2022_新型コロナウイルスの電力需要予測への影響

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March 30, 22

スライド概要

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小平大輔 - 筑波大学エネルギー・環境系助教。現在の研究テーマは、電気自動車の充電スケジューリング、エネルギー取引のためのブロックチェーン、太陽光発電とエネルギー需要の予測など。スライドの内容についてはお気軽にご相談ください:kodaira.daisuke.gf[at]u.tsukuba.ac.jp

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各ページのテキスト
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新型コロナウイルスによる 電力需要予想の変化 2022/1/14 1

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目次 1. 研究背景 2. 研究内容 3. シミュレーション概要 4. シミュレーション結果 5. 考察と今後の課題 2

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研究背景 ・2020年1月に初めて日本で確認された新型コロナ ウイルスによって人々の行動様式は急激に変化した ・電力需要予測は電力の安定供給、経済的な発電設備 の運用のために高い予測精度が求められる ・コロナウイルスの影響で電力の予測精度にどの程度の差が出るのか検証する ・複数の手法(アンサンブル学習)を用いることで高い精度での予測を行う 3

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シミュレーション概要 <予測に用いるデータ> 時間(年月日、時刻、曜日) 天気(雲量に合わせて4段階に分類) 最高気温 <予想に用いるモデル> K-means法 ニューラルネットワーク Long Short-Term Memory(LSTM) <結果の評価> 平均絶対誤差率(MAPE) 平均平方二乗誤差(RMSE) 4

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シミュレーション概要 (①K-means法) ①各データに対してk個のクラスタをランダムに割り振る ②距離に基づいて各クラスタの中心を計算する ③各データとクラスタの中心距離を求め、各データを最も近いクラスタに割り当てる ④上記の処理で全てのクラスタの割り当てが変化しなくなるまで繰り返す → → → 5

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シミュレーション概要 (②ニューラルネットワーク) 人間の脳神経のニューロンを数理モデル化したもの 入力に対して得られる出力が適切となるように出力との誤差を教師信号として 与えることで結合負荷を定める 入力層でデータを入力し、 その値に重みをかけて結果 を出力層から書き出す。 入力層 中間層 出力層 6

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シミュレーション概要 (③LSTM) ニューラルネットワークでは過去の学習情報を持続することができない。これを 勾配消失問題という。 →セルの内部に情報を長期的に保存するための変数(LSTMBLOCK)を持った LSTMを用いる 入力層 中間層 出力層 通常のニューラル ネットワーク LSTM LSTM BLOCK 7

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シミュレーション概要 (アンサンブルモデル) 三つのモデルを組み合わせたアンサンブルモデル は以下のように定めた 予測値𝑦ො𝑡𝑖 𝑦ො1𝑖 各予測の重み = ෡𝑡𝑖 𝑝𝑡 𝐾 K-means + 𝒂𝒓𝒈 𝒎𝒊𝒏 𝒑𝒕 ,𝒒𝒕 ,𝒓𝒕 𝕐𝒊 ≔ ෡𝒊 ≔ 𝕐 𝑞𝑡 𝐿෠𝑖𝑡 + ニューラル ネットワーク ෡𝒊 𝕐𝒊 − 𝕐 𝒚𝒊𝟏 , 𝒚𝒊𝟐 , 𝒚𝒊𝟑 ෝ 𝒚𝒊𝟏 , ෝ 𝒚𝒊𝟐 , ෝ 𝒚𝒊𝟑 𝑦2𝑖 電力 𝑦ො𝑡𝑖 ෡𝑡𝑖 𝑟𝑡 𝑀 LSTM 各予測の予測結果 𝑦1𝑖 … 誤差 実測値𝑦𝑡𝑖 𝑦ො2𝑖 𝟐 … 𝒚𝒊𝟗𝟔 …ෝ 𝒚𝒊𝟗𝟔 𝑖:日付 𝑡:時刻 (1 < i < 96 ∶ 1hを4分割 ×24h) (実測値) (予測値) 時刻 図1 アンサンブルモデルのイメージ 誤差が最小となるように 時刻ごとに重みpt , q t , rt を決定 8

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シミュレーション概要 (予測条件) 使用データ:東京電力 学習データ:コロナ前 コロナ中 予測データ:コロナ前 コロナ中 2019/1/1~2019/12/31 2020/8/1~2021/7/31 2020/1/1~2020/1/31 2021/8/1~2021/8/31 Ⅰ.コロナ前のデータを学習に用い、コロナ前の期間の予測を行う Ⅱ.コロナ前のデータを学習に用い、コロナ中の期間の予測を行う Ⅲ.コロナ中のデータを学習に用い、コロナ中の期間の予測を行う 1度目の 緊急事態宣言 学習データ(1年分) 2019/1/1 学習データ(1年分) 予測データ (1ヶ月分) 12/31 2020/1/31 3/13 8/1 予測データ (1ヶ月分) 2021/7/31 8/31 9

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シミュレーション結果 Ⅰ コロナ前のデータを学習に用い、コロナ前の期間の予測を行う 学習データ:2019/1/1~2019/12/31 予測データ:2020/1/1~2020/1/31 アンサンブルモデルを用いた結果 をグラフとして使用 MAPEの平均:10.56% RMSEの平均:103.83[万kw] 図2 MAPEの日別ヒストグラム 図3 1月14日の予測結果 10

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シミュレーション結果 Ⅱ コロナ前のデータを学習に用い、コロナ中の期間の予測を行う 学習データ:2019/1/1~2019/12/31 予測データ:2021/8/1~2021/8/31 MAPEの平均:14.78% RMSEの平均:155.33[万kw] 図4 MAPEの日別ヒストグラム 図5 8月1日の予測結果 11

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シミュレーション結果 Ⅲ コロナ中のデータを学習に用い、コロナ中の期間の予測を行う 学習データ:2020/8/1~2021/7/31 予測データ:2021/8/1~2021/8/31 MAPEの平均:12.77% MAPEの平均: RMSEの平均: RMSEの平均:136.42[万kw] 図6 MAPEの日別ヒストグラム 図7 8月1日の結果 12

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6000 結論 5500 5000 1日の平均電力需要量は0.77%減少(コロナ後) 需要[万kw] 4500 4000 3500 3000 2500 月別比較で8月の1日の電力需要量は 1.2%増加(コロナ後) 2000 1500 8/1 8/15 2020年 8/31 2019年 図8 コロナ前後の8月の電力需要量 シミュレーション精度 コロナ前&コロナ前>コロナ後&コロナ後>コロナ前&コロナ後 コロナ前後で電力需要の形態は異なる→データは分ける コロナ後は時期で人々の行動様式が異なる→時期を分けてシミュレーションを行う 13

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これ以降予備スライド (質疑対応用) 14

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背景:コロナウイルス前後で予測精度の差を調べた研究は見当たらなかった。 電力需要の最大値は4500万kw程度で最低は2500万kw程度 結論(予備用) 1日当たりの平均電力需要量はコロナ後の方が0.77%下がっていたが、シミュレーション結果ⅠとⅡを比較する と明らかにⅠの精度の方が高かった。 月別で比較すると8月はコロナ後の方が1日当たりの平均電力需要量は1.2%増加していた。 シミュレーションⅠとⅡの結果を比較してもⅠの精度の方が高かった。 コロナ前とコロナ後では電力需要の形態が異なっているのでデータは分けて考える必要がある。 コロナ後は時期によって人々の行動様式が大きく異なるのでさらに細かく時期を分けてシミュレーションを行 うとより精度の高い予測ができる可能性が高い。 15

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予備スライド ・ある1日の電力需要のbset結果 コロナ前&コロナ前 2020/1/14 MAPE 4.19% RMSE 47.76 コロナ前&コロナ後 2021/8/18 MAPE 8.51% RMSE 92.78 コロナ後&コロナ後 2021/8/9 MAPE 3.56% RMSE 40.40 16

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予備スライド ・コロナ前と後で需要が変化した要因を細かく分析した資料の結果 参考文献→電力中央研究所 社会経済研究所 上席研究員(西尾健一郎)主任研究員(向井登志広) 早稲田大学 コロナ禍の外出自粛により生活リズムが変化 2020.9.11 田原優さん 2020年3月の時点では20%程度だったテレワーク実施率が4月では50%それ以降も 12月までは50~45%程度に急増している。 早稲田の研究によると特に10代から30代で平日の寝る時間、起きる時間が遅くなり 夜型の生活リズムになっている。休日には特に変化が見られなかった。 コロナ前と比べて2020年3月以降の1年間で対象1.2万世帯の平均年間電力需要は約 4%増加した。特に4月,8月,2021年1月の3ヶ月が顕著に増加していた。8月では午 後に10%の増加、1月は夕方に10%の増加がそれぞれ見られているため、エアコン による影響が大きいことがわかる。また、平日の方が休日より変化が大きかった。 17

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予備スライド ・コロナ後の電力需要の変化 参考文献 東京電力2020年度第3四半期決算報告 ENECHANGE株式会社 https://enechange.co.jp/news/press/survey-electricity-consumption-2020/ 東京電力の発表で、販売電力量が2020.4-12月の方が2019.4-12月と比べて91.2%と なっており、減少していることがわかっている。そのため、全体としての電気の需 要量は減少している。 一方で一つ前のスライドで紹介したように家庭の電気使用量は増加している。なぜ このようなことが起こるかというと家庭以外の電気使用が影響している。業種別に 見ると2019年4月と比べ、2020年4月の電気使用量はパチンコで33.8%、ホテルで 31.9%、飲食店で21.2%、物量倉庫で19%、オフィスで13.8%それぞれ低下してい る。この急激な低下が影響している。 18