ICH-E6(R3) GCPガイドライン案について

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August 24, 23

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ICH-E6(R3) GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)ガイドライン案について、GCPを読み比べて変更点を洗い出しました。

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関東の私立病院CRCです。 SMO-CRCを経て、病院CRCへ転職し、CRC歴15年以上。 新人時代にGCP全文読んだ後、改訂の度に全文読み直すので、CRCの中ではGCPフリークス? なお、個人的な活動のため、個人名は伏せています。

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各ページのテキスト
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ICH-E6 (R3) GCP (Good Clinical Practice) 医薬品の臨床試験の実施の基準 ガイドライン案について 日本のとある病院CRC

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はじめに ➢この資料 • 案の段階の話 ⇨案から変わる可能性がある • J-GCPではなくICH-GCPについての話 ⇨J-GCPに落とし込まれる時に日本 (厚生労働省) の意図が盛り込まれる可能性がある • ICH公式も含め概要の説明しか公開されておらず、項目ごとの変更一覧的な公開はなく、 イギリスMHRAの解説ブログ等をまとめにして作成しました • ざっくりとした方向性の把握と今後の方向性を考えるためのツールとして利用下さい • 重要ポイントはスライド右上に マークを付けています 2

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 3

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 4

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ICHとは ➢ICH • 医薬品規制調和国際会議 • International Council for Harmonisation of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Useの略称 ➢歴史 • 1990年に発足し、日米欧の規制当局・産業界が創設メンバー • 2015年ICH改革によりスイス法人化 (各国の規制当局・国際業界団体に門戸拡大) • メンバー20団体、オブザーバー36団体 (2022年12月現在) ➢目的 国としての参加をマッピング (他に団体参加もある) • 共通のガイドラインを作成し、医薬品への審査等の標準化を目指すもの • 現在、70以上のガイドラインが整備され、薬事規制に取り入れられている ICH Webサイト https://www.ich.org/ 第22回CRCと臨床試験のあり方を考える会議,2022 in 新潟事前教育オンデマンド配信E7: Up-to-date “ICH-GCP” 2022年12月8日 第4回ICHフォーラム:ICH Efficacy Guideline Update PMDA最新動向 5

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ICHガイドラインの区分 品質 25個 Quality 安全性 15個 Safety 有効性 22個 Efficacy ➢ ICH-E6 (GCP) • 医薬品の臨床試験の実施の基準 Good Clinical Practice • 治験を実施するためのルール • 有効性の6番目のガイドライン= E6と も呼称 • 区別が必要な場合 • ICH-GCP ICHのGCP • J-GCP 複合領域 9個 日本のGCP • 改訂履歴 • ICH-GCP Multidisciplinary • ICH-GCP (R2) 1996年合意 2016年合意 ※RはRevision ICH Webサイト https://www.ich.org/ 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 6 PMDA最新動向

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GCP改訂 [ICH-GCP (R3) ] の段階 ステップ1 技術文書案の 合意 ステップ2 ガイドライン案 の採択 ステップ3 ガイドライン案 公表と意見公募 =パブリック コメント ICH 2023/5/24~ 日本 2023/7/10~ ステップ4 ガイドラインの 採択 (英文) 2024/8-9予定 ステップ5 実装: 各国の規制当局 からガイドライン =日本:通知発出 2025頃? ✓ 方向性を把握出来る重要な機会 • 国際臨床試験はステップ4 (ICH-GCP) で動く⇒ステップ5 (J-GCP) まで待つと出遅れる ✓ アカデミア側から意見を言える貴重な機会 • ICHは規制当局・産業界の集まりのため ✓ パブリックコメント開始済みの国・地域 (2023/7/10現在) • EU、イギリス、米国、カナダ、スイス、中国、シンガポール、台湾、ブラジル、日本 ICHの動向 2022年5月ICH総会・管理委員会 (ハイブリッド・アテネ) 報告 2022年7月7日を改変 ICH E6 (R3) EWG Work Plan January 03, 2022 7

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 8

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和訳に関する補足 ➢ガイドライン案の和訳に関する補足 • 意見募集の対象のE6 (R3) ガイドライン案 (日本語) は、国内規制とは切り離し、 原文に対する和訳として作成 ➢和訳にあたって • 治験や治験責任医師は使用していない • Clinical trialは、E6 (R3) の対象が介入試験であることから観察研究も含む臨床研究 ではなく、臨床試験とした ➢日本語における用語については、E6 (R3) を国内規制に取り入れる際に 改めて検討 9

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和訳に関する点 1 ➢GCP (Guideline for Good Clinical Practice) 医薬品の臨床試験の実施の基準 医薬品の臨床試験の実施に関する基準 ➢investigational product 治験薬 臨床試験薬 ➢Investigator 治験責任医師 試験実施責任者 ➢Sponsor 治験依頼者 スポンサー 10

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和訳に関する点 2 ➢integrity 完全性 インテグリティ (完全性) ➢ [形容名詞] 誠実さ、高潔、品行方正 完全 (な状態) 、統合 (情報・統計値などの) 正確性、信頼性 全体が1つの強力な単位としてまとまっている、または維持されている状態 ➢ ICH E9、E6を作成した専門家作業グループの認識 • Keep it as it is (それをあるがままの状態に保つこと) • Make every effort to keep it as it is (それをあるがままの状態に保つためにあらゆる努力を行うこと) • どのように誠実さを維持するかを含んだ概念と捉えられていた • 日本語訳では「完全性」と訳され、意味が明確に伝わっていない可能性がある ➢ Integrityを維持するための行動原理は「現場保全」 ロングマン辞典 https://www.ldoceonline.com/jp/ 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 東大病院 R5年度国公私立大学医療技術関係職員研修 医療機関に求められる品質管理/データマネジメント 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会データサイエンス部会 小宮山靖 2023/06/21改変 11

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 12

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主な新しい点 (要約) 1. ICH E6 (R3) の構造 2. GCP適応範囲の明確化 3. 質重視/質管理のアプローチ転換 4. 重要な業務に焦点を当てる 5. 役割と責任の明確化 (responsibility) 6. ステークホルダーの参画 7. 新しい試験デザインや技術の促進 8. その他 13

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まずは…臨床試験の重要性を強調 ➢原則 (Principles) 前文 • 臨床試験は、臨床研究の根幹を成す • 適切にデザインされ、実施された臨床試験は、信頼できる結果をもたらし、試験参加者の 安全性の確保に役立つ • 適切にデザインされていない臨床試験はリソースを無駄にし、試験参加者の安全を危険に さらす可能性がある • GCPの原則 (Principles) • 広範な臨床試験に柔軟に適用できるよう設計されている • 熟慮の上、検討及び計画することを推奨する • 各臨床試験について、試験の質の確保に関連する要因を慎重に検討する必要がある 14

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新しい点 01 - ICH E6 (R3) の構造 ➢明確化と読みやすさのための新たな構成 ICH E6 (R3) 付属文書1 (Annex1) 付属文書 2 (Annex2) 介入試験を対 象とした考慮 事項 介入試験を対 象とした追加 の考慮事項 ICH-GCPの原則 序論 ICH-GCPの原則 付属文書 1 1. 臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 (IRB/IEC) 2. 試験実施責任者 3. スポンサー 4. データガバナンス - 試験実施責任者とスポンサー • 技術、方法論、試験デザインが進歩 する中でも適用可能な原則 (principles) • AnnexesとAppendices (将来的に更新 しやすくなるようにという意図) 用語集 付録 付録 A. 臨床試験薬概要書 付録 B. 臨床試験実施計画書及びその改訂版 青字は 付録 C. 臨床試験実施における必須記録 大幅改訂 15

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新しい点 02 - GCP適応範囲の明確化 ヘ ル シ ン キ 宣 言 日本のGCP ICH-GCP (R2) 治験 治験 治験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 医師主導・企業主導 製造販売後臨床試験 ICH-GCP (R3) 介入臨床試験 介入臨床試験 介入臨床試験 非介入臨床研究 非介入臨床研究 非介入臨床研究 (疫学研究を除く) (疫学研究を除く) (疫学研究を除く) 第1条 GCPは人を対象とする研究の計画、 序文-ガイドラインの適応範囲 本基準は、 (中略) 実施、記録、および報告に関する倫理 本ガイドラインは、規制当局へ 治験 (医薬品の製造販売承認申 的及び科学的な質の国際基準である。 の提出を意図した臨床試験薬 請の際に提出すべき資料のうち 本ガイドラインは、規制当局に提出 の介入臨床試験に適用される 臨床試験の試験成績に関する資 する臨床研究データを作成する際 本ガイドラインは、地域の要件に に従うべきものである。 従い、製造販売承認申請の裏付け 本ガイドラインの原則は (中略) 他の とすることを目的としない、臨床 臨床研究にも適用され得るもの 試験薬のその他の介入臨床試験に 料の収集を目的とする試験) の科 学的な質及び成績の信頼性を 確保することを目的とし… も適用される場合がある • 医薬品を含まない他の試験へのガイドラインの適用を抑制することが目的 (MHRA) • E6 (R3) を日本へ実装の際、どこまで適応とするかは関係各署と調整する (2023/7/28 PMDA大庭) • 日本はGCP省令(治験)の中でProportionalityを実装する方向? 医療機器GCP、臨床研究法への影響は?(2023/7/28 国がん中村) 国際共同試験ポケット資料集 2022年版 P.69 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog 16 https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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ICH-GCPガイドラインの位置づけ 異口同音に発言 ➢要求事項 (Requirement) ではなく、あくまで指針 (Guidance) • ガチガチのルール ⇒ 原理原則を共有し、考えさせる指針へ (製薬協: 小宮山) • ICHガイドラインで示されるのは基本的には原則 • 書いていないからこの手法を使うことが出来ないという必要はない • ガイドラインが出ると書かれている言葉の通りに解釈をする形になりがちだが、 適用にあたってはガイドラインの記載の意図も含めて理解すること (PMDA: 安藤) • GCPは、どうすれば信頼性が保たれた環境で参加者の安全性を担保しながら試験を 行うかというガイドラインである。Principlesを充実させたので読んで欲しい (PMDA: 小室) • アカデミアの立場としては、1番変わる点だと思う (国がん: 中村) • チェックリスト的なGCPの使い方ではない、原則を大事にする考え方 • 日本は、手順としてのGCPを思い浮かべる • 一方、欧米の研究者は、手順としてのGCPではなく、考え方としてのGCPに基づいてる • 日本の研究者は、「考え方のGCPである」と頭の切り替えが必要 (国がん: 中村) • GCP案にある“Should”は、ICHガイドラインは「べきである」や「必要がある」の解釈ではなく、 「推奨」と解釈し、これがベースの考え方だと理解するのが一般的 (製薬協: 小宮山) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 安藤友紀、小室美子、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 東大病院 R5年度国公私立大学医療技術関係職員研修 医療機関に求められる品質管理/データマネジメント 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会データサイエンス部会 小宮山靖 2023/06/21改変 17

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新しい点 03 - 質重視/質管理のアプローチ転換 後向きなアプローチ 前向きなアプローチ (QbD : Quality by Design) ➢ 「画一的な」アプローチを取っていた ➢ 目的に合った (目的への適合性) アプローチを 奨励 ➢ 事後的な確認を中核とする後向きな Current State アプローチ ➢ 何が起きるかを先回りして考え、事前に質を Future State 作り込むこと (Quality by Design) を前提と する前向きなアプローチ ➢ 質に関する重要な要因 (CTQ要因) という概念 の導入 試験参加者の権利、安全性及び福利の保護、信頼性の 高い意味のある結果を得るための質に関する重要な 要因 (CTQ要因:Critical to Quality Factor (s) ) ➢ 何が重要か恣意的に決めることが可能 ➢ CTQ要因に直結するリスクに優先的に対処 ➢ 適切なリスクベースアプローチ ➢ 適切なリスクベースアプローチ (リスクに比例したアプローチ) (リスクに比例したアプローチ) 「臨床試験の一般指針」の改正について薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 東大病院 R5年度国公私立大学医療技術関係職員研修 医療機関に求められる品質管理/データマネジメント 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会データサイエンス部会 小宮山靖 2023/06/21改変 18

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補足 前向きなアプローチに必要なこと 異口同音に発言 ➢前向きなアプローチ (QbD Quality by Design) に必要なこと • CTQ要因に重点を置いた検討を行う • 試験が備わっているべき特性、目的を達成するために持っているべきスペックが何かを考え、優先順位 をつけて対応する (PMDA: 坂口) • プロトコル特有の大事な点を挙げる (同意プロセスなど試験共通の重要な点は含めない) • 重要なことは何かを決め、プロトコルに書いて施設と共有し、リスク管理を行う (製薬協: 小宮山) • 現行GCPはリスクの同定から開始したが、改訂GCPはその上にCTQ要因が乗る形へ • 同意プロセスなど試験共通の重要な点は、組織のルーチンとして質を作り込むことが当たり前の時代に • CTQ要因に対し自組織としてどんなリスクがあり、リスクが顕在化しない (問題とならない) よう 予防措置を自組織なりに講じるか…という対応能力が必要 (製薬協: 小宮山) • 組織の品質管理システム (QMS Quality Management System) が大事である • ルーチンは組織のQMSで回し、試験特有のCTQ要因は開始時に特定してQMSを回す • 組織のQMSの上で、CTQ要因に合わせてフレキシブに変えることが重要 (国がん: 中村) 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.1 臨床試験におけるクオリティ・バイ・デザイン 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 坂口宏志、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 3.2 CTQ要因 19

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新しい点 04 - 重要な業務に焦点を当てる ➢ 重要な業務に焦点を当てることにより、効率性を確保する • 臨床試験は規模、複雑さ、費用において大きく異なる • 各試験に関わる優先事項及びその優先事項に関連するリスクを慎重に評価し、試験の目的を達成するために 重要な業務に焦点を当てることにより、効率性を確保することができる ➢ GCPの原則 • GCPの原則は、広範な臨床試験に柔軟に適用できるようにデザインされている • この包括的原則は、臨床試験の実施に対して柔軟な枠組みを提供するものである ➢ 柔軟性を欠く画一的なアプローチは推奨されない (ICH-E8 3.3.1) • ツールやチェックリストだけに頼るのではない • 柔軟性を欠く画一的なアプローチは推奨されない ➢ 本質的な活動に労力を集中すべき (ICH-E8 3.3.1) • 試験結果を患者と公衆衛生にとって信頼でき意義があるものとし、かつ参加者のために試験を安全で倫理的 に実施するために、本質的な活動に労力を集中すべきである 20 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.2 CTQ要因 3.3.1開かれた対話を支える文化の形成 3.3.2試験に不可欠な活動への集中

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補足 Proportionate (proportional) 異口同音に発言 ➢Proportionate (proportional) [形容詞] 釣り合った、見合った、比例した • 臨床試験の中で重要なポイント (PMDA: 大庭) • 目的を考えた試験の質 • 限られたリソースの中での効率的な質 (PMDA: 小室) • 日本人はまじめなので手間をどんどんかけようという方向になりがち • 一般に日本では政府がルールを定め、民間はそれに従うという思考法になりがちである • 逆に民間が具体事例をもって政府に提案するという方向のアクションが最適化には重要 • 海外と議論すると、医薬品開発の効率化の観点がかなり入っている • 重要な因子に注目して、それ以外は注目しないことを忘れずに (国がん: 中村) • one size fit all=“万能” “どんな場合でも適用できる” “画一的”の考え方が通用しない • これさえやれば大丈夫!があれば人は楽だが、事態はそうではない • なぜこれが必要か?を考え、本当に必要なことに焦点を当てる • 今回を機にマインドセットを変えることは重要 (国がん: 中村) 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 3.2 CTQ要因 ロングマン辞典 https://www.ldoceonline.com/jp/ 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 大庭泉、小室美子、国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 2023/2/9 日本臨床試験学会第14回学術集会総会 シンポジウム S2-1 特定臨床研究の薬事利活用の手続きと合理化 国立がん研究センター (国がん) : 中村健一 21

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新しい点 05 - 役割と責任の明確化 ➢臨床試験における役割と責任の明確化 • スポンサー又は試験実施責任者は、それぞれの業務の一部又は全てを委託又は委任できるが、 それぞれの業務に対する全責任はスポンサー/試験実施責任者が負う • 業務をサービス提供者に委託又は委任する場合、試験データの品質及びインテグリティを 含む試験実施の責任は、それぞれスポンサー又は試験実施責任者にある • スポンサー/試験実施責任者は、前述の業務について、それぞれ適切な監督を継続する • 新しいタイプの試験の場合 (分散型臨床試験 (DCT Decentralised Clinical Trial) など) の、 各々の責任の所在の明確化 (PMDA: 大庭) • 臨床試験責任者がe-Consent を使う場合であっても、スポンサーがシステム会社と契約や提供 するケースなどの責任 • 様々なスキルや資格が必要 (例 データサイエンティストの要件) • ベンダーやCRO (医薬品開発業務受託機関 Contract Research Organization) の事前評価 ICH E6 (R3) Principles (Draft Version: March 2021) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 22 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 大庭泉

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新しい点 06 - ステークホルダーの参画 ➢stakeholder [名詞] (事業・組織などの) 出資者、利害関係者 ➢ステークホルダーの参画 • 試験のデザインは、適切な質と意味のある試験結果を確保するため、 ステークホルダー (例 | 患者及び (又は) 医療従事者) の視点により支持されうる • ステークホルダーからのインプットにより、試験参加者と将来の患者の両方にとって 意味のある試験結果が得られる可能性を高めることができる • 近年、患者等を中心とした医薬品開発及び承認審査等の取組みが国際的にも重要視され、欧米の規制当局 では各種会議や関連ガイドライン策定への患者等の参加が進められている • 国内では、PMDAより「患者参画ガイダンス」が2021/9/7に公表された • 更に、製薬協の「Patient Centricity に関するガイドブック」やAMEDの「患者・市民参画 (PPI) ガイド ブック」により各企業、アカデミアにおける製品開発や臨床試験での取組みが本格化する等、患者参画に 係る動きが活発化している ロングマン辞典 https://www.ldoceonline.com/jp/ 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 独立行政法人医薬品医療機器総合機構 (PMDA) 患者参画ガイダンス 令和3年9月7日 23 PMDA 患者参画検討ワーキンググループ

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新しい点 07 - 新しい試験デザインや技術の促進 ➢臨床試験デザイン、技術、運用手法における革新を促進するための言葉 • 革新的な臨床試験デザインを促進する 例:分散型臨床試験 (DCT | Decentralised Clinical Trial) な要素 • 実用的 (pragmatic) な要素を活用した臨床試験 • 日常的な臨床診療に近い試験を反映した臨床試験 • ウェアラブルやセンサーなどの革新的なデジタルヘルス技術 (DHT | Facilitate the use of Digital Health Technologies) によって、試験の実施にあたって可能となる アプローチが拡大されうる • このような技術を既存の医療インフラに組み込むことで、臨床試験における様々な 関連データソースの使用が可能となる 24

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新しい点 08 - その他 ➢ 「試験の実施」を使用 • 計画から報告までのプロセス (必要に応じて、計画、開始、実施、記録、監督、評価、解析及び報告 業務) が含まれる • GCPガイダンスが対象とする活動の範囲を拡大するため ➢ ICH-GCPガイドライン上の定義 • 臨床試験薬 investigational product の用語は、医薬品 (drug、medicine、medicinal product) 、 ワクチン及び生物学的製剤と同義とみなす ➢ 革新的な臨床試験デザイン、公衆衛生上の緊急事態/パンデミック • 革新的な臨床試験デザインからの学びや公衆衛生上の緊急事態/パンデミックからの教訓の取り入れ ➢ 臨床試験の透明性の確保の奨励 ➢ インフォームド・コンセント • プロセスをさらに充実させる 25 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 26

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ICH E6 (R3) 原則 1 倫理的原則 (R2の2.1、2.2、2.3、2.7、2.11) 1 • 特定の試験参加者集団が不必要に除外されないようにする インフォームド・コンセント (R2の2.9) 2 • 試験に関連する諸側面を考慮する (詳細は後述) 3 IRB/IECによる審査 (R2の2.6) • 適用される規制要件に従って定期的に審査する 科学的妥当性 (R2の2.4、2.5) 4 • 試験の変更が必要かどうかを判断するため、科学的知識及びアプローチを定期的に レビュー 適格な者 (R2の2.8) 5 • 臨床試験の全ての段階を通じて、様々な専門知識を有しトレーニングを受けた者が 必要となる場合がある (例 | 試験コーディネーター trial coordinator) 27

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ICH E6 (R3) 原則 2 質 (強いて挙げるならR2の2.13 (過剰な解釈や比例性の欠如があったため直接盛り込まれていない) ) 6 • 得られる情報の質と量は、適切な意思決定を支援するものでなければならない リスクに相応のアプローチ 7 • 試験参加者の安全と結果の信頼性に焦点を当てる • 標準的な医療に伴うリスクを超えるリスク 実施計画書 (R2の2.5) 8 • 適切にデザインされた実施計画書は、試験参加者の保護及び信頼できる結果を得る ための根本となる • 実施計画書及び試験を実施するためのその他の文書 (統計解析計画書、データマネジ メント計画書、モニタリング計画書) は、明確、簡潔かつ運用上実施可能なものである べきである 28 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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ICH E6 (R3) 原則 3 信頼できる結果 (R2の2.10) • 試験プロセスは、試験の主要な目的を支持するものである必要がある • 臨床試験には、データのインテグリティの適切な管理を通じて、記録を管理するための 効率的かつ適切に制御されたプロセスを組み込むべきである • 臨床試験の透明性には、公的にアクセス可能なデータベースへの登録及び臨床試験の結果 の公開が含まれる 9 役割と責任 10 • スポンサーによる業務委託及び試験実施責任者による業務の委任について明確化 • 適切な監督の継続 臨床試験薬 (R2の2.12) 11 • 臨床試験薬は、治療の割付けと一致する方法で、該当する場合、盲検性が維持される 方法で管理されなければならない • 試験参加者に提供される臨床試験薬の品質は保持されているべきである 29

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 30

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試験参加者 Trial Participant 被験者 試験参加者 Subject / Trial subject Trial Participant Current State Future State • 臨床試験に参加する一部の人々から侮蔑的な意味で捉えられていたため • Patient Centricityの考え方を反映 • Patient Centricity とは「患者中心」を意味する概念で、Patient Engagement 、 Patient Involvement、 Patient Public Involvement といった言葉も同義語と して使われる • データを生み出すSubject (被験者) からParticipant (参加者) を中心に添えた 考え方へ (製薬協: 小宮山) 2022/12/9 第4回 ICHフォーラム: ICH Efficacy Guideline Update 医薬品医療機器総合機構 (PMDA) : 坂口宏志、日本製薬工業協会 (製薬協) : 小宮山靖 「臨床試験の一般指針」の改正について 薬生薬審発1223第5号 令和4年12月23日 患者の声を活かした医薬品開発 製薬企業によるPatient Centricity 2018年 6月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会 タスクフォース3 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ 31

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アセント Assent アセント Assent 臨床試験に参加することに対する未成年者の肯定的な意思の表明 • 同意又は不同意を示す表現がないことを、アセントと解釈してはならない 他のICHガイドラインからGCPへの明記 ➢ ICH-E11 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 2000.12.15 2.6.3 インフォームドコンセント及びインフォームドアセント (両親/法的保護者及び小児被験者からの同意) • 被験者から臨床試験に参加するための,アセント (法的規制を受けない小児被験者からの同意) を 取得すべきである (年齢はIRB/IECや適合する国の法的要求により決定される) 。 対象 根拠 同意文書 (コンセント) 代諾者 (法的保護者) GCP 省令 50 条 アセント文書 小児被験者 (概ね中学生以上) 法的根拠なし (IRB・試験責任者の判断) アセント 小児被験者 (概ね7歳以上) 法的根拠なし (IRB・試験責任者の判断) 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス 2000.12.15 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンスに関する質疑応答集 (Q&A) について 2001.6.22 32

33.

インフォームド・コンセント Informed Consent インフォームド・コンセント Informed Consent インフォームド・コンセント Informed Consent • 被験者の参加の意思決定に必要な、研究に関す • 試験参加者又はその法定代理人等が、試験参加 者の参加に対する意思決定に関連する試験のあ らゆる側面について説明を受け、話し合う機会 Future State を与えられた後に、試験への参加に対する自ら の意思を自発的に確認する過程 るあらゆる観点からの説明がなされた後に、当 該研究に被験者が自発的に自らの意思によって Current State 参加することを確認する過程 • インフォームド・コンセントは、同意説明文書 に署名と日付が記入されることによって記録と して効力を発する • 試験に関する情報提供及び話し合いにおいて 様々な方法を用いることができる。これには、 例えば、様々な形式の文章、画像及びビデオの 提供、並びに臨床試験実施施設スタッフとの 電話又はビデオ会議の使用などが含まれる • インフォームド・コンセントを、署名及び日付 が記入された、紙の又は電子的な同意文書を 用いて記録する • 適切な場合、遠隔で同意を取得することを検討 してもよい 33

34.

補足 インフォームド・コンセント取得に用いられる資料 Informed consent material (s) 同意説明文書 (説明・同意文書) インフォームド・コンセント取得に Informed consent form (ICF) 用いられる資料 Informed consent material (s) 34

35.

原記録 Source Records 1.51 原データ Source Data 原記録 Source Records 臨床研究における臨床所見、観察、その他の活動に関する元の記録及び 保証された複写に記録されているあらゆる情報で、研究の再現と評価に 必要なもの。原データは原資料 (元の記録又はその保証付き複写) の中に 含まれる。 使用する媒体を問わず、原文書又は原データ (関連するメタデータを含む) 若しくは原文書 又は原データの保証付き複写 1.52 原資料 Source Documents 元の文書、データ及び記録 (例えば、病院の記録、診療及び事務チャート、 検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投薬記録、 自動計器の記録データ、正確な複写であることが保証された複写物又は 転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気 媒体、エックス線写真及び被験者ファイル及び臨床研究に関与する薬局、 検査室、医療技術部門に保存されている記録等) 1.22 証拠資料 Documentation ※J-GCPではこの定義はなく、原資料に含めて定義 研究の方法、実施及び (又は) 結果並びに研究の結果に影響を及ぼした要因及び講 じられた措置等に関しての記述又は記録したあらゆる方式の全ての記録 (筆記さ れた記録、電子的・磁気的・光学的記録、走査図、X線写真 及び心電図等が含まれるが、これらに限らない) Future State これには、試験参加者の医療記録/健康記録/ メモ/チャート、試験参加者が提供/入力した データ[例:電子患者報告アウトカム(ePRO)]、 薬局/検査室/臨床試験に関与するその他の 施設の医療従事者による記録、並びにウェアラ ブルやセンサーなどの自動装置からのデータが 含まれる場合がある 試験情報が文書とデータから構成されるように 拡大され、ソースデータが多数のコンピュータ 化されたシステムに含まれるようになったため 35 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

36.

必須記録 Essential Records 1.23 必須文書 Essential Documents 必須記録 Essential Records 研究の実施と得られたデータの質を、 必須記録とは、臨床試験に関連するあらゆる 個々に、且つ、まとめて評価することを 形式の文書及びデータ (及び関連するメタデー Current State 可能にする文書等の記録 Future State タ) で、試験の継続的な管理を促進し、また、 得られた試験結果の信頼性を判断するために、 使用された方法、試験に影響を及ぼす要因 及び試験実施中に取られた措置を評価する こと、並びに試験がGCP及び適用される規制 要件に従って実施されたことを確認すること を総合的に可能とするものである 試験情報が文書とデータから構成されるように拡大され、ソースデータが多数の コンピュータ化されたシステムに含まれるようになったため 36 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

37.

臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 IRB/IEC 1.31 臨床研究審査委員会 Institutional Review Board (IRB) 医学・科学の専門家及び非専門家によって構成される独立の委員会。当委 員会の責務は、特に、実施計画書、並びに被験者から文書によるイン フォームド・コンセントを得るのに使用される方法及び資料を審査、承認 し、また継続審査を行うことによって、被験者の人権、安全及び福祉の保 Current State 護を保証することである。 1.27 独立倫理委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 医学の専門家及び非専門家によって構成される独立の団体 (臨床研究審査 委員あるいは臨床研究機関、地域、国又は複数国にまたがる委員会) 。当 委員会の責務は研究に参加した被験者の人権、安全及び福祉の保護を保証 することであり、特に実施計画書、研究責任者及び設備の適格性、並びに 被験者から文書によるインフォームド・コンセントを得るのに使用される 方法及び資料を審査し、承認することによって、かかる保護に公の保証を 与えることである。 独立倫理委員会の法的地位、構成、機能、運営及び規制上の要件は、国に よって異なる場合もあるが、独立倫理委員会が本ガイドラインに規定する GCPに従って活動できることを保証するものでなければならない。 臨床試験審査委員会/独立倫理委員会 Institutional Review Board ( IRB) /Independent Ethics Committee (IEC) • 医学の専門家及び非専門家によって構成される 独立の団体 (機関の、地域の、国単位の又は複数 国にまたがる、審査委員会又は委員会) Future State • 当委員会の責務は、試験参加者の権利、安全 及び福祉の保護を保証することであり、特に、 実施計画書、試験実施責任者及び設備の適格性、 並びに試験参加者から文書によるインフォーム ド・コンセントを得るのに使用される方法及び 資料を審査し、承認することによって、かかる 保護に公の保証を与えることである • IRB/IECの法的地位、構成、機能、運営及び規制 上の要件は、国によって異なる場合もあるが、 それらはIRB/IECが本ガイドラインに記載する GCPに従って業務を行うことを可能とすべきで ある 37

38.

試験実施責任者 Investigator 1.34 研究責任者 Investigator 試験実施責任者 Investigator 臨床研究機関において臨床研究の • 臨床試験の実施 (試験実施中にその責任下にある試験参加 者を含む) に関して責任を有する個人 実施に関して責任を有する個人 Current State 臨床研究機関において、研究が複 数の者から成るチームにより実施 される場合には、研究責任者は当 該チームの責任者たるリーダーで あり、Principal Investigatorと呼 ばれることがある • 試験が複数の者から成るチームにより実施される場合には、 Future State 試験実施責任者は当該チームの責任者たるリーダーであり、 Principal Investigatorと呼ばれることがある • 本ガイドラインで試験実施責任者/臨床試験実施機関と 記載する場合は、一部の地域において試験実施責任者及び (又は) 臨床試験実施機関に適用されうる期待事項を記載 • 適用される規制要件により求められる場合は、 「試験実施責任者」を「試験実施責任者及び (又は) 臨床 試験実施機関」と読み替える • Investigator/Sub-investigatorが必ずしも施設に属しない形に • DCTの場合、治験責任医師/治験分担医師が施設に存在することを前提としないための変更 • 米国ではCROが直接investigatorと契約して患者宅へ派遣する形式のDCTもある 38 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一

39.

臨床試験実施機関 1.30 臨床研究機関 Institution Institution 臨床試験実施機関 Institution 臨床研究が実施される、全ての公的又は その職責の元、臨床試験を実施する、 私的施設、その代行機関、あるいは医療 公的又は私設の施設又は機関あるいは Current State 施設又は歯科施設 医療又は歯科機関Future State 39

40.

臨床試験実施施設 Investigator Site 1.59 研究施設 Trial Site 臨床試験実施施設 Investigator Site 研究に係わる業務が実際に行われる場所 試験実施責任者/臨床試験実施機関の 監督のもと、試験に関連する業務が Current State Future State その場所において又はその場所を起点に 実施される場所 • 分散した環境での臨床試験の運用に適応するため • DCTのサテライト機関、パートナー施設を意識 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/ 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一 40

41.

スポンサー Sponsor 1.53 スポンサー Sponsor スポンサー Sponsor 臨床研究の立案、運営及び (又は) 資金に責任を • 臨床試験の立案、運営及び資金の取決めに 責任を負う個人、企業、機関又は組織 負う個人、会社、研究機関又は団体 Current State • 臨床試験では、規制要件の下で許可される Future State 場合、単一又は複数のスポンサーが存在し うる • 全てのスポンサーは、本ガイドラインに規定 するスポンサーとしての責任を負う • 規制要件に従い、スポンサーは合意文書に おいてそれぞれの責務を定めることができる • 当該合意文書において特定の責務がどの スポンサーに帰属するかが明記されていない 場合、その責務は全てその責務は全ての スポンサーが負うものとする 41

42.

有害事象及び副作用に関連する定義 1 1.2 有害事象 Adverse Event (AE) 有害事象 Adverse Event (AE) • 医薬品 (臨床研究用薬を含む) を投与さ れた患者又は被験者に生じたあらゆるま しくない医療上のできごと Current State • 試験参加者に生じたあらゆる好ましく • 必ずしも当該医薬品の投与との因果関係 が明らかもののみを示すものではない • つまり、有害事象とは、医薬品 (臨床研 究用薬を含む) が投与された際に起こる あらゆる好ましくない或いは意図しない 徴候 (臨床検査値の異常を含む) 症状又 は 病気のことであり、当該医薬品との因果 関係の有無は問わない ない医療上の出来事 Future State • 必ずしも医薬品の投与との因果関係が 明らかなもののみを示すものではない • 有害事象と有害反応の明確化 • 有害事象関連の定義は「有害事象及び副作用 に関連する定義」として、すべてひとまとめ にされ、特に副作用を定義するための臨床試 験薬との関連について、より明確になった • まとめとなる安全性情報が臨床試験薬概要書 の添付文書に記載されたことにより、その定 義が必要となった 42 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

43.

有害事象及び副作用に関連する定義 2 1.1 副作用Adverse Drug Reaction (ADR) 副作用 Adverse Drug Reaction (ADR) • 未承認医薬品での臨床経験又は新規用法用量 (特に臨床用量が確立していない場合) につい ては以下の通り:投与量にかかわらず、投与 Current State された薬剤に関連する全ての有害で意図しな い反応を副作用と考えるべきである。 「薬剤に関連する反応」とは、当該薬剤と有 害事象の因果関係について、少なくとも合理 的に可能性がある。即ち、因果関係を否定で きない反応を意味する • 新規臨床試験薬又は新規用法・用量での承認前の 臨床経験の場合 (特に臨床用量が確立されない 可能性があるため) :投与量にかかわらず医薬品 に関連する好ましくない、意図しない反応 (例え Future State ば兆候 (臨床検査の結果など) 、症状又は疾病) で、 • 市販後の医薬品については以下の通り:有害 で意図しない薬剤に関連する反応であり、且 つ疾病の予防、診断、治療、又は生理機能の 調整のために用いられる通常の投与量範囲で 発生した反応である 医薬品と有害事象との間に合理的に因果関 係が存在する可能性があるもの 副作用の臨床試験薬との関連性に関する確実性の レベルは様々である。当該副作用が高い確実性を もって医薬品に関連していることが疑われる場合 は、安全性参照情報及び (又は) 臨床試験薬概要書 に記載されるべき • 市販後の医薬品の場合:疾病の予防、診断若しく は治療、又は生理機能の調整のために用いられる 通常の投与量範囲で発生した、医薬品に対する あらゆる有害で意図しない反応 (ICH E2Aを参照) 43

44.

有害事象及び副作用に関連する定義 3 1.50重篤な有害事象又は重篤な副作用 Serious Adverse Event (SAE) or Serious Adverse Drug Reaction (Serious ADR) 重篤な有害事象 投与量にかかわらず、医薬品 (被験薬を含 む) が投与された際に生じたあらゆる好ま Current State しくない医療上のできごとのうち、以下の ものを言う 投与量にかかわらず生じたあらゆる好まし • 死亡に至るもの • 生命を脅かすもの • 治療のため入院又は入院加療期間の延長 が必要なもの • 永続的又は重大な障害/機能不能に陥る もの • 先天異常を来すもの Serious Adverse Event (SAE) Future State くない医療上の出来事のうち、以下により 重篤とみなされるものをいう • 死に至るもの • 生命を脅かすもの • 治療のため入院又は入院加療期間の延長 が必要なもの • 永続的又は重大な障害/機能不能に陥る もの • 先天異常を来すもの (ICHE2A参照) 44

45.

有害事象及び副作用に関連する定義 4 予測できない重篤な副作用 Suspected Unexpected Serious Adverse Reaction (SUSAR) 疑われる (Suspected) 、予測できない (Unexpected) 、重篤 (Serious) の 3つの基準に該当する副作用 疑われる (Suspected) :当該医薬品が副作用を引き起こした合理的な可能性が ある 予測できない (Unexpected) :その性質又は重症度が、医薬品に関する適用 可能な情報 (例:臨床試験薬概要書又は適用される規制要件に 従って代替となる文書に含まれる安全性参照情報 (用語集を 参照) ) と一致しない副作用。安全性参照情報の詳細について は、ICHE2F「治験安全性最新報告」を参照のこと 重篤 (Serious) :上記の重篤な有害事象を参照を参照 45

46.

安全性参照情報 (RSI) 安全性参照情報 Reference Safety Information (RSI) 臨床試験の試験参加者に投与される臨床試験薬に関して予測される副作用 について、これまでの累積一覧を含むもの • 安全性参照情報は臨床試験薬概要書に含まれる • 付録A.臨床試験薬概要書のA.3.6 (b) 安全性及び有効性より抜粋 • 副作用の一覧表を作成し、発現頻度及び性質に関する情報を含め、安全性 参照情報の項として明確に示す • この一覧表を、重篤な副作用の予測性、及びそれに伴い規制要件に従って、 緊急報告を要するかどうかを判断するために使用する • 臨床試験薬の使用に際しての注意事項や特別に監視すべき事項についても 記載 46

47.

署名 Signature 署名 Signature 適用される規制要件及び (又は) 慣習に従った固有のマーク、シンボル 又は記入であり、意思の表明を示し、署名者の認証を可能とするもの • 署名が必要な文書 (例) • 臨床試験薬概要書 • 臨床試験実施計画書 • インフォームド・コンセント • 臨床試験総括報告書 • 委任された臨床試験実施施設スタッフの署名及びイニシャルを示す署名一覧 • 保証付き複写 Certified Copy 47

48.

サービス提供者 Service Provider サービス提供者 Service Provider • スポンサー又は試験実施責任者のいずれかに対して、その1つ又は複数 の試験関連業務を遂行するために臨床試験実施中に利用されるサービス を提供する、個人又は組織 (商業的、学術的又はその他) 開発業務受託機関 • サービス提供者を参照 • CRO (医薬品開発業務受託機関: Contract Research Organization) を含む • スポンサーや臨床試験責任者から臨床試験関連業務及び機能を委任 される組織の拡大に伴い、業務を請け負うすべての者を網羅し、 CROのみの使用から脱却するため 48 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

49.

メタデータ Metadata メタデータ Metadata • 特定のデータ要素を理解するために必要なコンテキスト情報 • メタデータは、データを記述する、説明する、又はその他、データの 検索、使用又は管理を容易にする構造化された情報 • 本ガイドラインにおいては、関連するメタデータとは試験実施の再構築 に必要なものである 監査証跡 (Audit Trail) :事実経過の再構築を可能にするメタデータ記録 49

50.

データ取得ツール Data Acquisition Tool (DAT) データ取得ツール Data Acquisition Tool (DAT) • 実施計画書に従って臨床試験のデータ生成源からデータ及び付随する メタデータを収集し、そのデータをスポンサーに報告するためにデザイン された、紙ベースの又は電子的ツール • データ生成源は、人 (例:試験参加者又は試験スタッフ) 、機械 (例:ウェア ラブル及びセンサー) 、又は、あるシステムから別のシステムへのデータの 電子転送 (例:電子健康記録又は臨床検査システムからのデータの抽出) の 場合がある • データ取得ツールの例として、CRF、双方向応答技術 (IRT、患者報告 アウトカム (PRO、臨床アウトカム評価 (COA) 及びウェアラブル端末 (いずれも使用する媒体を問わない) があげられるが、これに限定されない 50

51.

コンピュータ化システムのバリデーション コンピュータ化システムのバリデーション Computerised Systems Validation • コンピュータ化システムの特定の要件が、設計からシステムの廃棄 又は新システムへの移行に至るまで一貫して満たされることを確立し、 文書化するプロセス • バリデーションに対するアプローチは、システムの使用目的及び システムが試験参加者の保護及び試験結果の信頼性に影響を及ぼす 可能性を考慮に入れたリスク評価に基づくべきである 51

52.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 52

53.

IRB/IEC 1 ➢同意取得のデジタル化と多様なアプローチを反映 (1.1.2 (b) ) 同意説明文書 • インフォームド・コンセント取得に用いられる資料 • アセント文書 (該当する場合) • インフォームド・コンセントの取得方法の説明を含む ➢参加者への提供情報 (1.1.2 (d) ) 被験者への説明文書 試験参加者に提供されるその他の情報 (情報提供用の媒体に関する説明を含む) ➢臨床試験薬概要書 (1.1.2 (c) ) 治験薬概要書 臨床試験薬概要書、又は適切な場合、製品の基本情報 (例:製品概要 (SmPC) 、パッケージ・リーフレット又は 添付文書) などの最新の科学的知見 (これらの最新版を含む) 53

54.

IRB/IEC 2 ➢安全性情報 (1.1.2 (g) ) 安全性に関する情報 安全性情報の継続的な更新 (IRB/IECの要件による) ➢速やかな報告 (1.3.8 (c) ) 全ての重篤かつ予測で 適用される規制要件に対応した、全ての予測できない重篤な きない副作用 副作用 ➢継続審査 (1.1.4、1.3.4) 被験者に対する危険の 程度に応じ、1年に1回 以上の頻度で継続的に • 継続審査について、適切な頻度を決定すること • 試験参加者に対するリスクの程度に応じた間隔で継続的に 審査しなければならない 54

55.

IRB/IEC 3 ➢未成年者 (1.1.7) 社会的に弱い立場にある 者を被験者とする可能性 のある研究には特に注意 を払う 未成年者が試験に組み入れられる場合、IRB/IECは、 当該未成年者の年齢、成熟度及び心理状態、並びに適用 される規制要件を考慮してアセント情報を審査すべきである ➢試験参加者が試験参加に要した費用について支払われる可能性 (1.1.8) 通常、移動及び宿泊に対する試験参加者への妥当な支払いは強制されない ➢委員の構成 (1.2.1 (b) ) 少なくとも委員の1人は 科学以外の分野を専門 とする 委員の1人は医療科学以外の分野を専門とする 55

56.

IRB/IEC 4 ➢プロトコールからの逸脱に関する文言が簡素化 (1.3.7) 被験者に対する緊急の危険を回避するた めに必要な場合、又は変更が事務的事項 のみに関するものである場合を除き… 試験参加者に対する緊急の危険を回避するため に必要な場合を除き… ➢IRB/IECへの提出 (1.5) IRB/IECへの提出は、責任医師/機関が行 う IRB/IECへの提出は (中略) 規制要件に従って、 • 提出及び報告が1回の提出に統合される場合が ある • 一部の地域では試験実施責任者/臨床試験実施 機関により、他の地域ではスポンサーにより 行われることが要求される場合 ➢記録 (1.4.1) 試験終了後少なくとも3年間保存 適用される規制要件に従って (保存期間の明記なし) 56

57.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 57

58.

インフォームド・コンセント 1 ➢情報 (2.8.1 (b) ) 理解可能で、できるだ け非専門的な言語によ るもの • 情報は可能な限り明確かつ簡潔にし、わかりやすい言葉を 使用して、不必要な量や複雑さを避けるべきである • 試験参加者又はその法定代理人等が、試験への参加に関して十分な 情報に基づき意思決定ができるよう、試験の目的、代替治療、潜在 的なベネフィットとリスク、負担及び権利と義務について、十分に 理解することを保証するものであること ➢プロセス (2.8.1 (c) ) なし (対面が前提) • 試験参加者への情報提供を含め、様々な方法 (例:文章、画像、 ビデオ、及びその他の双方向的方法) を用いることができる • 適切な場合には、遠隔で同意を取得することを検討してもよい ➢署名 (2.8.8) • (物理的な) 署名 • 物理的署名又は電子署名がある 58

59.

インフォームド・コンセント 2 ➢十分な時間と試験に参加するかどうかを決定する機会 (2.8.7) • 研究責任者又はその指名する者は、 インフォームド・コンセントを取得 する前に、被験者又はその法定代理 人等に対して、 彼らが研究の詳細に ついて質問する機会と、 研究に参加 するか否かを決断するのに十分な時 間を与えなければならない • 被験者又はその法定代理人等が満足 するように、研究に関する全ての質 問に答えなければならない • インフォームド・コンセントを取得する前に、 試験実施責任者又は試験実施責任者に委任 された臨床試験実施施設スタッフは、 正当な理由 (例:救急状況下) がない限り、 試験参加者又はその法定代理人等に十分な 時間を与え、試験の詳細について質問し、 試験に参加するかどうかを決定する機会を 与えなければならない • 試験に関する質問には、試験参加者又は その法定代理人等の納得がいくまで回答 しなければならない ⇔正当な理由 (例えば、救急状況下) がある場合 • 試験に参加するかどうかを決定する時間の短縮が可能 59 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

60.

インフォームド・コンセント 3 ➢参加継続の意思に影響を及ぼす可能性のある新たな情報 (2.8.2) • 再同意が必要かどうかを判断するために評価しなければならない (例:試験の段階に応じて、新たな情報が既存の試験参加者又は新たな試験参加者のみ に関連するかどうかを検討する) • 再同意が必要な場合 (例:新たな安全性の懸念に関する情報) 、改訂されたインフォー ムド・コンセントの取得に用いられる資料において新たな情報を明確にする ➢取得に用いられる資料の項目 (2.8.11) (m) 試験参加者のデータの取扱いプロセス (規制要件に従い、試験参加を中止した場合のデータの取扱いを含む) (o) 試験参加者の身元を明らかにする記録の秘密は保全され、適用される規制要件で 認められている範囲内で公にされることはないこと。試験は、適用される規制要件に 従い、公的にアクセス可能で広く認められたデータベースに登録される場合がある (u) 試験の結果及び試験参加者の実際の治療に関する情報 (適切な場合) は、試験参加者の 希望に応じて提供されること 60

61.

インフォームド・コンセント 4 ➢未成年者 (2.8.13) なし (認知症患者と 同様の記載) • 未成年者を試験参加者に含める場合、同意プロセスの一環と して年齢に応じたアセント情報を提供し、未成年者と話し合い、 必要に応じて未成年者から試験に組み入れるためのアセントを 取得すべきである • 試験期間中に未成年者が、法的に同意可能な年齢に達した場合 には、適用される規制要件に従って、再同意のプロセスを検討 すべきである ➢例外的な状況 (2.8.15) 例外的な状況 (例:公衆衛生上の緊急事態) で、インフォームド・コンセントを 通常の方法で取得及び文書化できない場合、現地のIRB/IECの要件及び適用される 規制要件に従って、代替となる手段及び技術を使用することを検討すること 61

62.

試験実施責任者 01 ➢試験を適正に実施しうる者としての適格性の根拠 (2.1.1) • 最新の履歴書及び (又は) 要求される その他の適切な文書によって • 適格性の根拠を提示する必要がある • 履歴書の提供に関する文章が削除 • 文書化、更新頻度について柔軟に対応 ➢症例数の根拠 (2.2.1) • 過去の実績により • 後ろ向きのデータ又は現在入手可能な データに基づいて ➢試験関連のトレーニングと委任に関する記録 (2.3.2、2.3.3) • 試験を補助する者に対する試験関連のトレーニングは、委任された試験関連の業務で 日常のトレーニング及び経験を超えて実施される業務を遂行するために必要な内容と すべきである • 臨床試験業務が日常診療に沿って実施される場合、委任に関する文書化/記録作成は 不要となる場合がある 62 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

63.

試験実施責任者 02 ➢サービス提供者 (2.3.1、2.3.4) • 試験実施責任者は、試験固有の業務を他の個人又は組織に委任することができる • 試験実施責任者は、適切なサービス提供者を特定するために、スポンサーの支援を 受けることができる • ただし、スポンサーが提供した情報に基づき、試験実施責任者の支援を目的とする サービス提供者が適切であるかどうかの最終判断は試験実施責任者が行う (3.6.6参照) • 試験実施責任者は、試験参加者の権利、安全及び福祉、並びにデータの信頼性を保証 するために、委任された業務を行う個人又は組織について最終的な責任を負い、 適切な監督を継続する • 試験実施責任者/臨床試験実施機関とサービス提供者との間でなされた試験関連業務 に関する合意は文書化されるべきである 試験実施責任者の活動を支援するサービス提供者に対するスポンサーの役割と、契約が確実に 結ばれ、その利用を許可するかどうかの決定と、試験実施責任者に代わって実施される業務に 対する全責任を試験実施責任者が保持することに関する新たな文章が追加 63 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

64.

試験実施責任者 03 ➢分散型臨床試験に対応 (2.3.2、2.3.3) • 試験実施責任者は、試験固有の業務を委任した個人又は組織が適切な適格性を有し、 適切に監督され、並びに実施計画書、臨床試験薬及び割り当てられた試験業務 (スポンサーが手配した訪問看護師など、他の組織が手配したスタッフが実施する 業務を含む) について十分な情報を与えられることを保証すべきである • 試験実施責任者は、試験関連の重要な業務を委任された個人及び組織の記録が保持 されることを保証しなければならない • 分散型試験に対応できるよう更新が行われた • スポンサーがこれを促進することができるという新たな文章が追加 64 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

65.

試験実施責任者 04 ➢IRB/IECへの報告 (2.4.1) • 研究責任者/臨床研究機関は、研 • IRB/IECへの提出は、適用される規制要件に 究期間を通じ、IRBの審査対象と 従い、試験実施責任者/臨床試験実施機関又は なる書類を全て提出しなければな スポンサーによって実施される場合がある らない (1.5参照) ➢最新の試験参加情報/試験の実施状況の提出 (2.4.4、2.4.5) • 研究責任者は、研究の現況の概要 を年に1回又はIRBの求めに応じて それ以上の頻度でIRBに文書を もって提出 • 試験の進行に伴い、試験実施責任者/臨床試験 実施機関又はスポンサーは、適用される規制要件 に従って最新の試験参加者情報を提出 • 試験実施責任者又はスポンサーは、地域の規制 要件に従って、あるいは要求に応じて、試験の 実施状況の概要書をIRB/IECに提出 65 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

66.

試験実施責任者 05 ➢実施計画書からの逸脱 (2.5.2) • 研究責任者又は指名 • 試験実施責任者は、実施計画書からの逸脱を全て記録し、 者は、承認された実 またスポンサーから伝えられた実施計画書からの逸脱を 施計画書から逸脱し 確認しなければならない た行為をすべて記録 • 重大な逸脱について、試験実施責任者は逸脱の内容を説明し、 し、その理由等を説 必要に応じて再発防止のための適切な措置を講じなければ 明する ならない (3.9.3参照) • (ICH E3に従って) すべての逸脱を説明するのではなく「重大な」逸脱のみを説明する • いくつかの逸脱は試験実施責任者によって文書化されるのではなく、スポンサーから試験 実施責任者にレビューのために提供されることを認めた • 該当する場合には、逸脱の再発を防止するための適切な措置 66 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

67.

試験実施責任者 06 ➢試験参加者の医療 (2.7.1 (a) (b) ) 研究責任者が、研 究に関連する医学 (又は歯学) 的な 全ての判断に関す る責任を負わなけ ればならない • 資格を有する医師、又は適切な場合は資格を有する歯科医師 (又は地域 の規制要件に従い、資格を有するその他の医療従事者) であって、試験 実施責任者又は試験実施分担者である者は、試験に関連する医療及び 判断に対して全責任を負う • その他の適切な資格を有する医療従事者が、その通常の業務の範囲内 で、地域の規制要件に従って試験参加者の医療に関わることがある • 医師と歯科医師が、臨床試験に関連する医療と判断に単独で責任を持つという制限が緩和され、 通常の業務の範囲内で、地域の規制要件に従った他の適切な資格のある医療従事者が関与できる ➢他院への試験参加の通知 (2.7.1 (d) ) 研究責任者は、被験者に主治医がいる場合には、 被験者の同意のもとに、主治医に被験者の研究へ の参加について知らせることが 望ましい 試験実施責任者は、試験参加者に主治医がおり、 主治医に連絡することについて試験参加者から 同意が得られた場合、主治医に試験参加者の 試験への参加について知らせるべき 67 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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試験実施責任者 07 ➢安全性に関する報告 (2.7.2 (b) (d) ) • 研究責任者は、すべての重篤な 有害事象をスポンサーに速やか に報告しなければならない • 緊急報告の後に、文書による詳 細な報告を速やかに行わなけれ ばならない • 研究責任者は、規制当局及び IRBに対する予測できない重篤 な副作用の報告に関して、適用 される規制要件を遵守しなけれ ばならない • 全ての重篤な有害事象を速やかに (合理的に試験実施 責任者が当該事象を知った後に) スポンサーに報告しな ければならない • 適用される規制要件に従い、緊急報告が不要である重篤 な有害事象 (例えば、死亡又は評価項目であるその他の 事象) を、実施計画書において規定することができる • 試験実施責任者は、安全性に関する報告業務を適格な 臨床試験実施施設スタッフに委任することができるが、 その臨床試験実施施設スタッフの責任下にある試験参加 者の安全性及び報告要件の遵守に対して全責任を負う • 安全性報告の文章が簡素化された • 基本的にSAE報告を直ちにスポンサーに報告するか、実施計画書規定の要件との相違に従う • 規制当局および IRB/IECへの予測できない重篤な副作用 (SUSAR) 報告に関する文章はスポンサーの 責任であるため削除された • 安全性報告の試験実施責任者の委任について明記 68 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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試験実施責任者 08 ➢臨床試験への参加者の終了 (2.9.1、2.9.2、2.9.3) • 試験参加者が、臨床試験薬の投与中止、試験来院の中止若しくは試験の完全な中止を 決定した場合、試験が中止される場合、又は通常の試験終了に至った場合、試験実施 責任者は実施計画書及びスポンサーの指示に従って適切なフォローアップの措置を判断 • これには、適用される規制要件に従って、既に収集された重要なデータの不必要な損失 を避けるための指示が含まれる場合がある • 試験実施責任者は、懸念に対処する方法があるかどうかを判断するために、試験参加者 又は法定代理人等と参加中止の理由について話し合うことを検討すべきである • 臨床試験実施施設スタッフは、試験参加者による参加中止を最小限に抑えるために、 試験参加者に対し参加継続の意義と重要性についての説明に努めるべき • 試験実施責任者は、該当する場合、盲検解除後にスポンサーから試験の結果及び 試験参加者が受けた治療に関する情報を入手した際には、試験参加者の希望を尊重の上、 これらの情報を試験参加者に伝えるべき 臨床試験の質と結果の信頼性に重大な影響を及ぼす可能性があるため、臨床試験からの脱落者 を減らすことが目的である 69 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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試験実施責任者 09 ➢臨床試験薬の管理 (2.10.1、2.10.3) 臨床研究機関における臨床研 究用薬の管理責任は、研究責 任者/臨床研究機関が負う • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、臨床試験薬 の数量管理の責任を有する スポンサーは管理プロセスを支援することができる • 既承認医薬品については、地域の規制要件に従い、 上記に代わる方法を検討する場合がある • 既承認医薬品の搬入は試験や結果の信頼性に十分な場合は、文書化について既存プロセスが可能 (MHRA) • 治験以外の医薬品の介入研究もスコープに含まれる (2023/7/28国がん中村先生) ➢無作為化の手順及び盲検解除 (2.11) 緊急時に患者の安全を確保するため、試験実施責任者は試験開始時より、盲検解除が 必要以上に遅れることなくかつ支障なく実施できる体制を整えなければならない 試験責任者が、例えばスポンサーからの承認を待つ必要がないようにすること 70 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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試験実施責任者 10 ➢データのインテグリティ (完全性) を保証する (2.12.1、2.12.2) • 試験データの作成、記録及び報告において、試験実施責任者は、使用した媒体に かかわらず、試験実施責任者の責任の下でデータのインテグリティ (完全性) を 保証する • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、責任下にある各試験参加者の観察内容を 含む適切な原記録を保存すること • 原記録は、帰属性、判読性、同時性、原本性、正確性及び完全性を満たすこと • 原記録の変更は、追跡可能であり、元の記載内容を不明瞭にすべきではなく、 必要に応じて (監査証跡を介して) 、当該変更は説明されるべきである • 試験実施責任者は、試験開始前に何を原記録とみなすか、データ取得の方法及び 保存場所を定義し、必要に応じてこの定義を更新すること • 原記録とデータ取得ツール間の不必要な転記手順は避けるべきである。 71

72.

試験実施責任者 11 ➢適時レビュー (2.12.3、2.12.4、2.12.5) • 試験実施責任者は、試験参加者の適格性、治療又は安全等に影響を及ぼす可能性が ある外部ソースからの関連データ[例:中央検査室データ、画像中央判定データ、 他の医療機関の記録、及び適切な場合は電子患者報告アウトカム (ePRO) データ] を含むデータに適時にアクセスし、適時にレビューする責任を負う • 試験実施責任者は、スポンサーが臨床試験のために導入したシステムが、実施計画 書又は試験関連指示書の規定に従って使用されていることを保証する • 試験実施責任者は、スポンサーと合意したマイルストーン (例:中間解析) で、 報告されたデータのレビュー及び承認を行う 72

73.

試験実施責任者 12 ➢試験参加者への貸与機器 (2.12.9 (c) ) 試験実施責任者がデータ取得のための機器を試験参加者に提供する場合、トレーサ ビリティが維持され、試験参加者に適切なトレーニングが提供されることを保証する ➢インシデントの報告 (2.12.9 (d) ) コンピュータ化システムの使用及び操作において、試験データに重大及び (又は) 持続的 な影響を及ぼす可能性があると判断されたインシデントについて、スポンサー及び該当 する場合はIRB/IECに当該インシデントを報告することを保証する ➢必須記録の保存責任者 (2.12.10) 試験実施責任者が施設での試験を終了させる場合、又は臨床試験実施中又は試験終了後に 施設を離れる場合、施設の必須記録の保存に責任を負う適切な者をスポンサーに通知 すべきである 73

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試験実施責任者 13 ➢記録の保管 (2.12.11) • 必須文書は、当該被験薬のICH地域にお ける最終の製造販売承認後最低2年間、 かつICH地域において当該被験薬に係る 製造販売後承認申請が審査中でなくなる まで、 • 又は臨床開発の公式中止後最低2年間保 存 • 試験実施責任者/臨床試験実施機関は、 適用される規制要件に従って必要とされ る保存期間 • 又はスポンサーがこれらの記録が不要と なった旨を試験実施責任者/臨床試験実 施機関に通知するまでの • いずれか長い方の期間、必須記録を保存 ➢臨床試験総括報告書 (2.13.2) 臨床試験調整医師が試験に関与する場合、当該試験調整医師が臨床試験総括報告書へ 署名することを検討する (ICH-E3参照) 74

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スポンサーが臨床試験責任者のデータを変更 ➢スポンサーが臨床試験責任者のデータを変更 (3.16 (q) ) 治験責任医師 4.9.3記録及び報告 スポンサー スポンサーは、スポンサーが指名した者に 3.16 データ及び記録 (q) 計画された統計解析からの逸脱、又は よって行われた症例報告書の変更又は修正が 試験の盲検解除後にデータ解析対象集団 文書に記録され、必要なものであり、かつ研 に加えられた変更 (該当する場合) は、 究責任者が承認したものであることを保証す 明確に文書化して正当化し、また、例外 るための手順書を作成しておかなければなら 的な状況 (例:試験結果の信頼性のために ない 解決しなければならないデータの不一致) においてのみ行われるべきであるデータ 変更は、試験実施責任者が承認し、監査 証跡に反映させなければならない 責任医師の項目からスポンサーの項目へ項目移動 75 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 76

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スポンサー 01 ➢スポンサーの項目は大幅な変更と再編成 ➢試験のデザイン (3.1) • 開発計画及び実施計画書の立案を支援するために、インフォームド・コンセント取得に 用いられる資料及びその他の試験参加者向け情報を作成する場合には、多様なステーク ホルダー (例えば医療従事者及び患者 ) からのインプットを考慮すべき ➢リソース、業務の分担 (3.2、3.3) • 業務は委任できるが、責任は委任できないことによりタイトルが修正 • スポンサーが試験を実施するために十分なリソースを確保する文章が新たに挿入 ➢適格性及びトレーニング (3.4) • スポンサーが適格な者を活用するよう記述 例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師、データサイエンティスト/データマネージャー、 監査担当者及びモニター 77 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 02 ➢ 合意事項 (3.6) • 臨床試験の関係者間の業務の委任に関する合意事項 • 開発業務受託機関 (CRO) の項は削除され、代わりにこのセクションに記載 • サービス提供者 (Service Provider) という用語が使用され、開発業務受託機関 (CRO) はその一例である • 合意事項は、業務開始前に文書化されるべきとする文章が追加 • スポンサーは、スポンサーの試験関連業務の一部又は全てをサービス提供者に委託することができる ただし、試験参加者の権利、安全及び福祉の保護、並びに試験データの信頼性を含む、スポンサーの 試験関連業務に関する最終責任はスポンサーにある • 臨床試験業務に用いられる全てのサービス提供者は、適切な品質マネジメントを実施し、試験参加者の 安全及び (又は) 試験結果に影響を及ぼす可能性のあるインシデントをスポンサーに報告しなければならない • スポンサーは、サービス提供者の選定及び監督のために、関連情報 (例:標準業務手順書 (SOP) 及び パフォーマンス指標) にアクセスできる必要がある • サービス提供者が実施する試験関連業務は、関連するGCP要件に従って実施されるべきである (ただし、サービス提供者の既存のプロセスによってGCP要件が満たされる場合もある) • 複数のスポンサーが関与する場合の責任の文書化に関する要求事項を定めた文章が追加 78 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 03 ➢ IRB/IEC及び規制当局への報告 (3.8) • IRB/IECへの提出は、適用される規制要件に従い、試験実施責任者/臨床試験実施機関又は スポンサーによって実施される場合がある (1.5参照) ➢ スポンサーによる監督 (3.9) • 試験デザイン及び試験実施 、 実施されるプロセス 、 生成された情報及びデータが十分な品質を 有することを保証 • スポンサーは、実施計画書からの逸脱を、重要 (すなわち、試験参加者の権利、安全及び福祉、 並びに試験結果の信頼性に影響を及ぼすもの) と分類するために必要な、試験固有の基準を決定 すべき • スポンサーによる監督には、試験実施責任者及びサービス提供者の試験関連業務に関連する 品質保証及び品質管理プロセスが含まれる • スポンサーは、適切かつ適時に問題をエスカレーションし、フォローアップを確実にし、 適切な措置を適時に実施 • 独立データモニタリング委員会 (IDMC) :関連する専門知識を有する、利益相反管理が適用された 委員を含み、業務手順書 (例:規定書) を有し、決定を文書化 79 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 04 ➢品質マネジメント (3.10) • 序文 • スポンサーは、相応の、リスクに基づくアプローチを品質マネジメントに採用すべき • 臨床試験のデザインに質を組み込むこと (すなわち、クオリティ・バイ・デザイン) 、 試験参加者の権利、安全及び福祉、並びに試験結果の信頼性に意味のある影響を及ぼす 可能性のある要因に記載された質に関する重要な要因を特定することが含まれる • リスクの特定 (3.10.1.1) • スポンサーは、試験の質に関する重要な要因に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定 すべき • リスクコントロール (3.10.1.3) • 「品質の許容範囲quality tolerance limits」という表現は削除 80 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 05 ➢品質保証及び品質管理 (3.11) • 再編成に伴い、監査とモニタリングのセクションが移動 • 品質保証 (3.11.1) • 品質保証は臨床試験全体を通じて適用されるべき • 監査 (3.11.2) • 監査は、試験の実施に関連するリスクに見合った方法で行うべき • スポンサーによる監査は、通常のモニタリング又は品質管理業務から独立及び分離したものであり、 その目的は、試験の管理及び実施のために導入されるプロセスが有効かつ遵守されているかどうか を評価する • スポンサーは、監査対象の臨床試験に無関係の者を任命しなければならない • 品質管理 (3.11.3) • 臨床試験実施施設以外の施設 (中央の画像読影施設など) の品質管理[施設及び (又は) 中央での 業務を含む]は、リスクに基づくアプローチを用いて実施し、報告することができる 81 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 06 ➢ 品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング (3.11.4) • モニタリングの目的は、試験の進行に伴い、試験参加者の権利、安全及び福祉、並びに試験結果の信頼性を 保証することである。モニタリングは、主要な品質管理業務の一つである • 「研究開始前、実施中及び終了後に臨床研究機関を訪問してモニタリングを行う必要がある。 しかし、例外的な状況では、スポンサーは、中央モニタリングを採用することができる」旨の文章が削除 ⇨ モニタリング業務には、モニタリング戦略及び臨床試験デザインに応じて、施設モニタリング (訪問して 又は遠隔で実施) 及び中央モニタリングを含めることができると記載 • モニタリングは、対象とする臨床試験の実施に関与しない者が実施すべき • モニタリングは、臨床試験実施施設 (例:必要に応じて、臨床試験実施施設の薬局及び検査室を含む) での 臨床試験業務との関連で実施される場合がある • モニタリング業務の頻度も、特定されたリスクに基づいて決定すべきである。得られた知識に基づいて、 モニタリング業務及びその頻度を適宜修正すべき • モニタリング業務は、業務の性質及びその目的に応じて、訪問して又は遠隔で実施することができる • モニタリングには、原記録、その他のデータ取得ツール及び必須記録保存システムへの安全で、遠隔での、 読み取り専用の直接アクセスが含まれる場合がある 82 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 07 ➢品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング計画書 (3.11.4.3) • スポンサーは、特定された潜在的な安全性リスク、データの品質に対するリスク及び (又は) 試験結果の信頼性に対するその他のリスクに応じたモニタリング計画書を作成すべき • 試験参加者の安全性及び試験の評価項目に関連する手順には特に注意を払うべき • 計画書には、モニタリング戦略、全ての関係者のモニタリング業務、使用する様々なモニタリング 方法及びツール、並びにそれらを使用する根拠を記載すべき • モニタリング戦略は、試験実施の適切な監督を保証し、施設の能力及び予測される負担を考慮 すべき • 計画書は、品質にとって重要な側面に焦点を当てるべき • モニタリング計画書では、適用されるスポンサーの方針及び手順を参照すべき • 臨床試験実施施設外 (例:中央読影施設、中央検査機関) で実施される、重要なデータ及びプロセス (例:主要評価項目、重要な副次評価項目、及び患者の安全性を保証することを目的としたプロセス に関連するもの) のモニタリングについて、モニタリング計画書に記載すべき 83 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 08 ➢品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング業務 (3.11.4.5) • タイトルが「モニターの責務」から変更 (モニタリング活動がモニターの役割に限定されないため (例:中央モニタリングはその活動に関与するスタッフが関与する) ) • 一般に、各施設に、連絡先として担当モニターが割り当てられているべき • 実施計画書、GCP及び適用される規制要件からの逸脱が特定された場合、試験実施責任者又は 試験実施に関与するその他の関係者に通知し、確認された逸脱の再発を防止するための適切な 措置を講じる。必要に応じて重要な逸脱を明らかにし、改善努力の焦点とすべき • 逸脱、エラー又はデータの欠落に関連して講じられる措置は、その重要性に見合ったものである • 原記録に関するスポンサーの実施計画書の要件及び施設におけるそのようなデータの保存場所を 明確にする • 該当する場合、盲検性が維持されていることを検証する • 試験参加者の登録状況及び継続率をレビューして報告する 84 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 09 ➢品質保証及び品質管理 (3.11) • モニタリング業務 (3.11.4.5) • 臨床試験薬管理のモニタリング (3.11.4.5.3) • 有効期限内に使用されること • 適切な場合は、無作為化手順に従って交付されること • 試験参加者、試験実施責任者、臨床試験実施施設スタッフ、その他の試験実施に関与する関係者に、 臨床試験薬の適切な使用、取り扱い、保存、返却及び廃棄、又はそれに代わる処分について必要な 指示が与えられていること • 市販製品が適用される規制要件に従って払出し及び使用される場合、これまでに概説された考慮事項 の一部は適用されないことがあること • 臨床試験データのモニタリング (3.11.4.5.4) • 施設又は施設間におけるデータ収集及び報告の重大なエラー、予測されるデータ操作、及びデータ インテグリティ (完全性) の問題を特定する 85 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 10 ➢ 不遵守 (3.12) • 試験実施責任者/臨床試験実施機関又はスポンサーのスタッフによる実施計画書、SOP、GCP及び (又は) 適用される規制要件の不遵守は、遵守を確保するため、スポンサーによる適切かつ相応の 措置につながるべきである • 試験参加者の権利、安全又は福祉、あるいは試験結果の信頼性に重大な影響を及ぼす、又は重大な 影響を及ぼす可能性がある不遵守が認められた場合、スポンサーは、正当な理由がない限り、 根本原因の解析を行い、適切な是正及び予防措置を実施し、その妥当性を確認すべき • スポンサーは、試験参加者の権利、安全及び福祉、又は試験結果の信頼性に重大な影響を及ぼす 可能性のある問題を特定した場合、適用される規制要件に従って、規制当局及び (又は) IRB/IEC に通知しなければならない • 改善努力にもかかわらず、試験実施責任者/臨床試験実施機関の重大な不遵守が継続していることが モニタリング及び (又は) 監査によって確認された場合、スポンサーはその試験実施責任者/臨床試験 実施機関の試験参加を中止すべきである • 不遵守のために試験実施責任者/臨床試験実施機関の参加を中止する場合、スポンサーは必要に 応じて規制当局及びIRB/IECに速やかに通知しなければならない 86 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 11 ➢ 安全性評価及び報告 (3.13) • 臨床試験薬概要書、又は該当する場合は、製品の基本情報等の最新の科学的知見が、臨床試験の安全性評価 及び報告の基礎となる • スポンサーは、適用される規制要件及びICH-E2A「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」に 従って、予測できない重篤な副作用 (疑われる、予測できない、重篤) 全てについて、規制当局への報告を 迅速に行わなければならない • 試験実施責任者/臨床試験実施機関及びIRB/IECへの予測できない重篤な副作用の報告 (疑われる、予測で きない、重篤) は、必要な措置の緊急性を反映した方法で行い、製品の安全性プロファイルに関する知識の 進展を考慮に入れるべきである。一部の地域では、全般的な安全性評価とともにラインリストを定期的に 報告することが適切な場合がある • 緊急対応又は措置を必要とする緊急の安全性に関する問題は、不当に遅れることなく、規制要件に従って IRB/IEC及び (又は) 規制当局及び試験実施責任者に報告しなければならない • 試験実施責任者によるスポンサーへの報告に関する他の取決めについては、規制当局及び、該当する場合は、 IRB/IECと事前に合意し、実施計画書に記載すべきである (例:盲検解除及び緊急報告の対象とならない、有効性又は安全性評価項目とみなされる重篤な有害事象。 ICHE2A参照) 。ICHE19を参照。 87 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 12 ➢ 臨床試験薬 (3.15) • 既承認医薬品の場合、スポンサーは試験で使用する製品の基本情報を特定しなければならない • 盲検試験では、スポンサーは以下の事項を導入しなければならない (3.15.2 (d) ) • 盲検解除が必要と考えられる医学的緊急事態が発生した場合に、他の試験参加者の治療方法の割付けの 識別情報を保護しながら、試験実施責任者が迅速に当該臨床試験薬を識別できるようにする手順及び仕組み • 臨床試験薬の交付及び取扱い (3.15.3) • スポンサーは、適用される規制要件に従い、IRB/IEC及び規制当局から試験に関する必要な承認/肯定的見解 を取得後に、試験実施責任者/臨床試験実施機関に、又は適切な場合は試験参加者に臨床試験薬を交付する責任 を有する • スポンサーは、臨床試験薬の取り扱い及び保存に関する指示が、試験実施責任者/臨床試験実施機関又は 試験参加者に提供されることを保証しなければならない • スポンサーは以下の事項を実施しなければならない (3.15.3 (c) ) • 試験の中断を回避し、試験参加者の治療を継続するために、適用される規制要件に従い、試験実施責任者、 又は適切な場合には試験参加者に臨床試験薬を適時に交付する 88 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 13 ➢ データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (b) スポンサーは、信頼できる結果を生成するのに十分な品質を有することを保証するために、データの 取り扱いの各段階に対して品質管理を適用すべき (b) スポンサーは、品質保証及び品質管理活動、並びに関連するメタデータを含む重要なデータのレビュー に焦点を当てるべき (c) スポンサーは、収集すべきデータ及びその収集方法を実施計画書に事前に規定すべき。必要に応じて、 データフロー図などの追加の詳細を実施計画書に関連する文書 (例:データマネジメント計画書) に含める (e) スポンサーは、データのライフサイクル全体のデータインテグリティを確実にするために、文書化された プロセスが導入されていることを保証すべきである (g) スポンサーは、必要に応じて、試験実施責任者/臨床試験実施機関、サービス提供者及び試験参加者に 対し、データ取得、データ変更、データ保持及びデータ廃棄に関する期待についてガイダンスを提供すべき (i) スポンサーは、試験実施責任者/試験参加者からの要求があった場合、試験参加者が入力したデータを含め、 データの誤りの修正を許可すべき。このようなデータ修正は、元の入力が行われた時期の原記録によって 正当化及び裏付けられるべき 89 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

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スポンサー 14 ➢ データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (j) スポンサーは、試験実施責任者が試験期間中に実施計画書に従って収集したデータにアクセスできることを 保証すべき。これには、中央検査室データ、画像中央読影データなど、外部の情報源からの関連データ、 及び該当する場合は試験実施責任者が意思決定 (例えば、個々の試験参加者の適格性、治療、試験参加継続 及び安全性へのケアに関する決定) するために必要なePROデータも含まれる (k) スポンサーは、データ取得ツールに取得されたデータの排他的管理を行うべきではない (h) スポンサーは、事前に定めたマイルストーンにおいて、試験実施責任者にそれぞれが得たデータの承認を 求めなければならない (p) 解析のためにデータを提供する前に、データ取得ツールへの編集アクセスを解析目的に応じて適切に制限 例:中間解析の場合の制限は、一時的なものである又は最終解析とは異なる方法で管理されることがある (q) 計画された統計解析からの逸脱、又は試験の盲検解除後にデータ解析対象集団に加えられた変更 (該当する 場合) は、明確に文書化して正当化し、また、例外的な状況 (例:試験結果の信頼性のために解決しなければ ならないデータの不一致) においてのみ行われるべきである。データ変更は、試験実施責任者が承認し、 監査証跡に反映させなければならない 90 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

91.

スポンサー 15 ➢ データ及び記録 (3.16) • データの取り扱い (3.16.1) (r) スポンサーは、各試験参加者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な試験参加者識別 コード (用語集を参照) を使用すべき (t) スポンサーは、適用される規制要件に従い、試験参加者が試験の参加をとりやめる又は中止した場合の データの取り扱いについて文書化/記録すべき (v) スポンサーは、試験データに重大な影響を及ぼすインシデント (セキュリティ侵害を含む) を、必要に 応じて規制当局を含む、関係者に報告するためのプロセス及び手順を整備すべきである (w) スポンサーが設置したコンピュータ化システムの要件 (例:バリデーション、監査証跡、ユーザー管理、 バックアップ、障害回復、ITセキュリティの要件) が規定及び実装されること、及び臨床試験における コンピュータ化システムの正しい開発、保守、使用を確実にするための手順書と適切なトレーニングが 整備されていること (4章参照) を保証する • 統計プログラミング及びデータ解析 (3.16.2) (a) スポンサーは、統計プログラミング及びデータ解析の適切な、かつ文書化された品質管理が実装される ことを保証すべきである (例えば、症例数の算出、IDMC委員会における結果、試験報告書へのアウトプット、 統計モニタリング又は中央モニタリング) 91 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

92.

スポンサー 16 ➢ データ及び記録 (3.16) • スポンサー (又はその後のデータ所有者) は、適用される規制要件に従って、試験に関するスポンサー 固有の全ての必須記録を保存しなければならない • スポンサーは、試験に関連する記録が不要となった場合は、試験実施責任者/臨床試験実施機関及び サービス提供者に、適宜、文書で通知しなければならない ➢ 報告書 (3.17) • 試験の完了又は早期中止、若しくは規制当局への提出のための中間解析、いずれの場合でも、 スポンサーは、中間報告を含む、臨床試験総括報告書が適用される規制要件に従って作成され、 規制当局に提出されることを保証 • 試験実施責任者に、試験結果の要約を提供すべきである • 盲検試験における試験参加者が受けた最終的な治療に関する情報及び試験の全体的な結果の簡潔な 要約を試験実施責任者に提供することを検討しなければならない。 この情報を試験参加者に提供する場合、その文言は非専門的で、一般人が理解できるものであり、 販売促進にならないものであるべきである。 スポンサーは、試験の盲検が解除され、全ての関連する解析が完了し/結論が出され 、最終化された後 にのみこの情報を提供すべき 92 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

93.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 93

94.

データガバナンス ➢新設項目 • 試験実施責任者とスポンサーで重複を避けることができる • データインテグリティ (完全性) 、トレーサビリティ及びセキュリティの適切な管理に 関するガイダンスを提供 • 臨床試験に関連する情報の正確な報告、検証及び解釈を可能にする ➢再び強調 • 臨床試験で得られる情報の質と量は、試験の目的に対応し、試験結果の信頼性を確保し、 適切な意思決定を支援するのに十分なものであるべきである • この品質を保証するためのシステム及びプロセスは、試験参加者に対するリスク及び 試験結果の信頼性に見合った方法でデザインされ、導入されるべきである • データの重要性に焦点を当てながらデータのライフサイクル全体に対応すべきであり、 相応の方法で実施され、適切に文書化/記録されるべきである 94

95.

主要プロセス ➢ 以下の主要プロセスは、データの重要性に焦点を当てながらデータのライフサイクル全体 に対応すべきであり、相応の方法で実施され、適切に文書化/記録されるべき (a) 試験参加者の機密データの保護を保証するためのプロセス (b) コンピュータ化システムが目的に適合し、適切に使用されることを保証するコンピュータ化 システムが目的に適合し、適切に使用されることを保証するための管理のプロセスための管理の プロセス (c) 無作為化、用量漸増、盲検化など、臨床試験の根幹をなす要素を保護するプ無作為化、用量漸増、 盲検化など、臨床試験の根幹をなす要素を保護するプロセス (d) 解析前のデータ最終化、盲検解除、解析データセットの構成、臨床試験デザ解析前のデータ最終化、 盲検解除、解析データセットの構成、臨床試験デザインの変更、及び該当する場合は例えば 独立データモニタリング委員会インの変更、及び該当する場合は例えば独立データモニタリング 委員会 (IDMC) の業務のような重要な意思決定を支援するプロセス) の業務のような重要な意思決定 を支援するプロセス 95

96.

盲検性の保護 ➢ 盲検性の保護 (4.1) • 盲検性のインテグリティを維持することは、特にシステムのデザイン、ユーザーアカウントの管理、 施設におけるデータの取扱いに関する責任の委任及びデータへのアクセスの提供、データの転送、 計画された盲検解除前のデータベースレビュー、及び試験の全ての適切な段階で行われる統計解析に おいて重要である • 関連する全ての当事者が、実施計画書に従い、非盲検情報へのアクセスに対する役割、責任及び手順 を規定して文書化しなければならない • 例えば、盲検試験では、試験の運営に関与し、施設の試験実施責任者のスタッフと直接的又は間接的 にやり取りするスポンサーのスタッフ又は指名された第三者は、非盲検情報へのアクセスができない ようにすべき • 盲検解除の可能性を、盲検試験のリスク評価の一部とすべきである • 予定された又は予定外の盲検解除 (意図していなかった盲検解除又は緊急の盲検解除を含む) は全て 文書化し、試験結果への影響を評価しなければならない • 治療割り付けの盲検化の維持と、不注意による盲検化解除の評価に関する項目が大幅に追加 • 試験結果の信頼性に影響を与える可能性があるため、リスク評価の一部とし、盲検化を保護するための プロセスを確保する必要がある • 臨床試験では、軽微~大規模まで、盲検化の違反が頻繁に観察されているため、これは重要な追加事項 96 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

97.

データライフサイクルの要素 (4.2) 01 02 03 04 05 06 データ取得 • 手動で転記する場合、そのデータ検証の要件及び範囲には、データの重要性を考慮に入れる • データ取得時点で自動データバリデーションチェックを要件とし、その実施を管理して文書化/記録 監査証跡を含む関連するメタデータ • 最初のデータ入力、その後の変更又は削除が文書化/記録される方法で、データ変更を許可する • 監査証跡及びログが判読可能であり、解析が容易となることを保証する データ及びメタデータのレビュー • 試験固有のデータ、監査証跡及びその他の関連するメタデータのレビュー手順を整備 • 個々の試験に適応させ、また試験実施中の経験に基づいて調整する データの修正 • 試験結果の信頼性に影響を及ぼす可能性のあるデータエラーを修正するプロセスが存在すべき • 修正は修正した者に帰属し、元の入力時期の原記録によって正当化及び支持され、適時に実施される データの転送、交換、移行 • システム間で転送される電子データがインテグリティを保持し、その秘密を保全することを保証 • トレーサビリティを確保するため転送プロセスを文書化/記録し、必要に応じてデータ照合を実施 解析前のデータセットの最終化 • 試験結果の信頼性に重大な影響を及ぼすデータエラー及びデータ欠落の訂正に対して、適時かつ信頼 性の高いプロセスを実施することで、中間解析及び最終解析に十分な品質のデータが得られる 97

98.

コンピュータ化システム 1 ➢コンピュータ化システム (4.3) • 臨床試験で使用されるコンピュータ化システムに関するスポンサー/試験実施責任者の 責務、及びその他の関係者の業務を明確にし、文書化すべき • 責任を有する者は、臨床試験のためのコンピュータ化システムを開発する者が、使用目的 及びそれに適用される規制要件を認識していることを保証しなければならない • スポンサー • スポンサーが配備したコンピュータ化システムについて、本項に記載されているコンピュータ化 システムに対する期待事項がリスクに応じた方法で対処されていることを保証する責任を負う • スポンサーは、試験実施責任者/臨床試験実施機関が使用するシステム (例:原データ収集の ための電子健康記録及びその他の記録保存システム) が、当該試験における目的に適合しているか どうかをレビューすべき • 試験実施責任者/臨床試験実施機関 • 特に臨床試験の実施を目的として自らシステムを設置する場合、期待事項が相応に対処され、 実行されることを保証しなければならない (例:eConsent) 98

99.

コンピュータ化システム 2 ➢セキュリティ (4.4) • データのライフサイクルを通じて、試験データ及び記録のセキュリティを管理 ➢バリデーション (4.5) • システムが完全性、正確性及び信頼性に関して設定された要件に従っており、かつ 目的とする性能に沿っていることを実証すべき ➢テクニカルサポート (4.7) • 必要に応じて、コンピュータ化システムに関する問題 (例:ユーザーによって提起 された問題) を記録、評価及び管理するための仕組み (例:ヘルプデスクサポート) を 整備し、繰り返される及び (又は) 体系的な問題を特定するためにこれらの累積的な 問題を定期的にレビューする • 欠陥及び問題は欠陥及び問題は、重要性に応じて解決し、重要性の高い問題は適時 解決しなければならない 99

100.

コンピュータ化システム 3 ➢システム障害 (4.6) • 試験参加者の安全、試験における決定又は試験結果に必須のデータへのアクセスが完全に 又は一部失われることを防ぐために、緊急時の手順を整備すべき ➢ユーザーマネジメント (4.8) • アクセス制御は、システムへのアクセスを許可されたユーザーに限定し、個人への帰属性 を保証するために不可欠 • セキュリティ対策は、目的としたセキュリティを達成し、利便性に不当な影響がないよう に選択すべき • ユーザーの職務及び機能、盲検性に関する取決め、並びにユーザーが属する組織に基づき、 適切にアクセス権が付与されることを保証する手順を整備すべき • アクセス権が不要となった場合は、そのアクセス権は取り消されるべき • 許可されたユーザー及びアクセス権は、明確に記録して、維持及び保存すべき • 記録には、ユーザーの役割、アクセス権及びアクセス許可に対するあらゆる更新、並びに アクセス権が与えられた時刻 (例:タイムスタンプ) を含めるべき 100

101.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 101

102.

付録A 臨床試験薬概要書 ➢ スポンサーが適切な臨床試験薬概要書を作成する責任があることを明確化 • スポンサーは、最新の臨床試験薬概要書が作成されることを保証する責任を負う • 医師主導試験の場合、そのスポンサー兼試験実施責任者は、製品許可保持者/販売承認保持者から 概要書を入手できるかどうかを確認すべきである • スポンサー兼試験実施責任者自身が臨床試験薬を提供する場合には、そのスポンサー兼試験実施責任者が 臨床試験実施施設スタッフに対し必要な情報を提供する ➢ 規制要件に従って緊急報告を要するかどうか判断するための発現頻度及び性質に関する情報 • 副作用の一覧表を作成し、発現頻度及び性質に関する情報を含め、安全性参照情報の項として明確に示す • この一覧表を、重篤な副作用の予測性、及びそれに伴い規制要件に従って緊急報告を要するかどうかを 判断するために使用する ➢ 文言の順序を整理 ➢ タイトルページと目次の削除 • ガイドライン本文で同じ情報を読めるため 102 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

103.

付録B 臨床試験実施計画書 1 ➢臨床試験実施計画書の重要性を強調、シンプルさと明瞭さを奨励 • 臨床試験は、明確、簡潔かつ運用上実施可能な実施計画書に記述されるべき • 実施計画書は、不要な複雑性を最小限に抑え、試験参加者の権利、安全、福祉及び データの信頼性に対する重要なリスクを軽減又は回避できるようにデザインする • 実施計画書の作成プロセスには、適切な場合、関連するステークホルダーからの インプットを組み込むべき • 実施計画書に適応性を作り込むこと、例えば、特定の実施計画書の規定に対して 許容範囲を設定することにより、逸脱の数や、場合によっては実施計画書の改訂の 必要性を減らすことができる • このような適応性は、試験参加者の安全又は試験の科学的妥当性に悪影響を及ぼす べきではない 103 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

104.

付録B 臨床試験実施計画書 2 ➢試験の種類及びデザインの例示が拡大 (B.4.2) • 実施する試験の種類及びデザインの説明 (例:二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較、 アダプティブデザイン、プラットフォーム/アンブレラ/バスケット、分散化要素を 用いた試験) 、並びに試験のデザイン、手順及びステージを図式化した表示 ➢用量調節や投与中断の追加 (B.4.6) • 個々の試験参加者、及び試験の一部又は全体の「中止規定」又は「中止基準」及び 「用量調節」又は「投与中断」に関する説明 ➢スクリーニングの説明が追加 (B.5.3) • 試験参加者のプレスクリーニング (適切な場合) 及びスクリーニングの仕組み ➢同意の撤回又は参加の中止時のデータの取り扱いの明記 (B.6 (b) ) • 適用される規制要件に従い、同意撤回/参加中止した試験参加者に関してどのような データをどのようなタイミングで収集するか (データ取扱いプロセスを含む) 104

105.

付録B 臨床試験実施計画書 3 ➢ 有効性評価指標と安全性評価指標に関する記述の例示 (B.8.2、B.9.2) • 評価を目的の委員会 (例:独立データモニタリング委員会 (IDMC判定委員会) を利用する場合 ➢ 統計の項を拡大 (B.10) ➢ 品質管理及び品質保証の記載 (B.12) • 他に記載のない限り、試験における特定された質に関する要因及び関連リスクの説明 • 臨床試験の品質管理プロセスの一部であるモニタリング手法の説明 • 実施計画書又はGCPに対する不遵守の取扱いプロセスの説明 ➢ データの取扱い及び記録の保存の記載 (B.14) • 収集されるデータ及びその収集方法の規定。必要に応じて、追加の詳細を臨床試験に関連する文書 に記載する • データ取得ツールに直接記録され (すなわち、データが事前に紙又は電子的に記録されることが ない) 、原データとみなされる記録の特定 • 記録は適用される規制要件に従って保存される旨の記述 105 Medicines and Healthcare products Regulatory Agency (MHRA) Inspectorate Blog https://mhrainspectorate.blog.gov.uk/2023/05/26/ich-e6-r3-good-clinical-practice/

106.

付録C 臨床試験実施における必須記録 1 ➢ 文書 (documents) から記録 (records) に変更 ➢ 必須記録は試験によって様々であることを反映 ➢ 保存すべき必須記録の性質と範囲について、リスクに応じたアプローチを適用 ➢ 個々の記録の保管目的について十分に考慮することなく保管する、 「チェックリスト」的アプローチから脱却するため、必須記録の表の2つを作成 • 後述の「試験記録の必須性」の基準に基づき、2つの表を作成 • 試験の特性に合わせて何が必須記録であるのかを試験開始前に決める必要ある • 表1:全ての試験における必須記録 (各試験で必須とみなされる記録) • 表2:必須記録となりうる記録 (記録の有無及び性質は、試験デザイン、試験の実施状況及びリスク に応じた管理状況によって異なる) ➢ 必須記録が文書だけでなくデータも含むことを明確化 ➢ 第三者が関与する場合に必須記録の管理について取り決める旨明確化 ➢ 試験マスターファイル (TMF:Trial Master File) に関する記載の明確化 106 20230728_ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施基準ガイドライン案説明会_E6 (R3) への期待 国立がん研究センター中央病院国際開発部門/臨床研究支援部門中村健一

107.

付録C 臨床試験実施における必須記録 2 ➢ 必須記録 • 臨床試験の実施前及び実施中には多くの記録が作成される • 作成及び保持される記録の性質及び範囲は、試験デザイン、その実施状況、リスクに応じたアプローチの 適用、並びにその記録の当該試験に対する重要性及び関連性による • 本付録のガイダンスを考慮した上で 、 どの記録が必須かを判断する ➢ 必須記録の管理 • 記録は、特定可能で、バージョンが管理され、また必要に応じて日付及び署名 (電子的又は手書き) とともに、 適宜、作成者、レビュー担当者及び承認者の名前が含まれる • 必須記録は、保存場所 (例:試験マスターファイル (TMF) や臨床試験実施施設ファイル (ISF) ) の中に保持 する、あるいは保存場所から参照する。TMFはスポンサー又は試験実施責任者が保有する • スポンサー及び試験実施責任者/臨床試験実施機関は、原記録を含む必須記録について、どの場所に保存 されているかの記録を維持する • 必須記録の原本は、その記録に関して責任を有する者 (スポンサー又は試験実施責任者) が保存する • 必須記録の原本を永久的に置き換えるために複写を使用する場合、その複写は保証付き複写の要件を満たす • 一部の必須記録は、試験固有のものではなく、複数の試験の実施に関連するシステム及びプロセスに関する ものであり (例:標準業務手順書、バリデーション記録、基本契約書) 、試験固有の保存場所以外で保存 される場合がある 107

108.

付録C 臨床試験実施における必須記録 3 ➢ 試験記録の必須性 1 特定の臨床試験記録が必須であり保存する必要があるかどうかは、以下の基準に基づいて判断 (a) 規制当局又はIRB/IECに提出される又は規制当局又はIRB/IECによって発行される文書 (関連するやり取りの記録、及び規制当局による決定又は規制当局又はIRB/IECによる承認/肯定的見解 を記録する文書を含む) (b) 試験固有の手順書又は計画書 (c) 試験の実施及び使用されるプロセスに関連して行われた、重要な話し合い及び (又は) 試験関連の決定に 関連するやり取りの記録又は会議の記録 (d) 関連する試験手順の実施を記録 (e) 当事者間の取決め及び保険/補償の取決めを記録 (f) 規制当局による要件及び承認条件の遵守又はIRB/IECの肯定的見解を記録 (g) 試験の承認又は実施に関与する全ての委員会の構成及び、必要に応じて、機能、やり取り及び決定を 記録 (h) 試験固有のコンピュータ化システムがバリデーションされている、試験固有ではないシステムが試験に おける使用目的に適合すると評価されていることを示す 108

109.

付録C 臨床試験実施における必須記録 4 ➢ 試験記録の必須性 2 (i) スポンサー及び (又は) 試験実施責任者により、確認又は許可を示すために承認/署名された文書 (j) 必要な場合、試験固有の業務 (例:データ取得ツールの入力) を請け負うスタッフの署名/イニシャル を証明する文書 (k) 試験参加者となりうる者にどのような情報が提供されたか、及び試験参加者のインフォームド・ コンセントが適切に取得され、維持されていたことを記録 (l) 試験実施に関与するスポンサーの担当者及びその代理として試験固有の業務を行う者が、教育、 トレーニング及び経験により、それぞれの業務を十分に遂行しうる適格性を有することを記録 (m) 試験実施責任者及び試験実施責任者から試験固有の業務を委任された者において、特にその業務が 通常の役割ではない場合に、教育、トレーニング及び経験により、それぞれの業務を十分に遂行しうる 適格性を有することを記録 (n) 試験を再構築するために必要となるデータ及び関連するメタデータが含まれる (o) スポンサー及び試験実施責任者による試験実施中の試験参加者の安全性の監督に関連する文書である (スポンサーと試験実施責任者、規制当局及びIRB/IECとの間の安全性報告要件の遵守や、必要に応じて 行う試験参加者への安全性情報の通知を含む) 109

110.

付録C 臨床試験実施における必須記録 5 ➢ 試験記録の必須性 3 (p) サービス提供者が、委任又は委託された業務を実施するための十分な適格性を満たしていることを記録 (q) 試験で用いられる臨床検査及びその他の検査が目的に適合していることを記録 (r) 必要に応じて、臨床試験実施施設の選定、並びに試験のモニタリングに関するスポンサーの監督及び 監査について記録し、発生した問題/不遵守及び検出された逸脱と、それらに対する是正及び予防措置の 実施に関する情報を提供している (s) 実施計画書の遵守状況及び (又は) データマネジメント及び統計解析の手順並びに中間報告書及び最終 報告書の作成の手順の遵守状況を記録 (t) 生体試料の採取、保管・輸送管理、分析、保存又は廃棄について記録 (u) 臨床試験薬及びその表示に関連する情報を提供 (v) 臨床試験薬の輸送、保管、包装、交付、無作為化及び盲検化に関する情報を提供 (w) 適切な場合、製造業者からの出荷から交付、試験参加者への投与、返却及び廃棄又はそれに代わる処分 までの、臨床試験薬に関するトレーサビリティ及び数量管理の情報を提供 (x) 試験で使用する臨床試験薬の識別及び品質に関する情報を提供 110

111.

付録C 臨床試験実施における必須記録 6 ➢試験記録の必須性 4 (y) 盲検解除に関連するプロセス及び実施内容を記録 (z) 必要に応じて、試験参加者の募集、試験開始前スクリーニング及び同意取得プロセス、並びに試験参加 者の個人情報及び経時的な登録について記録 (aa) 試験参加者の実在を記録し、収集された試験データのインテグリティ (完全性) を裏付ける 試験参加者の試験治療及び病歴・治療歴に関する原記録が含まれる (bb) 試験参加者の権利、安全及び福祉、並びにデータのインテグリティを保護するために、セキュリティ 侵害が発生した場合に実施されるプロセス/基準を規定している 111

112.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 112

113.

まとめ ➢ 現時点では案の段階 • パブリックコメント次第で変更出る可能性がある。さらに日本独自の運用が入る可能性がある ➢ 修正が出ても、大きな方向性は変わらない • 今回は様々な国の当局・産業界、アカデミアの意見も取り入れられ、既に練られている • なお、日本のアカデミアからは国立がんセンターの中村健一先生が参加されている ➢ 日本にとっては大転換 • 国際共同試験が当たり前の昨今、お作法に囚われることなく、 “この業務は先人の知恵として残っているお作法だけど 本質的に今も必要?” と 一人一人が Why?を問い直し、本質を考えて行動していきませんか? ➢ まず序文とICH-GCPの原則を読んでみてください • Why?と問うためには、全試験で共通の大原則の把握が必要になる • 臨床試験のあり方が書かれている 113

114.

目次 01 ICHとGCPとGCP改訂の段階 02 和訳に関する点 03 Ⅰ. 序文&ICH E6 (R3) の主な新しい点 04 Ⅱ. ICH-GCPの原則 05 Ⅲ. 付属文書 1 用語の定義 06 Ⅲ. 付属文書 1 1. IRB/IEC 07 Ⅲ. 付属文書 1 2. 試験実施責任者 08 Ⅲ. 付属文書 1 3. スポンサー 09 Ⅲ. 付属文書 1 4.データガバナンス-試験責任者及びスポンサー 10 Ⅲ. 付属文書 1 付録 11 まとめ 12 参考文献 Institutional Review Board (IRB) 治験審査委員会 Independent Ethics Committee (IEC) 独立倫理委員会 114

115.

引用・参考文献 • 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の一部を改正する省令 (令和2年8月31日厚生労働省令第155号) • 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて」の改正について (令和2年8月31日薬生薬審発0831第15号) • ICH-GCP (R2) : Integrated Addendum to ICH E6 (R1) :Guideline for Good Clinical Practice E6 (R2) Current Step 4 version dated 9 November 2016 • 国際共同試験ポケット資料集 2023年版 • ICH-GCP (R3) : ICH Harmonised Guideline: Good Clinical Practice (GCP) E6 (R3) Draft version Endorsed on 19 May 2023 Currently under public consultation • ICH E6 (E3) Step2 Presentation • ICH E6 (R3) 医薬品の臨床試験の実施に関する基準 ガイドライン (案) ステップ3 • ICH-E6 (R3) 「医薬品の臨床試験の実施基準」ガイドライン案説明会 (2023/7/28開催) 115