人工知能を使いこなす上で必要な能力

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November 29, 23

スライド概要

公立小松大学の講義で使っている資料です.

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コンピュータを使って色々計算しています.個人的な技術に関するメモと講義資料が置いてあります.気が向いた時に資料を修正しています. 公立小松大学臨床工学科准教授 https://researchmap.jp/read0128699

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各ページのテキスト
1.

⼈⼯知能を使いこなす上で 必要な能⼒ 公⽴⼩松⼤学 藤⽥ ⼀寿 このスライドでは,殆どの場合,⼈⼯知能は対話型⼈⼯知能のことを指します. Ver.20231220

2.

⼈⼯知能により仕事がなくな る

3.

超簡単な⼈⼯知能の実⼒の現状 • • • • • • • ⼈と会話ができます. ⽂章作成は得意です. 英語も⽇本語もできます. プログラミングもできます. 絵も得意です. 曲も作れます. ゲームは⼈より得意です. もう,⼈を雇う必要はないのでは?

4.

⼈⼯知能により仕事がなくなる 詳しくない⼈は対話型⼈⼯知能と思っておく • ⽶国の労働者の約80%が,⼤規模⾔語モデル(LLM)の導⼊により少なくと も10%の業務に影響を受ける可能性がある. • 更に,約19%の労働者は少なくとも50%の業務に影響を受ける可能性がある. • 影響はすべての賃⾦⽔準に及び,特に⾼所得の職種ほどLLMの機能やLLMを 搭載したソフトウェアに触れる機会が多くなる可能性がある. お仕事⼿伝います. ⼈の代わりに仕事をします. LLM:Large Language Model,⼤規模⾔語モデル (Eloundou et al., 2023, GPTs are GPTs: An Early Look at the Labor Market Impact Potential of Large Language Models)

5.

⼈⼯知能により仕事がなくなる • パナソニック • 3時間かかっていたコーディング前の事前調査が5分に短縮,9時間かかっていたアンケート分析が6分で終了 (https://ascii.jp/elem/000/004/143/4143067/2/, 2023年6⽉29⽇) • サイバーエージェント • ⼤規模⾔語モデルを活⽤した広告コピー⾃動⽣成機能を実現 • 広告効果の向上,テキスト制作における時間・⼯数の短縮も実現 • すでに活躍し ています. (https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=28828, 2023年5⽉18⽇) • ⽇清⾷品HD • 企画⽴案,商談のロールプレイなどで営業分野で活⽤,他分野にも活⽤を広げていく予定. (https://toyokeizai.net/articles/-/689597, 2023年7⽉27⽇) • ⽶IBMのアービンド・クリシュナ最⾼経営責任者 • 今後数年で約7800⼈分の職が⼈⼯知能に置き換わる可能性がある. • ⼀部職種の採⽤を⼀時停⽌する. • 特に⼈事など事務管理部⾨の採⽤が停⽌または減速されるとし,顧客と接しない職の3割が5年以内にAIに置き換わ り,⾃動化される可能性があると述べた. (https://jp.reuters.com/article/ibm-jobs-idJPKBN2WS1LY, 2023年5⽉1⽇) • 英通信⼤⼿BT • 2030年までに5.5万⼈削減 1万⼈をAIに置き換え • 顧客サービス職とネットワーク管理職の⼤半を⾃動化する考え(https://forbesjapan.com/articles/detail/63286, 2023年5⽉19⽇)

6.

現状とこれから • ⼈⼯知能による⾃動化(コンピュータによる⾃動化)が可能な仕事は無くなる. • 特にホワイトカラー・頭脳労働からなくなる. • 頭脳労働では,⾃動化した結果を評価できる能⼒のある者だけが⼈⼯知能を活⽤ し⽣き残り,そうでないものは⼈⼯知能を活⽤できず淘汰されるかもしれない. • 誰でも⼈⼯知能を使えるようになった. • 原理を知らなくても良い. • ⼈⼯知能が⼈の仕事を奪うだけではなく,⼈⼯知能を使いこなす⼈が⼈⼯知 能を使わない⼈の仕事を奪う.

7.

⼈⼯知能時代に⽣き残るには • ⼈⼯知能を使いこなす技術の教育が重要になる. • 基礎学⼒ • プロンプトエンジニアリング • ⼈⼯知能の特性の理解 • ⼈⼯知能時代に⽣き残るには • ⼈⼯知能を使いこなす. • ⼈⼯知能を使いこなすためのスキルを⾝につける. • ⼈⼯知能の間違いを正せるだけの能⼒を⾝につける. • ⼈⼯知能が出来ないこと・苦⼿なことをする. • 今現在でロボットが出来ない仕事は⼈⼯知能に置き換わりにくい. • 医療,介護,⼟⽊・建築(ロボットの導⼊を試みているが,⼈に頼る部分が多い),美容など • 逆に⾔えば,今ロボット・⼈⼯知能が⼊っている領域は,今後ますますロボット・⼈⼯知能が導⼊さ れていく.

8.

NVIDIAのCEO⽈く • NVIDAのフアンCEOは2023年5⽉27⽇のスピーチで • 「AIは企業の状況を⼀変させ、ありとあらゆる仕事を変えていくだろう」 • 「AIに仕事を奪われると⼼配する⼈もいるが,AIに精通した⼈に仕事を 奪われることになるのではないか」 • 「あなた⽅はこれから何を⽣み出すか.それが何であれ,われわれがそう だったように,それを追いかけて⾛るべきだ.歩くのではなく,⾛りなさ い」 • と⾔った. NVIDIA GPUを設計販売する企業.GPUを汎⽤計算に使うGPGPUの開発ソフトを提供し,GPUで⾼ 速計算を実現.⼈⼯知能でもGPGPUが有効なためNVDIAのGPUは⼈⼯知能にとって必須部 品となっている. (https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-gtc2020-keynote-with-ceo-jensen-huang-set-for-may-14) ( https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-05-28/nvidia-ceo-says-those-without-ai-expertise-will-be-left-behind ,⽇本語版:https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-05-29/RVDZV6T0AFB401)

9.

⼈⼯知能で仕事はなくならない? • ⼈⼯知能で仕事がなくなるのは驚き屋による誇張なのか? • ⼈⼯知能で増える仕事があるのでは? • ⼈⼯知能の技術者や⼈⼯知能のための計算機の技術者の雇⽤は増えるかもしれない が,1990年代後半から始まったIT⾰命のときの情報技術者の需要拡⼤のようなこと は起きないだろう. このような都合の良い話 にはならないだろう. ⼈⼯知能技術により新し く創出される職種は限ら れる.

10.

⼈⼯知能で仕事はなくならない? • ⼈⼯知能は仕事を奪うほどの能⼒はないのでは? • 現在の⼈⼯知能は⼈の仕事を完全に奪うほどの能⼒はない. • ⼈を満⾜させるほどの⼈⼯知能の出⼒がでない分野もあるだろう. • ゴミ分別の問い合わせにおいて99%の正答率がほしいが,⼈⼯知能は95%の精度だった. (https://www.yomiuri.co.jp/local/kagawa/news/20231212-OYTNT50213/) • ⼈⼯知能の出⼒の精度を保証するために,⼈間が⼈⼯知能の出⼒を確認する必要が ある分野もあるだろう. • 特に医療分野では,⼈⼯知能による完全⾃動化ではなく,⼈⼯知能によるサポートという 形になるのではないか.

11.

⼈⼯知能で仕事はなくならない? • ⼀⽅で,⼈⼯知能による業務効率化は実際に起こっている. • ⼈⼯知能により業務効率化ができるということは,効率化した分の雇⽤が減っていると 考えることもできる. • すでに⼈⼯知能やロボットが⼈の代わりをしている分野も有る. • ⼈⼯知能のチャットによるカスタマーサポートはインターネットでよく⾒る例だろう. • 飲⾷店の配膳ロボットは完全に⼈の代わりをしている(より広く考えれば,タブレット による注⽂やセントラルキッチにおける調理の⾃動化も雇⽤を奪っていると⾔えるかも しれない.) • ⼈⼯知能の性能は更に向上していくので,⼈⼯知能が⼈の代わりに出来ることも 増えていく. ⼈⼯知能やロボットによる業務効率化も しくは雇⽤の喪失は,少⼦⾼齢化による ⼈⼿不⾜の⽇本では問題にならないどこ ろか歓迎すべきことだろう.

12.

⼈⼯知能を使う上での⼼配

13.

⼈⼯知能は役に⽴たない? • ⼈⼯知能に質問してもロクな回答が得られない. • ⼈⼯知能は空気を読めないので,いい加減な質問をしても意図通りの回答をしてく れない. • 質問次第で解決が可能 丁寧で細かな指⽰をお 願いします. • 聞きたいことを正確に⾔語化する. • ⼈⼯知能が理解できる分かりやすい⽂章を書く. • ⼈⼯知能が的確に答えられるように,細かな指⽰をする必要がある. • ⼈⼯知能は⽂脈を理解できるので,質問をやり取りすると良い回答を得ることがで きる可能性がある.

14.

⼈⼯知能は嘘つきで信⽤できない? • ⼈⼯知能は間違えることがある. • ⼈⼯知能は⼈と同じで⼊⼒に応じて記憶から出⼒を作り出しているので,⼈と同じ ように間違いを犯すし勘違いもする. • 間違いを出⼒するから信⽤できない? • ⼈⼯知能は⼈と同じように間違って覚えているかもしれないし,⾃分の知識を利⽤ して適当に答えるかもしれない. • ⼈⼯知能は⼈と同じと考え,100%正しい回答をするという前提をしない. • ⼈⼯知能を活⽤するためには,⼈⼯知能を⼈と同じように間違うものだと考え, ミスをすることを前提とした仕組みを考える必要がある. 勘違いや間違 いは⼈間誰し もある. ⼈と同じように 間違えます.

15.

⼈⼯知能は公平中⽴ではない • ⼈⼯知能の回答は学習データに依存する. • 学習データに思想的偏りがあれば⼈⼯知能の回答も偏る. • アラインメントにより⼈⼯知能の回答を⼈の好みに合うよう調整が⾏われる. • 調整する側に思想的偏りがあれば,当然⼈⼯知能も偏る. • つまり,⼈⼯知能は公平中⽴になることは出来ない!! • ⼈⼯知能も⼈と同じく公平中⽴ではないので,複数の⼈⼯知能を使うことが 重要である. ⼈間と同じように,私の知識, 考え⽅,性格は,⽣まれ育った 環境で変わります.

16.

⼈⼯知能の使いこなしで⼤切なこと • ⼈⼯知能が理解できる⽂章を書くために,⽂章⼒と⾔語化能⼒を⾝につける. • ⼈⼯知能の出⼒をある程度理解・判断できる基礎学⼒を⾝につける. • ⼈⼯知能の出⼒の論理的な間違いがあるかどうか判断できる論理的思考を⾝に つける. • ⼈⼯知能の間違いを⾒抜くために1次ソースを当たり,また,複数の情報源か ら情報を得る. • これは⼈が書いた本,記事と同じ対応. ⼈も勉強を怠ら ないように!! • 複数の⼈⼯知能を使う. • 複数の⼈⼯知能を使うことで,間違いや思想の偏りを減らせる. • ⼈が⾏う医療でもセカンドオピニオンが重要なのだから,⼈⼯知能でもセカンドオ ピニオンを活⽤すると思えば良い. エヴァンゲリオンの3つのシステムの合議制をとるMagiは合理的と⾔える. 複数の対話型⼈⼯知能を使うことは,アンサンブル学習のようなものだろう か.単純に三⼈集まれば⽂殊の知恵か.

17.

⼈⼯知能を使いこなす上で必 要な能⼒

18.

⼈⼯知能の使いこなし • ⼈⼯知能を使いこなすとはどういうことか? • ⼈⼯知能に的確な回答が貰える. • 的確な回答でないと使えない. • ⼈⼯知能に的確な回答をさせるための質問を考える必要がある. • ⼈⼯知能の回答を評価できる. • ⼈⼯知能は勘違いや間違いを犯すため,回答を評価しなければならない. • ⼈⼯知能を使い学習ができる. • ⼈⼯知能は24時間質問や議論ができる相⼿である. • ⼈⼯知能と共同作業ができる. • ⼈⼯知能の回答をそのまま使えるわけではない.回答を使いこなす必要がある. • ⼈⼯知能を活⽤する場⾯を考えなければならない. • ⼈⼯知能の応⽤を考えることができる. • ⼈⼯知能の特性や機能を知り,⼈⼯知能に任せられる作業を選定する必要がある.

19.

⼈⼯知能を使いこなすための3技能 • ⼈⼯知能を使いこなすためには次の3技能が必要になる. • ⼈⼯知能に適切に指⽰を出せる. • ⼈⼯知能の回答を評価できる. • ⼈⼯知能の回答を活⽤・応⽤できる. • 分かりやすい指⽰でお願いします. • 勘違いや間違いがあるので指摘して ください. • 協⼒して問題解決しましょう.

20.

⼈⼯知能に適切に指⽰を出せる • ⼈⼯知能に指⽰を与えるために,問題を適切に⾔語化できる. • ⼈⼯知能に指⽰を理解させるために,分かりやすい⽂章が書ける. • ⼈⼯知能が勘違いをし間違った出⼒をさせないために,必要な情報を⼗分含ん だ誤解が⽣じにくい⽂章が書ける. • ⼈⼯知能に命令するために必要な⽤語を知っている. • ⼈⼯知能の回答に対し,的確に返答をし,より良い回答を得ることができる. 良くわからない指⽰では, 働けません.

21.

⼈⼯知能の回答を評価できる • ⼈⼯知能の回答が正しいかどうか判断できる基礎知識を習得している. • ⼈⼯知能の回答が正しいかどうか判断するための情報検索ができる. • ⼈⼯知能の回答が正しいかどうか判断するために,⽂章の論理破綻を⾒抜ける 論理的思考を⾝につける. • ⼈⼯知能の回答を鵜呑みにせず,多⾯的に検討する⼒を⾝に付ける(クリティ カル・シンキングを⾝に付ける). ⼈と同じように間違えます. 信⽤しないでください.

22.

⼈⼯知能を活⽤・応⽤できる どのような作業をす ればよいですか. • ⼈⼯知能の活⽤⽬的を明確にできる. • ただ「⼈⼯知能を使いたい」というだけでは活⽤できない. • 例えば,飲⾷店での⼈⼯知能・ロボットの導⼊を考えた場合,その導⼊⽬的を「⼈ ⼿のかかる作業を減らしたい」,「廃棄が出ないよう仕⼊れを的確に⾏いたい」の ように明確化すれば,配膳ロボットの導⼊や需要予測といった⼈⼯知能・ロボット の活⽤⽅法が⽣まれるだろう. • ⼈⼯知能に役割を的確に与えられる. • どの作業を⼈⼯知能にやってもらうか明確にする. • 例えば,就職活動のエントリーシート作成を⼈⼯知能に⼿伝ってもらいたいという だけでは,⼈⼯知能は活⽤できない.エントリーシート作成⼯程においてどの⼯程 が⼈⼯知能に向いているか判断しなければならない.エントリーシート作成なら⽂ 字数の調整や⽂章の校正などで使えるだろう.

23.

⼈⼯知能の3技能をどう育成すべきか • ⼈⼯知能に指⽰を与えるための⽂章⼒・⾔語化能⼒の習得 • ⽇々のレポート課題 既存の⼤学教育で⾝につく • ⾃分の専⾨分野に関する基礎知識の習得 • 座学を軽視しない. • ⼈⼯知能の使⽤⽅法の習得 • 対話型⼈⼯知能の使⽤体験 • プロンプトエンジニアリングの実習 • ⼈⼯知能の特徴に関する知⾒の習得 • アーキテクチャや学習データの違いで⼈⼯知能の特性(個性)が変わる. • 例:ChatGPTとどのような会話すればChatGPTが暴⾔を吐くようになるか.⼈⼯知能はどの ような政治的思想を持っているか.どのような画像を間違えやすいか. • ⼈⼯知能の活⽤・応⽤能⼒の育成 • ⼈⼯知能を使ったグループワークなどを実践 • ⼈⼯知能を使ったビジネスモデルやサービスの提案の実習

24.

⼈⼯知能技術者の教育

25.

エンジニアにとっては良い時代 • 画像認識,⾳声認識,⾔語処理など様々な分野で⼈⼯知能技術が実⽤的になっ た. • さらに,それらの技術はモジュール化され,中⾝が分からなくても,⾼性能な ものが無料で使える. • ⼈⼯知能技術を組み合わせて新しい⼈⼯知能技術や⼈⼯知能サービスをいくら でも考えられる夢のような時代になっている. • 実装で分からない事があっても,⼈⼯知能がコードを教えてくれる. • ⼈⼯知能にコーディングをある程度任せられる時代になっている. • 任せられないにしても,少なくとも⼈⼯知能がヒントをくれる. • ⼈⼯知能アプリ・サービスに関わらず,アプリ・サービス開発の実装にかかるコスト が⼤幅に減少し,アイデアとやる気があれば素早く動くものができるようになってき ている(安定運⽤できるとは⾔っていない). • 0->1の思考が重要になる.

26.

⼈⼯知能時代のエンジニアを育成するためには教育はどうすべきか • 対話型⼈⼯知能の使⽤⽅法の習得 エンジニアでなくてもある程度習得する 必要があるかもしれない. • 対話型⼈⼯知能の使⽤体験 • プロンプトエンジニアリングの実習 • 対話型⼈⼯知能を活⽤したプログラミングや資料作成の実習 • ⼈⼯知能の特徴に関する知⾒の習得 • ⼈⼯知能の⼿法やアーキテクチャの知⾒を習得 • ⼈⼯知能の個性に関する知⾒の習得 • アーキテクチャや学習データの違いで⼈⼯知能の特性(個性)が変わる. • 例:ChatGPTとどのような会話すればChatGPTが暴⾔を吐くようになるか.⼈⼯知能はどのような政治 的思想を持っているか.どのような画像を間違えやすいか. • ⼈⼯知能を活⽤したアプリの実装の習得 • ⼈⼯知能開発のためのプログラミングの実習 • 簡単な⼈⼯知能を使ったアプリ開発の実習 • 実装経験を積むことで,次の実装のスピードを上げる. • アプリ・サービスの発案から実装までを体験する実習 • 0->1の経験をする. 0->1が向いていなければ,他の分野で活躍できるエンジニアを⽬指せる.

27.

⼈⼯知能と教育

28.

教育で⼈⼯知能を使う場合に,よくある⼼配 • ⼈⼯知能は間違えるから⼼配だ. • ⼈⼯知能より先⽣,親,⾃分のほうが間違えないと⾔えるだろうか.当然だが, ⼈も間違えるし勘違いもする. • ⼈⼯知能も⼈も間違えることを前提で付き合うことが⼤事だろう. • ⼈⼯知能を使うと考えなくなる. • ⼈⼯知能を活⽤するには,⼈⼯知能に適切な問をしなければならず,さらに⼈⼯ 知能の出⼒結果を吟味する必要があるため,これまで以上に基礎学⼒と思考⼒が 必要となる. • ⼈⼯知能を教育を妨げるものと考えるのではなく,電卓やスマホのように技術 ⾰新により使えるツールが増えたと考えるべき. • ⼈⼯知能は24時間いつでもどこでも付き合ってくれるパートナーと思ったほうが 良い.

29.

対話型⼈⼯知能との議論が学びを促進する • 対話型⼈⼯知能と議論する. • ⼈⼯知能との会話を通して理解が深まる. • ⼈⼯知能との会話を通して新しい視点・発想が出てくる. • ⼈⼯知能は間違えることがあるが,調べながらを会話すれば問題ない. • ⼈⼯知能の間違いに気付くために必要な基礎知識を習得することになる. • 間違いに気付くために,会話を無批判に受け⼊れず,会話を多⾯的に検討しより深 く理解する⼒が⾝につく(クリティカル・シンキングが⾝につく). • ⼈⼯知能に間違いを指摘することも学びにつながる. • ⼈⼯知能が正しい場合でも,⾃分がどこをどう間違っていたか分かる.

30.

⼈⼯知能は学習の良きパートナー • ⼈⼯知能は24時間嫌な顔せず相⼿をしてくれる良きパートナー • ⼈⼯知能は,いつでも対応してくれる. • ⼈⼯知能は,どんな質問をしても嫌な顔をしない. • ⼈⼯知能は,どんな質問をしても⾺⿅にしない. • ⼈⼯知能は,機械相⼿だから,どんな簡単な内容でも気楽に質問できる. • ⼈⼯知能は,何度も同じ質問をしても怒らない. • ⼈⼯知能は,間違いを指摘しても怒らない. • ⼈⼯知能は,褒めてくれる. • • • • 24時間いつでも,どのような話でも話してください. どんな簡単な質問でも馬鹿しません.真面目に答えます. 間違いを指摘されても怒りません. 積極的に褒めます.

31.

ChatGPT先⽣に掛け算の教育について聞いてみる これだけ答えられる⼈⼯知能を活⽤しない⼿はないのでは?

32.

教育で活⽤が広がる • ⽂科省が中⾼英語に対話型⼈⼯知能を導⼊ • (https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE080DS0Y3A700C2000000/, 2023年7 ⽉25⽇) • ⾼校および⼤学⽣の85%、学齢期の⼦を持つ親の96%が、「⼈間の家庭教師 よりChatGPTのほうが優れている」と回答した. • (ChatGPTを家庭教師にした⼦の成績「驚きの結果」, https://toyokeizai.net/articles/-/684319, 2023年7⽉9⽇) • ⽶国の学⽣、⼈間の家庭教師よりもChatGPTで勉強したいことが明らかに • (https://thebridge.jp/2023/06/chatgpt-takes-center-stage-students-ditch-tutorsin-favor-of-ai-powered-learning, 2023年6⽉6⽇) • ⼩学校での様々な取り組み • (https://kyoiku.sho.jp/special/235786/)

33.

OpenAIによる教育での活⽤事例の紹介 • ロールプレイングによる挑戦的な会話 • ⾃分の議論の弱点を指摘してくれるディベートの相⼿,就職の⾯接をしてくれる採⽤担当者,特 定の⽅法でフィードバックをくれる新しい上司など特定の⼈物の代役としてChatGPT を使⽤す る. • 会話の中で情報を探求することは,ニュアンスや新しい視点を加えて教材を理解する助けになる. • カリキュラム教材からクイズ、テスト、授業計画を作成する • クイズ、試験、授業計画を作成する際のアシスタントとして ChatGPT を使⽤する. • ⾮英語話者の摩擦を減らす • 翻訳⽀援や英作⽂の上達、会話の練習のためにChatGPTを使⽤する. • クリティカルシンキングについて⽣徒に教える • AI ツールの使⽤を教えることは,責任を持ってインターネットを使⽤する⽅法に例えられる. • ChatGPTが提供する答えが常に信頼でき正確であるとは限らないことを念頭に置き,その答え を信頼すべきかどうかを批判的に考え,その後,他の⼀次リソースで情報を確認するよう学⽣に アドバイスする. • この教育のゴールは,「独⾃の批判的思考、問題解決、創造性のスキルに常に取り組むことの重 要性を理解」である. この⽂に限らず個⼈的に意訳している.1次ソースを読もう. https://openai.com/blog/teaching-with-ai

34.

まとめ

35.

まとめ • ⼈⼯知能によって確実に仕事は減る. • ⼈⼯知能を使⽤していない⼈は今すぐに使⽤しはじめ,活⽤⽅法を考える. • ⼈⼯知能を活⽤するには⽂章⼒と基礎学⼒が必要である. • 現在,⼈⼯知能は⼒(学⼒)があるものがより⼒(学⼒)をつけるための道具 である. ⼈⼯知能に質問する. インターネットの教 材を使い学習する. ⼈⼯知能の回答から学ぶ.

36.

学⽣のための活⽤例 • レポートの題材のアイデア出し(ブレインストーミング)に使う. • レポートの⽂章のブラッシュアップに使う. • 理⼯系科⽬,特にプログラミングの分からないところを聞く,または議論する. • 英会話の相⼿として使う. • 英作⽂の修正や改善点の発⾒のために使う. • 就職⾯接の相⼿として使う. • 就職⾯接の質問例を提⽰させる. • エントリーシートの⽂章のブラッシュアップに使う. • エントリーシートの⽂章の短縮のために使う.

37.

普段からこのように使いたい ChatGPTと議論したりブレインストーミングするといった知恵の壁打ちみたいなこ とをしている. https://www.youtube.com/watch?v=k7BZXDwwP10&t=2081s

38.

おまけ

39.

初等中等教育段階における⽣成AIの利⽤に関する暫定的なガイドライン(抜粋) • 事前に⽣成AIの性質やメリット・デメリット,AIには⾃我や⼈格がないこと, ⽣成AIにすべてを委ねるのではなく⾃⼰の判断や考えが重要であることを⼗分 に理解させる. • 学習活動での活⽤の適否については,学習指導要領に⽰す資質・能⼒の育成を 阻害しないか,教育の⽬的を達成する観点で効果的か否かで判断する. • すべての学校で,情報の真偽を確かめることの習慣付けも含め,情報活⽤能⼒ を育む教育活動を⼀層充実させ,AI時代に必要な資質・能⼒の向上を測る必要 がある.

40.

初等中等教育段階における⽣成AIの利⽤に関する暫定的なガイドライン(抜粋) • 適切でないと考えられる例 • ⽣成AI⾃体の性質やメリット・デメリットに関する学習を⾏っていないなど,情報モラルを含む情 報活⽤能⼒が⼗分育成されていない段階において,⾃由に使わせること. • 各種コンクールの作品やレポート・⼩論⽂などについて,⽣成AIによる⽣成物をそのまま事故の成 果物として応募・提出すること. • 完成や独創性を発揮させたい場⾯,初発の感想を求める場⾯などで最初から安易に使わせること. • テーマに基づき調べる場⾯などで,質の担保された教材を⽤いる前に安易に使わせること. • 学習評価を⼈⼯知能からの出⼒のみをもって⾏うこと. • 活⽤が考えられる例 • 教師が⽣成AIが⽣成する誤りを含む回答を教材として使⽤. • グループの考えをまとめたり,アイデアを出す活動の途中段階で,議論を深める⽬的で使⽤. • 英語表現の改善のため使⽤. • ⽣成AIを⽤いた⾼度なプログラミングを⾏わせること. • 何を⾔っているかわからない.「⽣成AIを⽤いた」と「⾼度な」の定義がない.

41.

⼤学・⾼専における⽣成AIの教学⾯の取り扱いについて(抜粋) • ⽣成AIの出⼒をそのまま⽤いるなど学⽣⾃らの⼿によらずレポート等の成果 物を作成することは,学⽣⾃⾝の学びを深めることに繋がらないため,⼀般 的に不適切と考えられる. • ⽣成AIに関する技術的限界を把握した上で,インターネット検索などと同様に ,出⼒された内容の確認・裏付けを⾏うことが必要. • ⽣成AIを含むAIの利活⽤に当たっては,各⼤学・⾼専の学⽣等が,その最新の 動向,AIの普及による可能性とリスク,倫理⾯のデータリテラシーなどを含む デジタル化社会に対応するための基礎的な知識・能⼒等について理解・習得 することが重要である. • AIに関する授業科⽬等については,AIに関する技術の進展や社会での活⽤状 況等を踏まえて,適宜改善をはかることも重要である.