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October 13, 26
スライド概要
東京大学松尾・研究室が運営する「松尾研LLMコミュニティ」でのイベント資料などを公開します。 ◾️ 松尾研LLMコミュニティとは 松尾研LLMコミュニティは、「大規模言語モデルについて知って学べるオンライン空間」として、東京大学松尾・岩澤研究室が運営するコミュニティです。 現在、学生を中心とした10,000名以上が、原則無償で参加しています。 また、本コミュニティでは様々なイベント等を定期的に開催しております。 是非下記のリンクより参加申し込みをお待ちしております。 ◾️ 松尾研LLMコミュニティの各種リンク ・今後のイベント開催情報/参加申込;https://tr.ee/7d_W4DsImD ・松尾研LLMコミュニティ参加フォーム;https://tr.ee/RyDfuRzS55 ・過去イベントアーカイブ;https://tr.ee/wqdbFJJZ25
医療LLMプロジェクト 概要 患者情報を安全に管理できる環境で使える、最先 端の商用LLMに迫る性能を有する医療業務支援向け 日本語LLMの開発を行うプロジェクト → モデルをウェイト/APIで公開 今回はこのPJで行ったデータ作成についての発表に なります。
チームHOLONとは チームHOLONとは チームHOLONはLLMコンペ2025の決勝チームで ある小野チームが医療LLMに合流した時の名前で す。 本チームとは別に性能向上を目指し、主に小型 モデルの作成やデータの作成を主軸に活動
SDG-LOOMを用いたスケーラブルで高品質なデータ合成 ほーりーふぉっくす
SDG-LOOMとは 概要 LLMによる合成データをスケーラブルに作る ことを目的に作成された 合成データフレームワーク 特徴 高い自由度・共有のやりやすさ・ スケーラビリティの高さ etc..
医療Instructデータの作成 LLMはデータが命 → 高品質なデータがあるだけ欲しい! = SDG LOOMの出番 何を作った? ・キュレーション済みReasoning付きデータ ・医学テスト汎用化データ = これらをSDG LOOMを活用して作成
PIIベンチマーク用データの作成 きっかけ 匿名化処理を挟むことでプロプラエタリモデルを活用したい。 → システムがちゃんと匿名化できるかを確認したい 無加工データ 匿名化データ 安全なモデルで匿名化 高度な回答 高度なモデルで回答を作成
PIIベンチマーク用データの作成 良いベンチマークデータを作成 保有していた匿名化してある医療データ(PII済みデータ)を活用し、それを元に ベンチマークデータを作成 ロジック 匿名化をLLMを用いて仮想データで擬似的に解除した上でまた匿名化させること で、システムの匿名化のうまさを測ることができる!
PAPER & HACKS 102 医療PDFから、 AIが活用できる知識へ 構造化・原文確認・知識の再結合を、実際のPDFで見る 医療特化型LLMを作るには ― データ編 山本高史 | チームHOLON Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 01 / 14
PDFを、検索・学習に使える知識へ変える 担当範囲 入力は医療PDF。ページを画像として読み取り、構造を保つ。 今回の中心 PDF 構造化 原文確認 再結合 活用 文字だけではなく、見出し・表の行列・注記との関係を取り出す。 公開PDFでの説明例。実開発の処理ログや精度測定とは区別する。 Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 02 / 14
表は「文字」だけでなく、列との対応を読む PDF実例|列の対応 見出し+文献 12の行(再配置)| p.82 この紙面で使う手法 列を保った構造化 対象・方法・結果を 同じ研究の行に対応付ける。 列を取り違えると、文字が読めても別の意味になる。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.82/PDF 16ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 03 / 14
表全体を読めるなら、分割しなくてよい 分割の理由 できる そのまま読む 全体を正しく読み取り、 最後まで出力できる? 読み取る範囲を調整 抜け・途中切れ 画像を入力できることと、全内容を出力できることは別。 Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 04 / 14
CQ見出しと本文の関係を、先に確認する PDF実例|段階的な文書解析 第4章「運動療法」/ CQ4-1 ステートメント②の抜粋 先に「章 → CQ → ステートメント」の階層を整理する。 対話で確認した所属先を、切り出しと再結合へ引き継ぐ。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.67/PDF 1ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 05 / 14
長いセルの途中ではなく、行の境界で分ける PDF実例|座標に基づく分割 文献12・13の行|先頭 4列を抜粋 セルの高さが違う 等間隔で切ると、 同じ研究の説明が 途中で分かれてしまう。 行境界を見て切り出す。必要に応じて境界を重ねる。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.82/PDF 16ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 06 / 14
途中の行にも、元の列見出しを添える PDF実例|ヘッダー補完 行だけを切り出した場合 同じ行に、元の見出しを補完 対象・方法・結果の区別を 列の意味を入力側に残し、 文面から推測する必要がある。 推測への依存を減らす。 ※右側は説明のための再配置。原 PDFの連続した切り抜きではありません。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.82/PDF 16ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 07 / 14
小さな補足は、必要な領域を拡大して確認する PDF実例|局所拡大 文献コード欄を小さく表示 同じ領域を拡大表示 拡大して 元画像と照合 研究の種類・レベルなどの 小さな記載も確認対象。 ※表示倍率の比較です。 OCRの精度改善を測定した結果ではありません。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.82/PDF 16ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 08 / 14
形式だけでなく、対象と結論の関係を照合する PDF実例|原文との照合 ステートメント②の実際の記載 対象 評価する項目 結論の範囲 1型糖尿病 血糖コントロール 有効性に一定の見解がない 「何に対する、どの結論か」を、元 PDFと突き合わせる。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 p.67/PDF 1ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 09 / 14
ページが変わっても、同じCQの文脈をつなぐ PDF実例|目次・見出しに沿った再結合 冊子 p.67 の末尾 冊子 p.68 の冒頭 第4章 → CQ4-1 → ページをまたぐ説明 ページ番号を保持し、文の続きを同じ知識のまとまりへ戻す。 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン 2024』第4章 pp.67–68/PDF 1–2ページ目(部分引用) Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 10 / 14
整えた知識を、検索と学習の材料にする 後工程へ 用途に合わせて加工 RAGの検索へ ナレッジベース 根拠と文脈をたどれる知識 本文・表・注記 目次項目 + 出典 合成データ作成・学習へ 加工前のシードデータ シードデータは、完成した学習用 Q&Aとは別の「材料」。 Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 11 / 14
処理の完了と、正確さを分けて考える 結果と限界 確認できたこと それだけでは保証できないこと 3分割 すべての文字・関係が正しい 出力上限に当たったページを 検索・回答が必ず正しくなる 再処理して、完了できた。 処理の完了と、データ・回答の品質を分けて評価する。 Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 12 / 14
まとめ 読み取るために分け、 使うためにつなぎ直す 01 02 03 調べる 保って読む 確かめて戻す 目次・表・注記の関係 必要な分割と見出し補完 原文照合と再結合 モデルへ渡す前に、根拠と条件がつながるデータを整える。 Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 13 / 14
PAPER & HACKS 102 知識を学習できる形式へ 医療関連PDFファイルから再結合された知識を学習データへの変換 医療特化型LLMを作るには ― QAセット作成編 池田新二 | チームHOLON Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 山本高史 01 / 14
学習データの作成 概要:高品質なOCRデータを最大限活かすしたい 1. OCRデータを元にしたSFTデータ(Think付き) 松尾研LLMコンペ2025での方法を発展的に活用 コンペのQiita https://qiita.com/ikedachin/items/e73c5688587acd1227b8 2. Think無しSFTデータにThink付与 元の情報付きのQAセット→ データを辿れるので、Think追加が容易
SFTデータの例 例 { "question": "日本で一番高い山は何ですか?", "thinking": "日本の山の標高を比較する。富士山は標高3,776mで、日本で最も高い山である。", "answer": "日本で一番高い山は富士山です。標高は3,776mです。", "messages": [ { "role": "user", "content": "日本で一番高い山は何ですか?" }, { "role": "assistant", "thinking": "日本の山の標高を比較する。富士山は標高3,776mで、日本で最も高い山である。", "content": "日本で一番高い山は富士山です。標高は3,776mです。" } ] }
SFT用データ作成パイプライン
Think付与 ここを飛ばすだけ
学習データ生成の難しい点1 ニュアンス維持 言い換えで意味が変わる(断定化、要約、数値の欠落など)→プロンプトで対応 OCRデータ 生成データ Thinking/Answer 課題 Aの既往症がある患者に Bの症状 がある場合、方法Cを推奨する Bの症状には方法Cを 実施する 1.条件の欠落 2.推奨から断定へ変化 近年の研究により、 Aの習慣が体内 の代謝機能を活性化させることが 分かってきました。腸内環境の改善 とともに自律神経のバランスが整う ため、日中の倦怠感予防にも効果 的とされています Aの習慣は倦怠感の予 防に効果的です。 要約のしすぎ 内容はダミーです
学習データ生成の難しい点2 ~OCRデータ由来の課題~ 課題:記号や模様を文字として認識 する場合も → 繰り返しデータ ※この図はChatGPTで作 成したダミーです。実際 に存在しません。 実際にあったのは 「L」の連続や、10文字 前後の意味のある文字列 の繰り返し
やり残した改善点1 課題:Batch処理で十分にGPUを使いきれなかった Batch処理 Worker-Pool処理 引用:https://qiita.com/ikedachin/items/b42e79cb7887c3615250
やり残した改善点2 解決策 状態の記録(完了、空出力、エラー、など) 欠落、重複のチェック 失敗したデータを再実行する仕組み ※ダミーです ※実際に実装できたのはデータ提出後(反省点)
これから これから(プロジェクトのあと・・・) ● ● 基礎固め → データ作りから学習、評価まで 日々の追究 ○ ○ ● ● 普段から試行錯誤しておく 好奇心を忘れない 失敗を恐れない 次回のチャンスに向けて準備
PAPER & HACKS #102 LLMにおけるGround Truthを求めて LLMから事実を引き出すには?LLMが見ている事実とは? 医療特化型LLMを作るには ― データ編 田島逸郎 | チームHOLON Paper&Hacks #102 / チーム HOLON / 田島逸郎 01 / 14
問題意識 ● 医療LLMに関する合成データやベンチマークの評 価、実運用においては「LLMが何を事実とみなし ている、みなせるのか」が課題となる ● 合成データ:「〜に関する問題を生成してくださ い」と指示した場合ちゃんと理解しているのか? ● 生成:回答を生成する際に何を見ているのか? ● 推論過程:どんな言語世界の中で推論が走ってい るのか?
合成データ生成で取り組んだこと ● LLMにおける事実を明示的に与える、可視化する ● (1)合成データ生成基盤: ナレッジグラフ・シソーラ スの活用 − 生成のための最低限の事実を与える ● (2)言語世界モデル(Language World Model)の可視 化と活用: World Tuning − ある指示を与えられた時どんな状況を思いかべ るか話してもらう
(1)ナレッジグラフ・シソーラスの活用 ● 幅広いデータを生成するには →専門語彙のリストが必要 − 例えば「〜科の疾病に関する問題を生成して」 と指示した場合、似たり寄ったりになる ● ナレッジグラフ、オントロジー、シソーラス… − 語彙とその関係を体系化したメタデータ ● 医療分野で自由に使えるもの: − Disease Ontology(https://disease-ontology.org/)
(1)ナレッジグラフ・シソーラスを活用した 合成データ生成 ● あまり複雑な構造を作ると時間がかかる →単純なJSONに変換し、条件を与えるとランダム にシードデータを生成→合成データ ● ナレッジグラフとLLMを両方暴れ馬にしてはいけ ない ● 高速に試行錯誤できる体制が必要
(2)World Tuning: LLMはどんな世界を見て生成しているのか ● ある問題に対してLLMが間違える→原因を分析する ● LLMの中の世界では間違っていないのでは? ● 1つの分析方法: Mechanistic Interpretability − ● ある単語の「意味」がどのようにモデル内部で表現されているか を探索する もう1つの可能性: Language World Model − − LLMを与えられた状況において振る舞い生成をしていくモデルとし て捉える 例えば問題からどのような状況が現れるかを言語化させる
(2)World Tuningの動機 SOTA LLMの性能向上は難しい ● 新しい基軸を探る必要がある ● 動機: LLMでは生成もCoTも暴走したりハルシネー ションを起こす →そもそもLLMからこの世界はどう見えているの か? 見え方を正してやれば性能向上できるのでは? ● World Tuning: LLMが見ている世界を可視化し、修 正する ●
(2)World Tuningの試み ● 当時試したこと ● ある問題を与え、その問題を取り巻く情景描写を小説の地 の文の形で生成させる。それに基づいて回答させる ● 再現実験(2026.10) − − − − − Qwen3.8-27B 扁桃炎が悪化した場合の治療について 質問が情景描写の中の活動の形になった ある状況から変化しうるように時間を追って状況が変化した 直接回答と状況付与、それぞれ3回ずつ生成させたところ、 合計で状況付与の方がカバー率が高くなった(19項目のうち 直接回答14, 状況付与19)
(2)World Tuningの試み ● とはいえ、質問回答と状況生成は「異なる形での生成」の 枠を超えなかった ● ではどうチューニングするか?→Instruction Tuningの限界 ● フォローアップ: Language World Model(LWM)研究の系譜 ● 代表例: Qwen-AgentWorld(arxiv:2606.24597)
(2)World TuningからLanguage World Modelへ ● Qwen-AgentWorldの構想 ● AIエージェントは言語で完結するタスクが多い − 検索エンジン、開発環境、シェル、Android、Web、 OS、MCP… ● LLM自体をエージェントが動く環境のシミュレータに − 前から、LLMにコマンドを与えるとそれっぽい出力が出 てくることは知られていた(「Linuxとして振る舞え」) ● 言語世界においては世界モデルを作れるのではないか ● しかし、Instruction-Tuned Modelとは世界観が違うため継 続事前学習からおこなった(Qwen-AgentWorld-35B-A3B)
(2)Qwen-AgentWorldにおける実験 研究中のため、初期観察のみを述べます 行動に対してより状況の変化がリアルになった より状況の一貫性が維持されるようになった ばらつきは少なく、起こることが起こるべくして起こるよ うになった − Qwen3.8-27Bとの対比: 3.8はReasoning Traceを見ると 「より劇的に」などと意図的に揺らしていた ● これらの現象は、言語で閉じていない領域でも適切に状況 をシミュレーションしていた ● ● ● ●
まとめ ● ナレッジグラフによる最低限の事実を含んだシードデータ の注入 ● ある指示を取り巻く状況の可視化 ● 以上は、「LLMがどのようなものを参照して生成を行って いるか」を改善することに関わる ● LLMにGround Truthを与えるだけでなく、LLMにとっての Ground Truthを捉える必要→World Modelへ ● Acknowledgements: − この成果は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・ 産業技術総合開発機構)の委託業務(JPNP25006)の結 果得られたものです。
参考文献 出典:日本糖尿病学会『糖尿病診療ガイドライン2024』第4章 p.82/PDF 16ページ目(部分引用) コンペのQiita:https://qiita.com/ikedachin/items/e73c5688587acd1227b8 引用:https://qiita.com/ikedachin/items/b42e79cb7887c3615250 参考文献: Zuo, Yuxin, et al. "Qwen-AgentWorld: Language World Models for General Agents." arXiv preprint arXiv:2606.24597 (2026).