がんにかかるのを遅らせる、かかっても慌てないための知識

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December 15, 22

スライド概要

高校生向けのがん教育事業で使ったスライドです。がんの予防、検診と早期発見、治療について扱っています。

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Palliative care physician, Oncologist, Clinical trialist, former Medical expert for the development of MK-3475

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各ページのテキスト
1.

がんにかかるのを遅らせる、 かかっても慌てないための知識 Yusuke Takagi. Dec 2022

2.

今⽇私が来た理由 • ⾃分 or ⼤切な⼈がいつかはがんに罹る • ほんとに? ⽇本⼈が⽣涯のうちに癌にかかる確率は約50%です。 ⼤切な⼈が 3 ⼈いたとして、あなた⾃⾝を含めて 少なくとも⼀⼈ががんになる確率は何%ですか。

3.

⼤切な⼈が3⼈もいないという話は置いといて… ⾃分を含む 4 ⼈が全員がんにかからない確率 4 0.5 = 0.0625 ⼀⽣のうち誰かががんにかかる確率 1 - 0.0625 = 0.9375 (約94%)

4.

今⽇私が来た理由 • かかることが避けられないとしても、 その時期を遅らせる努⼒はできる • 運悪くかかってしまったとしても 知識があれば、あわてることを減らせる

5.

今⽇お話すること • がんを予防するためにできること • がんを早期発⾒するためにできること • がんになってしまった時に役に⽴つこと

6.

そもそもがんって何? • もともと⾃分の⾝体の中にある細胞が、 無秩序に増殖しつづける能⼒を獲得したもの 遺伝⼦の傷 ※ ⼈間の遺伝⼦には、あらかじめ決められた回数しか分裂できない 仕組みや、遺伝⼦の傷をあるていど修復する仕組みがある

7.

遺伝⼦に傷をつけるもの • 喫煙 • 感染症(⻑引くもの) • 飲酒 • 紫外線 • 化学物質 など

8.

質問 がんのうちで、原因が分かっているものは どのくらいあると思いますか? 1. 72 % 2. 53 % 3. 28 %

9.

正解 がんのうち、原因が分かっているものの割合 1. 72 % 2. 53 % ← 男性に発⽣するがん 3. 28 % ← ⼥性に発⽣するがん

10.

⽇本⼈におけるがんの原因 ※ Ann Oncol 2012 May;23(5):1362-1369. 男性 ⼥性 喫煙 30 % 5% 感染症 23 % 18 % 飲酒 9% 3% ⾷事習慣 3% 3% 運動不⾜・肥満 1% 2% 半分以上のがんは原因がはっきりしないか予防不能(先天性要因など)

11.

喫煙 • 煙に含まれる 70 種類以上の発がん性物質により、 全⾝の細胞の遺伝⼦に傷がつけられる • 喫煙することでなりやすくなるがん: ⼝腔がん、咽頭がん、喉頭がん、⾷道がん、肺がん、肝臓がん、 胃がん、膵臓がん、⼦宮頸がん、膀胱がん など • 加熱式たばこにも発がん性物質は含まれる

12.

喫煙によるがんを予防するためには? • たばこを吸わない

13.

感染症 • 感染している期間が⻑いほどがん化しやすい (病原体にもよるがおおむね10年以上) • ウイルスに感染した細胞が発がん性物質を作ったり 細胞が死んで再⽣することを繰り返すことで、 遺伝⼦に傷がつきやすくなる

14.

がんの原因になる感染症 ヘリコバクターピロリ 胃がん B / C 型肝炎ウイルス 肝臓がん ヒトパピローマウイルス (HPV) ⼦宮頸がん 外陰部がん、陰茎がん、膣がん、 ⼝腔がん、咽頭がん など エプスタイン・バーウイルス(EBV) 咽頭がん、悪性リンパ腫 ヒトT細胞⽩⾎病ウイルス (HTLV) 悪性リンパ腫 など

15.

早期発⾒で排除できるもの ヘリコバクターピロリ 胃がん B / C 型肝炎ウイルス 肝臓がん ヒトパピローマウイルス (HPV) ⼦宮頸がん 外陰部がん、陰茎がん、膣がん、 ⼝腔がん、咽頭がん など エプスタイン・バーウイルス(EBV) 咽頭がん、悪性リンパ腫 ヒトT細胞⽩⾎病ウイルス (HTLV) 悪性リンパ腫 など

16.

ヘリコバクター・ピロリ • 多くは幼少期に感染 n ただし⾼齢者で感染割合が⾼く 70代は約半数、10代は10%程度 • ⾎液検査、尿検査、吐いた息の検査でわかる • ピロリ菌がいることが分かったら、飲みぐすりで 除菌療法をする → 胃がんのリスクを減らせる

17.

C型肝炎ウイルス • ウイルスに感染して 約30年で肝臓がんになる • かつては不治の病だった • 2011年に、ウイルスを 排除する効果がきわめて ⾼い新薬が開発され、 肝臓がんも減少してきた!

18.

ワクチンで予防できるもの ヘリコバクターピロリ 胃がん B / C 型肝炎ウイルス 肝臓がん ヒトパピローマウイルス (HPV) ⼦宮頸がん 外陰部がん、陰茎がん、膣がん、 ⼝腔がん、咽頭がん など エプスタイン・バーウイルス(EBV) 咽頭がん、悪性リンパ腫 ヒトT細胞⽩⾎病ウイルス (HTLV) 悪性リンパ腫 など

19.

HBV (B型肝炎ウイルス) ワクチン • 2016年から定期接種対象となった n ⽣後2ヶ⽉、3ヶ⽉、7〜8ヶ⽉の3回接種 • 定期接種しなかった⼈も任意接種できる 接種を推奨 ・ コンタクトスポーツをする⼈ ・ B型肝炎ウイルスを持つご家族がいる⼈ ・ ⾎液や体液に触れやすい仕事をする⼈ ・ 性⾏為を⾏う可能性がある⼈

20.

HPV (ヒトパピローマウイルス) ワクチン • 2021年から定期接種が再開された n 12〜16歳の⼥⼦、3回接種 • 定期接種しなかった⼈も任意接種できる 男⼦を含めすべての⼈に推奨される (ただしHPV感染前) ※ ⽣涯で⼥性の80%、男性の90%がHPVに⼀度は感染するとされる

21.

HPVワクチンの⼦宮頸がん予防効果

22.

いっぽう⽇本は・・・

23.

HPVワクチン接種後の⼥⼦にみられた様々な症状が メディアで繰り返し報道され、接種勧奨中⽌につながった (2013年) その後⾏われた研究1,2)により判明したこと ・ 頻度は接種1万回につき1回以下 ・ 同様の症状はワクチンを打たなくても同程度起こる ・ HPVワクチンそのものが原因である可能性は低い 1. 第 23 回厚⽣科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会(平成 28 年 12 ⽉ 26 ⽇); 2. Suzuki S, et al: Papillomavirus Res. 5: 96-103, 2018.

24.

予防接種ストレス関連反応 (ISRR)1 • ワクチンの種類に関係なく起こる⼼因的な反応 • 10代に多く、接種に対する恐怖⼼で誘発されやすい • 接種前後 ソワソワ感、不安感、過換気、⼼拍数増加、めまい、失神など • 接種後しばらくしてから 脱⼒、⿇痺、異常な動き、四肢の不⾃然な姿勢、⾔語障害など WHO. Immunization stress-related response. A manual for program managers and health professionals to prevent, identify and respond to stress related responses following immunization. 2019

25.

ISRR のリスクを減らすために • ワクチンについての正しい知識を持ちましょう n「⼦宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために」 ⽇本産科婦⼈科学会 n「HPVワクチン(⼦宮頸がんワクチン)についてQ&A」 ⽇本婦⼈科腫瘍学会 • 接種した部位が痛いときは痛み⽌めを使いましょう (ロキソニンなどの市販薬で⼤丈夫です)

26.

妊娠時の検診で感染を防げるもの ヘリコバクターピロリ 胃がん B / C 型肝炎ウイルス 肝臓がん ヒトパピローマウイルス (HPV) ⼦宮頸がん 外陰部がん、陰茎がん、膣がん、 ⼝腔がん、咽頭がん など エプスタイン・バーウイルス(EBV) 咽頭がん、悪性リンパ腫 ヒトT細胞⽩⾎病ウイルス (HTLV) 悪性リンパ腫 など

27.

ヒトT細胞⽩⾎病ウイルス (HTLV) • 妊婦健診で検査します • ⺟乳を通じて⼦どもに感染するため、 ⼈⼯乳を使うことで⺟⼦感染を予防できます • 性⾏為でも感染するため、パートナーが HTLV陽性の場合はコンドームを使⽤しましょう

28.

⽇本⼈におけるがんの原因 ※ Ann Oncol 2012 May;23(5):1362-1369. 男性 ⼥性 喫煙 30 % 5% 感染症 23 % 18 % 飲酒 9% 3% ⾷事習慣 3% 3% 運動不⾜・肥満 1% 2% 約半分のがんは原因がはっきりしないか予防不能(先天性要因など)

29.

がん検診の意味 • ⽣きているだけで遺伝⼦に傷はつき続ける • がんは時間とともに広がり、完治しにくくなる

30.

早期発⾒のためのがん検診 胃がん 40歳以上 バリウム* or 胃カメラ ⼤腸がん 40歳以上 便潜⾎検査* 胸部レントゲン* 肺がん 40歳以上 乳がん 40歳以上 マンモグラフィ ⼦宮頸がん 20歳以上 内診、擦過細胞診 (+喫煙者は喀痰検査*) * 年に1回実施。他の検査は2年に1回

33.

質問 ⽇本全体で、がんで亡くなる⼈は? 1. 増えている 2. 減っている

37.

がんを治療する⽅法 • ⼿術 • 放射線治療 • 薬物療法(抗がん剤など)

38.

⼿術療法 • 早期がんは⼿術によって根治できることが多い • ⾝体への負担を⼩さくする⼯夫が進んでいる • 内視鏡⼿術(胃カメラ、⼤腸カメラ) • 鏡視下⼿術(胸腔鏡、腹腔鏡) • ロボット⽀援⼿術

39.

内視鏡⼿術 • 早期の⾷道がん、胃がん、⼤腸がん、膀胱がん

40.

鏡視下⼿術(胸腔鏡、腹腔鏡) • 開腹⼿術よりも傷⼝が⼩さく、 ⾝体への負担も⼩さい • 胃がん、⼤腸がん、肝臓がん、 膵臓がん、腎臓がん、前⽴腺がん、 ⼦宮頸がん、⼦宮体がんなどの 治療に⽤いられる

41.

ロボット⽀援⼿術

42.

放射線治療 • ⼀部のがんでは⼿術とほぼ同等の効果が得られる

43.

薬物療法 • いわゆる抗がん剤治療 ü ふつうは⼿術ができないがんに対する治療として⾏う ü ⼿術後の再発予防にも⽤いる ü 放射線治療と組み合わせて⾏うこともある • 以前に⽐べると⾝体への負担が軽減した ü 吐き気⽌めの進歩 ü がん細胞だけを狙いうちする⽅法の進歩

44.

もう⼀つの柱:緩和ケア がん治療のつらさ 社会的なつらさ お⾦の問題 ⼦どもや親の世話 学業や仕事のこと 気持ちのつらさ ⾝体のつらさ がんによる つらさ 痛み、はきけ 息苦しさ、脱⽑ 体⼒の低下 気分のおちこみ 不安、悲しみ

45.

がんと診断された時からの緩和ケア 病気の発⾒ がん告知 不安 ⼿術 再発 抗がん剤治療 放射線治療 がんの進⾏ 痛み 痛み はきけ 痛み 不安 不安 不安 不安 お⾦の問題 仕事や家族としての役割との両⽴ 緩和ケア

46.

がん患者さんを⽀える仕事 医療機関で⽀える⼈ • 医師 • 公認⼼理師 • 看護師 • 理学療法⼠ / 作業療法⼠ • 薬剤師 • 放射線技師 • 管理栄養⼠ • ⻭科医師 • ソーシャルワーカー • ボランティア

47.

がん患者さんを⽀える仕事 地域で⽀える⼈ • 医師 • 介護⼠ • 看護師、保健師 • 理学療法⼠ / 作業療法⼠ • 薬剤師 • ケアマネジャー • 管理栄養⼠ • ケースワーカー • ソーシャルワーカー • ⺠⽣委員

48.

がん患者さんを⽀える仕事 がん患者を⽀える会社 公的機関 • 製薬企業 • 地域包括⽀援センター • 医療機器メーカー • 保健所 • 介護⽤品メーカー • 区役所の福祉課 • ⾷品メーカー • 都庁の福祉保健局 • かつらメーカー • 厚⽣労働省

49.

まとめ • たばこを吸わない、ワクチンを接種する等により ⼀部のがんは予防できます • 検診を受けることで、がんにかかったとしても 治せる状態で⾒つかる可能性が⾼まります • がん治療は⽇々進歩していますが、 それを可能にしているのは多くの⼈の⼼と⼒です