AI協働力: 100万件の評価データが示す、 モノづくりで問われる力の行方

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September 11, 26

スライド概要

2026年9月11日に開催された Developer Summit 2026 FUKUOKA ( https://event.shoeisha.jp/devsumi/20260911/session/7151 ) のセッション資料です。

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SIer での受託開発を経て、株式会社サイバーエージェントに入社。様々なプロダクト開発の傍ら、立ち上げた横断組織で Web 技術の推進に従事。株式会社メルカリに入社後はメルカリ Web やメルカリアプリの刷新を牽引し、執行役員 VP of Engineering としてメルペイのエンジニアリング部門を管掌。デジタル庁では行政のデジタル化に貢献し、株式会社ハウテレビジョンでは執行役員プロダクト本部長として事業と組織の成長を主導。西日本旅客鉄道株式会社・三井住友カード株式会社・株式会社マクロミル等の顧問として、事業や組織の幅広い課題解決を推進。株式会社ハイヤールー 取締役 CTO。

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各ページのテキスト
1.

Developers Summit 2026 FUKUOKA AI COLLABORATION · CAREER & RO LE AI協働力: 100万件の評価データが示す、 モノづくりで問われる力の行方 判断は、自分から始まっているか ─ AI 協働の実測から読む、キャリアとロール 泉水 翔吾 株式会社ハイヤールー 取締役CTO 2026-09-11

2.

PRESENTER 泉水 翔吾 株式会社ハイヤールー 取締役CTO Shogo SENSUI サイバーエージェント メルカリ デジタル庁 ハウテレビジョン SIer での受託開発を経て、株式会社サイバーエージェントに入社。様々なプロダク ト開発の傍ら、立ち上げた横断組織で Web 技術の推進に従事。株式会社メルカリ に入社後は Web やアプリのフルリプレイスを牽引し、執行役員 VP としてメルペイ のエンジニアリング部門を管掌。 デジタル庁では行政のデジタル化に貢献し、株式会社ハウテレビジョンでは執行役 員プロダクト本部長として事業と組織の成長を主導。西日本旅客鉄道株式会社・三 井住友カード株式会社等の顧問として、事業や組織の幅広い課題解決を推進。 2025 年、株式会社ハイヤールーにジョイン。

3.

AI 導入の現在地 ── 個人の実感と、組織の成果 90% 80%+ 個人の実感 業務で AI を使用 生産性向上を実感 −1.5% +7.2% 組織の成果 · AI 導入が 25% 進むごと デリバリーのスループット 実感と成果がずれている。問いは「使っているか」ではなく、どう使っているか デリバリーの不安定性 出典:DORA — State of AI-assisted Software Development (2025) / Accelerate State of DevOps (2024)

4.

実装するコストがゼロに近づくと、 ボトルネックは判断に移る これまで これから 要求 設計 要求 何を作るか 実装 検証 運用 正しさをどう確かめるか 運用 ボトルネック ── 評価は実装力に寄る 設計 どの案にするか 実装 求められる能力は「書く」から「判断する」へ。以後「左に移る」はこの図のこと 検証

5.

THE QUESTION 評価される軸が移ったのなら、 キャリアとロールはどう動くのか 01 測った話 02 読みの話

6.

01 01 02 01 · 測った話 評価される軸は、 どこへ移ったのか

7.

企業はもう選び始めている AI 協働形式を選んだ企業数の推移(累計) 32社 / 97 39社 / 105 21社 / 90 11社 / 79 2026-05 · 13.9% 2026-06 · 23.3% 2026-07 · 33.0% 2026-08 · 37.1%

8.

何が要るとされたか ── 成り立ちの違う 4 つの出典 1指標 2採用実務 3論文 · 枠組み 4査読論文 · ICML 2026 anthropic.com/ai-fluency coderpad.io/survey-reports arXiv 2606.03394 arXiv 2512.04111v3 Anthropic AI Fluency CoderPad State of Tech Hiring FSE-CF CentaurEval

9.

Anthropic の AI Fluency ─ 4 つのコンピテンシー Delegation Description Discernment Diligence 委譲 記述 見極め 誠実さ 何を任せ、何を自分でやるかを決める 意図と文脈を、AI に伝わる形にする 出てきたものを評価し、自分で判断する 倫理・透明性・説明責任を引き受ける 出典:Anthropic × Ringling College × University College Cork — AI Fluency: Framework & Foundations

10.

CoderPad ─ AI 利用可の面接で見る 5 つのシグナル 02 トレードオフと正しさを説 明できる Explain trade-offs and correctness 01 · 筆頭のシグナル 03 反復し、出力を改善できる Improve AI output through iteration Catch and fix AI mistakes 04 エッジケースを扱える Handle edge cases 05 セキュリティ・プライバシ ーに配慮できる Consider security and privacy AI の誤りを捕まえ直せる 上位二つはどちらも「出てきたものを疑い、説明できるか」 出典:CoderPad — State of Tech Hiring 2026

11.

FSE-CF ─ AI と働く力のうち、AI に代替されにくいもの 02 批判的に評価し、判断する Critical evaluation & judgment 01 · 協働の中心にあるスキル 03 全体をシステムとして見る Systems thinking いつ頼り、いつ検証し、いつ上書きするか 04 AI にどこまで任せるかを決 める AI governance — プロンプト設計は、AI に代替されていく側 Trust calibration 「頼み方」と「疑い方」は、別の能力として扱われている 出典:Alenezi (2026) — arXiv 2606.03394

12.

CentaurEval ─ 協働でしか解けない問題の正答率 18.89% 0.67% LLM 単独 AI に丸ごと任せる 人間単独 AI を使わない 突破口は人間からも AI からも出る ── 介在の余地は実在する 31.11% 協働 人が判断し、AI と往復する 出典:ICML 2026 — arXiv 2512.04111v3

13.

別の出典が同じ論点に収束する 別々の 4 つの出典が、それぞれ指したもの 指標 Anthropic AI Fluency 見極め(Discernment) 採用実務 CoderPad AI の誤りを捕まえ、直せるか State of Tech Hiring 論文 · 枠組み FSE-CF · Alenezi (2026) 論文 · 査読 批判的判断 / trust calibration は代替されにくい CentaurEval · ICML 突破口は人間からも出る(協働 31.11%) 2026 共通して指したもの 出てきたものを、 自分で評価し、自分 で決める 頼み方ではなく、受け取り方と決め方

14.

IDE チャット 74,998 メッセージの発言を分類 Code Authoring コードの作成・修正 34.5% Inquiry 質問・相談 Delegation コマンド実行・文書作成の委任 Context Specification 前提や制約の提示 Workflow Control 「続けて」などの進行指示 19.2% 16.5% 14.1% 11.5% Failure Reporting 壊れたと知らせる Validation 自分から確かめる 24.0% 3.99% 出典:Programming by Chat — arXiv 2604.00436 (ASE 2026)

15.

実際の行動を読み解く 「壊れてから直す」「自分から検証する」 ── 何が違うか 時間で見ると どちらも出力の後であり、 差がない 起点で見ると 失敗の知らせが起点か、 自分が起点か

16.

採用試験で計測する AI の指標 AI 協働力 ─ 成果物ではなく、AI と作業した過程を採点する 統制 何を任せ、 どう進めたか 実行の統制 環境構築 共同推論 どこで、何を決めたか 分解 検証 意図の仕様化 出力の品質保証 どう伝えたか 成果物は誰のものでも似てくる。差が出るのは過程 何を確かめたか 三つを、考えながら回す 出所:HireRoo — Software Engineering Index / AI 協働力 (2026-07)

17.

AI 協働力 5 指標の平均スコア(100 点満点 · N = 25,115) 実行の統制 意図の仕様化 出力の品質保証 環境構築 共同推論 68.5 64.4 58.7 54.6 45.5 出所:HireRoo — Software Engineering Index / AI 協働力 (2026-07)

18.

共同推論の採点基準 共同推論を構成する 3 指標 ─ 採点基準の原文と中央値 案の段 案の段 代替案の引き出し 提案の評価と採択 0.5 = 標準 0 0.25 出力の段 批判的評価 0.5 = 標準 1.0 「探索が形式的で、 最初の案にすぐ収束している」 0 0.50 1.0 「比較・評価なしに 『それで進めて』と採用している」 0 0.5 = 標準 0.50 1.0 「外部シグナルを受けてから対処、 自力検出はない」 採点の較正:0.5 = 標準行動 / 1 = 熟練者にしか観測されない行動

19.

「最初の案にすぐ収束している」 + 「外部シグナルを受けてから対処」 早く決めて、 遅く気づく 失われているのは時間ではない。探索されなかった選択肢と、誤りに気づくまでの距離。

20.

求められたこと・実際の行動・ 測った能力の 3 つが指したもの 求められたこと 実際の行動 測った能力 4 出典の収束 行動ログ · 24.00% 対 3.99% 採点基準 · 共同推論 45.5pt いつ頼り、いつ検証し、いつ 上書きするかを自分で決める 壊れてから直す 外部シグナルを受けてから対 処

21.

ACT 01 — 結論 判断が、自分から始まっていない。 案は、AI が出したものから始まる 気づきは、失敗が来てから始まる 能力の欠如ではなく、「比べること」と「疑うこと」を外に預けている。

22.

02 01 02 02 · 読みの話 ここまでが測った話、 ここからは読み

23.

差は、自然には埋まらない 頼み方と疑う力の差は、 なぜ自然には埋まらないのか ── 3 つの仮説 (a) なぜ生まれるか 丁寧に頼むのに、出てきたものは 疑わない (b) なぜ消えないか 頼み方は伸びるが、疑う力は伸び ない (c) なぜ強まるか 組織は、測れるものを測ってしま う

24.

アーティファクト効果 ─ 成果物がある会話とない会話の差 受け取り方は雑になる(−pp) 頼み方は上手くなる(+pp) 目的の明確化 −3.7pp −5.2pp 形式の指定 事実確認 文脈の欠落への気づき 成果物がある会話 − ない会話の差(11 指標・50,000 会話超の観察)。pp = パーセントポイント 仕上がって見えるものは、仕上がったものとして扱われる +14.7pp +14.5pp

25.

記述と検証 ─ 11 指標 · 50,000 会話超の観察 記述(頼み方) 高 差は時間とともに広がる 低 検証(疑う力) ← 少ない AI との接触量・在籍年数 → 放っておくと片方だけ伸びる。頼み方と疑う力の差は時間とともに広がる 記述(頼み方) 時間と接触量で、 有機的に伸びる 検証(疑う力) 在籍年数でも伸びず、 機能習熟からも転移し ない

26.

tokenmaxxing ── DORA が名指した、組織の罠 「AI のトークン消費量を、社内リーダーボードで競わせる ── こ DORA · 2026-06 の "tokenmaxxing" は、危険な罠である。」 判断の質の代わりに利用量を測る。個人は量に最適化され、検証の時間が削られる。

27.

三つの答え 頼み方と疑う力の差は、なぜ自然には埋まらないのか (a) なぜ生まれるか ─ アーティファクト効果 (b) なぜ消えないか ─ 記述と検証 (c) なぜ強まるか ─ tokenmaxxing 仕上がって見えるものは、仕上がったもの として扱われる。予測できる失敗モード。 検証は在籍年数でも伸びず、機能習熟から も転移しない。片方だけ伸びる。 組織は測れるものを測り、個人は量に最適 化される。検証の時間が削られる。 個人の怠慢ではない 経験では解決しない 怠慢でも、経験不足でも、意志の問題でもない 意志の問題にできない

28.

差はどこにあるか 「使う」はもう前提。差は「考える」側に集まっている 「使う」側 ─ 実行の統制 0 「考える」側 ─ 共同推論 50 68.5 100 5 指標で最も高い。誰の弱点でもなく、差にならない。時間 が解決する 0 50 45.5 100 5 指標で最も低い。弱点はここに集まっている。時間が解決 しない

29.

差はどこにあるか 「考える」の核は「自ら」 ─ 判断を預けたまま回すと、気づくのが遅くなる 早く決める 0 遅く気づく 0.5 = 標準 0.25 1.0 代替案の引き出し · 中央値。試行回数 が増えても、試す先の幅は増えない 0 強まる仕組み (a) 仕上がって見えるものは疑わない (b) 検証は経験で伸びない (c) 組織は量を測る 0.5 = 標準 0.50 1.0 批判的評価 · 中央値。外部シグナルを 受けてから対処する 学ばない周回は、速いほど誤りを固定する

30.

専門性の重心はどこへ移るか 専門性の重心は「書く」から「選ぶ」へ ─ 左に移るのは工程ではなく、決めごと うちのスコア · 5 指標 FSE-CF · AI に代替される可能性 書く 意図の仕様化 64.4 プロンプト設計 ─ Medium 選ぶ 共同推論 45.5 批判的判断 ─ Very low 相対的な強み ─ AI が最も得意な領域と重なる 相対的な弱点 ─ どの仕樮にするかを決め、責任を 持つ 実装から、意思決定へ 仕樮書は、AI も書ける 決めた責任は、人に残る

31.

判断が価値になると、何が起きるか (1) 見えなくなる (2) 向かう道が細くなる (3) 見る側と合流する 判断の過程は試験で見える。何を選び、何 を引き受けたかは、成果物に痕跡を残さな い 判断には実装の理解が前提。その実装を AI が担うので、理解を得る機会が減る 4か月で 105社中 39社が、その形式を選ん だ 決めた責任は、成果物に残ら ない 判断の価値は上がるのに、判 断に至る経路が細くなる 成果物では差がつかないか ら、過程を見にいく

32.

TAKEAWAY 仕様書は AI も書ける。 決めた責任は、移らない。

33.

任せる前と、受け取った後 前 ─ どれを試すか 後 ─ 何が起きたかを読む 立つ場所 「他に 3 つ出して、向き不向きを教えて」。 何と何を比べるかを自分で決める。 テストが落ちる前に、どこを疑うかを決め て見る。通る diff でも、間違ったやり方が そのまま固まってしまう。 「なぜこの案か」を残すレビュー。育成は 基礎力 → 検証 → AI 協働の順。 岐路で、比較軸を自分から出す 失敗の知らせを待たず、自分で疑う 任せる量は足りている。足りないのは、任せた先の中身 判断が残る場所に立つ

34.

測れていないもの この試験で測れていない 5 つ 01 02 03 04 05 候補者の属性 評価対象が本当に移ったか 求人側と候補者側の切り分け 領域どうしの比較 継続採用の定着 年齢・経験年数などは保持していない 分かるのは「形式を選んだ」まで どちらの変化かを分けて見られていない 同じ物差しで比べているのは平均スコアのみ あと一四半期で判定できる ── いちばん早く外れる条件 判断の起点は測れる。決めた責任は、この試験に映らない。

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Developers Summit 2026 FUKUOKA FIN. ありがとうございました WHITEPAPER 泉水 翔吾 株式会社ハイヤールー 取締役CTO Web: shogosensui.com X: @1000ch AI 協働力ホワイトペーパー 100万件の評価データの全編をこちらから