20190906 CMV感染症と感染関連糸球体腎炎

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September 12, 22

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見習い芸人

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1.

カンファレンス 2019/09/06 癌が肝腎︖

2.

症例 54歳 ⼥性 【主訴】浮腫 【現病歴】 • 受診2週間前︓発熱、倦怠感、頭重感出現。 • 受診4⽇前︓急激に体重増加(1kg/⽇ずつ増量)。 • 受診前⽇︓咽頭痛、顔⾯・下腿浮腫出現。近医受診し肝酵素上昇、尿 蛋⽩陽性のため当院紹介。 >>ROS

3.

Review of systems • ROS(+)︓発熱、咽頭痛、浮腫、体重増加、倦怠感、頭重感 • ROS(-)︓悪寒戦慄、頭痛、関節痛、咳嗽、喀痰、⿐汁、腹痛、 嘔気・嘔吐、下痢、⾎便、胸痛、排尿時痛、頻尿、残尿感、⿐ 出⾎、難聴、⼝渇感、光線過敏、⽪疹、しびれ、脱⽑ >>既往歴・⽣活歴

4.

既往歴・⽣活歴 【既往歴】 左乳腺上⽪内癌(7年前に⼿術、放射線治療) 右膝⾻折 ⼦宮筋腫 【アレルギー】アルコール 【⽣活歴】夫、⻑男と3⼈暮らし。喫煙 :never smoker、飲酒:なし 職業︓保育園の看護師 【家族歴】両親︓⼼疾患 【ADL】⾃⽴ >>薬剤

5.

薬剤 当院整形外科 • セレコキシブ100mg2錠 • レバミピド100mg2錠 近医(受診前⽇〜) L-カルボシステイン250mg6錠 トラネキサム酸250mg3カプセル アセトアミノフェン0.3g屯⽤ >>⾝体所⾒

6.

⾝体所⾒ ⾝⻑ 152 cm 、体重 50.8 kg(BMI 21.9) バイタルサイン: 体温 38.1 ℃、⾎圧 130/89 mmHg、脈拍 103 bpm regular、 呼吸数 16/min、SpO2 97%(室内気) 全⾝状態︓良好 頭頸部︓眼瞼結膜蒼⽩なし、眼球結膜⻩染なし 咽頭発⾚なし、扁桃腫⼤・⽩苔付着なし 頸部リンパ節腫脹・圧痛なし 後咽頭リンパ濾胞なし 胸部︓肺雑⾳なし、呼吸⾳左右差なし ⼼雑⾳なし、Ⅲ・Ⅳ⾳聴取されず 腹部︓平坦、軟 臍周囲に軽度圧痛あり。肝叩打痛あり。 腸蠕動⾳亢進減弱なし 四肢︓両側下腿に圧痕性浮腫あり。肩・肘・⼿・⾜・膝関節に腫脹・圧痛なし >>検査所⾒

7.

検査所⾒ ⾎算 WBC Hb MCV Plt 網⾚⾎球数 7860 11.1 94 17.2×104 5.7 分画 Neutr Lymph Aty-Lym Mono Eosino Baso 凝固 53.0 32.0 2.0 13.0 0.0 0.0 PT-INR 1.05 APTT Dダイマー 39.8 8.0 /μL g/dL fL /μL ⽣化学 TP Alb T-Bil AST 5.8 2.9 0.6 220 g/dl g/dl mg/dl U/l BUN Cr HbA1c Glu 16.4 0.70 5.8 94 mg/dl mg/dl % mg/dl ×万/uL ALT 193 U/l CRP 3.03 mg/dl % % % % % % ALP γGTP LDH CPK Na K Cl Ca 504 80 668 51 140 3.4 104 8.1 U/l U/l U/l U/l mEq/L mEq/L mEq/L mg/dl TG HDL-Cho LDL-Cho TSH FT4 BNP Fe TIBC 134 34 94 1.25 0.90 76.7 43 194 mg/dl mg/dl mg/dl μIU/mL ng/dL pg/mL μg/dL μg/dL IP 2.6 mg/dl UA 2.9 mg/dl sec μg/mL >>検査所⾒

8.

検査所⾒ 尿定性検査 尿⽐重 1.035 pH 6.0 蛋⽩定性 潜⾎反応 ⽩⾎球 尿沈査 WBC RBC 変形⾚⾎球 蝋様円柱 尿⽣化学所⾒ P/Cr 4+ 3+ ± 1〜4 /HPF 50〜99 /HPF (+) (+) 8.58 g/gCr >>胸部レントゲン

9.

胸部レントゲン >>胸腹部CT

10.

胸腹部CT 両側肺野の粒状影、すりガラス状の⼩結節影、⼩葉間隔壁の肥厚、両側胸⽔。 両側腎腫⼤ 脾腫 >>プロブレムリスト

11.

プロブレムリスト #1. ネフローゼ症候群 #1-a. 全⾝性浮腫 #2. 発熱 #3. 肝胆道系酵素上昇 #4. 脾腫 #5. 肺野の陰影異常 #6. 乳癌の既往 What is your diagnosis?

12.

プロブレムリスト #1. ネフローゼ症候群 #1-a. 全⾝性浮腫 #2. 発熱 #3. 肝胆道系酵素上昇 #4. 脾腫 #5. 肺野の陰影異常 #6. 乳癌の既往 発熱、肝胆道系酵素上昇、脾腫→伝染性単核球症︖ 年齢、咽頭所⾒(-)→CMV>EBV︖ ネフローゼは感染関連⽷球体腎炎︖ 癌性リンパ管症︖肺癌︖︖ 悪性腫瘍による⼆次性膜性腎症の可能性もあり︖ >>検査所⾒

13.

検査所⾒ IgG 1171 mg/dl ASO IgA IgM C3 C4 CH50 PR3-ANCA MPO-ANCA 抗核抗体 Homogenous型 Speckled型 抗ds-DNA抗体 抗Sm抗体 抗SS-A抗体 272 223 130 40.8 42 <0.5 <0.5 40 40 40 陰性 陰性 31.7 mg/dl ASK mg/dl クリオグロブリン mg/dl リウマチ因⼦ mg/dl IU/ml IU/ml IU/ml 倍 倍 倍 57 320 陰性 4 IU/ml 倍 IU/ml >>検査所⾒

14.

検査所⾒ ⾎清免疫電気泳動 M蛋⽩なし 尿中免疫電気泳動 BJ蛋⽩なし κ/λ⽐ 0.46 遊離L鎖κ 33.9 mg/L 遊離L鎖λ 73.2 mg/L >>検査所⾒

15.

検査所⾒ HBs抗原定量 HBc抗体 0 <10.0 mIU/ml HCV定性 陰性 HIV定性 陰性 PVB19 IgM 陰性 CMV IgG CMV IgM EBV EBNA抗体 IU/ml 149.3 AU/mL 1.68 80 倍 EBV IgG 13.0 G.I EBV IgM 0.4 M.I >>追加検査

16.

追加検査 • C7-HRP(⼊院3⽇⽬)︓陽性細胞数86/68400 • 腎⽣検組織(⼊院4⽇⽬)︓ CMV-DNA(+) • 尿(⼊院6⽇⽬)︓CMV-DNA(+) • 気管⽀肺胞洗浄液(⼊院7⽇⽬)︓CMV-DNA(+)、グロコット 染⾊(-)、CMV免疫染⾊(-)、悪性所⾒認めず >>フォローCT

17.

胸部CT(⼊院6⽇⽬)

18.

両肺野の粒状影、すりガラス状の⼩結節影、⼩葉間隔壁の肥厚は増悪 >>臨床経過

19.

診断 サイトメガロウイルス感染症

20.

免疫正常宿主のCMV感染症 による腎炎って実際に報告 あるの︖

21.

CMV感染とcollapsing FSGS(cFSGS) • cFSGSはFSGSの亜型で典型的にはネフローゼ症候群を来し、 50%の患者が1年以内に腎代替療法を必要とする腎不全に⾄る。 • ⼤半はHIV感染と関連。腎移植後やまれだが⾃⼰免疫疾患、悪 性腫瘍、インターフェロンα、パミドロン酸、遺伝疾患でも報 告がある。免疫正常宿主の急性CMV感染症での発症も過去3例 報告がある。 • collapsing FSGSの治療の第⼀選択は経⼝ステロイド。シクロ スポリンの使⽤も検討される。CMV感染症に対してはガシクロ ビルの早期治療により予後を改善する可能性がある。 Clin Kidney J. 2013 Feb;6(1):71-73

22.

免疫正常宿主でのCMV感染症によるcFSGS 症例 ⾎清学的検査 腎⽣検 治療 予後 症例1(2000年)1) CMV IgM(+) CMV抗原(-) HIV(-) Ⅱ型クリオグロブ リン⾎症 封⼊体(-) CMV染⾊(-) IgM(+)、C3(+) 透析したか不明 ステロイド(メチルプレドニゾロン 500mg3⽇間、その後PSL1mg/kg/ ⽇)、ガンシクロビル2.5mg/kg/⽇10 ⽇間 腎機能改善 症例2(2003年)2) ⾎清CMV DNA(+) M蛋⽩(-) HIV(-) CMV DNA(+) ⾎液透析 ウイルス治療・ステロイド治療なし 維持透析 症例3(2013年)3) ⾎清CMV DNA(+) MGUS(IgG-λ) HIV(-) CMV DNA(+) 封⼊体(-) CMV染⾊(-) 軽鎖、免疫グロブリン沈着(-) ⾎液透析 PSL120mg隔⽇投与とガンシクロビル 125mg点滴開始し、経⼝ガンシクロビ ル250mg週2回を3週間継続。PSLは2 週間で20mgずつ漸減、その後2週間に 5-10mgずつ漸減し6か⽉で治療終了。 透析離脱 治療した2例では腎機能改善。 治療しなかった症例では維持透析となった。 1) Presse Med. 2000 Nov 4;29(33):1815-7 2) Nephrol Dial Transplant. 2003 Jan;18(1):187-9 3) Clin Kidney J. 2013 Feb;6(1):71-73

23.

免疫正常宿主のCMV感染症に関連 した腎炎は極めてまれ

24.

尿蛋⽩/Cr (g/gCr) 500mg 250mg Alb (g/dl) ガンシクロビル 10 40mg 4 20mg 3.5 フロセミド 8 腎⽣検 3 BAL 6 2.5 4 1.5 2 1 2 0.5 0 0 DAY1 DAY3 DAY10 DAY13 尿蛋⽩/Cr DAY17 ⾎清Alb DAY32 DAY46 DAY76 >>腎⽣検所⾒

25.

腎⽣検組織所⾒(光顕) 局所的に⾎管内⽪細胞の腫⼤、軽度の増加 ⽑細⾎管係蹄内に軽微なリンパ球浸潤 PAS染⾊ 抗CMV抗体を⽤いた免疫染⾊ >>腎⽣検所⾒

26.

腎⽣検組織所⾒(蛍光抗体法) IgG IgA IgM C3c C1q Fib κ λ C4 IgG、IgA、IgM、C3c、C1q、λがメサンギウム領域、⽷球体末梢係蹄に顆粒状に陽性 >>腎⽣検所⾒

27.

腎⽣検組織所⾒(電顕) メサンギウム領域、内⽪下に沈着物 ⽑細⾎管内マクロファージ浸潤とメサンギウム細胞増多 >>病理診断

28.

病理診断 • 免疫複合体性⽷球体腎炎関連の膜性増殖性⽷球体腎炎と管内増 殖性⽷球体腎炎 >>勉強スライド

29.

免疫正常宿主のCMV感染症 • 免疫正常宿主(immunocompetent host)では原発性のCMV感 染症は伝染性単核球症様症候群として発現することがあるが、重 症感染はまれ1)。多臓器が関与する場合は予後不良2)。 • 感染経路は体液(唾液、尿、⽣殖)による接触感染や胎盤を介し た感染3)。 • 重症CMV感染部位としては消化管や中枢神経系が最も多い3)。 • 免疫不全状態でないCMV感染症でCMV肺炎の合併は8%とまれ3)。 • HIV患者や移植患者でないCMV感染症患者には何かしら基礎疾患 がある。最も多いのは悪性腫瘍と慢性腎不全1)。 1) Clin Infect Dis. 2001 Jan 15;32(2):313-6 2) Clin Infect Dis. 1997 Jan;24(1):52-6 3) IDCases. 2018; 14: e00445

30.

CMV肺炎の多彩な画像所⾒ • サイトメガロウイルス肺炎のCT所⾒は多様であり、AIDS患者 と⾮AIDS患者での区別はできない。 • よくある所⾒は肺胞〜間質にわたるすりガラス陰影、浸潤影、 結節影、境界不明瞭な⼩葉中⼼性の⼩結節影、気管⽀拡張像、 ⼩葉間隔壁の肥厚である。 • 不規則な線状の陰影も認めることがある。 Radiographics. 2002 Oct;22 Spec No:S137-49

31.

CMV肺炎の多彩な画像所⾒ 境界不明瞭な⼩結節影 斑状すりガラス影や浸潤影 多巣性の斑状すりガラス影や境界不明瞭な⼩葉中⼼性の ⼩結節影 Radiographics. 2002 Oct;22 Spec No:S137-49

32.

ウイルス関連⽷球体腎炎 • HIV、HCV、HBV、CMV、パルボウイルス、EBV、ハンタウイ ルス、デングなど様々な急性・亜急性ウイルス感染症で⽷球体 腎炎(感染関連⽷球体腎炎)を合併することがある。 Clin J Am Soc Nephrol 12: 1529–1533, 2017

33.

CMVに関連して起こる腎症 • collapsing FSGS • 膜性腎症 • IgA腎症 • IgA⾎管炎 • 免疫複合体性⽷球体腎炎 • 膜性増殖性⽷球体腎炎 • ⾎栓性微⼩⾎管障害症 Front Med (Lausanne). 2018 Nov 28;5:327

34.

免疫正常宿主におけるCMV感染症治療 • 免疫正常宿主のCMV感染症では抗ウイルス薬の治療適応はない1)。 • CMV肺炎や腎炎合併例では予後を改善する可能性がありガンシク ロビルやバルガンシクロビルでの治療が考慮される1), 2)。 1) IDCases. 2018; 14: e00445 2) Clin Kidney J. 2013 Feb;6(1):71-73

35.

最終診断 サイトメガロウイルス感染症 伝染性単核球症様症候群 CMV肺炎 ウイルス関連⽷球体腎炎

36.

Take home message • 免疫正常宿主でも臓器障害を伴う重症CMV感染症を来すことがある。 • CMV肺炎やCMV関連腎炎では抗ウイルス薬での治療も考慮される。

37.

表題の種明かし 肝機能障害 癌 が 肝 腎︖ 眼 腎炎 ガンシクロビル owlʼs body CMV 多臓器病変を伴うCMV感染症治療 にはガンシクロビルなど抗ウイル ス薬での治療も検討する。