的なアプローチで「実験」を加速させる 「網点」や「点描画」のように事実を置いていき、観察により判断し、検査・適応していく わかった事実「・」を 置いていく 方向性や仮説で開始 方向性を仮決めして、 事実収集に努める わかっていることが増えてくる 事実から ゴールが定まってくる わずかな変化を検知し、対応する 事実から ゴールも検査できる 目指す先が合っているか、 やり方が馴染むかわかってくる 変化に適応できる 目指す先も 検査できるようになる
経験的アプローチのススメ EBMにおけるビジネスアジリティの計測基準 市場価値 実現できる 可能性のある 付加価値とは? 未実現の価値 UV 現在の価値 CV 現在、組織が どのような価値を 提供しているのか? アジリティ ビジネス価値 組織は価値の 改善にどれくらい 効果があるのか? イノベーション の能力 A2I 市場に出す までの時間 © 2020 Scrum.org. All Rights Reserved. 組織的な能力 T2M 新しい価値提供に どれくらいの時間が かかるのか?
経験的アプローチのススメ EBM × Scrum で勝てるプロダクトと組織作りを実践する(参考) 適切な意思決定(ゴールと予算)の提示 成果というフィードバック 市場価値 実現できる 可能性のある 付加価値とは? 未実現の価値 UV プロダクトゴール 現在の価値 CV 現在、組織が どのような価値を 提供しているのか? アジリティ ビジネス価値 組織は価値の 改善にどれくらい 効果があるのか? イノベーション の能力 A2I 市場に出す までの時間 © 2020 Scrum.org. All Rights Reserved. T2M 新しい価値提供に どれくらいの時間が かかるのか? プロダクト バックログ 優 先 順 位 スクラムチーム インクリメント ステーク ホルダー スプリントゴール スプリント バックログ 完成の定義 組織的な能力 EBM Scrum 成果に見合う熟達と効果を確約 環境整備と支援の約束
アジリティでの要点 反応性・効果性、その後に効率 反応性 効果性 効率 • フィードバック • 総力戦 • 反応性と効果性を加速 • 期待値の制御 • 集中 • 実績を効率化 • スモールバッチ • 大義と士気 • 最初に効率を目指さない
ソフトウェア思考 アジャイルな意思決定・仕事の仕方・取り組み方 © 2023 Servant Works Inc.
ソフトウェアのように振る舞う世界へ すべてがソフトウェアになる Software is eating the world. ー マーク・アンドリーセン ー
H/W テクノロジーによるイノベーション(再掲) S/W everything as code | *Tech 2000s 1990s 2010s 2020s • 既存の商習慣 • 直接タッチとデータ収集 • 既存のビジネスモデル • 新しいビジネスモデル • 自社内で意思決定 • 市場が意思決定 iPhone Amazon Netflix Spotify Cloud ©Tomoharu Nagasawa
ソフトウェアのように振る舞う Software Initiative ソフトウェアの進化 ビジネスのソフトウェア化 ソフトウェアの配布形態の変化 人を介さない直接性と即時性 ハードウェアのソフトウェア化 商習慣(ハード)のソフトウェア化
ソフトウェアのように振る舞う 変化する前提で取り組む | 変化を強みにし競争力を上げる 仮のゴール 方向性 検査 設定 設定 検査 設定 設定 検査 設定 検査
アジャイル宣言 Agile Manifesto - 2001 価値基準を示している
アジャイル宣言の背後にある原則 Agile Principals - 2001 私たちは以下の原則に従う: • 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に 提供します。 • 動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度です。 • アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進します。一定の • 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。変化を 味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます。 • 動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月というできるだけ 短い時間間隔でリリースします。 ペースを継続的に維持できるようにしなければなりません。 • 技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを 高めます。 • シンプルさ(作らなくてよい量を最大限にすること)が • ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通して 日々一緒に働かなければなりません。 本質です。 • 最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組織的な • 意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成します。 環境と支援を与え仕事が無事終わるまで彼らを信頼します。 • 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・ チームから生み出されます。 • チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返 り、それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します。 トゥ・フェイスで話をすることです。 振る舞い / 状態を示している
アジャイル適用事例はジャンルを問わず ソフトウェア化した世界の価値基準と原則となったアジャイル • 新番組の企画開発(NPR) • 新しい機械の開発(ジョンディア) • 新しい戦闘機の生産(サーブ) • マーケティング(イントロニス) • 人事(C.H.ロビンソン) • ワインの生産、倉庫管理、上級幹部の運営(ミッションベル) • 全社的な変身(GE) 出典:『臨機応変のマネジメントで生産性を劇的に高めるアジャイル開発を経営に活かす6つの原則』(Embracing Agile, ダイアモンドハーバードビジネスレビュー, 2016)
アジャイルでの要点 事前に決めたことよりも、現在起きていることに価値をおく 事前に決めたこと 現在、起きていること • 実施前の契約事項 • 顧客との協調 • 実施前の計画 • 変化への適応 • 包括的なドキュメント • 実行力のある取り組み • 不適切なプロセスやツール • 個人と相互作用
コントロール 制御を取り戻し実践する アジャイルのカタ © 2023 Servant Works Inc.
変化が招く混乱と制御不能状態 破壊されたOODAループ 方向づけ (O) 主観による 誤った分析 情報過多 観察 (O) 意思決定 (D) 意思決定者の誤り と判断の遅れ 行動 (A) 誤った行動と成果 (アウトカムでなく、アウトプット)
複雑適応系での陥りやすい罠 DX推進やアジャイル変革の取り組みが失敗する要因(前提を誤り、複雑さに溺れる) 客観的なデータを収集し、判断する 落とし穴へ 勝ちパターンへ 同調圧力 一 異議がない 貫 性 チャレンジ そうそう! 止める 実験 少数派 孤立・既得権 コーチング 落とし穴へ 直感や賭け 再現性がある 疑いの余地なし 手探り Dave Snowden の複雑系サブシステムの解説をもとに長沢が作成
アジャイルのカタ 「トヨタのカタ」をルーツとするアジャイル推進
アジャイルのカタ 「トヨタのカタ」をルーツとするアジャイル推進の「改善のカタ」 1 アジャイル原則などの 明示的な方向性 方向性や チャレンジを 理解する 3 次の目標 とする状態 を設定する 何が起きているのかはわかるまで わからないため科学的な実験を繰り返す わかったことから方向性や目標を 検査し、再設定する 2 現状を 把握する 「コーチングのカタ」 で着実に取り組む 4 次の目標とする 状態に向かって実験する 振る舞いと成果で 検査する 出典:「 The Toyota Kata Practice Guide 」(Mike Rother)をもとに補足
まとめ 企業のアジリティに必要な意思決定・仕事の仕方・取り組み方 © 2023 Servant Works Inc.
企業のアジリティとは複雑適応系への対応 意思決定・仕事の仕方・取り組み方にアジャイルを取り入れる 変化を 検知 目的 事実を 収集 反応 協働 効果 一貫性
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