2023 08 01 教育課程論 第1-2回(閲覧用)

359 Views

February 03, 24

スライド概要

profile-image

教育方法学・教科教育学という「一般的な教育」と,外国人児童生徒教育学という「特別な教育」をどちらも行っています。 このどちらもを同時に行う研究室は,日本の中ではほとんどありません。その結果,大学を含む多くの教育の場でこの両者は別々のものになってしまっています。

関連スライド

各ページのテキスト
1.

論 程 課 育 教 。 う ろ な に 人 る れ く つ を ム ラ ュ キ リ カ , で 線 目 大きな 史 歴 の 程 課 育 教 2 # , ン ョ シ ー テ ン エ #1 オリ 南浦涼介

2.

導入 学校にある「大きな話」みなさんどう思います? ①ある保護者からの疑問。 小学校の参観日。春の参観日の授業は「国語」。夏前のときも「国語」で,秋 の参観日は「算数」だった。冬も「算数」。そういえばほとんどの学校で公開 する授業は「国語」「算数」が多い。 でも私は「生活」とか「理科」とか「学級会」とかのほうが子どもたちの色ん な様子が見られそう。なんでいつも「国語」「算数」なんだろう? 他のを見 せてもよくない? ②ある学生からの疑問。 大学の授業だと,それぞれの授業の後にその授業ごとに試験。中高はそれとは あまり関係なく広範囲な「期末テスト」。小学校は授業内容とも関係なく『市 販の業者が作ったテスト』。 大学と同じように,授業をした先生が授業のまとまりごとにテストした方がよ くない? ②ブラジルから転校してきた子どもが多い小学校。6年生の社会科の授業 で「古墳時代」をやっていると,子どもたちから疑問が。 「私たち,別に日本人でもないのにどうして『古墳』の勉強をしないとい けないの? 歴史を学ぶのはわかるけど,『古墳』じゃなくてよくな い?」 ©

3.

タスク1 「教育課程」ってなんだ? から考える 広島大学に学びに来たばかりの留学生たちに 「広島」を知る合宿を企画します。 どのような合宿プランを考えますか? グループに分かれて「2泊3日合宿プラン」を考える ①合宿プラン名 ②合宿のプログラム内容 • ○○で△△をする ③合宿のコンセプトを考える ©

4.

タスク1 「教育課程」ってなんだ? から考える 広島大学に学びに来たばかりの留学生たちに 「広島」を知る合宿を企画します。 どのような合宿プランを考えますか? 広島のエライ人たちの声:これらの声を参考にしてコンセプトを具体化しましょう 留学生たちが自分たちで広島のいろいろなものに関わって,広島の 一員になっていってもらえればいいなと思います。そのために,ぜ ひ,広島の色々なものや人を知って,そこに参加していってもらい たいと思っています。 将来,広島で活躍して行く可能性もある留学生でしょう。先端的な 科学研究を広島で学んでほしいです。そうしたことを知るための ファーストステップとして,この合宿があればいいなと思います。 かつて広島は日本の五大都市の1つだったのですが,現在は経済的 にも人口的にも福岡にも抜かれています。国際都市としても福岡に なかなか勝てません。留学生の視点からぜひ,広島をよりよい国際 都市にする提案をしていってもらいたいです。 留学生には留学生の興味関心があるわけですから,留学生が関心を 持って社会を切り拓いていけることを期待しています。 そうしたステップに合宿が位置付くといいですね。 ©

5.

情報 みんなが考えた「合宿プラン」はどのタイプ? 学び手の関心を中心 社会の側の期待を中心 適応する (社会化する) A B よりよくする (主体化する) C D ©

6.

情報 みんなが考えた「合宿プラン」はどのタイプ? ①それぞれのグループで考えたものはどのタイプに近いか? ②ほかのタイプだとどういう考え方ができそうか? 学び手の関心を中心 A 適応する (社会化する) 社会(生活)適応主義 その社会の秩序や習 慣,考え方を教え, 身につけていく よりよくする (主体化する) より強い「個」とし て考え,変えたり 提案したりしていく 社会の側の期待を中心 B 社会的効率主義 子ども中心であるが,知性への 向き合い方よりは態度形成を重 視して,社会・生活への適応を 重視する。 社会の中で貢献できることを主 軸にして,「役に立つ」学問を 合理的・効率的に学んでいくこ とを重視する 子ども中心主義 社会改造主義 デューイの教育 子どもの関心をもとにしながら 子どもが知を練り上げていく 社会をよりよいものに変えてい くこと,社会変革のためのクリ ティカルな考え方の育成などを 重視する。 C 佐藤学(1996)『カリキュラムの批評─公共性の再構築へ』世織書房. ビースタ, G.(2016)『よい教育とはなにか─倫理・政治・民主主義』白澤社. D ©

7.

タスク1 「教育課程」ってなんだ? から考える 広島大学に学びに来たばかりの留学生たちに 「広島」を知る合宿を企画します。 どのような合宿プランを考えますか? Padletで共有する Teamsの「01 第1-2回」チャネル中の「授業で使うリンク場所」 から共有用ページ(Padlet)に移動し,投稿をする 自分たちのタイプの ところを押す 「投稿を追加」 ©

8.

タスク1 「教育課程」ってなんだ? から考える みなさんの考えた「合宿プラン」の構成を説明しよう! 観点① その合宿プランには,どのような学びの要素がある? 活動の中には,「平和を知る」「経験を聞く」「交流をする」 などのいくつかの学びの要素があるはず。どのような要素があ るかを整理しよう 観点② その学びの要素は,なぜその順序で並べたのか? ①の要素は,合宿の1日目から3日目の中で,ある程度の意図を 持って学びの順序が作られたはず。なぜその順序で合宿はあっ たのか。順序の発想を説明しよう。 命題①「カリキュラムをつくる」ときには,2つの観点がある • スコープ(教える要素:何を教えるか?) • シークエンス(教える順序:どの順序で教えるか?) ©

9.

考える なぜ,同じ方向性をもっていても具体は違うのか? Padletをみて,同じカテゴリ内ものの中で価値を話合ってみましょう ①同じ色だれど,具体の仕方が違うなと思うものを見つけてみましょう ②コメントを書き合ってみましょう 学び手の関心を中心 A 適応する (社会化する) 社会(生活)適応主義 その社会の秩序や習 慣,考え方を教え, 身につけていく よりよくする (主体化する) より強い「個」とし て考え,変えたり 提案したりしていく 社会の側の期待を中心 B 社会的効率主義 子ども中心であるが,知性への 向き合い方よりは態度形成を重 視して,社会・生活への適応を 重視する。 社会の中で貢献できることを主 軸にして,「役に立つ」学問を 合理的・効率的に学んでいくこ とを重視する 子ども中心主義 社会改造主義 デューイの教育 子どもの関心をもとにしながら 子どもが知を練り上げていく 社会をよりよいものに変えてい くこと,社会変革のためのクリ ティカルな考え方の育成などを 重視する。 C D ©

10.

考える 「教育課程」と「カリキュラム」 私たちは同じもので,同じことを学んできたのか? 解釈! こういう力を 育むべきだ! 解釈! ほうほう こういうことね! 解釈! あーね こういうことね! なるほど こういうことね! 政策立案者たち 学校たち 教師たち 子どもたち 国が 計画した教育課程 学校や自治体が 計画した教育課程 実践されたこと 学ばれたこと 実施したカリキュラム 学ばれたカリキュラム 意図したカリキュラム 同じ教育課程であっても,それは学校,教師,子どもたちの中でつねに「解釈」されていく カリキュラム(Curriculum)はこれら全てをさした広い概念≠教育課程 ① 「同じ単元」「同じテーマ」だったけれど,「私のクラスの先生」と「隣のクラスの先生」は同 じことをしていただろうか? 違っていた気がするだろうか? 例えば? ② 「同じ授業を受けた」のに,クラスメイトの間で「違う受け止め方」をしていたことはなかった だろうか? 例えば? ③ これらの「ズレ」はないほうがいいのだろうか? 「ズレ」はあったほうがいいのだろうか? 安彦忠彦(1999)『新版 カリキュラム研究入門』勁草書房. ©

11.

考える 「教育課程」と「カリキュラム」 私たちは同じもので,同じことを学んできたのか? 解釈! こういう力を 育むべきだ! 政策立案者たち 解釈! ほうほう こういうことね! 学校たち 解釈! あーね こういうことね! なるほど こういうことね! 教師たち 子どもたち どっちなの?! 「ズレ」はないほうがいい? 「ズレ」はあったほうがいい? 「公的な教育」が持つ「統一性と多様性」のジレンマ 教育をする人も,教育を受ける人も,色々な人がいる。だからこそどうする? 統一性を重視したい 違い=格差 格差は埋めていくべきもの すると多様な差異は認められにくい 多様性を重視したい 違い=差異 差異は認めていくべきもの すると格差が生まれやすい ©

12.

本日の 命題 「カリキュラム」をめぐる本日の命題 命題①「カリキュラムをつくる」ときには,2つの観点がある • スコープ(教える要素:何を教えるか?) • シークエンス(教える順序:どの順序で教えるか?) 命題②「カリキュラム」には「社会の期待」が入り込む。 将来,社会の中核に学び手が入ったときに,どのような力を持ってどの ような社会づくりを担える人になってほしいのか(適応する力なのか, 変える力なのか)という視点が常に入り込む。 命題③ 「カリキュラム」は「学び手」から考えるもの「社会」から考 えるもの,の双方がある。 命題④ 「カリキュラム」は「教育課程」だけではない 同じような発想のものであっても,教え手の解釈によって具体的な授業 や活動は異なる。また,学び手はさらに同じもので学んでも「得たこ と」は違う可能性がある。「ズレる」ことを私たちはどう捉えていくか は,要検討する必要がある(今後の学習課題でもある)。 ©