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May 02, 26
スライド概要
何卒よろしくお願い申し上げます。 一流のIT研修講師を目指し、日々研鑽を続けております。 本資料は外部公開用としてご提供するものです。
現場で話せる・質問できる エンジニアを育てる
本日のアジェンダ なぜ「話せない・聞けない」が起きるのか 01 講師の進め方・授業設計メソッド 05 論文が示す根本原因 今日から使えるステップ 文系女性特有の壁と論文エビデンス マインドセット転換ガイド 02 06 自己効力感とジェンダーギャップ 受講生・講師それぞれへ 主体性を伸ばす3つの理論的柱 実践チェックリスト&参考論文 03 07 Bandura / Edmondson / Vygotsky 現場で使えるフレーズ集 04 質問・報告・相談・話しかける 持ち帰って使う
01 なぜ「話せない・聞けない」が起きるの か 論文が示す根本原因
「話せない・質問できない」受講生に起きていること 「間違えたら どうしよう」 → 質問を 飲み込む → 理解が 止まる → 自信が さらに低下 → 現場でも 黙ったまま 論文が示す根本要因 心理的安全性の欠如 自己効力感の低さ 足場かけの不足 "When people feel they can't speak up without fear of embarrassment, learning stops." — Edmondson & Bransby, Annual Review of Organizational Psychology (2023) "Women tend to be more critical of their abilities and face higher perceived barriers." — Liu et al. (2024) / PMC Gender & SelfEfficacy Study "Learners need structured support at the edge of their capability zone." — Wood, Bruner & Ross (1976) Scaffolding Theory
02 文系女性特有の壁 論文エビデンス:自己効力感とジェンダーギャップ
研究が示す:文系女性IT初学者が直面する特有の壁 2.3× 男性より高い 自己批判度 67% 「間違えるのが 恥ずかしい」 48% 質問せずに 詰まったまま 自己批判と能力評価のギャップ 心理的安全性の重要性(女性特有) ロールモデル効果の証明 女性は男性と同等の能力があっても、自分 の能力をより低く評価する傾向がある。特 にIT・理系分野で顕著。 → Liu et al. (2024), PMC Gender SelfEfficacy マイノリティグループ(女性含む)はチー ム全体より心理的安全性が低い。"The least safe person defines team safety." → PsychSafety.com / Edmondson (2019) 「自分と似た人の成功」を見ることが、女 性の工学への自己効力感と関心を有意に高 める。 → Tandfonline.com (2025) STEM Interventions
03 主体性を伸ばす3つの理論的柱 Bandura / Edmondson / Vygotsky
主体性を支える3つの理論——研修設計の土台 ① ② ③ 自己効力感理論 心理的安全性 足場かけ(ZPD) Bandura, A. (1977) Edmondson (1999/2023) Vygotsky (1978) Wood, Bruner & Ross (1976) 「自分にもできる」という信念が行動を 生む 「間違えても大丈夫」という環境が学習 を生む 「少しだけ難しい」領域でサポートする 小さな成功体験の積み重ねが最強 (mastery experiences) 質問・発言・失敗が歓迎される雰囲気 一人でできる領域の少し外が学習最適ゾ ーン 同じ立場の人の成功を見る (vicarious experiences) 新入り・女性ほど安全性が低下しやすい 段階的ヒント→徐々にサポートを外す 「できる」を言葉で伝える (verbal persuasion) リーダーが「正直に言える場」を作る 「一緒にやってみよう」が最初のステッ プ 実践:Step1だけ・途中提出OK・「合って る!」の即時承認 実践:「いい質問!」「わからなくて当然 」を口癖に 実践:「次何をする?」と問いかけながら 一緒に手を動かす
04 現場で使えるフレーズ集 質問・報告・相談・話しかける—— そのままコピーして使う
フレーズ集①|質問する——「聞けない」を解消する言葉 研究知見:高い自己効力感を持つ学習者は、積極的にフィードバックを求め、失敗リスクを気にせず意見を共有する(Chen et al., 2024 / PMC Self-Efficacy Study) まず確認したいとき 「確認させてください。〇〇は〇〇ということで合っていま すか?」 「Yes/No」で答えられる形にすると相手も返しやすい タイミングを確かめるとき 「今、少しお時間よろしいですか?〇〇についてお聞きした いことがあります。」 冒頭で「何の話か」を一言添えると相手が準備できる 詰まったことを伝えるとき 「〇〇を試したのですが、〇〇になってしまいました。どこ を確認すればよいですか?」 「試したこと」を先に言うと、自分で考えた姿勢が伝わる 理解を確認するとき 「先ほどのご説明、私は〇〇と理解したのですが、合ってい ますか?」 自分の解釈を言うことで、誤解をその場で直せる
フレーズ集②|報告する——結論ファーストで話す 研究知見:「話す構造」を事前に教えることで、発話への不安が減少し、コミュニケーション頻度が増える(Reiser & Tabak, 2014 Scaffolding Theory) PREP法 = 現場報告の黄金公式 P Point 結論を先に言う R Reason 理由・背景を添える E Example 具体例・数字を入れる P Point 最後にもう一度結論 1分報告 「〇〇が完了しました。理由は〇〇です。次は〇〇を予定しています。確認をお願いできますか?」 相談報告 「〇〇について相談があります。現在〇〇の状況で、〇〇と〇〇の2案を考えています。どちらがよいでしょうか ?」 進捗報告 「〇〇は予定通り進んでいます。一点、〇〇で詰まっていますが、〇〇で対応中です。」
フレーズ集③|相談する・話しかける——現場で使う入口の言葉 研究知見:心理的安全性が高い環境では、新入り・女性も積極的に発言し、学習速度が向上する(Edmondson, 2024 APA Work in America Survey ) 相談する 話しかける・場に入る 「〇〇について少し相談させてください。今、〇〇という状 況なのですが…」 「少しよろしいですか?〇〇について確認したいことがあり ます。」 「自分では〇〇と〇〇の2案を考えました。どちらがいいか アドバイスをいただけますか?」 「〇〇さん、今のお話に関連して質問してもいいですか?」 「〇〇を試しましたが解決できませんでした。何を確認すれ ばよいですか?」 「私の理解が合っているか確認させてください。〇〇という ことですよね?」
05 講師の進め方・授業設計メソッド 今日からできる8つの実践ステップ
授業設計 8ステップ——論文根拠つき 開始前に「安全宣言」をする 1 「間違えてOK」「わからなくて当然」を冒頭で明言。心理的安 全性の基盤を作る。 根拠:Edmondson (1999) 小さなゴールを設定する 2 ロールモデルを見せる 3 「似た立場の先輩」の成功例を冒頭に紹介。女性受講生の関心 と自信が上がる。 根拠:Tandfonline (2025) 質問テンプレを渡す 4 即時フィードバックをする 5 「そう、合ってる!」をできた瞬間に。Black & Wiliam (1998) 形成的評価の効果。 根拠:Black & Wiliam (1998) 個人の質問をチームの学びに変える。「○○さんの質問、みんな も気になっていたと思います」 根拠:Edmondson (2024) 「①何が②自分の理解③わからない点④試したこと」の型を最 初に共有する。 根拠:Vygotsky (1978) ZPD ペアワークを入れる 6 「よい質問」を全体に共有 7 Step1だけ・今日の1問だけ。近接目標が自己効力感を高める。 根拠:Bandura & Schunk (1981) 一人で詰まらせず、隣の人と確認する時間を作る。安全な発話 練習になる。 根拠:Vygotsky ZPD 授業後にPDCAを書く 8 Keep/Problem/Tryを5分で記録。講師自身の自己効力感と改善 ループを作る。 根拠:Bandura (1977)
1コマ授業の黄金タイムライン(90分モデル) 0〜10分 安全宣言 + 本日のゴール共有 「今日は〇〇ができるようになります。間違えて当然。まず手を動かす。」 10〜15分 前回復習 + ロールモデル紹介 先輩の一言・前回の「よい質問」を共有してスタート。 15〜45分 インプット + Step1演習 説明→Step1だけやる→「できた?」確認のループ。まずStep1を全員完走させる。 45〜65分 ペアワーク + 質問タイム 隣と確認→詰まった人を講師がフォロー。「よい質問は全体共有」を続ける。 65〜80分 Step2〜演習(個人) 自力でやってみる時間。詰まったら「質問テンプレ」を使って聞く練習。 80〜90分 振り返り & 次回予告 「今日学んだこと3つ」を書く→次回への期待を高めて終わる。
06 マインドセット転換ガイド 受講生・講師それぞれへのメッセージ
Before → After|マインドセットの転換 受講生 Before: 間違えたら恥ずかしい ↓ ✓ After: 質問は「考えている証拠」 受講生 ↓ ↓ ✓ After: 「Step1だけ」で全員を動かす Before: 「教えてあげる」スタンス 講師 ↓ ✓ After: わからないうちに聞くほど成長が速い Before: 全員に同じペースで進める 受講生 ↓ ✓ After: 間違えることが学習そのもの Before: 完全に理解してから聞こう Before: 質問すると「わかってない」と思われる ✓ After: 「一緒に考える」ファシリテーター 講師 Before: 「やる気がない子」と判断する ↓ ✓ After: 「動けない状態」を疑い入口を作る 講師
07 実践チェックリスト 今日から持ち帰って使う
講師用チェックリスト——毎回の授業前後に使う 授業前 授業中 授業後 安全宣言の言葉を準備した(「間違 えてOK」を言う) 「よい質問ですね」を3回以上言った 本日の「よい質問」を記録した(次 回共有用) 本日のゴールをStep1レベルに細分化 した Step1完走を全員で確認した PDCAを5分で書いた( Keep/Problem/Try) ロールモデル(先輩事例)を1つ用意 した 詰まっている受講生に「今どこで? 」と聞いた フォローが必要な受講生を1名特定し た 質問テンプレをプリントor画面共有で きる状態にした 「一緒にやってみよう」でペアワー クを入れた 「来週はStep2へ」という期待を伝え た
参考論文・文献一覧 Bandura, A. (1977). Self-efficacy: Toward a unifying theory of behavioral change. Psychological Review, 84(2), 191–215. Edmondson, A. (1999). Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly, 44(2), 350–383. Edmondson, A. C., & Bransby, D. P. (2023). Psychological Safety Comes of Age. Annual Review of Organizational Psychology, 10, 55–78. Vygotsky, L. S. (1978). Mind in Society: The Development of Higher Psychological Processes. Harvard University Press. Wood, D., Bruner, J. S., & Ross, G. (1976). The Role of Tutoring in Problem Solving. Journal of Child Psychology and Psychiatry, 17(2), 89–100. Black, P., & Wiliam, D. (1998). Assessment and Classroom Learning. Assessment in Education, 5(1), 7–74. Society of Women Engineers (2024). Women in Engineering and STEM: A Review of the 2024 Literature. SWE Magazine. Yamani, N., & Almazroa, H. (2024). Exploring career interest and STEM self-efficacy. Frontiers in Psychology, 15, 1402933. APA (2024). Work in America Survey: Psychological Safety in the Changing Workplace. American Psychological Association. Tandfonline (2025). 'You have exactly what it takes': Two interventions for increasing women's self-efficacy in engineering. European Journal of Engineering Education.
「話せるエンジニア」は 育てられる。 あなたの授業が、受講生の人生を変える。