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September 25, 26
スライド概要
YouTubeで公開した動画に使用した投影資料の共有です(2026/9/25公開)。
■動画の内容
M&A業界には、悪質な買い手を共有するブラックリスト「特定事業者リスト」があります。
日本M&Aセンターの不祥事の報道で、このリストが骨抜きになりうる構造的な問題が見えてきました。
報道の内容と、制度に潜むジレンマをわかりやすく解説します。
■動画URL
【日本M&Aセンター】仲介担当者が顧客にウソを依頼|悪質な買い手リストの構造問題(23分46秒)
https://youtu.be/kxx9ajB2k5E
■出演者
古旗淳一(公認会計士・税理士)
株式会社STRコンサルティング代表取締役
買い手企業担当者としてのバックグラウンドを生かし、独立後は数多くのM&Aの相談に対応。
専門家としての知識と現実的な実務経験、最新の現場情報を踏まえてわかりやすく解説します。
【動画内容の要約】
M&A業界には、M&A後に売り手の経営者保証を外さない悪質な買い手の情報を共有する「特定事業者リスト」というブラックリストがあります。2026年9月、朝日新聞の連載「M&A仲介の罠」で、業界最大手の日本M&Aセンターの担当者が、買い手がこのリストに載らないよう売り手に事実と異なる回答を働きかけていたと報じられ、会社もこの事実を認めて発表しました。「業界にブラックリストがあるから安心」と言えるのか。中小企業M&A専門の公認会計士・税理士が、報道と会社発表の内容、リスト制度の仕組み、そして制度に組み込まれていた構造的なジレンマを読み解きます。
▼ 業界最大手で起きた「リスト逃れ」とは
・報道によれば、株式譲渡後も1億円を超える経営者保証が残っていたにもかかわらず、売り手担当者が「解除済み」と回答するよう売り手に働きかけていたとされる
・会社の発表によれば、担当者は解雇、上司も処分。担当者と情報共有せずに保証解除を確認する運用へ見直した
・売り手と買い手に別の担当者を付ける体制の中で、なぜ売り手担当者が買い手側に立ったのか。その背景の説明と他案件の調査が信頼回復のポイントと考えられる
▼ 「悪質な買い手リスト(特定事業者リスト)」の仕組みと成り立ち
・運営は大手仲介会社が中心となって設立した一般社団法人M&A支援機関協会。2024年10月に運用開始
・60営業日ルール:株式譲渡から60営業日以内に経営者保証が外れなければ、買い手は自動的に登録され、最低10年間掲載される
・リストに情報を上げるのは、案件を担当した仲介会社自身
▼ 制度に組み込まれたジレンマ
・リストが売り手を守る盾として機能するには、載るべき買い手が漏れなく載ることが絶対条件
・一方で、報告する仲介会社にとってリピーターの買い手は大事なお客様。自分の顧客を自分の手で報告しなければならない立場に置かれている
・担当者個人の問題というより、見逃しへの力が構造的に働く仕組み。制度が機能するかどうかは、報告する仲介会社のモラルにかかっている
公認会計士・税理士が中小企業M&Aのセカンドオピニオンサービスを提供するコンサルティング会社です。 普段はYouTubeでM&Aの基礎知識やノウハウを発信しています。 https://www.youtube.com/@STR-MA
日本M&Aセンターで 不正発覚 悪質な買い手リストが 骨抜きに 公認会計士が指摘する問題点
朝日新聞 2026年9月14日から 朝日新聞デジタル 「M&A仲介の罠」新シリーズ 全4回の連載 取り上げられているのは 業界最大手・日本M&Aセンターの不祥事 高市政権 熊本地震 速報 朝刊 夕刊 連載 ランキング トップ 社会 経済 政治 国際 スポーツ オピニオン IT・科学 文化・芸能 ライフ 朝日新聞 > 連載 > M&A仲介の罠VII 中立・公平の限界 > 記事 深掘り 第1回 日本M&Aセンター「不適切な買い手リスト」登録逃れ 担当者は解雇 2026年9月14日 6時00分 有料記事 専任記者・藤田知也 何度もしご連絡申しないです 当社の電話部隊から、保証解除完了 したか?のお電話が再度いくかもし れません。 その際は、賃貸契約・金融機関借入 金含め全件解除した旨、回答いただ ければと思います! M&A仲介の罠VII M&A仲介の罠VII 中立・公平の限界(1) 一通の通知書が6月24日、仲介最大手の日本M&Aセンターあてに差し出された。
先にポイントだけ言いますと 「特定事業者リスト」 = 悪質な買い手のブラックリスト 買い手 売り手の 経営者保証を 外さない 共有 業界内で共有
事件のポイント 買い手 M&A後も経営者保証が まだ外れていない のに 日本M&Aセンターの 売り手担当者 『保証は外れた』と嘘の回答を働きかけ 売り手
これに関しては 解雇された担当者を 庇う余地はない そして、あとでじっくり ご紹介しますが 日本M&Aセンターの対応にも 大きな問題があると思います
売り手さんからすると 「業界にブラックリストがある」 と聞くと、ちょっと安心 吸血M&Aの事件が相次いだ後ですから 悪質な買い手には当たらずに 済むんじゃないか、と思いますよね 売り手 ブラックリストが あるなら 安心だな
ですが今回の事件で M&A仲介業者の 意図的な働きかけで 骨抜きにされる仕組み だということが、はっきりしてしまいました 売り手
会社の発表では 「担当者が悪かった」 「管理体制に課題があった」 ≠ 私の見方 問題の根っこは もっと深刻で、 対処が難しいもの
そこで今回は 1 報道された不祥事の内容と、私の見方 2 このリスト制度の仕組みと、生まれた経緯 3 最初から組み込まれていたジレンマ 本当に足りなかったものは何か
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日本M&Aセンターで発生 「リスト逃れ」の悪質手口
日本M&Aセンターでは M&Aが成立した後、売り手さんの経営者保証が ちゃんと外れたかどうかを、全件確認している ※外れていなかったらブラックリストに登録するため 保証は 外れましたか? 本社の別の部署 確認の電話 売り手
ところが 売り手側の担当だった社員が 実際にはまだ保証が外れていないのに その電話に「解除済み」と 嘘の回答をするよう働きかけ 仲介業者 解除済みって 答えてください 売り手
報道によれば 2025年11月 株式を譲渡
報道によれば 2025年11月 株式を譲渡 2026年3月 1億円を超える 保証がまだ残る
報道によれば 2025年11月 株式を譲渡 2026年3月 1億円を超える 保証がまだ残る 1回目の調査電話 売り手さんは正直に 「まだ解除されて いない」と回答
ところがその後 M&Aセンターの売り手担当者が、買い手側に送ったメッセージ 社内では売主の勘違いだという 空気になっている。売り手が 『保証は解除された』と言ってくれれば それで済む話 要旨 → 買い手経由で売り手さんに転送 出典:朝日新聞オンライン 2026年9月14日 M&A仲介の罠VII 日本M&Aセンター「不適切な買い手リスト」登録逃れ 担当者は解雇
さらに売り手さんのもとには 買い手の役員から 「説明が違っていた。保証の解除は 完了している」と言ってほしい 要旨 担当者本人から直接 経営者保証は全件解除した旨、 回答いただければと思います! 要旨 出典:朝日新聞オンライン 2026年9月14日 M&A仲介の罠VII 日本M&Aセンター「不適切な買い手リスト」登録逃れ 担当者は解雇
売り手さんも、2回目の電話では 「すべて完了した」と 答えを変えてしまった と報じられています 売り手 ……すべて 完了しました
しかし、その後も いつまでも 経営者保証は 解除されない → 買い手との間で もトラブルに → 大きな問題に なって報道 という経緯です
買い手側 取材に対し 「自分たちが主導した事実はない」 社員 2026年7月に解雇、上司も処分 出典:朝日新聞オンライン 2026年9月14日 M&A仲介の罠VII 日本M&Aセンター「不適切な買い手リスト」登録逃れ 担当者は解雇
買い手側 取材に対し 「自分たちが主導した事実はない」 社員 2026年7月に解雇、上司も処分 役員 引責処分は一切発表されていない 2026年9月24日現在
この話を聞いて、私が思ったことは 大きく3つあります
致命的なモラルの欠如 経営者保証が外れているかどうかは 会社を売った後の売り手さんの 人生を左右する話 こんな重大な問題に その場しのぎの対応で やり過ごそうとする姿勢 仲介業者
それより、なんで黙ってたの? 2026年7月 担当者を解雇処分 2026年9月 新聞で報道 この間、M&Aセンターは何も公表せず
この不正の目的は M&A仲介業界でのブラックリストに 買い手が載らないようにするため だったそうです(会社発表) 【出典】日本M&Aセンターホールディングス 2026年9月14日「一部報道について」
ブラックリストの運営団体の代表理事は 日本M&Aセンターの経営トップ、三宅卓会長が務めています 2026年3月・記者向け勉強会にて 「リストの強制力のおかげで、保証が外れない 問題はほとんど聞かなくなった」 (という趣旨の発言) 報道より・要旨 その発言とほぼ同時期に 自社の内部でこのような不正が動き出していた
現場で蓋をしていたら 聞こえないのは当たり前 トップ 現場
これが筋じゃないでしょうか? 自分たちが旗を振っている仕組みの根幹を揺るがす事案なら 1 まず自分から公表する 2 原因調査の結果と再発防止策を公にする 3 業界全体に注意を促す なんで報道されるまで黙っていた?
また現場に騙されたの? 経営は知りませんでした。 現場に騙されました
既視感がありますね 2022年 不正会計 発覚 80人以上の社員が 文書偽造による売上前倒し 社員5名を諭旨解雇するも 経営陣は役員報酬の 減額と降格で済ませていた 詳しくはこちら 日本M&Aセンター 不正決算が発覚。 衝撃の手口 中小企業M&A専門の 公認会計士はこう思っています。
日本M&Aセンターによると 保証解除の確認プロセスを厳格化 担当者と情報共有はせずに確認する運用に すで変えた (会社の発表より)
とはいっても… 成約から2、3か月経ったら 本社の別部署から確認の電話が来る → 現場の担当者は情報共有 しなくても100%知っている 担当者と情報共有しないことで 根本的な解決になるんでしょうか 現場担当者 電話が来る時期 なんて、 知ってますよ
会社の発表を読んでも、見えてこない 1 なぜこの担当者は、お客様に嘘をつかせてまで こんなことをしたのか 2 日本M&Aセンターがマッチングした他の案件で 同様の不正は存在しないのか 過去に80人以上が不正に関与した会社だけど 本当に大丈夫なの?経営陣はまた騙されてないの??
特に、今回よくわからないのは この人が問題を起こした ではなく 買い手 買い手担当者 売り手担当者 売り手
日本M&Aセンターは「売り買い別担当制」 建前 利益相反を緩和すると称して 売り手と買い手で別の担当者 「売り手の担当者は 売り手のために働きます」 → 今回の売り手担当者 明らかに買い手のために 売り手の深刻な問題に蓋して 「被害者」の売り手本人に 嘘までつかせた
じゃあ、なんでこんなことになったんですか? なぜ「売り手」の担当者が 売り手の不利益を促した? ではなく 買い手 買い手担当者 売り手担当者 売り手 買い手の担当者は 知らなかったの? 担当者なのに?
あくまで推測ですが 何らかの人事評価の仕組みとして 特定の買い手に 便宜を図る → 売り手担当者の評価アップ or 買い手側の 不誠実な行動が露見する → 売り手担当者の評価ダウン 担当者の処分とルール厳格化だけで 本当にこの問題は解決するの? 類似事例は本当にないの?
売り買いの担当者分けで 利益相反が防がれる! ⇒ まるで機能していない 仲介業者 私はあなたの 味方です 顧客に不利益を飲ませるための 「仮面」になっているのでは?? と、疑われるかもしれないですね
悪質な買い手リストとは?
簡単に言えば M&Aの後で経営者保証を外さないような買い手の情報を 業界の中で共有するためのブラックリスト 買い手 保証を外さない 情報 特定事業者リスト 共有 業界の仲介会社
運営しているのは 一般社団法人 M&A支援機関協会 大手の仲介会社が中心 になって作った業界団体 代表理事:日本M&Aセンター のトップ・三宅卓会長 信頼できる M&Aを すべての人に M&A支援機関協会は、業界全体のレベルアップを通じて 公正・円滑な取引を推進し、中堅・中小企業の持続的成長
じゃあ、どんな買い手がこのリストに載るのか 2パターンあります 客観的な要件に 引っかかったら 自動的・強制的に登録 or 協会の調査を経て 登録される
その中心が 60営業日ルール 株式を譲渡してから60営業日以内に 売り手さんの経営者保証が外れていなければ その買い手は自動的・強制的にリストに載る
中身はシンプルです 株式譲渡 実行日 60営業日 土日祝日を除いて60日 = 暦では3か月弱 保証が外れていない 強制的に自動で ブラックリスト入り 最低10年間消えない仕組み
経営者保証は 銀行借入の連帯保証だけではありません 事務所や店舗の賃貸契約で 社長が個人で保証人になっている → 大家さんに対する保証も対象 大家さん
要件さえ満たせば、自動的に載っちゃう 良くも悪くも 強烈なルール この「良くも悪くも」の中身は、次の章でじっくりお話しします
もう1つ、覚えておいていただきたいのが このリストに、誰が情報を上げるのか? 案件を担当した仲介会社 報告 協会 特定事業者リスト M&A仲介会社が、 顧客である買い手を「告発」 することで成り立つ仕組み
なんでこんな厳しいリストを? きっかけは、2024年以降 大きな問題になった 経営者保証を外さずに お金だけ吸い取ってしまう悪質な買い手 ルシアンホールディングス事件は こちらをご覧ください。 ルシアンホールディングス事件 なぜ有名M&A仲介会社は 詐欺の片棒を担いだのか? 被害に遭わないポイントも解説
この問題を受けて 中小企業庁 要請というか圧力 → 業界団体 急いで整備 → リスト運用開始
「悪質な買い手リスト」 のジレンマ
まずは大前提のお話から ブラックリストが売り手さんを守る盾として機能するには 悪いことをした買い手を、漏れなくリストに載せること 載るべき人が載っていないリストは、 いくら照会しても意味がありません
60営業日ルール、良くも悪くも強烈と言いましたが 60営業日の間に売り手さんの保証が外れていなければ 悪気があろうがなかろうが 自動的にリストに載ります
誠実に対応しても想定外はある 銀行側の審査が長引く 担当者が異動でいなくなる 大家さんが家賃の値上げ交渉 → 複数の想定外・手違いが重なれば 60営業日は過ぎることがありうる 大家さん 家賃、 上げてくれるなら 考えるよ
そして、いったん載ったら 1 最低10年、消えない 2 M&A業界中に名前が回る 3 それ以降の買収チャンスは大幅に減る 買い手 載ったら社内で 責任問題だ…
報告する側の仲介会社が握っている、という構図 買い手 怖い… 特定事業者リスト 報告して載せる 仲介会社
仲介会社にとって、買い手さんはとても大事なお客様 売り手 M&Aは一生に一回 一見のお客様 VS 買い手 これから何社も買収していく 何度も手数料を払ってくれる 上得意。まさに飯のタネのよう なお客様
つまり仲介会社は 大事なリピーターのお客様を 自分の手でブラックリストに 載せなければいけない立場 これが、この仕組みに 最初から組み込まれているジレンマ 仲介業者 買い手
期限が迫ってきたタイミングで 「ちょっと手違いで、保証解除の 手続きが遅れているんです」 このとき、仲介はどう思う? 買い手 手続きが 遅れているんです…
仲介業者 買い手にも悪気はなさそうだし、 あとちょっとで保証が外れるなら リストに載せるのはかわいそうじゃないか ここは買い手に恩を売っておきたい 何より、あの買い手ともう取引できないのは 俺の営業成績にも響そうだ
うまいこと話を合わせて 保証は解除済みってことに しておきましょうか」 「最低限のモラル」がなければ 簡単にそうなるでしょうね。 仲介業者 口裏合わせて うまいこと 切り抜けましょう
売り手さんも、断れるとは限らない 子会社の社長として働き続けるケースでは 正直に答えられたら グループ全体の経営が難しくなるから 問題ないと答えたほうが穏便ですよ と言われて、突っぱねられるとも限らない 売り手 断れない よなぁ…
担当者は、自分の頭の中で正当化すると思います 本人の言い分 「これは善意だ」 「些細なミスで困っている 買い手さんを 助けてあげるんだ」 = 実態 ただの利己的な見逃し 継続的に手数料を 稼がせてほしいから 本来図ってはいけない 便宜を図っているだけ
こういう見逃しが積み重なると リストに載るべき人が 載らなくなります 今回報道された事件は こういったことの積み重ねによる氷山の一角 発生すべくして発生したトラブルでは?
今回の問題の根源 仲介会社サイドに最低限のモラルがなければ 適切に運用できない、構造的なジレンマを抱えた制度 × そのモラルが全然育っていない状態で × 国からの「圧力」に形だけ応えるかのように 無理やり導入した → だから起きた問題だと思います
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