QBPワークショップ-コンテンツ配信とCDN_20240126

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January 29, 24

スライド概要

九州インターネットプロジェクトでの講演資料です。
CDNの概要と要素技術に関する説明の他、当日は「CDN最新動向 2024」として以下にも触れました。
・CDNのIPv6対応
・IPv4とIPv6での視聴品質(QoE)の比較
・マルチCDN対応とCDNセレクター
・Open Cachingの紹介とQoE測定結果
・ユーザーナビゲーションとECS(EDNS0 Client Subnet)の紹介
・Jストリームが考えるコンテンツ配信の形

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1997年の設立以来、動画配信を主軸に事業展開。コーポレートメッセージ「もっと素敵な伝え方を。」を掲げ、テクノロジーを通じて世の中のコミュニケーションをよりよくすることを目指しています。 自社で保有・運営する独自のコンテンツ配信ネットワーク(CDN=Content Delivery Network)を活用した動画配信に加え、長年のノウハウを活かした動画の企画・制作・運用やWebサイト制作、システム開発、動画広告による収益化支援まで総合的なサービスとソリューションを提供。取引実績はメディア、大手企業をはじめ年間1,200社・10,000案件以上です。手がける技術領域は、ネットワークの物理層からアプリケーション層にわたり、日本屈指の大規模配信や最先端案件の実績も多数あります。 エンジニア向けオウンドサイト「Voice」公開中! https://voice.stream.co.jp/

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関連スライド

各ページのテキスト
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令和5年度 QBPワークショップ 2024年1月26日(金) 17:20~18:00 インターネット最新動向 コンテンツ配信とCDN ~ CDN最新動向 2024 ~ 株式会社Jストリーム エンジニアリング推進室 2017年9月8日 高見澤 信弘 株式会社Jストリーム © J-Stream Inc. All Rights Reserved.

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本日の流れ ▶目次 1. Jストリームのご紹介 2. CDNの概要と要素技術について ⚫ キャッシュコントロールとユーザーナビゲーション 3. CDN最新動向 2024 ⚫ CDNのIPv6対応 ⚫ IPv4とIPv6での視聴品質(QoE)の比較 ⚫ マルチCDN対応とCDNセレクター ⚫ Open Cachingの紹介とQoE測定結果 ⚫ ユーザーナビゲーションとECS(EDNS0 Client Subnet)の紹介 4. Jストリームの考えるコンテンツ配信の形 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 2

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自己紹介 ▶名前:高見澤信弘(たかみざわ のぶひろ) ▶年齢:41 ▶出身地:山形県天童市 ▶所属:株式会社Jストリーム (AS24253) ◼ 新卒でJストリーム入社 ◼ エンジニア推進室&プロダクト企画部(アーキテクト) ▶仕事 • 動画配信プラットフォームやCDNの企画 • CDN(Content Delivery Network)の構築 • 活動 • IPoE協議会 IPv6地理情報共有推進委員会 幹事 • 海賊版対策実務者意見交換会 海賊版対策技術検証チーム(WG) メンバー © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 3

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Jストリームとは 最先端の動画ソリューションをあらゆる企業に ⚫ 国内最大の企業向けストリーミングサービスプロバイダー  1997年に世界初のストリーミング専業サービスプロバイダーとして創業、2001年IPO(東証グロース4308) 動画の全てに精通する 専門性 国内最大級(導入実績)の動画配信 システム 高品質な配信ネットワーク 配信サービスで培った技術力と経験 制作・開発の専門的な体制 あらゆるニーズを実現できる 総合力 豊富な実績と経験に裏付けられた 信頼性 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. クリエイティブから開発・運用まで エンドトゥエンドでリソース提供 きめ細やかなサービス・ソリューション 年間取引1,200社の実績 数多くのお客様に認められた サービス・サポート 4

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Jストリームとは CDN/配信インフラ 収録スタジオ/制作環境 六本木スタジオ 自社保有CDN/配信サーバー 24/7での有人監視 配信プラットフォーム、ASPサービス 撮影/配信機材 人的サポート・制作/運用体制 動画配信・音楽ストリーミング配信など アカウント営業+専任スタッフによるサポート © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 5

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CDN(Content Delivery Network)とは ▶CDNとはデータを効率よく最適に配信する仕組み ◼ CDNはContent Delivery Networkの略で、多数のコンテンツ配信サーバーで 構築されたネットワークのこと。 コンテンツをCDNが一時的に保存(キャッシュ)し、オリジンサーバーにかわってエンドユーザーへ配信する。 配信サーバーにデータをキャッ シュしているため負荷がかかり にくい CDNの配信サーバーにデータを 一時的に記憶(キャッシュ) 多数の配信サーバーで構成したCDN エンドユーザーへ、最適経路 で効率的にコンテンツを配信 どうやってキャッシュ ヒットさせるかの工夫 ISP障害時は 他のISPへ誘導 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 6

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CDNの要素技術:キャッシュコントロール ▶キャッシュを作るメカニズムによって大きく2種類の方式がある ▶方式によりメリットも異なるので、事業者によって選択される 方式 特徴 利用例 備考 キャッシュ型 コンテンツへの初回アクセス時にキャッシュを 作成し、2回目以降はキャッシュを用いて配 信する 顧客からコンテンツ配信を請け負っている CDN事業者は基本的にこちら(akamai, fastly, Cloudfrontなど) キャッシュヒットさせる仕組み有限なDiskを 有効活用するためのキャッシュ管理、削除 の仕組みが必須 ミラー型 事前に配信するコンテンツを必要となる キャッシュサーバーにミラーしておく。配信は エッジにミラーしたコンテンツを用いる 事前に配信するファイルとエンドユーザーがわ かっているOTT事業者(自社コンテンツ配 信)はこちら 事前に配置するためDisk I/Oを削減でき、 より高パフォーマンスな配信が可能 キャッシュ型の場合、CDNエッジサーバーへのキャッシュ コントロールは③のオリジンサーバーからのレスポンス ヘッダで設定する 例) ・Cache-Control no-cache → キャッシュ配信を不許可 ・Cache-Control max-age 300 → 300秒間はチェックせずにキャッシュから配信 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 7

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CDNの要素技術:ユーザーナビゲーション ▶多数配置したキャッシュサーバーに対して、誰を誘導するか =どのキャッシュサーバーから誰に配信するか ▶大きく3つから各CDN事業者が選択しているが、複数の仕組みを組み合わせている場合も多い 方式 DNS IP Anycast API 誘導の単位 (精度) 概要 利用用途 備考 キャッシュ DNSサーバー キャッシュDNSサーバーから名前解決の問い合 わせを受けた際に、最適なキャッシュサーバー のIPアドレスを返答する。DNSの仕組みを利用 しているため汎用性が高い。 一般的 多数の CDN事業 者 ロードバランサー(アプライアン ス)やオープンソースソフトウエ アもあり、選択肢が豊富 AS番号 相手先ネットワーク毎に配信したい拠点からの 一部CDN み経路広報することで、トラヒックを誘導する。 事業者 大まかな制御となるため大陸など大きな単位で 制御する場合に利用されることが多い。 この方法だけでは、細かい制御は 難しいため、他の方法と組み合わ せている場合も多い クライアント IPアドレス コンテンツアクセス(例えば動画)とは別に制 大手OTT 御用APIを用いて接続する先のサーバー情報をク 事業者 ライアントに直接指示する。 同時に視聴品質データなどもやり取りすること で、より細かい制御が可能 サイトの作りや動画プレイヤーな どの作り込みが必要となるため、 採用にはハードルがある(自社で コントロールできるOTT事業者が 採用する) © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 8

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ユーザーナビゲーション:DNS方式 ▶リクエストURLの名前解決時に最適な配信サーバーのIPアドレスを返す ▶エンドユーザーが指定したキャッシュDNSサーバー単位での制御 ◼ 多くの場合はISPが指定するキャッシュDNSサーバー単位での制御 DNS Authority Server (example.jp) Request:stream01.example.jp Answer:192.2.0.10 CDN Cache Server (192.2.0.10) Request:stream01.example.jp Answer:192.2.0.20 DNS Cache Server DNS Cache Server Request:stream01.example.jp Answer:192.2.0.10 CDN Cache Server (192.2.0.20) Request:stream01.example.jp Answer:192.2.0.20 ISP(A) ISP(B) © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 9

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CDNのシェアと歴史 CDN誕生から約20年、現在は第3次ブームで全Internetトラフィックの80%以上をCDNが配信している。 第一次ブーム 2000年ころ 調査したサイト数(JP): 32,000 新しくCDNを使い始めた: 5,658 82.31% の利用率 第二次ブーム 2006年ころ 第三次ブーム 2016年~ Topic Topic Topic CDNの登場、大手企業向けの単 純配信として利用される。 CDN事業の黒字化、VoDの黒字 化などCDN事業社が多く立ち上 がった時期。 利用領域が拡大。セキュリ ティ・HTTP/2などの技術対応や 料金体系も定額・無料、さらに はマルチCDN・自社CDNなど導 入形態も多様化 配信比率(対全Internet) 配信比率(対全Internet) 配信比率(対全Internet) 不明 50%程度 80%以上 国内CDN事業者 国内CDN事業者 国内CDN事業者 8社程度 半数程度に減少/勝組は粗利50% 以上 10社程度(クラウド事業者や ISPも事業開始) 日本のCDNシェアについて調査結果@2022年10月, https://tech.jstream.jp/blog/cdn/cdn-share-oct2022/, 2023/03/09 visited

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CDN最新動向 2024 ▶1. トラヒックの増加&ピーク性がより強まる傾向 ネットワーク中立性の議論 ISPに優しい配信 ◼ テレビ連動コンテンツ・見逃し配信(オンデマンドが中心) ◼ ライブ配信されるコンテンツが増え、ライブのピーク性が強まる傾向 1Tbpsを超える配信が日常的になってきた CDNのIPv6対応 ▶2. 視聴品質(QoE)の担保 キャパシティー拡張のためのマ ルチCDNと視聴品質を元にした CDNセレクトシステム ◼ 動画コンテンツの高ビットレート化により、 よりよいネットワーク品質が必要 より視聴者の近くから配信するた めの仕組みとナビゲーション → Open Caching ◼ 視聴者は、よりきれいな映像を、 すぐに(再生開始時間の短縮)、 途切れなく(バッファリング発生回数の抑制)見たい © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 11

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ISPに優しいコンテンツ配信と視聴品質向上の両立 ⚫ 視聴者の近くのキャッシュサーバーから配信することで ネットワークの公平性を担保し、より高い視聴品質を保つ ⚫ サーバーの分散配置 : 東京・大阪だけでなく地域にもサーバーを設置 ⚫ ピアリングの促進 : 地域ISPやCATVとも積極的にピアリング ⚫ IPv6対応 : 視聴品質(QoE)の向上 ⚫ トラフィックコントロール : 地域ISP/CATVとIX経由でトラヒック交換を強化 ⚫ マルチCDN 構成概念図 Open Cachingの共有 キャッシュサーバーを用いる ことでIPv6に対応し、エン ドユーザーの視聴品質を向上 させることができる : 視聴品質(QoE)をベースにしたコントロール 広域負荷分散(GSLB) ISP内にOpen Cachingの共有キャッシュサーバーを 設置することで、大規模配信と視聴品質の向上を実現 東阪+地域 IX インターネット CDN Cache (東阪・福岡拠点) 東販IXに加えて、福岡で もIX接続を実施し、地域 ISPともトラヒック交換中 CDN Cache (Edge拠点) 地域ISP / CATV 大手ISP / キャリア © J-Stream Inc. All Rights Reserved. ピアリングしていないISPに 対しては、大手DC事業者内 にキャッシュサーバーを設置 12

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トラヒックの増加とCDNに求められる役割 ▶ 総務省:ネットワーク中立性に関する研究会を 2018年から開始 ◼ インターネットトラヒックの現状 ▶ JAIPA:コンテント/CDN トラフィックワーキンググループ 「Content/CDN Index」の公開 ◼ JAIPAに加盟するISP(特に地方ISPやCATV)の要望とし て、コンテンツ配信側への要望を取りまとめ ⚫ 動画トラヒックがインターネットトラヒックの主流 ◼ コスト負担の公平性 ⚫ プラットフォーマーによる、特定コンテンツやアプリの優遇 ◼ JAIPAとしてCDN事業者やOTT事業者ラインキング発信中 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2022年5月分) https://www.soumu.go.jp/main_content/000828247.pdf 我が国のインターネットにおけるトラヒックの集計結果(2022年5月分) https://www.soumu.go.jp/main_content/000828247.pdf JAIPAコンテント/CDNトラフィックWG 「Content/CDN Index」について(2023年4月) © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 13 https://www.jaipa.or.jp/active/contentcdn-wg/

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コンテンツ配信の基本構成とIPv6対応 ▶オリジンサーバー ◼ CPが用意するオリジナルデータを配信するサーバー(オンプレ or クラウド) ◼ 動画配信プラットフォーム(OVP) ▶キャッシュサーバー ◼ エンドユーザーにコンテンツを配信するサーバー ◼ 1つのPoP(配信拠点)に複数台の物理サーバーで構成されたキャッシュサーバー(クラスタ)を設置 ◼ PoPは自社ASネットワークに加えて、複数のデータセンター事業者のネットワーク内にも設置 Internet オリジンサーバー IPv6対応 CDN Cache 範囲 (AS拠点:24253) IX GSLB CDN Cache (Edge拠点) キャッシュサーバー © J-Stream Inc. All Rights Reserved. Internet エンドユーザー 14

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CDNを使うことで簡単にIPv6対応が可能 ▶CDN(キャッシュサーバー)がIPv6対応すればエンドユーザーとの通信もIPv6化できる ◼ エンドユーザーとの通信はキャッシュサーバーが終端 ◼ オリジンサーバーとキャッシュサーバー間はIPv4のままでもOK • CP/CDN にとっては、エンドユーザーの視聴品質(QoE)が向上する ※後ほどデータ紹介します • ISPにとっては、CGNへの投資削減になる オリジン ・ キャッシュ間 Internet オリジンサーバー エンドユーザー ・ キャッシュ間 CDN Cache キャッシュサーバー © J-Stream Inc. All Rights Reserved. Internet エンドユーザー 15

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IPv4とIPv6での視聴品質(QoE)の比較 ▶視聴品質(QoE) ◼ 視聴している動画の美しさと再生中のストレスを表す指標を定義 ◼ 各指標をスコア化して評価 ▶今回提示するデータ:NPAW(Nice People At Work)社(国内限定で評価) ◼ OTT各社にQoE計測サービスを提供 ▶IPv6環境では明確にスコアが良い 当日資料のみ IPv6 IPv4 Internet Week 2022 / 11.22 C22 QoEからみたIPv6 ~ CDNおよびストリーミング事業者が語る~ ストリーミング事業者から見たIPv6 : 鍋島 公章(株式会社Jストリーム) 引用 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 16

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CDNとしてのIPv6対応 ▶ネットワーク ◼ ルーターやスイッチ等のDual Stack化 ◼ 機械は対応しているのでアドレス取得、設定追加 ▶キャッシュサーバー ◼ サーバーへのIPv6アドレスの付与 ◼ 配信用のVIPなどもIPv6アドレスを付与 - よかった点 IPv6対応に合わせて構成を見直し、 ネットワークをよりスケールアウトしや すい構成に変更できた ▶ロードバランサー ◼ GSLB(DNS)やLBのDual Stack化 ◼ GSLBではIPアドレスベースでのトラヒックコントロールも行っているため、 ロードバランスルールのIPv6対応も必要 ▶アプリケーション(CDNの機能のIPv6対応) - 苦労した点 IPv6用に再設計、再開発が必要だった IPv6対応のジオDBの構築はIPoE協議会と共同で実施 ◼ アクセスログ処理 ◼ 国内外判定(IPアドレスベースのジオロケーション) ◼ ACLやセキュリティー機能 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 17

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IPv6のメリットを生かして構成をシンプルに ▶IPv4はIPアドレスの節約が必要→LBを使ったアドレスの共有 ▶IPv6のメリットを生かしてネットワーク構成と管理をシンプルに ◼ IPv4とIPv6は独立 - IPv4とは別で構成を再検討、LBを廃止 ◼ アドレス空間が広い ー IPアドレスの共有を廃止 よりスケールアウトしやすい構成に! VIP-1 VIP-1a VIP-2 VIP-2a GSLB(DNS) VIP-1 VIP-1 VIP-2 VIP-1 VIP-2 LB VIP-2 VIP-1b VIP-2b IPv4ではアドレス節約のため、LB を経由して同じアドレスを複数の サーバーで共用 → LBの負荷、管理が煩雑 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. VIP-1c VIP-2c IPv6の場合はアドレス割り当てを 再設計し、アドレスの共有を廃止。 LBを経由しない構成に変更 → LB不要、管理のシンプル化 18

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マルチCDNへの対応 ⚫ 目的 ⚫ ピークトラヒック対策 ⚫ 視聴品質の向上(ISPや地域によって視聴品質には違いが出る) ⚫ 提供する側としての難しいところ ⚫ 各CDN毎に仕様や挙動は違う → 仕様や挙動の違いを補う必要がある CDN間のバランシングはGSLBや CDNセレクター(次ページ)を利用 ⚫ 設定やテストはCDN毎に実施、レポーティングなど運用面の考慮も必要 ⚫ 利用するCDNが増えた場合はオリジンサーバーへの負荷も考慮が必要 GSLB 自社CDNクラスターをオリジンの間に入 れることで、各CDN毎の仕様差異の吸収、 オリジン負荷の軽減を図る 自社CDNクラスタ(B,C) オリジンサーバー 自社CDNクラスタ(A) 他社CDN © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 19

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マルチCDN概要 他ユーザ等NS1に蓄 積されたデータを利 用することも可能 名前解決 パフォーマンス計測 計測用JSタグ Community Data Private Data 計測用画像 計測用JSタグを埋め 込まれたWebページ にアクセスされる度 に計測が実行される CDNベンダー Pulsar オリジン サーバ CDN1 CDN2 Managed DNS Record CDN3 Filter Chain ユーザ Pulsarの計測結果に よりCDNを選択する CDNに限らず名前解 決の値として設定が 可能

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Open Cachingの紹介 ▶特定ISPのみをカバーしたCDN ◼各ISPが所有するOCN (OpenCachingNode)からの配信する ◼配信先はOCNを持つISPのみが基本構成 ◼JPIX経由のピアリングでの配信も準備中

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Open Caching の概要 • 特徴(いっぱいありますが) • 複数のCPが共有するキャッシュサーバー≒CDN • キャッシュサーバーを設置したISP内に限定した配信が可能→ISPに優しい配信 • メリット:CP/CDN目線 もちろんIPv6対応 • IPv6への対応とキャッシュの分散配置による視聴品質(QoE)の向上、遅延の削減を図る • キャッシュ設備の共有によるコスト削減とカバレッジの拡大(共有することでより多くのISPにキャッシュを置ける) • 大規模コンテンツ配信におけるISPへのキャッシュ展開という特色(中立性の議論を盛り上げることとの両輪) • メリット:ISP目線 • キャッシュを置くことによる上位回線のコスト削減、ISP内のユーザーの視聴品質(QoE)向上 • キャッシュを共有化することによる、キャッシュサーバーの有効活用(採算性の確保) →より多くのISPがメリットを感じてもらえる • デメリット • カバレッジが100%にならない=マルチCDNでの制御が必要 • キャッシュサーバー購入と保守をまとめて「調達」=今までのキャッシュとはビジネスモデルが異なる © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 22

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Open Cachingを使った基本的な配信システムの構成 Origin Server Content Providers/Cloud/OVP Open Caching Shield Layer ・キャッシュヒット率向上 ・国内ではJPIXが東京に構築 <AS> Open Caching Edge Layer ・ISP / CATVに設置する キャッシュサーバー GSLB J-Stream CDNext or Other CDN Open Cachingと 他のCDNをAS番号に よりGSLBでバランシング © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 23 23

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Open Cachingの実証実験構成 ▶オリジンはAWS・Open Cachingのキャッシュサーバー(OCN)を ケーブルテレビ株式会社(栃木)内に設置した場合のQoE測定結果 MUX 権威DNS (QoE測定用ビー コン配信) OCC (OpenCaching Controller) Cache DNS Origin (AWS) JPIX Peering CableTV (c) PC/User transit Open Caching shield (JPIX) Open Caching Edge (CableTV) Router Traffic flow at normal © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 24

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QoE測定の結果(Request Latency):Open Caching ▶ 動画再生時の”First byte”はOpen Cachingの方がスコアがよかった ◼距離的に近いOpen Cachingが有利だが、差は小さい 当日資料のみ Video Performance Analytics and QoE Monitoring, https://www.mux.com/data, 2023/12/5 12:00 – 12/31 11:59 © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 25

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QoE測定の結果(Experience) :Open Caching ▶動画の全体的な視聴者エクスペリエンス ◼全CDNにおいて100(最高スコア)となり差は出なかった 当日資料のみ Video Performance Analytics and QoE Monitoring, https://www.mux.com/data, 2023/12/5 12:00 – 12/31 11:59 https://docs.mux.com/guides/data-overall-viewer-experience-metric © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 26

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CDNの要素技術:トラヒックの誘導 ▶多数配置したキャッシュサーバーに対して、誰を誘導するか =どのキャッシュサーバーから誰に配信するか Open Cachingは、各ISP内のキャッシュサーバー (IPアドレス)に対して誘導するため、 DNSを使った 誘導をしている ▶大きく3つから各CDN事業者が選択しているが、複数の仕組みを組み合わせている場合も多い 方式 DNS IP Anycast API 誘導の単位 (精度) 概要 利用用途 備考 キャッシュ DNSサーバー キャッシュDNSサーバーから名前解決の問い合 わせを受けた際に、最適なキャッシュサーバー のIPアドレスを返答する。DNSの仕組みを利用 しているため汎用性が高い。 一般的 多数の CDN事業 者 ロードバランサー(アプライアン ス)やオープンソースソフトウエ アもあり、選択肢が豊富 AS番号 相手先ネットワーク毎に配信したい拠点からの 一部CDN み経路広報することで、トラヒックを誘導する。 事業者 大まかな制御となるため大陸など大きな単位で 制御する場合に利用されることが多い。 この方法だけでは、細かい制御は 難しいため、他の方法と組み合わ せている場合も多い クライアント IPアドレス コンテンツアクセス(例えば動画)とは別に制 大手OTT 御用APIを用いて接続する先のサーバー情報をク 事業者 ライアントに直接指示する。 同時に視聴品質データなどもやり取りすること で、より細かい制御が可能 サイトの作りや動画プレイヤーな どの作り込みが必要となるため、 採用にはハードルがある(自社で コントロールできるOTT事業者が 採用する) © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 27

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DNSを使ったトラヒック誘導の課題 ▶ISP側の要望:全国型のISPの場合 ◼ キャッシュサーバーが複数(複数の地域に分散して多数) ◼ 特定地域内のユーザーを誘導したい(トラヒックを処理したい) ▶複数の地域で同一のキャッシュDNSサーバーが利用されている場合、 コントロールの精度がキャッシュDNSサーバー単位になる → キャッシュサーバーを地域分散するので一番近いキャッシュサーバーに誘導したい ▶解決方法は複数あるが、例えばECSを使う方法 ◼ EDNS Client Subnet (ECS) – RFC 7871 ◼ クライアントのIPアドレスのサブネットを権威DNSサーバーに伝えられる → Open CachingのGSLBもECSに対応している 全国で同一のDNSサーバーを使っていると地理的に近い キャッシュサーバにピンポイントに誘導ができない © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 28

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ECSの動きについて ▶dig コマンドのオプションでECSオプションを付けることが可能 $ dig -v DiG 9.16.1-Ubuntu $ dig host01.example.net @nsXX.example.net +subnet=192.0.2.0/24 ▶UnboundでのECSオプション関連の設定 •unbound.conf • server: • module-config: “subnetcache validator iterator” • send-client-subnet:0.0.0.0/0 • send-client-subnet: ::0/0 キャッシュサイズに関連するパラメーター • client-subnet-zone: <domain> • max-client-subnet-ipv6: <number> • max-client-subnet-ipv4: <number> • min-client-subnet-ipv6: <number> • min-client-subnet-ipv4: <number> ▶WireShark Ver.4.0.8 でデコードした結果 参考文献 - Public DNS:CDNへの影響, https://www.kosho.org/blog/cdn/public-dns/ - NLNETLABS Dosumentation unbound.conf 1.19.0, https://nlnetlabs.nl/documentation/unbound/unbound.conf/ © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 29

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ISPに優しいコンテンツ配信と視聴品質向上の両立 ⚫ 視聴者の近くのキャッシュサーバーから配信することで ネットワークの公平性を担保し、より高い視聴品質を保つ ⚫ サーバーの分散配置 : 東京・大阪だけでなく地域にもサーバーを設置 ⚫ ピアリングの促進 : 地域ISPやCATVとも積極的にピアリング ⚫ IPv6対応 : 視聴品質(QoE)の向上 ⚫ トラフィックコントロール : 地域ISP/CATVとIX経由でトラヒック交換を強化 ⚫ マルチCDN 構成概念図 Open Cachingの共有 キャッシュサーバーを用いる ことでIPv6に対応し、エン ドユーザーの視聴品質を向上 させることができる : 視聴品質(QoE)をベースにしたコントロール 広域負荷分散(GSLB) ISP内にOpen Cachingの共有キャッシュサーバーを 設置することで、大規模配信と視聴品質の向上を実現 東阪+地域 IX インターネット CDN Cache (東阪・福岡拠点) 東販IXに加えて、福岡で もIX接続を実施し、地域 ISPともトラヒック交換中 CDN Cache (Edge拠点) 地域ISP / CATV 大手ISP / キャリア © J-Stream Inc. All Rights Reserved. ピアリングしていないISPに 対しては、大手DC事業者内 にキャッシュサーバーを設置 30

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まとめ ▶CDNの概要と要素技術について ◼コンテンツキャッシュとユーザーナビゲーションについて ▶CDN最新動向 2024:ピークトラヒック対応とQoEの担保 ◼IPv6対応の実際 ◼マルチCDNとOpen Caching ◼ユーザーナビゲーションとECS • 参考文献 • • 国内CDN事業者によるCDNの仕組みの解説と課題の共有(JANOG47), 高見澤信弘(Jストリーム), https://www.janog.gr.jp/meeting/janog47/cdn/ (2021/01/29) CDNの仕組み(JANOG36), 鍋島 公章(Jストリーム), https://www.slideshare.net/tech_jstream/cdn-intro2015 (2015/07/15) © J-Stream Inc. All Rights Reserved. 31