研修医カンファレンス デング熱

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September 12, 22

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1.

研修医カンファレンス 2020/06/19 発熱、下痢

2.

症例 21歳 男性 【主訴】発熱、下痢 【現病歴】 • 7/1~12(受診12日前~前日):単身でタイ旅行。 • 7/9(受診4日前):ナイトマーケットで肉と魚を食べたあと、全く寝 られなかった。 • 7/10(受診3日前):発熱、水様便(3~4回/日)が出現。 • 7/13(受診当日):帰国後、近医受診し点滴、抗菌薬処方を受け帰宅 となったが、発熱持続し感染症検査希望もあり救急要請となった。 >>ROS

3.

Review of systems • ROS(+):発熱、腹痛、下痢、頭痛 • ROS(-):便秘、嘔吐 >>既往歴・生活歴

4.

既往歴・生活歴 【既往歴】 ウイルス性腸炎 【アレルギー】なし 【生活歴】 喫煙 :不明、飲酒:不明 職業:不明 【家族歴】不明 【ADL】自立 >>薬剤

5.

薬剤 • 常用薬なし 近医処方(受診当日~) • ホスミシン • ミヤBM • レバミピド • 五苓散 >>身体所見

6.

身体所見 身長 163 cm 、体重 56.4 kg バイタルサイン: BT 39.6 ℃、BP 127/65 mmHg、HR 80 bpm regular、RR 20/min、SpO2 100%(室内気) 全身状態:ぐったりしている 頭頸部:眼瞼結膜蒼白なし、眼球結膜黄染なし 胸部:肺雑音なし、呼吸音左右差なし 心雑音なし、Ⅲ・Ⅳ音聴取されず 腹部:平坦、軟 腹部全体に圧痛あり。肝叩打痛なし。 腸蠕動音亢進減弱なし 背部:両側CVA叩打痛なし 皮膚:皮疹なし >>検査所見

7.

検査所見 血算 WBC Hb Plt 1580 15.3 /μL g/dL 11.4×104 /μL 分画 生化学 TP Alb 6.2 4.0 g/dl g/dl BUN Cr 9.6 1.08 mg/dl mg/dl ALT 28 U/l CRP 0.28 mg/dl ALP 142 U/l U/l Stab 23.0 % γGTP 15 Seg Lymph Aty-Lym Metmyelo Mono Eosino 39.0 23.0 5.0 1.0 9.0 0.0 % % % % % % LDH CPK Na K Cl Ca 236 64 133 3.7 95 8.8 U/l U/l mEq/L mEq/L mEq/L mg/dl 0.0 % IP 3.2 mg/dl UA 3.9 mg/dl Baso >>検査所見

8.

検査所見 尿定性検査 尿比重 1.014 pH 7.5 蛋白定性 潜血反応 白血球 尿沈査 WBC RBC ± - - 1未満 /HPF 5~9 /HPF >>胸腹部CT

9.

胸腹部CT • 肺野に明らかな異常陰影認めず • 肝・胆道系・膵・脾・腎に明らかな異常認めず • 消化管粗大病変認めず • 骨盤内腹水少量 • 明らかなリンパ節腫大認めず >>入院後経過

10.

入院後経過 • 感染性腸炎疑いで入院、レボフロキサシン内服開始した。 • 入院2~3日目、発熱持続しておりロキソプロフェンも頓服使用。 • 入院3日目、解熱傾向だが上下肢に掻痒感を伴う紅斑出現。当 直医診察、薬疹の可能性も否定できず、レボフロキサシン、ロ キソプロフェンは中止した。 • 入院4日目、熱型改善傾向、下痢も改善傾向を認めた。

13.

プロブレムリスト #1. #2. #3. #4. タイ帰国後の発熱・下痢 白血球減少 血小板減少 紅斑 What is your diagnosis?

14.

海外渡航歴+発熱では必ず聴取! •渡航地 •潜伏期 •曝露歴

15.

東南アジアは圧倒的デング! Ann Intern Med. 2013 Mar 19;158(6):456-68

16.
[beta]
潜伏期別にみた輸入感染症
Short(<10日)
デング熱
チクングニア熱
ジカ熱
ウイルス性出血熱
旅行者下痢症
黄熱
リケッチア症
インフルエンザ
レプトスピラ症

Medium(11-21日)
マラリア(特にP.
falciparum)
レプトスピラ症
腸チフス
麻疹
トリパノソーマ症
ブルセラ症
トキソプラズマ症
Q熱

Long(>30日)
マラリア
結核
ウイルス性肝炎(A, B, C, E)
類鼻疽
急性HIV感染症
住血吸虫症
フィラリア症
アメーバ肝膿瘍
リーシュマニア症

Lancet. 2003 Apr 26;361(9367):1459-69

17.

曝露歴 • 食事歴 • 虫の曝露 • その他の曝露(淡水、土壌、性交渉、sick contact、哺乳類)

18.

食事を介して感染しうる病原体 病原体 ウイルス A型肝炎、E型肝炎、ノロウイルス、ロタウイルス、エンテロウイルス 細菌 下痢原性大腸菌(enterotoxigenic Escherichia: ETEC)、 enteroaggregative E. coli(EAEC)、enteropathogenic E. coli (EPEC)、キャンピロバクター、サルモネラ(腸チフス、パラチフスを 含む)、リステリア、赤痢菌、ブドウ球菌、クロストリジウム、ビブリ オ属(腸炎ビブリオ・コレラ)、エルシニア、ブルセラ、バシラスなど 寄生虫 裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫、肝蛭、アニサキス、アスカリス、ア メーバ、ジアルジア、クリプトスポリジウム

19.

防蚊対策 • 蚊が多い時間・時期・場所を避ける • 衣服:長袖長ズボン • 防虫剤の適切な使用 • 蚊帳の使用(DEET、使用頻度)

20.

節足動物と刺咬で感染しうる感染症 蚊 マラリア、デング熱、チクングニア熱、ジカ熱、黄熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、フィラリア症 ダニ ボレリア症、リケッチア症、コンゴクリミア出血熱、Q熱、野兎病、ダニ脳炎、エーリキア症、バベシ ア症 ハエ アフリカ睡眠病、オンコセルカ症、リーシュマニア症、バルトネラ症、ハエ蛆症 シラミ ペスト、スナノミ症、シラミ媒介性回帰熱 サシガメ シャーガス病

21.

その他の曝露と感染しうる感染症 淡水(川など) レプトスピラ症、住血吸虫症、アカントアメーバ感染症、ネグレリア症 土壌 鈎虫症、皮膚幼虫移行症、内臓幼虫移行症、レプトスピラ症 性交渉 HIV、HBV、HCV、梅毒、クラミジア、淋病、ヘルペス、HPV Sick contact 肺炎、結核、EBV感染症、髄膜炎、リウマチ熱、ラッサ熱 哺乳類 狂犬病(イヌ、ネコ、サルなど)、鼠咬熱(ネズミ)、野兎病(ウサギ)、Q熱 (ネコ、ウシ、ヒツジなど)

22.

帰国者発熱の問診リスト • • • • • • • • • • • • 渡航の出発日と帰国日 渡航先と経由国 活動した都市名 現地の気候・季節(雨季のデング熱、乾季は髄膜炎菌性髄膜炎が流行) 節足動物の咬傷の有無、具体的な蚊の対策 動物曝露(犬、ネズミに咬まれたなど) 淡水曝露(川に入ってないか) シックコンタクト 現地での性交渉 食事や水の摂取 ワクチン接種歴 旅行の種類と目的(ツアー、バックパック、ボランティア・研究、VFRなど)

23.

1類、2類はまず除外を! 疾患名(病原体) 流行地域 潜伏期 ベクター/曝露 1類感染症 エボラ出血熱 西アフリカ、中央アフリカ 2-21日 感染者 動物(オオコウモリなど) マールブルグ病 中央アフリカ 3-9日 感染者、動物 ラッサ熱 ナイジェリア~西アフリカ 6-21日 感染者、動物(げっ歯類) クリミア・コンゴ出血熱 南ヨーロッパ、アフリカ中東 地域、中国北西部 1-9日(ダニ) 3-13日(感染動物やヒト) カタダニ、感染したヒトや 動物 南米出血熱 南米 7-14日 感染者、動物(げっ歯類) ペスト(Yersinia pestis) アフリカ、アジア、南アメリ カの辺鄙な地域 2-6日(腺ペスト) 1-3日(肺ペスト) ネズミノミ 天然痘 なし バイオテロ? 7-16日 ヒト 鳥インフルエンザ(H5N1) 東南アジア、中東・エジプト 2-8日 野鳥、家禽 鳥インフルエンザ(H7N9) 中国 3-7日 家禽 中東呼吸器症候群(MERS) アラビア半島 2-14日 感染者、ヒトコブラクダ 2類感染症 (結核を除 く)

24.

隔離すべき感染症も除外を! • 発熱+呼吸器症状/皮疹があれば麻疹は除外を! 空気感染 病原体 麻疹、結核、水痘 飛沫感染 風疹、おたふくかぜ、髄膜炎菌、百日咳、インフルエンザ 接触感染 ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症、腸チフス

25.

皮疹の種類と考えられる輸入感染症 斑状丘疹 アルボウイルス感染症(デング熱、チクングニア熱、ジカ熱など)、風疹、麻疹、パ ルボウイルスB19、薬剤性過敏症、梅毒、ハンセン病、真菌感染症(ヒストプラズマ 症、ペニシリン症)、伝染性単核球症(EBV、CMV、HIV)、リケッチア症、ウイル ス性出血熱(エボラなど) 水疱・膿疱 単純疱疹、水痘、帯状疱疹、サル痘、リケッチア症 紅皮症 デング熱、川崎病、毒素性ショック症候群、猩紅熱、日焼け、Vibrio vulnificus感染 症 紫斑 デング出血熱、淋菌感染症、水痘、髄膜炎菌感染症、ペスト、リケッチア症、敗血症 (±DIC)、ウイルス出血熱(ラッサ熱、エボラ、CCHF、リフトバレー熱) 潰瘍 Chancre:Trypanosoma rhodesiense、Yersinia pestis(bubonic plague) 痂皮:アフリカ紅斑熱、炭疽 性器潰瘍:梅毒、HSV 皮膚潰瘍:炭疽、ジフテリア、真菌感染症、ブルーリ潰瘍

26.

肝脾腫がみられることがある輸入感染症 細菌 ブルセラ症、腸チフス、レプトスピラ症、Q熱、回帰熱、リケッチア症 吸虫 肝蛭症、片山熱 原虫 アメーバ肝膿瘍、マラリア、トリパソーマ症、内臓リーシュマニア ウイルス デング熱、ウイルス性肝炎(A、B、E)、伝染性単核球症(EBV、CMV、HIV) その他 慢性骨髄性白血病、リンパ腫、骨髄繊維症

27.

黄疸を呈することのある輸入感染症 肝臓由来 溶血性 EBV感染症、CMV感染症、腸チフス、ウイルス性肝炎(A~E)、レプト スピラ症(ワイル病)、非チフス性サルモネラ感染症 熱帯熱マラリア、回帰熱 敗血症(肺炎球菌感染症を含む)、発疹チフス ウイルス性出血熱 上行性胆管炎(ときに寄生虫感染症も) マラリア、バルトネラ症、溶血性尿毒症症候群(赤痢菌、ETEC) マイコプラズマ感染症 感染を契機とした鎌状赤血球クリーゼ

28.

輸入感染症の血液検査上の特徴 白血球減少 腸チフス、リケッチア症、デング熱 異型リンパ球 血小板減少 伝染性単核球症(EBV、CMV、HIV) マラリア、デング熱、リケッチア症 ウイルス性出血熱、腸チフス 好酸球増加症 肝酵素上昇 寄生虫症、薬剤性過敏症 マラリア、デング熱、リケッチア症 レプトスピラ症、デング熱、伝染性単核球症

29.

本症例では・・・ • 渡航地:タイ • 潜伏期:0-9日 • 曝露歴:ナイトマーケットで肉と魚。蚊の 対策などその他曝露歴は不明。

30.

まずはFORTH 厚生労働省検疫所 FORTH: https://www.forth.go.jp/index.html

32.

1類、2類はまず除外を! 疾患名(病原体) 流行地域 潜伏期 ベクター/曝露 1類感染症 エボラ出血熱 西アフリカ、中央アフリカ 2-21日 感染者 動物(オオコウモリなど) マールブルグ病 中央アフリカ 3-9日 感染者、動物 ラッサ熱 ナイジェリア~西アフリカ 6-21日 感染者、動物(げっ歯類) クリミア・コンゴ出血熱 南ヨーロッパ、アフリカ中東 地域、中国北西部 1-9日(ダニ) 3-13日(感染動物やヒト) カタダニ、感染したヒトや 動物 南米出血熱 南米 7-14日 感染者、動物(げっ歯類) ペスト(Yersinia pestis) アフリカ、アジア、南アメリ カの辺鄙な地域 2-6日(腺ペスト) 1-3日(肺ペスト) ネズミノミ 天然痘 なし バイオテロ? 7-16日 ヒト 鳥インフルエンザ(H5N1) 東南アジア、中東・エジプト 2-8日 野鳥、家禽 鳥インフルエンザ(H7N9) 中国 3-7日 家禽 中東呼吸器症候群(MERS) アラビア半島 2-14日 感染者、ヒトコブラクダ 2類感染症 (結核を除 く)

33.

隔離すべき感染症も除外を! • 発熱+呼吸器症状/皮疹があれば麻疹は除外を! 空気感染 病原体 麻疹、結核、水痘 飛沫感染 風疹、おたふくかぜ、髄膜炎菌、百日咳、インフルエンザ 接触感染 ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症、腸チフス

34.

潜伏期別にみた輸入感染症 Short(<10日) Medium(11-21日) Long(>30日) デング熱 チクングニア熱 ジカ熱 ウイルス性出血熱 旅行者下痢症 黄熱 リケッチア症 インフルエンザ レプトスピラ症 マラリア(特にP. falciparum) レプトスピラ症 腸チフス 麻疹 トリパノソーマ症 ブルセラ症 トキソプラズマ症 Q熱 マラリア 結核 ウイルス性肝炎(A, B, C, E) 類鼻疽 急性HIV感染症 住血吸虫症 フィラリア症 アメーバ肝膿瘍 リーシュマニア症

35.

東南アジアは圧倒的デング! Ann Intern Med. 2013 Mar 19;158(6):456-68

36.

意外と使えるCRP(デングVSマラリア) デング熱またはマラリア患者においてCRP>2.4 mg/dLをカットオフとしたとき、マラリアの診断 に対する感度は91.9%、特異度は90.6% CRP>2.4ならデン グよりマラリア! Am J Trop Med Hyg. 2014 Mar;90(3):444-8

37.

マラリア?デング?腸チフス? アフリカ帰りならマラリア疑う CRP<1.0 mg/dLならデング熱 CRP≧1.0 mg/dLで南アジア帰り、Plt>15万なら腸チフス J Infect Chemother. 2015 Apr;21(4):272-6

38.

診断プラン • 末梢血ギムザ染色で3回陰性確認(マラリア除外) • 血液培養(腸チフス除外) • デング熱迅速検査 >>検査結果

39.

追加検査 • 末梢血ギムザ染色→未施行 • 血液培養2セット→陰性 • デングウイルス抗原(入院日検体):8.45(陽性) >>診断

40.

診断 デング熱

41.

デング熱

42.

ヤブ蚊が媒介 日本には いない 日本に広く 分布 デング熱媒介蚊の生態 - 国立感染症研究所(http://idsc.nih.go.jp/iasr/25/288/dj2887.html)

43.

帰国後14日以内なら否定できない • 20~50%が3~7 日(最大 2~14 日)の潜伏期間を経て発熱・ 皮疹などの症状を呈する • 通常は1 週間前後の経過で回復 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

44.

重症型デング • 重度な出血傾向、血漿漏出傾向、臓器不全傾向を示す場合があ り、こうしたケースを「重症型デング」と呼ぶ 。 • このうち、顕著な血小板減少及び血管透過性亢進(血漿漏出) を伴うものを「デング出血熱」と呼び、特にショック症状を伴 うものを「デングショック症候群」と呼ぶ。 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

45.

症状 • 発熱(99%)、血小板減少(78%)、白血球減少(78%)、頭痛 (72%)、発疹(48%)、全身の筋肉痛(22%)、骨関節痛(18%) 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

46.

海外渡航者でデング熱を疑う目安 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

47.

ターニケットテスト Dengue virus infection: Clinical manifestations and diagnosis - UpToDate

48.

比較的徐脈も参考に 感染症 非感染症 レジオネラ症 オウム病 Q熱 腸チフス リケッチア症 バベシア症 マラリア レプトスピラ症 黄熱 デング熱 ウイルス性出血熱 ロッキー山紅斑熱 Βブロッカーの使用 中枢性病変 リンパ腫 詐熱 薬剤熱 Clin Microbiol Infect. 2000 Dec;6(12):633-4

49.

重症化サイン(警告徴候) 1つでもあれば重症化サインありと診断 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

50.

重症型デング 1つでもあれば重症型デングと診断 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

51.

異型リンパ球が重症化の予測に有用かも • 呼吸不全を伴う群で有意に異型リンパ数の割合が高かった (AL%; 8.65±12.09 vs 2.17±4.25 [p = 0.01]) • ショックを伴う群で有意に異型リンパ数の割合が高かった (AL%;8.40±1.26 vs 2.18±4.25 [p = 0.001]) • 出血を伴う群でも同様に高かった(AL%;4.07±5.79 vs 2.15±4.22 [p = 0.02]) • 血小板数と異型リンパ球の割合には負の相関関係があった。 PLoS One. 2019 May 1;14(5):e0215061

52.

デング熱疑い例 デング熱流行地域に居住または旅行 し発熱と以下のうち2つ以上の症状を 伴う ・嘔気・嘔吐 ・皮疹 ・頭痛 ・白血球減少 ・警告徴候 警告徴候* 検査で確定診断されたデング熱 (血漿漏出徴候がない場合に重要) *厳重な経過観察と医療的な 介入が必要 ・腹痛や腹部圧痛 ・持続的な嘔吐 ・体液貯留所見 ・粘膜出血 ・無気力・不穏 ・2cm以上の肝腫大 ・急激なPlt減少を伴うHctの 上昇 重症型デングの診断基準 重症血漿漏出 これに引き続く ・ショック(デングショック症候群) ・呼吸不全を伴う体液貯留 重症出血 ・医師による評価 重症臓器障害 ・肝臓:ASTまたはALT≧1000 ・中枢神経系:意識障害 ・心臓やその他の臓器 Dengue: guidelines for diagnosis, treatment, prevention and control

53.

デング熱の自然経過 Febrile phase(発熱期) 急激な発熱で発症し、発熱、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔 気・嘔吐などの症状が生じる(breakbone fever) 2-7日間持続 この時期にターニケットテスト陽性ならデング熱かも。 二峰性の発熱(saddleback)が特徴 Critical phase(臨界期) 37.5-38℃以下まで解熱してくる時期 血管透過性亢進と共にヘマトクリット値が上昇 通常発症3-7日目 著明な血漿漏出は通常24-48時間持続(下山が難所!) Recovery phase(回復期) 血管外の体液が徐々に48-72時間かけて戻ってくる時期 Dengue: guidelines for diagnosis, treatment, prevention and control

54.

Febrile, critical and recovery phases in dengue Dengue: guidelines for diagnosis, treatment, prevention and control

55.

境界不明瞭な斑状皮疹 、斑状丘疹が顔面、 頸部、腹部、四肢に出現(急性期) 典型的には掻痒感を伴う 島状に白く抜ける紅斑 典型的には掻痒感を伴う 解熱時期の1-2日以内に現れ、1-5日持続 Dengue virus infection: Clinical manifestations and diagnosis - UpToDate

56.

デング熱の発疹 White islands in the sea of red 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

57.

デング熱疑いなら 1.血液(全血)・血清・血しょうを採取する。 2.血清を検体として、「デングウイルス抗原定性〈デングウイ ルス非構造タンパク(NS1)抗原〉」(ELISA 法)又は、全血又は血 清を検体として「デングウイルス抗原及び抗体 同時測定定性 〈デングウイルス IgM 抗体・NS1 抗原〉」(イムノクロマト法) を用いて検査する。 3.陽性の場合:最寄りの保健所にデング熱発生届を提出する。 陰性あるいは判定不能の場合:最寄りの保健所に相談の上、血 液・血清を地方衛生研究所又は国立感染症研究所に送付し、検査 を依頼することができる。 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

58.

NS1抗原が陰性ならPCRや抗体検査を依 頼 NS1抗原は保険適応で提出可能 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

59.

検査のタイミングに注意 発症4-5日ならNS1抗原が検出可 能。それ以降は抗体検査 IgMは発症3-5日で50%で、発症 5日で80%で、10日で99%で上 昇を認める。IgMのピークは発症 約2週間後で2-3か月かけて検出 されなくなる。 Dengue: guidelines for diagnosis, treatment, prevention and control

60.

鑑別疾患 • チクングニア熱、ジカウイルス感染症のほか、麻疹、風疹、イ ンフルエンザ、レプトスピラ症、伝染性紅斑(成人例)、伝染 性単核球症、急性 HIV 感染症、リケッチア症など よくわからなかったら電話で相談 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

61.

診断したら直ちに届け出 • デング熱は感染症法では 4 類感染症の全数把握疾患に分類され るため、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出る必要 がある 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

62.

治療は対症療法 • 輸液 • 解熱鎮痛はアセトアミノフェン(アスピリンは出血傾向やアシ ドーシスを助長するため使用すべきでない。イブプロフェンな どのNSAIDsも胃炎あるいは出血を助長するため使用すべきで ない) • 重症化サインがあるか重症化リスクが高い場合は入院加療 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

63.

重症化リスク 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

64.

重症化サインがある場合の輸液 解熱後の病態安定を確認する ための観察期間は 2~3 日を 目安とする 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5版)

65.

Take home message • 海外渡航歴+発熱では、渡航地・潜伏期・曝露歴の確認を! • 1-2類感染症、隔離必要な疾患(麻疹など)をまず除外! • 東南アジアではデング熱、チクングニア熱が多い • とりあえずFORTH! • デング熱ではNSAIDsは避ける(出血リスク) • 解熱前後が要注意(重症型デングに移行しやすい)