尿毒症性心膜炎

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September 12, 22

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尿毒症性心膜炎/透析関連心膜炎

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心嚢液貯留の原因 Prog Cardiovasc Dis. 2017 Jan - Feb;59(4):380-388.

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定義 • 尿毒症性心膜炎 透析開始前から開始から8週以内に発症した心膜炎 • 透析関連心膜炎 透析開始後8週以上で発症した心膜炎 透析患者の心膜炎のほうが透析による治療に反応しにくく、症候性で、 血性の心膜液貯留であり、タンポナーデや循環動態の破綻をきたし やすい Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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頻度 • 正確なデータがない(診断基準や分類方法や技術の変化の問題) • だいたい、尿毒症性心膜炎で1.4-29%/人年、透析関連心膜炎で0.86%人年、両方併せた報告では2,6-4%人年というものがある Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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病態 • 滲出性の心膜液貯留 • 心外膜下の心筋にまで及ぶリンパ球優位の炎症細胞浸潤 • 多核白血球の浸潤は細菌性の心膜炎の合併がなければまれ • 収縮性心膜炎では心筋は慢性の繊維性の肥厚を認める • 心膜液はLDHと蛋白上昇を認め、白血球100mm3未満でリンパ球が 優位 • 心膜の生検が病因の推定に寄与することはまれ • 心膜液の外観は様々 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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病因 • 明確な原因は不明 • 尿毒症性では同定されていない尿毒症性毒素と推定(透析導入で 速やかに改善することから) • 透析関連でも尿毒症性毒素が原因で、不十分な透析のためという 意見や感染や病気、手術による負荷が誘因となるという意見もある • 透析患者や末期腎不全患者といっても、他の原因(MI後、SLE、細菌 感染、悪性腫瘍など)の除外は必要 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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症状(non-ESRD) • 突然発症の胸膜炎による胸痛(胸骨下や左傍胸骨)が最多 Ø仰臥位で増悪し前傾姿勢で軽減 Ø頸部、腕、左肩に放散 • 心膜摩擦音は特徴的だが頻度は多くなく、一過性 Øあれば前傾姿勢の座位や呼気終末に最もよくきこえ、典型的には 収縮期、拡張早期、心房収縮期の三相性 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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症状(ESRD) • 発熱、寒感、呼吸困難感、咳嗽、倦怠感 • 心膜摩擦音は80-100% • 胸痛は55-83% • 発熱は30-90% • 前傾姿勢での胸痛軽減は少ない • 血液透析中の血圧低下や心不全症状は 多い Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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症状(収縮性心膜炎) • 右心不全所見(頚静脈怒張、肝腫大、腹水、浮腫) • Kussmaul徴候(吸気時の逆説的頚静脈圧の上昇) • 心尖部での心膜ノック音 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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診断 • 心電図は有用 • Non-ESRDではmirror imageを伴わない広範なST上昇やPR低下(ST変 化に先行して) • ESRDでは上記ST変化はまれ(1-10%のみ) • もしESRDで典型的な心電図変化があれば感染の合併を疑う • ESRDではLVHが多く典型的なST変化を相殺する、心外膜の関与が少 ないから、などが理由として考えられている • 持続性の不整脈はESRDで多い。もしnon-ESRDで認めればMIや他の 心疾患合併を疑う。 • 最も多い不整脈は心房細動を伴う上室性頻拍(12-28%) Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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画像 • Non-ESRDの心膜炎ではウイルスや細菌感染、抗酸菌性肺炎、悪性 腫瘍の合併がない限り、レントゲンは通常は正常 • ESRDではレントゲン異常は多い。心拡大が50-90% • エコー上、ESRDでは心膜液貯留は70-100% • CTやMRIで心筋の肥厚を認めるかもしれない • 造影MRIでガドリニウムの取り込み増加は炎症の存在を示唆。しか し、腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis:NSF)の懸念が あり避けたい。 • まずは経胸壁心エコーが推奨 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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Laboデータ • 白血球増多、ESRやCRPなど炎症反応上昇は心膜炎ではよくある • ESRDでは白血球増多は40-60% • Non-ESRDで心筋逸脱酵素上昇があれば心筋炎の合併を示唆 • ESRDでは心筋逸脱酵素上昇は心筋の損傷がなくてもよくあり解釈が 難しい • BUNは診断に有用ではなく症状との相関にも乏しい Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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治療(尿毒症性心膜炎) • 透析してみる • 症状が改善すれば尿毒症性 • 尿毒症性心膜炎は腎代替療法の絶対適応 • ヘパリンフリーのHDが推奨 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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治療(透析関連心膜炎) • 透析の強化 • 効果がなければSLEや結核性も念頭に置く • 血圧低下や心膜の出血の懸念 • 腹膜透析への切り替え Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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薬剤 • NSAID、ステロイド、コルヒチン • NSAIDはESRD(尿毒症性/透析関連)症例では有用ではない • コルヒチンはnon-ESRD(急性特発性心膜炎)では再発予防で使うこと があるが、ESRDでは使いにくく研究もされていない(中毒のリスクが 高い) • ステロイドはnon-ESRDではNSAID抵抗性に使うことがあるが、ESRDで はエビデンスも少なく効果も乏しいよう ESRD症例では薬剤の意義はとぼしそう Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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外科的処置 • 心膜穿刺 • 心嚢造瘻術と心膜内ステロイド投与 • 心膜開窓術と部分的心膜切除術 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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心タンポナーデに注意 • Non-ESRDで3.1%、ESRDで10-20%に合併 • 低血圧、頻脈、心音減弱、頚静脈怒張、奇脈(通常の呼吸での吸気 時にSBPが10以上低下)、心電図変化 • 低血圧や頻脈、奇脈がないこともある • 特定の原因(悪性腫瘍、膠原病など)がある場合のほうが多い • 治療は心膜穿刺 Semin Dial. 2016 Sep;29(5):366-73.

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エコー所見により心膜穿刺も検討 • 心タンポナーデの所見が少なくてもエコーで右心の虚脱などタンポ ナーデの所見があれば心膜穿刺考慮する • 透析で心タンポナーデが増悪する(急速な前負荷の減少が心膜の 圧と相関するchamberの圧を下げ、タンポナーデを顕在化させる?) • エコーは感度が高い(chamber collapseがなければ、タンポナーデは ないといえるが、あっても臨床的にタンポナーデとは必ずしもいえな い) • 呼吸困難感は臨床的に有用 透析後、呼吸困難感が出現しエコーでも疑わしければ心膜穿刺検討 Cardiology. 2011;120(4):204-8.

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いつ刺すか?(尿毒症患者の心膜液貯留) 大量(≧500以上or echo-free space≧20mm)なら 刺す 少量(<300mL)、中等量(300-500mL)の場合、血 清Alb≦3.1 g/dLなら考慮 エコーでタンポナーデの所見があればすぐ刺す (刺さなかったら死んだ) J Nephrol. 2015 Feb;28(1):97-104.