ブローチング現象

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March 28, 23

スライド概要

第二世代船舶復原性基準の中で対象となる、ブローチング現象について解説をしています。

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大阪大学 工学研究科 地球総合工学専攻 船舶海洋工学部門 船舶知能化領域です. 研究室の発表スライドなどを共有します. We are Ship Intelligentization Subarea, Dept. of Naval Architecture & Ocean Engineering, Div. of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University.

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各ページのテキスト
1.

ブローチング現象 国立大学法人 大阪大学 大学院工学研究科 地球総合工学専攻 船舶工学講座 教授 梅田 直哉

2.

第2世代非損傷時復原性基準 1. 追波中復原力喪失現象 2. パラメトリック横揺れ 3. ブローチング現象 4. デッドシップ状態の同調横揺れ 5. 過大加速度

3.

ブローチング 最大限の操舵努力にもかかわらず船が一定の 針路を維持できないこと。  多くの場合、追波中で波乗りを起こし、逆方 向に最大の舵角にもかかわらず下り波面で急 旋回し、その遠心力で転覆する。  具体例:ポルトガル海軍駆逐艦 大西洋上をフルード数0.43で追波航行中、大 きな波に運ばれ逆方向に最大限の操舵を行っ たにもかかわらず右舷に回頭させられ、その 間遠心力の方向にあたる左舷へ67度まで横傾 斜

4.

ブローチング現象 N. Umeda & M. Hamamoto: Phil. Proc. Royal Society London (2000)

5.

Pitch(degrees) 20 10 0 0 -10 -20 5 10 5 10 5 10 5 10 15 t(s) Roll(degrees) 90 60 30 0 0 -30 -60 -90 15 t(s) Yaw(degrees) 60 40 20 0 0 -20 -40 -60 15 t(s) Rudder(degrees) 45 30 15 0 0 -15 -30 -45 15 t(s) Experiment Calculation N. Umeda、H. Hashimoto: JMST (2001) 橋本博公:阪大卒論(2000)

6.

波による回頭 波の進行方向 旋回モーメント 波の谷 波との出会い角 波の山 波の力 波の力 船尾 船首

7.

舵の作用の限界 舵モーメント ー35度 35度 舵角

8.

舵力と波の力のバランスの喪失 波の進行方向 旋回モーメント 波による 旋回モーメント 波との出会い角 舵モーメント 0 45度 90度 波との出会い角

9.

急旋回による横傾斜 遠 心力 遠 心力 流体力 流体力

10.

波乗り  船が本来の自航速度から波の位相速度まで波の作用に よって加速または減速される現象 菅信:日本造船学会 論文集166号 (1989)

11.

船速と波速の等しい場合の追波中の 前後力 下り波面 波の山 波の谷

12.

船速と波速の等しい場合の追波中の 前後力 梅田:日本造船学会論文 集152号(1983)

13.

船速と波速の等しい場合の追波中の 前後力 安定平衡点 不安定平衡点

14.

波乗りの発生条件  第1の条件: 平衡点の発生 船体抵抗+プロペラ推力+前後方向波力=0 安定平衡点と不安定平衡点が発生  第2の条件: ?

15.

前後運動の力学 真追波中の前後運動方程式 𝜉𝜉𝐺𝐺̈ + 𝜇𝜇𝜉𝜉𝐺𝐺̇ + 𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑘𝑘𝜉𝜉𝐺𝐺 + 𝜀𝜀 = 𝑏𝑏 (変位が波の影響を表す正弦関数の引数に含まれるので非線形) この平衡点は次式の解である ( ) f sin kξG + ε = b この平衡点付近で運動方程式を線形化すると, 𝜉𝜉𝐺𝐺̈ + 𝜇𝜇𝜉𝜉𝐺𝐺̇ + 𝑘𝑘(𝜉𝜉𝐺𝐺 − 𝜉𝜉̄𝐺𝐺 )𝑓𝑓 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 𝑘𝑘𝜉𝜉̄𝐺𝐺 + 𝜀𝜀 = 0 この線形系の2つの固有値の実部の両方が負であれば,ξGは安定な 平衡点であり,そうでなければ不安定な平衡点である.ここでは 安定と不安定の2つの平衡点をもつ可能性があり,波乗りはこの うち安定な平衡点に捕捉されること

16.

前後運動の力学 位相面 この系では,𝜉𝜉𝐺𝐺 と𝜉𝜉𝐺𝐺̇ という2つの変数だけで運動が記述で きるため.位相面上の軌道でそのすべてが表現されうる. 周期運動のみ 周期運動と波乗りが共存 両者の境界;平衡点の発生 梅田・神山:関西造船協会誌213号(1990)

17.

前後運動の力学 位相面 この系では,𝜉𝜉𝐺𝐺 と𝜉𝜉𝐺𝐺̇ という2つの変数だけで運動が記述で きるため.位相面上の軌道でそのすべてが表現されうる. 周期運動と波乗りが共存 波乗りのみ 両者の境界:周期運動の消滅(ヘテロクリニック分岐) 梅田・神山:関西造船協会誌213号(1990)

18.

前後運動の力学 ヘテロクリニック分岐 不安定平衡点と不安定平衡点を結ぶ軌道 の出現 Umeda, Hori, Hashimoto: International Shipbuilding Progress, 54(4), (2007)

19.

ヘテロクリニック分岐点の近 似推定法(メルニコフ解析) 𝑑𝑑 2 𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 +𝛽𝛽 𝑑𝑑𝑑𝑑 2 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 = 𝛼𝛼 ここで、𝛼𝛼 = 𝛽𝛽 =0ならば、解析解がある。 𝑑𝑑 2 𝜂𝜂 +𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 2 𝜂𝜂̇ = 𝑑𝑑 2 𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 2 =0 𝑑𝑑𝜂𝜂 とおくと、 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 2 𝑑𝑑𝜂𝜂 2 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 = = −𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 𝜂𝜂̇ 𝑑𝑑𝜂𝜂 = 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 2 𝑑𝑑𝜂𝜂 2 となるので、 すなわち 𝜂𝜂̇ 2 2 = 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 + 𝐶𝐶 ただしCは任意定数 菅信:日本造船学会 論文集166号 (1989)

20.

𝜂𝜂̇ 2 2 = 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 + 𝐶𝐶 𝜂𝜂̇ = ± 2C + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 図示すると、 -1<C<1 安定平衡点まわりの軌道(波乗りに対応) C=1 不安定平衡点をつなぐ軌道 (ヘテロクリニック軌道) C>1 平衡点に達しない軌道(周期運動に対応)

21.

𝜂𝜂̇ = ± 2C + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂は𝛼𝛼 = 𝛽𝛽 =0についての結果である。 𝛼𝛼 ≠0、𝛽𝛽 ≠0とすると、 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 2 𝑑𝑑𝜂𝜂 2 = 𝛼𝛼 − 𝛽𝛽𝜂𝜂̇ − 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 となるが、 右辺の𝜂𝜂に𝛼𝛼 ̇ = 𝛽𝛽 =0の解を第1近似として代入する。 すると、低速からの波乗りに対応する𝜂𝜂<0について、 ̇ 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 2 = 𝛼𝛼+𝛽𝛽 2C + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 − 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 𝑑𝑑𝜂𝜂 2 −𝜋𝜋から𝜋𝜋まで積分すると、 𝐸𝐸 𝜋𝜋 𝑑𝑑 𝜂𝜂̇ 2 𝐶𝐶 =∫−𝜋𝜋 𝑑𝑑𝜂𝜂 2 𝜋𝜋 =� −𝜋𝜋 𝑑𝑑𝜂𝜂 = 𝜂𝜂̇ 2 𝜂𝜂=𝜋𝜋 2 -- 𝜂𝜂̇ 2 𝜂𝜂=−𝜋𝜋 2 𝛼𝛼+𝛽𝛽 2C + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 − 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝜋𝜋 = 2 � 𝛼𝛼+𝛽𝛽 2C + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 0 これは、軌道に沿っての-𝜋𝜋と𝜋𝜋での運動エネルギーの変化 の近似値にあたる。

22.

よって、E(C)=0 (C≥ 1)であれば、その軌道は周期的となる。 𝜋𝜋 𝐸𝐸 𝐶𝐶 = 1 =2 ∫0 𝛼𝛼+𝛽𝛽 2+2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 0 とすると、𝛼𝛼 = 𝛽𝛽 =0でのヘテロクリニック軌道 での-𝜋𝜋と𝜋𝜋での運動 エネルギー変化零(周期性)が、𝛼𝛼≠0、𝛽𝛽≠0でも変わらないことを 示している。すなわち、𝛼𝛼≠0、𝛽𝛽≠0でもヘテロクリニック軌道 が存 在すると近似的にみなせる。

23.

よって 𝜋𝜋 ∫0 𝛼𝛼+𝛽𝛽 2+2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 = απ + 2𝛽𝛽2 2 sin𝜂𝜂2 = απ +4𝛽𝛽 = 0 𝜋𝜋 0 ∵ � 1 + 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂 𝑑𝑑𝜂𝜂 = � 1 + 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐2𝜂𝜂2 𝑑𝑑𝜂𝜂 = � 1 − 1 + 2𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐 2 𝜂𝜂2 𝑑𝑑𝜂𝜂 すなわち、 4𝛽𝛽 𝛼𝛼 = − 𝜋𝜋 = 2 � 𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝑐𝜂𝜂2 𝑑𝑑𝜂𝜂 = 2 2 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂2

24.

波乗り条件 𝑑𝑑 2 𝜉𝜉𝐺𝐺 𝑑𝑑𝑡𝑡 2 𝐺𝐺 + 𝜇𝜇𝑑𝑑𝜉𝜉 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑘𝑘𝜉𝜉𝐺𝐺 + 𝜀𝜀 = 𝑏𝑏 次の変数変換を行う 𝑘𝑘𝜉𝜉𝐺𝐺 + 𝜀𝜀 = 𝜂𝜂 𝑠𝑠 𝑡𝑡 = 𝑓𝑓𝑓𝑓 すると、 𝑑𝑑𝜉𝜉𝐺𝐺 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑 =𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑 =𝑑𝑑𝑑𝑑 𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑 2 𝜉𝜉𝐺𝐺 𝑑𝑑 = 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑𝑡𝑡 2 よって、 2 𝑓𝑓 𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑2𝜂𝜂+𝜇𝜇 𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑓𝑓𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑠𝑠 𝑓𝑓𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑑𝑑 = 𝑑𝑑𝑠𝑠 𝑓𝑓𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑠𝑠 𝑓𝑓𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜂𝜂 = 𝑏𝑏 𝑑𝑑𝑑𝑑 𝑑𝑑𝑑𝑑 = 𝑓𝑓𝑓𝑓 𝑓𝑓𝑑𝑑2 𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑2 2 = 𝑓𝑓𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑2𝜂𝜂

25.

波乗り条件 2 𝑓𝑓 𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑𝑑2𝜂𝜂+𝜇𝜇 𝑑𝑑2 𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑2 +𝜇𝜇 𝑓𝑓𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑 1 𝑑𝑑𝜂𝜂 𝑓𝑓𝑘𝑘 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜂𝜂 = 𝑏𝑏 + 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝜂𝜂 = 𝑏𝑏𝑓𝑓 これを先の方程式 𝑑𝑑 2 𝜂𝜂 𝑑𝑑𝑑𝑑 +𝛽𝛽 𝑑𝑑𝑑𝑑 2 𝑑𝑑𝑑𝑑 + 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝜂𝜂 = 𝛼𝛼 と比較すると、 𝛼𝛼 = 𝑏𝑏𝑓𝑓 𝛽𝛽 = 𝜇𝜇 1 𝑓𝑓𝑓𝑓 よって、波乗り条件は、𝛼𝛼 = − 4 𝑏𝑏 1 𝜇𝜇 = − 𝑓𝑓 𝑓𝑓𝑓𝑓 𝜋𝜋 4𝛽𝛽 すなわち、 𝜋𝜋

26.

波乗り条件 𝑏𝑏 𝑓𝑓 4 = − 𝜇𝜇 𝜋𝜋 𝑑𝑑 2 𝜉𝜉𝐺𝐺 𝑑𝑑𝑡𝑡 2 1 𝑓𝑓𝑓𝑓 整理すると、 𝑓𝑓 = 𝑘𝑘 𝜋𝜋𝑏𝑏 2 16𝜇𝜇2 = 𝑘𝑘 𝜋𝜋𝑏𝑏 2 16𝜇𝜇2 = 𝑘𝑘 𝜋𝜋𝑏𝑏 2 16 𝜇𝜇 𝐺𝐺 + 𝑓𝑓 𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠𝑠 𝑘𝑘𝜉𝜉 + 𝜀𝜀 = 𝑏𝑏 + 𝜇𝜇𝑑𝑑𝜉𝜉 𝐺𝐺 𝑑𝑑𝑑𝑑 f: 前後方向波浪強制力の振幅の指標 k: 波数 b: 平水中で自航速度から波速まで増速に要する力の指標 μ: 平水中抵抗+推力の速度に対する変化率の指標 この条件式は、船体抵抗とプロペラ推力が船速に比例す ると近似している。 実際には、船体抵抗は船速の5次式、プロペラ推力は船速 の2次式で表現されることから、 レベル2基準ではこれらを反映したメルニコフ解析の式を 用いている。 Ref. A. Maki, N. Umeda et al. : JMST, 2010

27.

波乗り条件 (実験と計算の比較) 梅田・神山:関西造船協会誌213号(1990)

28.

波乗り条件 種々の船舶への適用 第1段階簡易基準 Fn<0.3ならば合格 Y. Ito, N. Umeda, H. Kubo: Jurnal Teknologi (Sciences and Engineering) 66(2), 2014

29.

波乗りの発生条件  第1の条件: 平衡点の発生 船体抵抗+プロペラ推力+前後方向波力=0 安定平衡点と不安定平衡点が発生  第2の条件: ヘテロクリニック分岐の発生 第2世代基準のブローチングに対する要件  レベル1: フルード数0.3以上かつ船長200m以下  レベル 2 : ヘテロクリニック分岐としての波乗り発生領 域の(波高、波長)の北大西洋での発生確率の計算  直接評価:不規則波中時間領域シミュレーションにより、 ブローチングによる40度以上の横傾斜発生の北大西洋での 発生確率の計算

30.

第2段階簡易基準 ヘテロクリニック分岐の計算より、規則波中で波乗りの発生する 波高と波長を求める。 大西洋の波浪頻度表における各有義波高、平均波周期の組み合わ せについて、Longuet-Higginsの理論式(proc. Royal Society Lond., 1983)より、個別の波高と波長の結合確率密度関数を求め、 それを波乗りの発生する範囲内で積分することで、1波ごとの波乗 り発生確率を計算する。 北大西洋の波浪頻度を用いて、 その確率を重み平均して、長期の 1波ごとの波乗り発生確率Cとする。 その値が0.005未満であれば、合格。 (コンテナ船2隻、RoRo、PCC, ONR-T, Fの6隻で、第1段階基準 との逆転を防ぐ様に決定)

31.

直接復原性評価(阪大)  短波頂不規則波中の時間領域シミュレーション  4自由度(surge-sway-yaw-roll)+オートパイロットモデル  低周波数であるため、非線形操縦性数学モデルをベースに、 線形波浪強制力(揚力成分主体)を付加  Heave-pitchは波面上での静的平衡と近似  平水中の操縦流体力、横揺れ減衰力、抵抗・推進性能は模型 実験による

32.

直接復原性評価法の実験的検証 一波当たりの40度以上横 傾斜発生確率 海洋調査船(L=22m) K. Matsubara, N. Umeda and A. Matsuda: Ocean Engineering, 2023 (松原冬馬:阪大修論2021)