Mixed Reality を用いた製造業向け遠隔作業支援システムの開発

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September 12, 23

スライド概要

2023/7/10に開催されたUnity産業DXカンファレンスの講演スライドです。
講師:高階 知巳(株式会社ニコン)

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リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。

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各ページのテキスト
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Unity 産業DXカンファレンス 2023 Mixed Reality を用いた製造業向け 遠隔作業支援システムの開発 (株)ニコン 映像ソリューション推進室 Principal Member of Technical Sta ff 高階知巳 博士(工学)

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講演者 高階 知巳 (たかしな ともみ) 博士(工学) (株)ニコン / Principal Member of Technical Staff 映像ソリューション推進室において、Mixed Reality を用いた 製造業向けの遠隔作業支援システム開発のプロジェクトマネー ジャを務める。 2018年から、産業・アカデミア向けのVRアプリケーションの 開発に取り組み、バーチャルな実験室からリアルな顕微鏡を操 作できるVR顕微鏡の開発事例などを発表。 情報科学をバックグラウンドとし、著書「プログラミングR」 (オーム社)がある他、Rの日本人初のアドオンパッケージ rimage の作者でもある。 fi Nikon Con dential

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目次 1. Unityによる最初のプロジェクト: VR顕微鏡 2. (株)ニコンのビジネス分野 3. 高額装置のフィールドサービスと遠隔支援の必要性 4. 既存遠隔支援ソリューション検討で見つかった課題と対策 5. 開発したシステム 1. ジェスチャー共有 2. 支援者による画質コントロール 3. 外部カメラ連携 6. Unityで業務アプリケーションを開発する上での課題と対応 7. まとめ Confidential 3

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Unityによる最初のプロジェクト: VR顕微鏡 VRを活用し 顕微鏡の共有やコラボレーション 操作方法のアシスト 3D再構成像観察 を実現 バーチャル実験室 リアルな顕微鏡と連動 顕微鏡による3D再構成像を3Dで観察 4

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VRの国際会議 VRST2018 にて発表 Tomomi Takashina and Yuji Kokumai. 2018. Virtual reality environment to support activity in the real world: a case of working environment using microscope. In Proceedings of the 24th ACM Symposium on Virtual Reality Software and Technology (VRST '18) 「VR空間で顕微鏡操作 視野360度 ニコンが観察システム」 日刊工業新聞 2018年12月20日 5

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(株)ニコンのビジネス分野 (一部) Imaging Solution Development 【Confidential】 6

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高額装置のフィールドサービスと遠隔支援の必要性 Imaging Solution Development 1. 熟練者不足によるボトルネック: ユーザを待たせたり、大量のバックオーダを抱えたりしている 2. 出荷台数が少なかったりカスタム品もあり、マニュアル類の完成度が高くない場合がある 3. トレーニングするにもトレーニング用の実機の数が限られている 4. 感染症等で出張に行けない場合がある 遠隔支援システムにより 熟練者が現地に移動せず一般作業者を支援 【Confidential】 7

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既存製品での遠隔支援の検討時に見つかった課題と対策 Imaging Solution Development HoloLens2アプリの 自社開発によって解決 1. クラウドを使用しなくてはならないという制約 → オンプレミス版 2. ネイティブ話者ではない相手には、言語だけでは足りない → ジェスチャー 3. 光学部品は黒いものが多いが、既存の遠隔支援システムの映 → 支援者による画質調整 像だと、しばしば黒潰れして見えない 4. 望遠鏡や顕微鏡像の接眼像を支援者と共有したいが、MRデ バイスでは覗き込むことができない → 外部カメラの活用 Unityの出番! 【Confidential】 8

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開発したシステム リアルタイムに作業者の視野を共有 MR (Mixed Reality) 機能で熟練者の指示を伝達 Microsoft HoloLens2 + 支援者オフィス Nikon Software 特長 1. 遠隔でも正確な判断ができるカメラ メーカーならではの画質制御 2. 外付けカメラ併用で頭部カメラでは 観察できない対象もOK 3. 選択できるネットワーク(オンプレ ミスへの対応) 製造現場

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システム構成 クラウド使用時の接続 オンプレミス版の接続 クラウド 拠点B: 支援者 遠隔支援サーバ 通信中継PC Gateway LAN 拠点A: 作業者 Mobile WiFi WAN Gateway Gateway 遠隔支援サーバ LAN LAN WiFi 作業者用 支援者側もHoloLens2 を使うことは可能 支援者用PC HoloLens2 HoloLens2版アプリ PC版アプリ Confidential

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基本的な使い方 作業者側 (HoloLens2) 映像・音声 コミュニケーション テレビ会議 資料共有 対象物マーキング 支援者がマウスで指示 通信 支援者側 (PC)

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ジェスチャー相互通信 ジェスチャー共 有 3Dモデルと手でリアルタイムにコミュニケーション 3Dモデルとジェスチャーの相互共有 Imaging Solution Development HoloLens2 もしくは 変換 ダウンロード 投影 3Dモデルを共有 3Dモデルがない場合の運用例 ① 熟練者(教育する側) CAD図 3Dモデル 相手の3Dモデルと座標合わせをして 現物の物体でジェスチャー共有 ※1 遠隔共有 遠隔共有 HoloLens2 変換 ダウンロード 投影 3Dモデルに合わせて相手の手モデルを表示 ② 作業者(教育を受ける側) 現物の物体を互いに座標合わせして 相手の手モデルを表示 今回のデモでは ① ②のハードウェア、3Dモデルを映ソで用意致します 12

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"Nikon D6" (https://skfb.ly/osyBy) by The Clipping Path Service, LLC. is licensed under Creative Commons Attribution (http:// creativecommons.org/ licenses/by/4.0/)

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支援者による画質コントロール 他社製品では苦手な対象でもニコンなら長年のノウハウに基づく 画像処理で見えます 他社製品 ニコン 黒 い 部 品 の 詳 細 が 潰 れて し ま う 黒 い 部 品 で も 詳 細 が 見 える ※白い部品が潰れるような場合にも対応 14

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外部カメラ連携 外部カメラ連携でMRデバイスのカメラだけでは見えない対象も見ることができます マク ロ レンズ で 観 察 接 眼 レンズ 像 の 観 察 装置背面の計器など別 視点観察 MRデバイスでは近づけない MRデバイスでは覗けない MRデバイス側から見えない 外部カメラの映像は 作業者 : MRデバイス装着者の視野に重畳表示 支援者 : PC画面に表示(MRデバイスのカメラ映像も同時に表示) 16

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Unity で業務アプリケーションを開発する上での課題と対応 1. Unityでゲーム以外に開発できるのか? 2. 映像の通信処理の実現 3. ビジネスアプリケーションではありそうなGUIパーツがない 18

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Unity でゲーム以外に開発できるのか? Native Plugin の利用例 1. [究極のオブジェクト指向] Unityって、まさにオブジェクト指向だと 思います。3D空間に配置したオブジェクトに対して、それぞれその 振る舞いを記述するスクリプトを割り当てる。 リアルなスマートフォンを仮想空間 から操作するデバイス制御で使用 (ISS 2018) 2. [言語の拡張性] C# なので、何でも書ける。C#で書かれたライブラリ はだいたい使える。C# で済まないものは Native Plugin を使えば良 い。 3. [実空間と仮想空間の重ね合わせ] MixedRealityアプリケーション開 発は、仮想空間と実世界を重ね合わせて開発するので、Unity を使え ば、仮想の3D空間に対して書くように、実世界に対しても書くこと ができる。(例)「対象物マーキング」という機能は、レイがメッシュ にあたった座標を求めることにより実現。 結論として、Unityでゲーム以外の開発、もちろんできます! 19

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映像の通信処理の実現 1. WebSocketSharpを使用する。これで、通信するソフトウェアはたいてい何でも作れます。 2. スレッドを使わなくてもプログラムが書けます。 1. WebScoketのクライアント側では、映像を受け取ると受信処理の中で、映像表示を管理す るオブジェクトに映像データをセットします。 2. 映像表示のオブジェクトの Update 関数の中で実際の表示処理をします。 3. Unity の動作ループは、オブジェクトリストを順番に Update() 関数を呼ぶ形なので、1ループ の処理時間が基本1サイクルになります。 4. 1ループの処理時間が遅くなると、画像の更新が遅くなるので、Unity Profilerを活用し、時間が かかっている処理を調べたり、ガーベージコレクション(GC)の影響を分析して、対策をとるこ とができます。 20

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ビジネスアプリケーションではありそうなGUIパーツがない 1. ボタン、スクロールバー、リスト構造、ツリー、レイアウトなどは、Unityに用意されていない。 2. 対策: 自分でオブジェクトを作るしかない。 こういうGUIパーツは用意されていないので Title Title Item Item Text Text Item Item Text Text Item Text こういうのは開発チームが作りました 21

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まとめ 1. 既存遠隔支援ソリューションでの課題 2. ニコンの遠隔支援ソリューションの特長 3. Unityで一般アプリケーションを開発する上での課題と対策 ニコンの遠隔支援ソリューションは、2024年4月販売開始を目指して開発の最終段階に入っています 販売開始前の説明/デモ/トライアルを希望される方がいらっしゃれば、下記までご連絡ください E-mail: info.remote@nikon.com 22