研修医カンファレンス 胃アニサキス症

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September 12, 22

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1.

研修医カンファレンス 2020/07/31 心窩部痛

2.

症例 67歳 男性 【主訴】心窩部痛 【現病歴】 • 2/5(受診当日):0時頃から心窩部痛が出現、15時頃ピークとなり持 続痛で改善しないため受診。 >>ROS

3.

Review of systems • ROS(+):心窩部痛 • ROS(-):悪寒戦慄、咳、痰、鼻汁、咽頭痛、関節痛、下痢、便 秘、嘔気嘔吐、頻尿、残尿感、排尿時痛、皮疹、胸痛、背部痛 >>追加の病歴

4.

追加の病歴 • 2/4(受診前日):20時頃、いか2種類、まぐろ、はまちなど スーパーの刺身を食べた。 • 食事歴:最近1週間で生肉、焼肉、鶏肉、レバーなし。牡蠣な し。3日前朝に卵かけご飯。 >>既往歴・生活歴

5.

既往歴・生活歴 【既往歴】 前立腺肥大、肝疾患 【アレルギー】なし 【生活歴】 喫煙 :15年ほど前に禁煙、飲酒:日本酒1合程度を週4-5日 職業:不明 【家族歴】不明 【ADL】自立 >>薬剤

6.

薬剤 • ナフトピジル50mg • ベシケア2.5mg • フェブリク20mg • トライコア80mg >>身体所見

7.

身体所見 バイタルサイン: BT 36.7 ℃、BP 136/96 mmHg、HR 75 bpm regular、RR 20/min、SpO2 100%(室内気) 全身状態:苦悶様 腹部:平坦、軟 心窩部に圧痛あり。反跳痛あり、tapping painあり。 筋性防御なし。腸蠕動音亢進減弱なし >>検査所見

8.

検査所見 • WBC 11500 • Neutro/Eo 76.7%/0.8% • Hb/MCV 13.9/88.3 • Plt 22.1万 • Amy 66 • UN/Cr 24.1/1.13 • Na/K/Cl 142/3.9/104 • CRP 0.24未満 • 便潜血は化学法・免疫法ともに陰性 >>エコー

9.

エコー • 明らかなasynergy認めず • 胆石あり、胆嚢腫大は認めず • to and fro(-)、keyboard sign(-) • Flap(-) >>胸部レントゲン

10.

胸部レントゲン • 縦隔拡大なし • 心拡大なし • 肺野に異常陰影認めず >>腹部CT

11.

腹部CT • 胃に全周性に壁肥厚あり、周囲に脂肪織濃度上昇を伴っている • 結腸憩室多数あり、明らかな脂肪織濃度上昇は認めず >>初期対応

12.

初期対応 • 救急室でアセリオ100mg点滴、ペンタジン15mg静注使用した が心窩部痛は改善を認めなかった。 >>プロブレムリスト

13.

プロブレムリスト #1. 心窩部痛 #2. 胃の全周性壁肥厚 What is your diagnosis?

14.

経過 • 便潜血は陰性、循環動態は安定しており急性出血は否定的と判 断。 • イカなど刺身摂取後数時間で突然の心窩部痛であり、胃の壁肥 厚を認めることから胃アニサキス症の可能性があり、消化器内 科コンサルト。 • 上部消化管内視鏡でアニサキス虫体2匹を認め、胃内より摘出 した。 • 疼痛管理のため入院で経過をみたが、入院2日目には症状軽快、 食事摂取も可能となり退院した。

15.

診断 胃アニサキス症

16.

胃アニサキス症 • アニサキス亜科幼線虫が胃に刺入して発症する幼虫移行症 • クジラ、イルカ、アザラシなどの海産哺乳動物を終宿主とし、 オキアミを第1中間宿主、サバ、イカ、イワシ、アジ、タラな どの大衆魚を第2中間宿主として生活環が成立している。 • ヒトへの感染は第2中間宿主を摂食した場合に感染する。 • 本邦での胃アニサキス症の原因のほとんどはAnisakis simplex • 上腹部痛で発症することが多く、原因魚類を生食後、1時間か ら数時間後に出現 • 発熱、皮疹(蕁麻疹、浮腫性紅斑)を5~20%で合併 • 治療は内視鏡による虫体の摘出 消化器内視鏡 28(8): 1380-1381, 2016

17.

シメサバに注意 • 幼虫は70℃以上の加熱で数秒以内に、あるいは-20℃で48 時 間以上凍結すれば死滅する。 • しかし酸には強く、酢でしめても死滅しない。 • 加熱処理あるいは冷凍保存をすることにより感染を防ぐことが できる。 日本臨床内科医会会誌 29(1): 1-1, 2014

18.

問診が重要 • 年齢は30~50歳に多く、発生時期は春と秋にピークがあるが、 特に9~11月頃に半数以上が多発 • 感染魚はサバが44%と最も多く、ついでイワシ、イカ、サンマ などによくみられる • 発症までの時間は6時間以内が68%、90%以上が12時間以内 • 魚の生食後12時間以内に発症した上腹部痛、時間をおいて「し ぼられるような」間歌的痛みが特徴的 • まれには蕁麻疹と発熱などの急性アレルギー症状として発症 Medical Practice 20(10): 1787-1787, 2003

19.

抗アレルギー薬+ステロイドが有効 • アニサキス症は胃アニサキス症と腸アニサキス症があり、感作 の有無により緩和型と激症型がある。 • 初感染では無症状であるが、再感染で感作されている場合は6 時間前後で1型アレルギー反応に起因する激しい心窩部痛が発 生する。 • 多くは胃アニサキス症であるが、虫体が小腸まで到達するとイ レウスを惹起することがある。 • 抗アレルギー薬(強力ネオミノファーゲンシー)40mL1回静注 +プレドニゾロン5 mg/日を4日間経口投与 日本医科大学医学会雑誌 2012; 8: 179―180

20.

腸アニサキス症にもステロイド • 腸アニサキス症による小腸閉塞にもステロイドが有効 • メチルプレドニゾロン(ソル・メドロール)1 mg/kg/日点滴5 日間 Clin Gastroenterol Hepatol. 2005 Jul;3(7):667-71

21.

Take home message • 心窩部痛・腹痛→食事摂取歴が大事! • 生魚(シメサバ、冷凍してない高級スーパー)要チェック • 生魚摂取後の激しい心窩部痛はアニサキスを疑う • 疼痛の機序は1型アレルギー反応と推定 • 抗アレルギー薬+ステロイドも選択肢