ブロックチェーンを用いたP2P電力取引に関する研究

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March 30, 22

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小平大輔 - 筑波大学エネルギー・環境系助教。現在の研究テーマは、電気自動車の充電スケジューリング、エネルギー取引のためのブロックチェーン、太陽光発電とエネルギー需要の予測など。スライドの内容についてはお気軽にご相談ください:kodaira.daisuke.gf[at]u.tsukuba.ac.jp

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各ページのテキスト
1.

ブロックチェーンを用いた P2P電力取引に関する研究 2022/2/7 1

2.

Agenda 共通する原理 • • • 研究背景 ブロックチェーンとは 日本の電力取引 各研究発表 • 「板寄せ」「ザラ場」方式を用いたP2P電力取引の手数料比較 (7318138 バグスサントソ) • 新規ユーザー・既存ユーザー間で約定取引を行なった際の手数料比較 (7318017 伊藤大翔) • P2P電力取引におけるインバランス精算の検討 (7318189 吉村英) 2

3.

● 研究背景 2019年11月より、PVの余剰電力買取制度の 買取期間満了を迎える 今まで….「電力会社に売る」「自家消費する」 これから…. ブロックチェーン技術を用いたP2P電力取引 3

4.

● ブロックチェーンとは ネットワークに接続した複数のコンピュータによりデータを共有し、デー タの耐改竄性・透明性を実現する技術である。 ブロックチェーンシステム 従来の中央集権型システム 運営者 サーバーへの直接攻撃に弱い 情報を全PCで管理しているため 改竄できない 4

5.

● ブロックチェーンとは-メリット コスト低減 自動契約機能 $ 管理運用面で従来のシステムと比 較し、大幅な中央管理コス トの低減の可能性がある 取引参加者の要望に応じて 自動的に契約が実行される 5

6.

● ブロックチェーンとは- Gas費用の算定 Gasの総量 = ステップごとのGasの総和 ステップ名 内容説明 Gas費用 STOP 実行の停止 0 ADD 加算 3 MUL 乗算 5 DUB 減算 3 3 Gasは何円相当の手数料? 6

7.

● ブロックチェーンとは – 手数料計算 支払う手数料[円] = 取引にかかるGas総量[Gas] × Gas price[円/Gas] 取引希望者が提示: 高い値の取引が優先される 取引希望者 例えば… 0.0006 [円] = 3 [Gas] × 0.0002 [円/ Gas] ADD(加算)の取引:約0.0006円の手数料 Gas総量 大 取引コスト 大 7

8.

● 問題点と目的 問題点: • 取引の計算量の増加と共に、手数料が増大(金銭的損失 増大) • 先行研究:取引内容による手数料の増加影響が未検討 目的:具体的な取引における手数料の算定 • 約定方式の検討 • 参加方式の検討 • 精算方式の検討 8

9.

「板寄せ」「ザラ場」方式 を用いたブロックチェーン P2P電力取引の手数料比較 9

10.

AGENDA ・背景/問題 ・研究目的 ・手法 ・結果 ・まとめ 10

11.

・背景/問題 背景 先行研究 → 板寄せ方式が主 • • 板寄せ方式の参加者人数と計算時間の関係 板寄せ方式での計算量の策定 板寄せの問題 • 任意のタイミングで取引できない (ex. 1時間毎等) • 約定しにくいため、取引自体が成立しづらい ザラ場のメリット:任意のタイミングで取引可能、約定しやすい 11

12.

・研究目的 ユーザーにメリットの大きいザラ場での手数料(Gas)を検証し、板 寄せに比べて実用的かを明らかにする (板寄せ vs ザラ場)比較内容: ・ 1取引あたりの手数料 ・P2P電力取引の参加者が増えた場合の手数料増加 12

13.

・手法-板寄せ方式 ①プログラムの有効化 スマートコントラクト 電力事業者 売り手 ②入札:5人 1. 入札 ③ 板寄せを実行 ④入札:売買 2人追加 買い手 2.板寄せ約定 ⑤ 板寄せを実行 ②入札:5人 参加人数を2人から10人へと増加させて検証 13

14.

・手法-ザラ場方式 ①プログラムの有効化 電力事業者 スマートコントラクト ② 入札:5人 売り手 1. 入札 ④入札:売買 2人追加 &取引実行 2.板寄せ約定 買い手 ③ 板寄せを実行 3. 入札&ザラ場取引 ② 入札:5人 参加人数を2人から10人へと増加させて検証 14

15.

・結果 -全取引の合計Gas手数料 12 Gas [×106] 10 8 参加人数 6 2 4 6 8 10 ザラ場 4 板寄せ 2 0 2 3 4 5 6 参加人数 [人] 新規参加者10人: • 総手数料が約4.2万円板寄せが有利 • 総取引数がザラ場が有利 7 ザラ場 取引数 3 3 5 5 9 8 板寄せ 取引数 3 3 5 5 6 9 10 15

16.

・結果 -1取引ごとのGas手数料 1取引ごとのGas [×106] 3.5 3 ザラ場 2.5 板寄せ 板寄せ 約10.7万円 2 1.5 ザラ場 1 約7.6万円 0.5 0 2 3 4 5 6 7 8 9 10 参加人数 [人] 新規参加者10人: • 1取引あたりの手数料が約3.1万円ザラバが有利 16

17.

・まとめ [目的] ユーザーにメリットの大きいザラ場での手数料(Gas)を検証し、板寄 せに比べて実用的かを明らかにする [結論] ・実装する場合は「ザラ場方式」を用いることが理想的である。 ・「板寄せ」「ザラ場」ともに1取引に約7~11万円のコストがかかるた め、小規模取引にはあまり向かない。 17

18.

Ethereumを用いたP2P電力取引に おけるオープン市場の定量的評価 18

19.

アジェンダ ・研究の背景 ・研究の目的 ・測定フロー ・結果・考察 ・結論 19

20.

Gasが生じる 研究の背景 スマートコントラクト 新規売り手 約定取引 オープン市場 スマートコントラクトの外 部からの市場参加にかかる Gasが多くなる。ただし、 参加者は集まりやすい 新規買い手 既存売り手 既存買い手 Gasが生じない クローズ市場 スマートコントラクト 一度市場参加すれば、それ 以降Gasはかからないが、 参加者が集まりづらい 約定取引 既存売り手 既存買い手 20

21.

研究の目的 ・オープン市場の課題 市場参加者(出入り自由な参加者)を多く募りたいが、参加/退場 が増える登録のためのGasが高騰 新規の参加者が増加することによって、増大する手数料を定量 的に評価する 21

22.

測定フロー オープン市場における約定取引 電気事業者 新規の売り手と買 い手をスマートコ ントラクトへ10人 分追加し、既存取 引者とランダムに マッチングさせ約 定取引を行う スマートコントラクト 新規売り手 入札 マッチング 約定取引 新規買い手 既存売り手 既存買い手 22

23.

測定フロー クローズ市場における約定取引 電気事業者 スマートコントラクト 入札 既存売り手 マッチング 約定取引 市場に参加した既 存取引者の中から、 ランダムに毎回10 人を選択し、売り 手と買い手として マッチングさせ約 定取引を行う 既存買い手 23

24.

システムにかかるGasの総和 [×105] 結果・考察 - 追加人数とシステムにかかるGas 追加人数とシステムにかかる Gasは比例関係 人数を追加していくにあたり... 平均10.9%の差が生じた 市場参加人数 [人] 24

25.

結果・考察 - 一取引あたりにかかるGas 6] 一取引あたりにかかるGas [×10 [× 10 ] 一取引あたりのGas = 参加者が支払うGas 一取引あたり….. 平均9.9%の差が生じた 日本円に換算すると... 平均705.2円の差が生じた 市場参加人数 [人] 25

26.

結論 ・オープン市場はクローズ市場とGas比較すると、システム全体では人数を追加して いくにつれて平均10.9%上昇、一取引あたりで平均9.9%上回ってしまうと判明 オープン市場は新規の参加料が高くなるため、現在のブロックチェーンプ ラットフォームでは非合理的になってしまう 26

27.

ブロックチェーンを用いた P2P電力取引における インバランス精算の検討 27

28.

Agenda • • • • • • インバランス 問題/背景 目的 測定方法 結果および考察 まとめ 28

29.

• インバランス- 発生原理 取引当日(天候:曇り) 取引前日(翌日の予報:晴天) 売 り 手 取引時間 売: 30 kwh 入 札 買 い 手 買: 30kwh 約 定 供給: 20 kwh 不足: 10kwh イ ン バ ラ ン ス 精 算 時間 気象条件等の変化によりインバランスは必ず発生する 29

30.

• 問題/背景 取引日 売 り 手 売: 30 kwh 入 札 買 い 手 買: 30kwh 約 定 イ ン バ ラ ン ス を 予 測 供給: 20 kwh 不足: 10kwh 売: 10 kwh 入 札 約 定 取 引 実 行 手数料が多くなってしまう イ ン バ ラ ン ス 精 算 時間 30

31.

● 目的 1. インバランス精算の取引と本取引とのガス手数料の比較 2. インバランス調整によるガス手数料の削減の評価 31

32.

● 測定方法-フロー ① プログラムの有効化 スマートコントラクト (ブロックチェーン上) 売り手 ② 入札 約定(本取引) ③ 電力事業者 インバランス精算 買い手 ④ インバランスが許容範囲内で あれば処理は実行されない ガス手数料を 比較 32

33.

• インバランスは不足と 余剰は均等ではない 不足と余剰で別々に 許容率を設定する必要 許容率を変動して いったときのGasを 測定 60 50 <-10 -10<X<-9 -9<X<-8 -8<X<-7 -7<X<-6 -6<X<-5 -5<X<-4 -4<X<-3 -3<X<-2 -2<X<-1 -1<X<0 0<X<1 1<X<2 2<X<3 3<X<4 4<X<5 5<X<6 6<X<7 7<X<8 8<X<9 9<X<10 10<X<11 11<X<12 12<X<13 13<X<14 14<X<15 15<X<16 16<X<17 17<X<18 18<X<19 19<X<20 >20 • 該当コマ数 [コマ] ● 測定方法-データ インバランス率ごとの分布(2021年8月1日~8月10日) 70 約5割 ← → 変動 変動 40 -10許容範囲外 -5 -2 許容範囲内 0 +5 :余剰 :不足 :許容率 30 20 10 0 +10 +15 許容範囲外 +20 インバランス率範囲 [%] 33

34.

● 結果および考察 余剰のみ インバランス許容なし • インバランスを一切許容しない と本取引よりガス手数料を消費す る 不足インバランスの許容を増や すと、手数料Gasを削減できる 実際に発生しているインバラン スに応じて、インバランス許容 率を設定する必要がある 本取引コスト 60 取引コスト × 10 [𝐺𝑎𝑠] • 不足のみ 50 40 30 20 10 0 0 2 4 不足インバランス率 [%] 6 0 5 34 10

35.

● まとめ • インバランスを許容することでインバランス精算の際の手数料 Gasを本取引以下に抑えられることが可能 • 時間帯でインバランスの許容率を変動することが必要 35

36.

総括 3名の研究より ・ネットワークへの参加 ・実用的なザラバ運用 ・インバランス精算 すべての面において、手数料が現実的ではない (サービスで得られる対価に見合っていない) 現状のブロックチェーンプラットフォームを用いた P2P電力取引は非合理的である 36

37.

付録 37

38.

・背景/問題 板寄せ方式 売り手 取引 買い手 定刻になったら 全員まとめて 取引実行 ザラ場方式 売り手 相互条件が揃い 次第取引実行 買い手 取引 or 揃わなかった場合 ストック 板寄せの取引数 < ザラ場の取引数 38

39.

● ブロックチェーンとは- 取引 ブロックチェーン ネットワーク 取引実行 取引希望者 $ 報酬 (Gas) 取引記録 ネットワークに記録するための 計算資源を提供 39

40.

● 取引の方法 – 板寄せ方式 Aさん :40 kWh :30 円/kWh で買いたい! 人名 買い手 kWh 価格 [円/kWh] A 40 30 Bさん :30 kWh 29 売り手 kWh 人名 30 B 28 :29 円/kWh このような表にストックされる この表を「板」と呼ぶ で売りたい! 再募集 人名 買い手 kWh 価格 [円/kWh] 売り手 kWh 人名 人名 買い手 kWh 価格 [円/kWh] 売り手 kWh 人名 30 40 E A 40 30 40 E C 20 29 30 B 28 30 D 29 A,B,C,Dさんを29 円/kWhで取引させる 何が起こった?→詳しく説明します 板情報が変わら ず 定刻になったら 28 さらに新しくC,D,Eさんが参加 ストックされる 40

41.

● 取引の方法 – 板寄せ方式 取引をする価格(約定価格)を定める方法 人名 A なぜ29 円/kWh(約定価格)で取引するのか? 買い手 kWh 価格 [円/kWh] 売り手 kWh 人名 お互いがwin-winになっているため 40 30 40 E A:30 円/kWh→29 円/kWh 安く買える 10 D:28 円/kWh→29 円/kWh 高く売れてる C 20 29 30 20 B このように取引を行なった全員が 28 30 D より良い条件で取引を行えている! 41

42.

● 取引の方法 – ザラ場方式 Aさん :40 kWh :30 円/kWh で買いたい! 人名 A 買い手 kWh 10 40 価格 [円/kWh] 売り手 kWh 人名 30 B 30 29 28 A:30 円/kWh→29 円/kWhで安く買える! Bさん :30 kWh :29 円/kWh で売りたい! B:29 円/kWh→29 円/kWhで希望通り売れる! どっちもloseにならない 条件が揃ったため取引実行 条件が揃わなかったら板にストック 42

43.

● 日本の電力取引 日本卸電力取引所(以下、JEPX)では 「シングルプライスオークション方式」 を採用しており、30分毎に取引が行われている 43

44.

● 日本の電力取引– シングルプライスオークション方式 1,000 :売 :買 800 入札価格(円/kwh) 600 400 約定価格 200 出典: http://www.jepx.org/market/index. html 10,000 20,000 30,000 40,000 入札量 [MW] 50,000 60,000 70,000 44

45.

● インバランス – 料金単価の算出(市場) インバランス料金単価 [円/kwh] 市場価格 インセンティブ定数 系統全体が不足ならα>1, 余剰なら0<α<1 系統全体が不足なら加算, 余剰なら減算 系統全体が不足である方が インバランス料金は高騰する 45

46.

● インバランス – 各調整項について:α αには、そのコマで生じたインバランスが取引されたと仮定し、 その場合の仮想的な入札曲線の交点を求め、その価格と実際の約 定価格の比率がαとなる ※系統全体が不足ならばα> 1、余剰ならば0 <α< 1となる 46

47.

● インバランス – 各調整項について:β βの算定式は以下の通り β=当該エリアの年平均需給調整コスト-全国の年平均需給調整コスト • • X 需給調整コストの算定:需給調整コスト • 算定フロー ① ② ③ Y 火力・水力の可変費 実績ベース 火力・水力の総発受電量 上記算定方法に基づく実績値を、各エリアの一般送配電事業者が一般 送配電業務の収支の一環として公表 国は監査を行ったうえで、全国平均値を公表 各エリアの一般送配電事業者は、上記算定式で計算したXと国が公表 したYに基づき計算 47

48.

● インバランス – インセンティブ定数 • 概要 インバランス料金によって需給一致を促すインセンティブが十 分に働いていない場合があるため導入。定数は経済産業大臣が定 めた額(系統全体が不足であれば加算、予剰であれば減算) • 目的 1. 不足インバランス料金を上げ、不足インバランス発生を抑制し、 市場での調達を促す 2. 余剰インバランス料金を下げ、余剰インバランス発生を抑制し、 市場への供出を促す 48

49.

0 <-10 -10<X<-9 -9<X<-8 -8<X<-7 -7<X<-6 -6<X<-5 -5<X<-4 -4<X<-3 -3<X<-2 -2<X<-1 -1<X<0 0<X<1 1<X<2 2<X<3 3<X<4 4<X<5 5<X<6 6<X<7 7<X<8 8<X<9 9<X<10 10<X<11 11<X<12 12<X<13 13<X<14 14<X<15 15<X<16 16<X<17 17<X<18 18<X<19 19<X<20 >20 該当コマ数[コマ] ● 測定方法-Simulation条件 インバランス率ごとの分布(18:00) 3 2 :余剰 :不足 1 10 5 0 5 10 15 20 インバランス率範囲 [%] 49

50.

0 <-10 -10<X<-9 -9<X<-8 -8<X<-7 -7<X<-6 -6<X<-5 -5<X<-4 -4<X<-3 -3<X<-2 -2<X<-1 -1<X<0 0<X<1 1<X<2 2<X<3 3<X<4 4<X<5 5<X<6 6<X<7 7<X<8 8<X<9 9<X<10 10<X<11 11<X<12 12<X<13 13<X<14 14<X<15 15<X<16 16<X<17 17<X<18 18<X<19 19<X<20 >20 該当コマ数 [コマ] ● 測定方法-Simulation条件 インバランス率ごとの分布(11:00) 2 :余剰 :不足 1 10 5 0 5 10 15 20 インバランス率範囲 [%] 50

51.

● 測定方法-用語 名称 説明 備考 約定量 1回の取引で約定された取引量 前日に約定 システムプライス 需要と供給の交点の価格 許容率 不足あるいは余剰 インバランス率の許容範囲 インバランス率とは約定量と取引 実績量の差分の割合 Prosumer(生産消費者) PVシステムで発電でき、EVや 蓄電池等で電力需要もある 電力を売買できる (今回の場合は売電のみ) Consumer(需要家) EVや蓄電池等で電力需要がある 電力の買電のみ 合計電力量 [kwh] 買い注文:価格の一番高い電力量から加算 売り注文:価格の一番低い電力量から加算 取引実績値 [kwh] ConsumerがProsumerから受け取った 電力量の実績値 [kwh] 入札価格 [ETH/kwh] 51

52.

● 測定方法-板情報 Prosumer 合計電力量 [kwh] 223802900 入札電力量 [kwh] 223802900 入札価格 [ETH/kwh] Consumer 入札電力量 [kwh] 合計電力量 [kwh] 取引実績値 [kwh] インバランス率[%] 70 23390400 23390400 22537716 -4 49 23372750 46763150 23822052 1 39 22962300 69725450 21627191 -6 36 22718850 92444300 22507120 -1 34 22584950 115029250 21461670 -5 32 22005350 137034600 24418273 10 31 23066050 160100650 27211978 17 23 21374200 181474850 23385458 9 22 21534900 203009750 21404943 -1 20 20793150 223802900 20706458 -1 約定価格 52

53.

結果(11:00) 60 不足インバランス許容率:6% 不足インバランス許容率:4% 不足インバランス許容率:2% 不足インバランス許容率:0% Agreement cost 50 transaction const [×10^4 Gas] ● 40 30 20 10 0 0 5 余剰インバランス許容率 [%] 10 53

54.

● ブロックチェーンとは-トランザクション 特徴 • 「取引記録」のこと。 誰でも閲覧可能 • 一度記録すると変更・ 改竄は不可 • 訂正には新しい追加が 必要 記録する際に 手数料Gasが発生 取引量・日時等etc… 54

55.

測定フロー ②既存参加者-新規参加者のマッチング ①既存参加者同士のマッチング 既存取引者同士で ランダムにマッチング ザラバ取引を実行 10人分繰り返す 既存取引者-新規参加者で ランダムにマッチング 10人分繰り返す ザラバ取引を実行 55

56.

測定方法 使用機器 ・MacBook Air (Retina, 13-inch, 2020) 使用ツール ・Remix IDE(Solidity言語のコントラクト作成・コンパイルを実 行してくれる開発ツール) ・Excel(売り手・買い手のランダムなデータを生成) 56

57.

イーサリアムを用いたP2P電力取引 における手数料削減を行う導入策 57

58.

アジェンダ ・研究の背景 ・研究の目的 ・測定方法 ・結果・考察 ・まとめ 58

59.

研究の背景 参加者が負担するGas(手数料)の削減が必要 59

60.

研究の目的 新規売り手 スマートコントラクト 約定取引 既存参加者同士のマッチング 新規買い手 既存売り手 既存買い手 既存参加者-新規参加者のマッチング 1. 2. Open: スマートコントラクトの外部からのデプロイにか かるGasが多くなる。ただし、参加者は集まりや すい Close:一度デプロイすれば、それ以降Gasはかか らないが、参加者が集まりづらい 60

61.

研究の目的 問題: ジレンマ: Good! Openの市場で参加を多く募りたい(出入り自由) Bad! 参加/退場が増えると、登録のためのGasが高騰 目的: 新規の参加者が増加することによって、増大する手数料を定量 的に評価する 61

62.

測定フロー 既存参加者同士のマッチング 電気事業者 スマートコントラクト 入札 既存売り手 マッチング 約定取引 市場に参加した 既存取引者の中か ら、ランダムに毎 回10人を選択し、 売り手と買い手と してマッチングさ せ約定取引を行う 既存買い手 62

63.

測定フロー 既存参加者-新規参加者のマッチング 電気事業者 新規の売り手と 買い手をスマート コントラクトへ10 人分追加し、既存 取引者とランダム にマッチングさせ 約定取引を行う スマートコントラクト 新規売り手 入札 マッチング 約定取引 新規買い手 既存売り手 既存買い手 63

64.

システムにかかるGasの総和 [×106] 結果・考察 - 追加人数とシステムにかかるGas 追加人数とシステムにかかる Gasは比例関係 既存参加者同士のマッチングの方が システムにかかるGasを削減 人数を追加していくにあたり... 平均10.9%の差が生じた 市場参加人数 [人] 64

65.

結果・考察 - 一取引あたりにかかるGas 一取引あたりにかかるGas [×106] 一取引あたりのGas = 参加者が支払うGas 既存参加者同士のマッチングの方が 平均9.9%のGasを削減 日本円に換算すると... 平均7052円の削減 市場参加人数 [人] 65

66.

まとめ 本P2P電力取引では、既存参加者同士のマッチングが既存-新規参加者のマッチングで 取引を行うより、システム全体では人数を追加していくにあたり平均10.9%、一取引 あたりで平均10.2%のGasを削減できると判明 既存参加者同士がマッチングする機会の多い導入が望ましい 新規の参加料が高くなりすぎるため、現在のブロックチェーンプラ ットフォームでは非合理的になってしまう 66