2023 02 HREIFPASELL発表資料第17章

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February 03, 24

スライド概要

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教育方法学・教科教育学という「一般的な教育」と,外国人児童生徒教育学という「特別な教育」をどちらも行っています。 このどちらもを同時に行う研究室は,日本の中ではほとんどありません。その結果,大学を含む多くの教育の場でこの両者は別々のものになってしまっています。

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各ページのテキスト
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【おねがい】この資料は,広島大学大学院 人間社会科学研究科 2023年度 2ターム「外国人児童・生徒の教育課程デザイン特論」(南浦涼介担当)の授業で行ったが受講大学院生たちの発表資料 です。 Grace Onchwari, Jared Keengwe (2019). Handbook of Research on Engaging Immigrant Families and Promoting Academic Success for English Language Learners , IGI GLOBAL の研究ハンドブックのいくつかの章を選んで発表したものです。 教育的価値,資料的価値としてウェブでの掲載を行っておりますが,いわゆる「論文」ではありませんので,論文等への引用や掲載は固くお断りいたします。また,分析対象の著作権は著 作者,資料文書 の著作権は発表者に記しますので,無断転載はご遠慮ください。 質問については,広島大学南浦研究室(http://minamiura-lab.com)までお願いいたします。 HUMANIZING AND LINGUISTICALLY RESPONSIVE PEDAGOGY- EXAMINING HOW TEACHERS ENGAGE ELL KNOWLEDGE, INTERESTS, AND STRUGGLES IN SOCIAL STUDIES CLASSROOMS ●野●●,大●●●,●村●●

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Kevin Russell Magill, Ph.D. ◦ 所属 ベイラー大学,助教 ◦ 専門 社会科教育 ◦ 教育と学習における社会的関係に焦点を当て、社 会科学、市民教育、教師教育、コミュニティを探究 ◦ 興味関心 ◦ 批判的な教育の実践が個人の社会的変容に つながる可能性 ◦ 「社会科教師や教師たちが権力や批判的理論、 文化研究をどのように理解し、それがイデオロ ギーや教育の実践にどのように影響するか」 ◦ 実務経験 中学校,高校の教師として働いた

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本章の構成 1. アブストラクト 2. はじめに 3. 言語 4. 探究 5. 対話 6. 理論的枠組み 人間的であり言語的であることに応える教育, 探究, 対話 7. 調査方法 データ収集, データ分析, 背景と参加者 8. 調査結果 解決策と提言, トラヴィス, シンシア, アンドレス 9. 考察,影響,結論 参考文献 主な用語と定義

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用語と定義 ◦ Code Switching(コード・スイッチング):会話の中で言語や言語的多様性の間を 移動すること。 ◦ Counter Storytelling (カウンター・ストーリーテリング):一般的には真実とされてい る物語に対抗し、それを疑わしくするために使われる別の物語。物語や特権的特徴を 明らかにし、分析し、疑問視することを目的。 ◦ Critical Reflexivity(批判的反省):自分の行動や存在が、社会的生産関係の中でど のように存在し、その権力を無力化する過程を理解する能力。 ◦ Culturally Relevant, Responsive, Sustaining, and Revitalizing Pedagogy (文化的に関連し、対応し、持続させ、活性化させる教育法):生徒の文化を取り込 み、それに対応し、生徒の文化が発展するよう積極的に支援するようデザインされた 教育法。

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用語と定義(続) ◦ Language Hegemony(言語覇権):支配階級の論理と権力を支える言語慣行。 ◦ Linguistic Funds of Knowledge(言語的知識):生徒がクラスに持ち込む言語スキル や知識。生徒が母文化の一員として活動するために必要。 ◦ Linguistically Responsive Pedagogy(言語的に応える教育): 教室にいる生徒の言語や言語のニーズに対応し、それを大切にする教育法。 ◦ Schema(スキーマ):自分の思考や行動のパターンを認知的に表現したもの。 ◦ Social Capital(社会的資本):人々に不公平な社会関係を生み出すまたは再生産す る力を与える関係、知識、スキル、態度、行動、特権など。または、彼らの社会関係を変 える力を持たせるもの。

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INTRODUCTION

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目的:生徒の文化を尊重し、言語リテラシーを取り入れ、 学問的知識への問いかけをサポートする教育法を取り入れる ための施策を探る。 方法:生徒の豊かな言語経験を中心に据えるための 批判的探究と対話的学習。

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これまで ELLの生徒に配慮した政策は、文化や生徒の体験より文法やテストの点数向上に重点を置いてきた。 英語と関連した社会的資本を達成するために、既存の言語や文化を軽視することが奨励されてきた。 言語学習者やそのコミュニティの「母国語や文化的理解を軽視する」という問題を引き起こしている。 しかし ELLの生徒の言語的・文化的ニーズを理解することは、正式な学校教育において、 彼らにとって有意義な経験を積ませる上で中心的なことである。 ⇒ELLの生徒たちは 創造的に自文化を吟味できる教育環境を必要としている!!

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LANGUAGE

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チョムスキー すべての人間には言語を学習する能力が生まれながらに備わっている。 生徒が第二言語にアクセスできるような内容や環境を育てる責任は教師にある。 クラッシェン 生徒が(L1)の理解を使って(L2)にアクセスできるような「理解可能なインプット」を 提供することで、普遍的な文法の生得的な性質にアクセスできるようにするとよい。 最大限の言語習得を実現するためには、生徒は(L1)と(L2)を橋渡しするような、 不安の少ない言語体験を必要とする。

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カミンズ 生徒がL1を通じてL2にアクセスできるようにサポートすることで、生徒が持っている 知識やスキルを大切にし、既存のスキーマを通じてL2にアクセスできる。 教師は言語学と言語学習をサポートする教育実践を理解するよう訓練されるべき。 スピネリ 多くの言語学習者の生徒が、彼らの問題は 文化や言語の違いによるものなのに学習障害と誤認されている。 そうした生徒は複雑な学問的作業ができない、と思い込んでいる教師もいる。 こうした問題は教師の限られた教育学的・文化的能力に関連している。

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☑生徒の社会的現実を理解することで、教師は生きたカリキュラムの一環として、生徒とともに 不公平な構造を問い直す機会をより適切に提供できるようになる。 (Rodriguez, 2008) ☑間違えてしまうことをストレスに感じてしまうかもしれないから、と言語を学ぶ生徒に危険を回避 させるのではなく、教師が「カリキュラムの中核となる内容、理解、活動を教える中で、 言語とリテラシーを発達させる機会を意図的に実現する」べき。( Bunch,2013) ☑探究や対話のような実践は、言語学習者が世界、人種、人種差別と対話する機会を提供する。 教師は、リーディング、ライティング、スピーキングの機会にそれらを取り入れることで、 生徒が文化的な成果物や生活体験を問い直し、言語スキルをカリキュラムに応用できるように手助けすべき。 (Rodriguez, 2012)

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INQUIRY

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◦ 教育現場において、生徒の歴史の豊かさがカリキュラムに含まれていないことがよくある。 特にELLにとって、自分自身の経験について探究し、意思決定する能力は、肯定的な教室体験に不可欠。 (Rodriguez & Magill, 2017; Terzian & Yeager, 2007) ◦ 探究は、ELLの学生を支援する可能性を秘めたユニークな実践である。 探究は非常に個人的な経験であり、生徒が特定の物語に関連する情報源について選択することで、 学習が個人化される。 (Salinas & Blevins, 2014; Salinas, Fránquiz, & Reidel, 2008) 批判的探究は、 生徒が大切にする成果物やアイデンティティを肯定するテキストを吟味する場を提供する。 ELLの生徒は、自分の文化的、言語的、認知的理解に基づいて解釈する力を養える。

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DIALOGUE

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◦ 対話を通して、生徒が真正に、主観的に、そして客観的に文化的・学問的経験を交換することで、 共通の関心事に対処するためにグループでの理解を高めるスキルが身に着く (Rodriguez & Magill, 2015; Soder, 1999) ◦ 対話を通して言葉の社会的な力を明らかにすることは、世界と関わるために言葉を使いこなす ために不可欠である。(Freire, 1995) 対話的学習は、 生徒の言語能力や学問的スキルを向上させる傾向がある。 (Brooks, 2009; Conklin, 2007) 対話の民主的な性質は、生徒が相互作用を共有することで、言語的・文化的発達の 側面を検討することを可能にする (Freire, 2000; Rodriguez, 2008)。

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THEORETICAL FRAMEWORK

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理論的枠組み① 【自己認識を持つ批判的社会科学教師が、探求と対話を通じて、「言語的にサポート的であ る実践」と「文化的に応答性のある人間性教育」をどのように理解して具体化しているのか】 人間性教育を実践する教師 →生徒の「実態・経歴・視点」を尊重し活かす 「生徒の理解者、生徒自身の学習に積極的に参加する者」として生徒との関係を意識 人間性教育についてのその他の面 ・「日常生活の文化的・精神的・言語的側面」に配慮することも含まれる ・「物質的な社会関係および現代の社会形成に関連する実践の批判」に立脚している ↓ 人間性教育は批判的な意識を含むだけではなく 生徒との関係を築き、より豊かな学習環境の実現へ

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理論的枠組み②(研究の枠組み) 【言語的に応答性のある教育に焦点をあてる】 言語学的に対応した授業に配慮 言語的支援を必要とする生徒に対し、生徒の母国語や文化を認め、肯定する →生徒が様々な方法で言語を活用する機会や、真の知的活動に取り組む機会などが 生まれる 言語的に応答性のある教育について 〇伝統的なカリキュラムと言語学習者の受け入れ・達成・エンパワーメントの促進を橋渡しする役割を果たす ことが可能 〇教師は、言語的な知識の基盤を尊重する 教師は様々背景を持つ生徒と協働する必要がある。生徒を支援していくため に、文化的に関連性・応答性・持続性かつ活性化する教育的アプローチを体 現する意欲と能力が必要である。 読み、書き、聞き、議論する機会の提供も大切!

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理論的枠組み③(分析の枠組み) 分析の枠組みには、社会科学のスキル・探求・対話が含まれていて、言語的・文化的に 対応した方法で、言語的・市民的・技能的発達を支援することが可能 批評と包摂に焦点を当てた探求と対話の実践が、ELL集団がより有意義な学業に取り組めるように支援する ことが出来る。(2007年Gutman) 〇生徒が批判的な探求に取り組むとき、自分たちの言語的・文化的・精神的な側面を肯定する 〇教師が生徒の「地位・アイデンティティ・市民権への関与」に配慮することで、ELLや移民集団の学業経験は 向上する。 ↓ 対話的に問題提起を行うことで、コミュニティに関わる人はお互いの精神を内面化し、教師と生徒がより人間 的なつながりを持つことができる。

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理論的枠組み④ Cruz and Thornton(2009) 「社会科の教室でELLと取り組みためのフレームワーク」を研究のための分析レンズとして活用 「教師が言語を学ぶ生徒にすべき5つのこと」 ①社会科の教師は口語や文語を通して、読む・書く・聞く・議論するなど様々な機会を提供する ②生徒が英語を生産的に使えるようにサポートし、奨励する ③教師はELLが他の生徒と英語で交流する機会を最大限に活用する活動を取り入れる ④教師は英語構造のパターンに生徒の注意を向ける ⑤教師はELLが自分の間違いに気づき、英語を修正する機会を与える

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METHODS 研究の枠組みを踏まえ、社会科教師が言語・探求・対話・文化的対応・社会科指導の関係を どのように理解しているのか調べる

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方法1:データ収集 直接観察・半構造化インタビュー・成果物の収集・参加者との対話からデータを収集 目的 方法 実践の正確な表現を分析 自己認識のある批判的な社会科学教師が教授するいくつかの授業をフィー ルドノートにまとめ、実演的な授業に取り組む教師のポートレートを作成 教師の生徒への接し方から社会正義 の問題への取り組み方を分析 教室内での対話や交流の記録 教師自身の実践に対する解釈が、教育 授業計画・配布資料など対話や探求を刺激するような成果物の収集 に及ぼす影響を分析 教師の意図や解釈をさらに分析 毎週の教師日誌の収集

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方法2:データ分析 「constant comparative approach」(絶えざる比較法)を活用し、類似点・相違点・カテゴリー・概念・考え に注目することで、参加者の発言や考えがどのように現れているのかを確認 インタビュー記録・フィールドノート・資料を、言語・探求・スキル・権力・社会科 学指導の関連性に注目して分析し、コーディング(コード化)を行った。 ※コードは、概念的な枠組みとの関連性に基づいて絞り込んだ (例:人間性のある教育と応答性のある教育) ↓ 異なる種類のデータを対比し、文脈を横断して浮かびあがる傾向を把握することができた データ提出の際には、詳細な記述を提供し、信憑性を高め、研究結果の移転性を示すデータを明らかにする ことを行った。また、教師の経験が教育的な可能性を明らかにする方法について、個別のレポートを作成。

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方法3:背景と参加者について この研究に参加した教師は ・自己を「批判的」または「社会正義志向」の教師と位置づけ ・ELLの生徒が多い授業を担当している 🌼研究の参加者 数年間の間隔を置いて、同じ中等教育の 社会科教師教育プログラムに通う Travis Cinthia Andres 【プログラムについて】 ・プログラムは、都市教育と社会科学の批判的な解釈に明示的に焦点を当てていた ・各教師は言語取得の授業を受講したが、バイリンガル教育者として、正式な訓練は受けていない ・彼らのクラスの英語学習者は、英語を使用するのに問題ない知識をもっていた

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Travis先生について 【Travis先生についてと経歴】 〇「白人」の男性として自己を認識 〇中規模の学区(9500人の生徒)で世界地理の先生として2年目の男性教師 〇アリゾナ州出身で、テキサス州で教師としての仕事を始める 〇働いていた学区は大都市から外れた農業の町 【Travis先生の学校について】 〇勤務先である学校は成長が多様な地域に位置しており、保守主義と自由主義、白人と ラテン民族の人々が混在していることが特徴的である。 〇学校のシステムは、教師の成果を測定し、責任を追及するものであったが、教師たちは、 常に管理職に監視されているわけではなかった 〇生徒は、ELL、ELLではなくなった生徒、英語の能力がかなり高い移民の生徒、 メインストリームの生徒で構成されている。多くの生徒はグループワーク中に スペイン語を話すことがあり、トラヴィス先生はそれを支持していた。

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Cinthia先生ついて 【Cinthia先生についてと経歴】 〇チカ―ノの市民権活動家として自己を認識していた 〇中規模の学区(役9000人の生徒)の農村地域で6年目の 世界地理学・世界史・政治・経済を教える女性教師 〇メキシコとテキサスの地政学的な国境に近い場所で育ち、 英語とスペイン語のバイリンガルとして育てられた 〇学校の中で、成功した教師とみなされ、自身が適切と 考える範囲で社会科目を教える自由が与えられた 【Cinthia先生の学校について】 〇勤務先である学校は成長が多様な地域に位置している 〇従来の高校で成功しなかった生徒をサポートするために設計された自己学習型の高校であり、 多くのラテン系の学生は多くの社会科目を一緒に学んでいた

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Andres先生について 【Andres先生についての経歴】 〇チカ―ノとして自己を認識している 〇専門家養成課程に在籍 〇テキサス州で育ち、テキサス州の大きな都市で教えている 〇英語とスペイン語を流暢に話すことが出来る 〇教育経験には、世界史・アメリカ史・民族氏の授業を 担当したことがある 〇カリキュラムと教授法に関する「力」を認識し、中立化するために 達成する必要があると主張 【Andres先生の学校について】 〇教育のアプローチに支援的な教師と、支援的ではない教師のどちらともと 協働した経験がある

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調査結果:解決策と提言 研究の結果 効果的で批判的な社会科教師は、カウンターストーリーテリング・人間性のある教育・言語に対応した 教授法を活用することで、ELLの知識・興味・課題に対応することが出来る。 〇対話的な教育と探求…批判的な意識を養い、社会秩序を理解することに役立った →教師と生徒の連帯感を発展させる基礎 〇ディスカッション…市民としての地位やアイデンティティの交差する考えの背後にある力 の影響を明らかにした →生徒が、より自分に関連性のある方法でカリキュラムに取り組むことが出来た 〇批判的探求とグループへの参加…文化的知識・生徒の興味・関心・地域社会の問題を 集団で検討することが出来た →社会科のスキルを伸ばし、生徒が新たな言語的・文化的・市民的経験にアクセスできる ようにするための実践方法であることが証明された。

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TRAVIS 調査結果

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きっかけ 生徒の数名が、失業・犯罪・公共の負担など社会 問題について、自分たちが監視されているようだ →市民教育に焦点を当てた授業を行うように トラヴィス先生の取り組み ・子供たちに、労働者の視点・NAFTAの政策分析・地域の統計データ・ マキラドーラの性質など様々な記事を提供 ・グループの探求を通じて、資料の中の権力の関係を考えさせる 生徒の取り組み ・小グループで一緒に記事を読み、権力・市民権についてメモをとる。 ・メモした内容について議論を行う

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話し合いの議題: NAFTAの人間的な影響について 自分たちの探求の経験について振り返り、 NAFTAが人々の生活にどのような影響を与えて いるのかについて考え、議論しましょう! 生徒たちの様子… 多くの生徒がコードスイッチングを使い、英語とスペイン語の両方で会話をして 経験を話し合っていた →再度全体で議論を行う

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授業の成果 読むこと・探求すること・対話すること →アイデンティティ・個人の経験・社会科学カリキュラムの要素について批判的な対話を行い言語的経験を獲得 「他の人々を支援するために何が出来るのか」という質問は孤立… But 市民教育の一連の授業を通して、トラヴィス先生は生徒たちをリードし、社会問題の複雑な関係を理解するため に、文化的な経験、言語や学問のスキル、市民的解釈を活用する探求と対話を促進できた! 言語学習 社会科学 自分たちの社会的な立場やアイデンティティが地理的な空間と結びついていることを理解し、そのことに よって影響を受ける可能性があることを認識した

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CINTHIA 調査結果

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シンシア:授業・仕事観, 授業の背景 授業観 :生徒の知識、スキル、市民的 参加をサポートするために 生徒がもつ知識と認識を活用 仕事観 :(一般的に軽視されがちな学生の社 会科教師として)学生のために声を上 げることが私の仕事 :カウンター・ストーリーを学び、生徒が 主体性と能力を発揮することの支援 シンシアの気づき • 白人が行うことを自分が行うと変,ギャングのように見られる • 生徒は非正規雇用者の子供, 合法的な身分がなく, • 投票しようとしたができなかった 市民だと感じられていない 投票プロセスを理解できない,18歳になったばかり • 民主主義の認識 • 投票体験 = 投票すること = パノプティコス的(監視されているような)で異質なもの ≠ 社会的に積極的な市民であること 生徒が市民権を批判的に考えるための授業 シンシアのクラスの生徒の語り

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シンシア:授業の概要 ◦ 授業冒頭 1960年代の人種差別の看板 ◦ 「なぜ犬、黒人、メキシコ人お断りと書いてあるのか?」 ◦ 「この時代には何が起こっていたのか?」 ◦ 生徒は質問に答えられない。 ◦ 小グループ, 全体で議論 出典 https://commons.wikimedia.org/wiki/File:No_Dogs-Negroes-Mexicans__Racist_Sign_from_Deep_South_-_National_Civil_Rights_Museum__Downtown_Memphis_-_Tennessee_-_USA.jpg 異なる時期の人種差別に関する資料 ◦ 資料選択の意図 ◦ アフリカ系アメリカ人だけでなく、他の人種グループも対象 → 単一的な人権運動物語にとどまらないため ◦ ラテンアメリカンのカウンター・ナラティブに焦点 →「なぜメキシコ人やその他のラテンアメリカ人が公民権に 関する言説の中で表現されないのか」を議論させる ◦ 自分たちのアイデンティティや主体性との関連付け

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シンシア:彼女の主張,と取り組みから見えること ◦ シンシアの主張 1. 市民としてのアイデンティティ、インクルージョン、主体性を教育に取り入れる ◦ 生徒たちは日常生活の中で「抑圧」を経験, 在籍学級では周辺化されるため 2. 特定の立場の生徒を支援 → 教育に批判的アプローチを取り入れる ◦ 市民教育は,生徒が言語,人種差別、支援の欠如などの 障壁を乗り越えるための能力を発展させるのに役立つ ◦ シンシアのアプローチに含まれるもの ◦ 社会科の内容知識に対する深い理解 ◦ 言語に対応したアプローチ ◦ シチズンシップの批判的な解釈 社会科は言語、アイデンティティ、 主体性、シチズンシップについて 批判的な教え方ができる 素晴らしい方法

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ANDRES 調査結果

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アンドレス:授業観 教師の一部 • 学生のアイデンティティを取り入れ、変革的行動を促進するためにカリキュラムを活用 Andresの主張 • 社会科授業におけるでELLとの協同学習 「生徒が権力を批判し、社会的な位置づけに対処する手助けであるべき」 • 探究学習:カリキュラムから排除された声を拾える,上記の目標に重要 • 教師の責任 不平等な社会的位置づけ・克服方法を理解するため,学校のメインストリームを批評 → 生徒の文化とアイデンティティを可視化 ≠抑圧的な減算的教育 → 不平等な社会的位置付けとそれを乗り越える方法を理解させる (cf. Valenzuela, 1999)

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アンドレス:授業の背景と概要 ◦ Andresの主張 ◦ 教科書の表現「アステカは野蛮で残忍な人」 → 不平等な社会関係を持続 ◦ 野蛮なイメージを受け入れる → 植民地化を受け入れやすい ◦ 学生は歴史を通じて人種、階級、性別の関係を批判的に考えることができる ◦ 授業の題材と目的 ◦ ヨーロッパ人との不運な接触がアステカの文化に与えた悲劇的な影響 ◦ アステカ人を人間味ある存在として理解させる ◦ 授業の導入 ◦ 年号カードを配布、クラスの生徒をアステカの歴史,人口と関連付け ◦ 生徒からは,教科書の記述に対して疑問 → 教科書や国旗に対する気付き ◦ アステカ文化が現代の北中米文化に取り込まれていることを説明

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アンドレス:授業の成果 1. 従来の言説「攻撃的で技術的に劣っているアステカ」に対抗するための調査 •アステカを人間味ある存在として描くための文書を選択 •生徒たちは、主要な情報源に基づいて調査 •従来のカリキュラムが通常教科書から省いている文化的要素に気付いた 2. 抑圧に対する現代の抵抗を取り上げた •題材「デコタアクセスパイプライン抗議活動」/活動 題材を読み、抗議現場について調査 • Andres「人々を助けるために何ができる?彼らは私服警備員や警察に追い出されても抗議活動を続けている。」 •生徒たち 抗議者に支援物資を送ることを希望/Andres 大学や学校で支援物資を集める取り組みを組織 3. 生徒たちが感じたこと •カリキュラムを主体的に学んだ(主体性) •自分たちのカリキュラムであること(所有権) •日常生活で彼らと同じように抑圧に立ち向かっている人々を支援した

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DISCUSSION, IMPLICATIONS, AND CONCLUSION 議論、示唆、結論

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考察 • ELLを扱う社会科教師のための5原則 (Cruz and Thornton, 2009) に留意 参加した教師の間で広く使われていたのは、 5つのうち3つの原則 1. 話し/書き言葉を活用する機会を生徒に与える 2. 生徒の英語による産出をサポートする 3. ELLが他の生徒と英語で交流する機会を最大限に活用する • 教師たちの取り組みから明らかになった点 社会科の授業や対話、探究などの学問的実践を通じて、人間性を高める教育法 ↓ 生徒が非覇権主義的知識を発展させる(=社会的資本と批判的対話を高める)努力を支援 • 教師たちがあまり取り組んでいない点 1. 生徒の英語の言語パターンに注意を向ける 2. ELLが自分の間違いに気づき、英語を修正する機会を与える

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本研究における3つの研究結果 1. 対話と探究を通じた文化的・言語的に対応した対話と探究 ◦ 自己を批判的な社会科教師と位置付ける教師 ELLや移民の生徒の知識、興味、苦労に対応するために行う 2. 市民的規範の問題視と人間的・言語的であることに応える教育 ◦ カリキュラム上の市民的規範(ELLのアイデンティティ、所属、主体性を制限)を問題視 ◦ 学生が目にする社会的抑圧を検討し、克服するよう手助け 3. 言語学習へのサポートの改善 ◦ 文化的・言語的に対応した教授法を採用する能力◎ ◦ 言語学習へのサポート△ 英語の言語パターンや構造に取り組む → 改善の余地

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結論 ⚫どんな社会科教師が効果的に教育を行っているか? ◦ 人間的であり,言語的であることに応える教育を採用した教師 ◦ たとえELLへ支援するトレーニング経験が限定的であっても! ⚫ 人間的であり,言語的であることに応える教育をどのように実現? ◦ カウンターストーリーテリング、探求、対話を活用 ◦ 生徒が価値を置く知識を授業に取り入れることが可能 → 生徒の学習トピックへの関与・批判的分析スキルが向上 ◦ 生徒との協同において,言語学習者が直面する疎外に真正面から対処 →生徒との連帯感 生徒の現実的な悩みに寄り添おうとする教師にとって非常に重要な態度 ◦ 人間的であり,言語的であることに応える教育 英語学習者の知識、興味、苦労を重視することの価値を示唆

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論点・争点

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・L1を排除しなければL2の発達は促進されないvsそんなことない ・ストレスになったらいけないから、発話の機会は少なくさせたほうがいい vs逆に発話機会を多く提供したほうがいい ・生徒の文化や経験・体験したことを尊重するvs第二言語の文化を優先する ◦ 今回は社会科,生徒の現実世界と繋げている? ◦ 日本の取り組みと結構違う気がする…(世界でも稀なのか?) ◦ JSLカリキュラムとの違いは何?CLILとの違いは? ◦ そもそもJSLカリキュラムとCLILって何?