【Unite Tokyo 2019】HDRPコワクナイ！ HDRPで目指す小規模で高品質な映像制作

HDRPコワクナイ！ HDRPで目指す小規模で高品質な映像制作 Volca株式会社

登壇者紹介 代表 / ディレクター キャラクターアーティスト 加治佐 興平 辻本 貴大 テクニカルデザイナー エフェクト 鳥居 佑弥 陸 洋一郎 2

Volca株式会社紹介 — Volca(株)はゲームエンジンに特化したCGスタジオです。 — 主にUnityを使っています。 — 映像、インタラクティブ、ゲームエンジン用アセットなど ©2017 川原 礫／ＫＡＤＯＫＡＷＡ アスキー・メディアワークス／SAO-A Project ©BANDAI NAMCO Entertainment Inc. 3

Lantern (らんたん) 紹介 Volca株式会社では毎年１本 自社企画コンテンツをUnity で制作しています。 今年は ”Lantern” という オリジナルショートストーリー を制作中です。 本作では、Unity2019.2と HDRPが採用されています。 4

トレイラー映像再生 5

何故この講演テーマなのか？ HDRPはコワクナイ 7

テーマの理由① HDRPの活用事例が国内だと あまり増えないというUnityの方の 呟きを聞く機会がありました 8

テーマの理由② 重厚なデモとサンプルばかりだと 及び腰になってしまうのでは ないかと仮定 9

テーマの理由② もっと身近な規模感でHDRPにトライしてい る事例があると良いのではないか？ ( HDRP案件増えると弊社的にもハッピー） 10

Volcaのトライ 少人数＆エンジニア不在 だけど思い切って映像制作に HDRPを使ってみました！ 11

スケジュールと体制 ★予告編公開 ・7月 ・6月 企画 ・9月 ・8月 予告編制作 本編 Asset Layout TR ・デザイナーとTA合わせて計６名のスキマ時間 ・エンジニアは不在（涙) Animation Shot Work FX 12 ・全員の隙間時間を集めて作る元気玉方式 ・10月 ・インターンの方も制作に参加 ・LayoutとAnimationは協力会社と連携 (Bigfoot社、D-animation社)

スケジュールと体制 ★予告編公開 ・7月 ・6月 企画 ・9月 ・8月 予告編制作 本編 Asset Layout TR ・全員の隙間時間を集めて作る元気玉方式 ・10月 ・デザイナーとTA合わせて計６名のスキマ時間 ・エンジニアは不在（涙) Animation Shot Work FX ・インターンの方も制作に参加 ・LayoutとAnimationは協力会社と連携 (Bigfoot社、D-animation社) 納品１～２か月前にいきなり HDRPを触る事になったスタッフが大半！ 13

前述の状況下で HDRPがコワかったかどうか TA、モデラー、エフェクト、スタッフ それぞれの視点で話して貰います。 14

講演ヘッドライン — HDRPにおける環境構築 — HDRPにおけるキャラ質感表現 — HDRPにおけるエフェクト表現 — まとめ — Lantan 映像制作 Tips 7 15

HDRPにおける作業環境構築 16

環境構築 ・Lookdev ・Shader ・FX 17

Lookdev環境 ルックを確認する際の シーン環境を指します。 18

従来の環境設定箇所 — Lighting Window — Post Processing — Project Settings — SSS, Volume Fog 19

従来のパイプラインだと 設定箇所がバラつき面倒・・・ 20

一つにまとまりました♪ 21

HDRPの環境設定箇所 — 全てVolumeで設定 — Profileとして保存 — とっても楽！ 22

シャドウも細かく設定できます。 最大解像度１６ｋ ショット単位の ディスタンス設定 23

ライトも物理的に正しくなりました。 – Lux/Lumen強度 – 色温度 – 減衰 (逆二乗) 24

ライトも物理的に正しい 25

HDRPのルックデブ環境を作ってみて、 私が分かった事 高品質なものが出来る 26

シェーダー環境 HDRP Lit Shader & Shader Graph Custom Shaders 27

Shader Graphを使った水の質感表現 — Fresnel 28

Shader Graphを使った水の質感表現 — 波表現 29

Shader Graphを使った水の質感表現 — 波表現 30

Shader Graphを使った水の質感表現 — 深度表現 31

Shader Graphを使った水の質感表現 — SSR, Refraction 32

Shader Graphを使った水の質感表現 33

Shader Graphを使った特殊表現 光る — 模様変更 — 34

HDRPのシェーダー環境を 作ってみて分かった事 シェーダー環境の構築負荷は大きく下が っている 35

エフェクト環境 ShaderGraphを使 って Vertex Animation Texture を作成しました。 36

他のVATシェーダーを解析しながら なんとか再現できました！（約3日） Unity Shader Graph UE4 Material 37

他のVATシェーダーを解析しながら なんとか再現できました！（約3日） 38

VATシェーダーを作れたことで感じた事 HDRPは怖くない、 メリットが多い 39

HDRPにおけるキャラ質感表現 40

本作ではキャラクター全般、 主人公とボスを担当 41

まず本作のデザイン画を 見てみましょう！ 42

主人公 らん 43

ボス前部（閻魔大王） 虎は監修 44

子供の柔肌！ ボスの提灯！

・・・と言えば

今までのStandard Unityといえば・・・ 47

48

けどHDRPだとPBR表現が簡単に！ 49

HDRP LIT Shaderを 使ってみた結果 50

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肌感も光の透過感 もイケるやん! 詳細設定 53

HDRP LIT Shader とは？ 54

HDRP Lit Shader を用いた肌の設定の説明 マテリアルタイプ マテリアルタイプ Material Type → SSS 55

HDRP Lit Shader を用いた肌の設定の説明 Base Color →色 Mask map →質感全般 Normal map →凹凸情報 Thickness map →厚みの指示 56

らんに使用しているテクスチャ 57

Mask map とは 58

Diffsusion profile どれだけ透過するか 透けた色が何色か 59

Scattering Distance 60

Transmission Tint(色合い) 61

あらかじめ、HDRP assetへ準備 62

63

簡単に肌の表現が出来ました！ 64

続いて“ねぶた“感の表現にトライ 65

Lit Shader を用いた提灯(和紙)の設定の説明 Material Type → Translucent 66

Tranclucent を用いたランタンキャラの表現 ×Emissionテクスチャを描くのが難しい ×本体が光ってしまう 67

Tranclucent を用いたランタンキャラの表現 内側から光が透けている表現が欲しい！ Thicknessを使えば思い通り！ 68

69

虎の使用テクスチャ 70

カラーテクスチャには描いてない！ 71

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ボスのテクスチャの一部 73

ねぶた提灯の表現も出来ました！ 74

まとめ HDRP LITシェーダーは 簡単にSSSやTruncelucentの 表現ができる優れたシェーダー ThicknessMapを上手に扱えれ ば、数段上の表現が可能にな る！ 75

HDRPはデザイナーにも コワクナイ！ 76

続いて 本作のエフェクト手法に ついて話して頂きます。 77

HDRPならではのエフェクト表現 78

使用したエフェクトツールと手法 - VFX Graph - Vertex Animation Texture ( VAT ) - Houdini ( VAT / Point Cache作成） - Shader Graph ( HDRP対応VATの作成） 79

VFX Graph 作例 「浮遊物FX」 80

VFX Graph ＋ Houdini Houdiniでモデリングして Point Cache を出力 * 公式GitHubに出力用のノードが公開されている https://github.com/Unity-Technologies/VFXToolbox 81

• https://github.com/Unity-Technologies/VFXToolbox

VFX Graph ＋Point Cache ( Houdini ) 浮遊物FXでは２つの形状を モーフィングする為 Old Position Target Position の２つにPoint Cacheを使用 82

VFX Graph でアニメーション 待機モーション（ Turblence ) → Old Positionから崩れすぎないように調整 変形モーション → Current PositionとTarget Positionから Velocityを計算 83

VFX Graph を使った感想 Shurikenと比べて出来ることが圧倒的に多い → 動きのコントロールが幅広い 実装は自由な反面、深く理解する必要がある → 式を知らないとノードが組めない → ノードの挙動を知る必要がある （たまに怪しい・・） 84

VAT + Shader Graph作例 「水FX」 85

VATとは？ Vertex Animtion Texture の略 簡単に説明すると・・ 頂点の座標（XYZ）をテクスチャ（RGB）にベイク シェーダーで頂点移動を再現する技術 86

Shader GraphでVATを実装したメリット → HDRP対応かつ微調整しやすい 87

エフェクト的にHDRPは・・・ 映像の構成的にも新しい道具が必要だった → HDRPに対応したエフェクト用シェーダー → リッチな見た目が求められる Shader Graph と VFX Graphを覚える必要があった → 簡単そうだが資料がまだ少なく苦労した 結論： HDRP チョットテゴワイ 88

まとめ 89

の前に・・・ ライティングスタッフ視点で一言 90

ライティングスタッフ視点のHDRP (良かった点） — エリアライトが使えるって素晴らしい — ショット単位でのVolumeの調整が超楽 — ショットごとの嘘がつきやすくなった — 影の調整、Envマップのローテーションなどなど 91

プリレンダーのライティング作業 との距離がだいぶ近くなった 92

ライティングスタッフ視点のHDRP (悪かった点) 設定によってはシーンがかなり重くなって しまいスペックの低いPCのスタッフに 怒られる事があった。 サブタイムラインのActivateTrackが効かず 全てのライトがオンになり阿鼻叫喚。 93

HDRPは設定を間違うと一気に負荷が上が ってしまい劇的にパフォーマンスが落ちて しまう。そのあたりは注意が特に必要。 作業範囲ごとに使うHDRPのプロファイル を切り替えるなど対策が必要。 94

まとめ 95

TA→ コワクない モデラー →コワクない エフェクト→少しコワい ライティング→注意すればコワくない 96

Volcaの結論 高品質なルックを簡単に出す 映像制作という視点であればHDRPは非常に 有効。恐れて使わないよりも使うべき。 ただし、エフェクトに開発リソースを割く 負荷を高くしすぎないような設定管理が必要。 97

Volcaの結論 HDRPは気を付けるべきポイントを 注意すればコワクない！ 98

Lantern 映像制作 Tips 7 99

最後に、映像制作でUnityを 使われる方に 良く質問される項目7点を まとめて回答していきます。 100

Q1. シーンリファレンスはどうしていたの？ MayaのReferenceと同じ事がしたい。 Prefabだと構造が変わると破綻するのだけど。 101

A1. Prefab Variantを使っています。 差分だけを保存するprefabは超便利です。 102

Layout用 FBX Prefab_Variant Timeline Rendering用 FBX タイムラインは常にVariantを参照するだけ。 中身のFBXはレイアウトやアニメーションなどの フェーズで差し替え。 103

常に同じ Prefab_Variantを参照 フェーズに応じた FBXを参照 104

Q2. ポストエフェクトの管理はどうしてるの？ 105

A2. グローバルなものと、ショット、カメラに 依存するものを分けて管理しています。 ３箇所に分けて管理しています。 106

Scene Settings 環境の要素 Post Settings Camera カメラの 基本要素 ショットごと に嘘をつき たい要素 全部、Volumeですが用途で設定場所を分けています。 107

Scene Settings Post Settings Camera HDRI SKY Visual Env など Exposure Vignette Chromatic.. White Balance Tone mapping AO Shadows DOF Bloom Motion Blur 最終的には、ショットの要素が かなり増えました! 108

Q3. タイムラインの管理はどうしてるの？ 作業者が同時にタイムラインを触ると エラーの元になるのだけど・・。 109

A3. 作業工程ごとに分けたタイムラインを 入れ子にする事で極力、作業者が重複 しないようにました。また各ショットのデータの 出荷にはタイムラインも含めたPrefabを 利用しました。 110

レコードー用のシーンを作る流れを動画で 見てみましょう。 111

112

担当者ごとのPrefab ベースTimeline エフェクトTimeline 113

Q4. ショットライティングはどうしてるの？ 全ショット共通なの？ 114

A4. 基本の構成を決めたら、ショットごとに 調整をかけるプリレンダーに近い構成。 Timelineでは,ショット単位でライトのグループ をActivate Trackで切り替えています。 115

各ショットごとの ライトグループ ライトを切り替える Activate Track 116

ActivateTrackがサブタイムライン上で うまく機能しない事が時折あるので この手法は注意が必要です。 117

Q5. ファイル出力はどうしてるの？ RecoderTrackだとmp4とpngしかなくて 中間が無いのだけど・・・。 118

A5. UnityJapanの高橋さんがGITで公開している ツールを使うとProresoなどの多様な圧縮形式 が使用できます。 119

ProResが Recoderで使える https://github.com/keijiro/FFmpegRecorder 120

• https://github.com/keijiro/FFmpegRecorder?fbclid=IwAR3phd-TLnLBG7swBcB7quRoGdTGLRPpxxzZI1HeeboZcFsSkk5aTN-lRUg

Q6. なぜ全てのエフェクトをVATで 作らずAlembicも利用したの？ 121

A6. 当初は全てをVATで制作していたが ポリゴン数の制限とベクター出力が出来ず モーションブラーが適応できなかったため 大物はAlembicに舵を切った。 122

Q7. 映像は全て完全リアルタイムなの？ 123

A7. いえ、まずは映像用途なので Recoderでレコードしていますし 編集ソフトですぐに出来る部分は 調整しています。 単純に結果が早く出る手法を 選択するという方針で作業を行いました。 124

125

最後にお土産です！ 126

Volcaのお土産 本作で制作した HDRP用VATシェーダーを公開しました。 アドレスはYoutube上のLantern動画の コメント欄に記載されていますので お試しください。 https://youtu.be/gzgszOL6hYg 127

• https://youtu.be/gzgszOL6hYg

“Lantern”の本編は 2019年12月末 Web上で公開の予定です。 128

ご静聴ありがとうございました！ 129