20220307 救急でみるHD

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September 12, 22

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見習い芸人

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1.

HD×ER 新・透析、いつするの︖ 2022

2.

透析の適応 Acidosis︓アシドーシス(pH<7.15) Blood urea︓尿毒症(BUN>100) Congestion︓⼼不全(利尿薬に反応なし) Drug︓急性薬物中毒(適応ありの重症例) Electrolyte abnormalities︓⾼K(介⼊後もK>6)

3.

緊急でするかもしれない透析 • 循環動態安定していればHD • 不安定ならCHDF • 肺胞出⾎、TTP/aHUSならPE(⾎漿交換)

4.

おしまい︕

5.

⾼K⾎症

6.

⾼K⾎症でやること • 偽性⾼K⾎症の評価→再検、⾎ガス、(ヘパリン管採⾎) 例)溶⾎(細径の注射針による急速な採⾎、検体の⻑時間放置、冷蔵保 存)、運動後、クレンチング(⼿を開いたり閉じたりする動作)、ハンド グリップ(⼿を強く握る動作)、⻑時間の駆⾎、真空採⾎管による連続採 ⾎での抗凝固薬(EDTA-2K)の混⼊やルート側での採⾎による輸液の混⼊、 ⾎⼩板増多(50万/μL以上)、⽩⾎球増多(7.5万/μL以上)、家族性偽性⾼ カリウム⾎症 Ø⾎⼩板増多→⾎漿中(⾎ガス、ヘパリン採⾎)なら正常 Ø⽩⾎球増多→⾎漿中でむしろ上昇(ヘパリンの影響) Ø振動の影響→⾎漿、⾎清ともに上昇 Kidney Int 89: 546-54, 2016 救急医学 41: 993-996, 2017 Pharmacol Res 113: 585-591, 2016

7.

April fool pseudohyperkalemia • 新⼊職員の多い4⽉に溶⾎による⾼K⾎症が増える現象のことを 指していう(嘘です)。

8.

⾼K⾎症でやること • ⼼電図変化を確認する Pharmacol Res 113: 585-591, 2016

9.

K>6.5 や⼼電図異常ありなら治療開始︕ Am J Kidney Dis 56: 578-84, 2010 Am Fam Physician 92: 487-95, 2015 Am J Med 128: 1281-7, 2015

10.
[beta]
具体的治療

ジゴキシン内服中は⾼Ca⾎症、致死性不整脈の懸念あり注意
(添付⽂書上は併⽤禁忌)

①膜電位安定化(効果は30-60分︕)
Øグルコン酸カルシウム(カルチコール®)8.5% 10mL 1Aを3-6分かけて静注。
5分後に再評価し、⼼電図異常が改善しない場合や増悪時には再投与を考慮(2回
までは許容)
②細胞内移動(効果は4-6時間︕)
ØGI療法(ぶどう糖+ヒューマリンR)ボーラス投与も可、10単位でK 0.5-1.5 mEq/L程度低下
例)⾎糖100-200 mg/dL︓10単位を50%ブドウ糖50 mLに混注し30分かけて持続静注。
⾎糖<100 mg/dL︓10単位を10%ブドウ糖500 mLに混注し30分かけて点滴。
⾎糖>200 mg/dL︓10単位を30分かけて持続静注。
GI療法中は3時間毎(⾎糖<100 mg/dLでは最初の1時間は30分毎)など慎重に
③体外排泄
⾎糖をモニター、⾎糖<70 mg/dLに低下するようであればブドウ糖25g補充。
Øフロセミド+輸液(おしっこ出る⼈)
0.1単位/kg(Max10単位)とすると効果同等で低⾎糖リスク減
Ø⾎液透析(おしっこ出ない⼈)
Pharmacol Res 113: 585-591, 2016
透析後のK再上昇に注意

Am J Kidney Dis 56: 578-84, 2010
J Emerg Med 55: 192-205, 2018
Curr Heart Fail Rep. 2019 Jun;16(3):67-74

11.

SABA吸⼊、メイロンは微妙 • 細胞内移動を促す治療としてはβ2受容体刺激薬もあるが、個⼈ 差が⼤きいことや不整脈のリスク、⼼筋の酸素消費量が増加す ることから単独使⽤や⼼疾患の既往のある患者には避ける • ⽤量は気管⽀喘息の⽤量の4-8倍であり、気管⽀喘息⽤のサルブ タモール(ベネトリン®)ネブライザー吸⼊(1回2.5mg程度) での効果はあまり期待できない。⾮選択性β遮断薬内服中なら なおさら。 • 炭酸⽔素ナトリウムは、脱⽔や代謝性アシドーシスがあれば考 慮。⾼Na⾎症、⾎漿イオン化Ca濃度低下、代謝性アルカローシ ス、呼吸不全(呼吸性アシドーシス)のリスク。 Am J Kidney Dis 56: 578-84, 2010

12.

急性期にも使える新規内服薬 • パチロマー(Veltassa®)*本邦未発売 • ジルコニウムナトリウム環状ケイ酸塩: SZC(ロケルマ®) 例)ロケルマ10g1⽇3回2⽇間(急性期治療として) • SZCはCaやMgを下げにくいが、パチロマーはMg低下と関連 • SZCは効果発現まで1時間、パチロマーは4-7時間(SZCの⽅が急 性期向き) • ⾼いので慢性期にはまだ使いづらい(ロケルマ5g 1095円) Am J Med 128: 1281-7, 2015 Drugs (2018) 78:1605–1613

13.

急性期にロケルマ(6回内服でOK) ジルコニウムナトリウム環状ケイ酸塩(ロ ケルマ®)10g1⽇3回2⽇間内服 Kは1時間で-0.2 mEq/L、2時間で-0.4 mEq/L、 4時間で-0.5 mEq/L、24時間で-0.7 mEq/L、 48時間で-1.1 mEq/L低下。 Kは84%が24時間で、98%が48時間で正常化 した。 JAMA. 2014;312(21):2223-2233

14.

慢性期、亜急性期の治療 • ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(*ケイキサレート®)*当院採⽤なし • ポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート®、アーガメイ ト20%ゼリー®) • ポリスチレンスルホン酸ナトリウムはNaとKを交換するためボ リューム負荷となり⼼不全を増悪させる懸念がある。 • まれだが腸管壊死の副作⽤も報告あり。消化管穿孔のリスクから ソルビトールとの併⽤は禁忌。術後、便秘などがあり消化管機能 異常があるかそのリスクのある患者への使⽤は避ける。 • 効果発現まで2時間以上かかるので急性期治療としては使えない Am Fam Physician 92: 487-95, 2015 Drugs (2018) 78:1605–1613

15.

透析、いつするの︖

16.

透析、いつするの︖ • 腎不全患者で⼼電図変化が持続する場合 • GI療法などで⼗分なK低下効果が得られない場合 • 重症AKI Ø⾎清Crがベースラインから2、3倍上昇or⾎清Cr≧4.0 mg/dL Ø尿量が12時間で0.5 mL/kg/h未満や24時間で0.3mL/kg/h未満or12 時間無尿が持続 ⇒透析開始を考慮 要は尿が出ない⼈で⼼電図変化持続やKが下がらないとき

17.

⾼K⾎症の原因 多いのは腎機能障害、薬剤、⾼⾎糖による⾼浸透圧⾎症 • 排泄障害︓AKI/CKD、ACE阻害薬、ARB、NSAIDs、K保持性利尿薬、ト リメトプリム、ヘパリン、リチウム、カルシウム拮抗薬などの薬剤、 ⽷球体濾過量の低下(AKI/CKD、うっ⾎性⼼不全、肝硬変)、低アル ドステロン症(低レニン性、副腎不全、ACTH⽋損症)、尿細管障害 • 細胞外移動︓インスリン⽋乏、インスリン抵抗性増⼤、アシドーシ ス、⾼浸透圧⾎症(⾼⾎糖、マンニトール)、β遮断薬、ジゴキシン、 ソマトスタチン、サクシニルコリンなどの薬剤、細胞壊死・溶解 (⾎管内溶⾎、横紋筋融解症、腫瘍崩壊、消化管出⾎)、⾼カリウ ム性周期性四肢⿇痺 • 過剰負荷︓カリウム補充、⾚⾎球輸⾎、カリウムの豊富な⾷物摂取、 ペニシリンG製剤、異⾷症 Am Fam Physician 92: 487-95, 2015

18.

⾼K⾎症の原因となる薬剤 薬剤 細胞外移動 β遮断薬 ジゴキシン 静注⽤陽イオン性アミノ酸製剤点滴 マンニトール スキサメトニウム ベラパミル アルドステロン分泌低下 ACE阻害薬 アンジオテンシン受容体拮抗薬 直接レニン阻害薬 NSAIDs カルシニューリン阻害薬 アルドステロンに対する尿細管の抵抗性増加 アルドステロン拮抗薬 K保持性利尿薬、 トリメトプリム、ペンタミジン K含有物質 代替塩、ペニシリンG、輸⾎製剤 その他の機序が推定される薬剤 アムホテリシン ダビガトラン ナファモスタットメシル酸 ニコランジル オクトレオチド オメプラゾール プロポフォール ヒドロキシカルバミド、硫酸マグネシウム、ナファレリン、サリドマイド、ゾ レドロン酸 機序 Na/K ATPase活性低下とレニン分泌低下 Na/K ATPase活性低下 Kの細胞外移動の増加 ⾼浸透圧に伴うK細胞外移動 細胞膜の脱分極の延⻑ カルシウムチャネル遮断 アンジオテンシンⅡ合成阻害に伴うアルドステロン分泌低下。Naの遠位ネフロンへの輸送障害。 アンジオテンシンⅡ受容体の競合的阻害に伴うアルドステロン合成低下。 アンジオテンシノーゲンのアンジオテンシンⅠへの変換阻害に伴うアルドステロン形成低下 プロスタグランジン介在性のレニン分泌低下、腎⾎流量低下、GFR低下 アルドステロン合成低下とNa/K ATPase活性低下 ミネラルコルチコイド受容体遮断 尿細管腔のNaチャネル遮断 K供給増加 真菌膿瘍からのK流出 低レニン性低アルドステロン症 ENaC阻害 KATPチャネルの過剰な活性化 インスリン分泌抑制に伴う細胞内へのK吸収障害 消化管からのK喪失減少、アルドステロン産⽣障害 細胞間のK移動 不明 Ochsner J 16: 525-530, 2016

19.

中毒

20.

中毒のときにみてほしいもの • バイタル(UP系︖DOWN系︖) • 瞳孔(散瞳︖縮瞳︖) • ⽪膚(湿潤︖乾燥︖) • 腸蠕動⾳(亢進︖減弱︖) • 反射、クローヌス(亢進︖減弱︖) • ⼼電図(QT延⻑︖QRS延⻑︖)

21.

バイタル(UP系︖DOWN系︖) バイタル 超UP系︖→悪性症候群、セロトニン症候群、悪性カタトニア 錐体外路症状(パーキンソニズム、ジストニア、ジスキネジア)あり→悪性症候群 錐体路症状(下肢クローヌス、腱反射亢進)あり→セロトニン症候群(分泌液だらだら) 奇妙な所作(蝋屈症、無⾔症、拒絶症、常同症)あり→悪性カタトニア UP系→抗コリン性(抗ヒス、抗パ、抗精神病、三環系)→dry 交感神経興奮性(コカイン、MAO阻害薬、離脱症状)→wet DOWN系→コリン作動性(有機リン、ピロカルピン、ウブレチド®、ベサコリン®)→wet 鎮静(BZ系、Z系、バルビツール、抗精神病薬) オピオイド系(⿇薬、トラマドール)

22.

瞳孔(散瞳︖縮瞳︖) • UP系はだいたい散瞳 • DOWN系はだいたい縮瞳

23.

⽪膚(湿潤︖乾燥︖) • 腋窩や⿏径はwet︖dry︖ • UP系でdryなら抗コリン性疑い、wetなら交感神経興奮性疑い • DOWN系でwetならコリン作動性疑い

24.

腸蠕動⾳(亢進︖減弱︖) • 亢進ならコリン作動性、セロトニン症候群疑い

25.

反射、クローヌス(亢進︖減弱︖) • 腱反射亢進、下肢クローヌス(膝、⾜関節)、⽔平⽅向の眼球 クローヌス→セロトニン症候群疑い

26.

トキシドローム(中毒+症状) https://ddxof.com/toxidromes/?sf_action=get_data&sf_data=all&_sf_s=toxidrome

27.

トキシドローム 意識 体温 ⾎圧 ⼼拍 呼吸回数 瞳孔 ⽪膚・粘膜 腸蠕動 反射 その他 コリン作動性 抑制、混乱 → → ↓ → ↓ 湿潤 ↑ →/↓ 筋線維性攣縮、 痙攣 オピオイド 抑制 →/↓ →/↓ →/↓ ↓ → → ↓ →/↓ 鎮静・催眠薬 抑制 →/↓ →/↓ →/↓ ↓ → → → →/↓ 交感神経興奮性 覚醒、興奮 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 湿潤 ↑ ↑ 痙攣 抗コリン性 抑制、混乱、幻 覚 ↑ →/↑ ↑ → ↑ 乾燥 ↓ → 痙攣 セロトニン症候群 興奮、昏睡 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 湿潤 ↑ ↑(クロー ヌス+) 筋緊張↑(下 肢優位) 悪性症候群 昏迷、覚醒、無 ⾔、昏睡 ↑ ↑ ↑ ↑ → 湿潤、蒼⽩ →/↓ ↓ 鉛管様筋強剛 悪性⾼熱症 興奮 ↑ ↑ ↑ ↑ → 湿潤、網状⽪斑 ↓ ↑ 死後硬直様の 筋強剛 DOWN系 UP系 超UP系 N Engl J Med 2005;352:1112-20 Emerg Med Clin North Am. 2002 Feb;20(1):223-47

28.

⼼電図(QT延⻑︖QRS延⻑︖) • QT延⻑︓抗精神病薬、三環系、SSRI K4.5-5 mEq/L⽬標に補正、Mg投与も検討 TdPならMg投与(1-2g=8-16 mEqを緩徐に静注、必要なら続けて 3-20mg/minで持続投与) 例) 硫酸Mg補正液1 mEq/mL®(20 mL1A)0.5 A 緩徐に静注(0.5A=Mg1.25g) 硫酸Mg補正液1 mEq/mL2A+⽣⾷(計48mL)2-10mL/hで持続静注(3.4-17mg/min) • QRS延⻑︓三環系、抗精神病薬 QRS>100 msecなら炭酸⽔素ナトリウム1-2 mEq/kgをpH7.45-7.55 ⽬標に繰り返す静注 例)メイロン7%250mL 0.5袋30分かけて点滴(104 mEq) メイロン7%=0.833mEq/mL 半袋でだいたい100mEq INTENSIVIST 2017年3号 中毒

29.

ベンゾの拮抗はしない • フルマゼニル(アネキセート)はベンゾジアゼピン常⽤者の離 脱症状、痙攣閾値低下による痙攣誘発のリスク • 三環系など痙攣誘発薬使⽤者で痙攣リスク増⼤ ベンゾ依存、三環系使⽤患者にフルマゼニルは使わない(離脱、 痙攣のリスク) J Emerg Med. 2012 Oct;43(4):677-82

30.

いつも⼼の⽚隅に 臨床中毒学第1版 Catatonia in adults: Epidemiology, clinical features, assessment, and diagnosis - UpToDate Catatonia: Treatment and prognosis – UpToDate Parkinsonism Relat Disord. 2017 Mar;36:3-9 • 悪性症候群︓⾼体温、筋強剛、振戦などパーキンソニズム、CK⾼値、意識障害。抗精神病薬開始1か⽉以内や抗パ薬中⽌で Ø ミダゾラム3-20 mg/h(軽症-中等症) Ø ブロモクリプチン(パローデル)2.5 mg1⽇2-3回経腸投与(必要に応じて45 mg/⽇まで増量)(中等症-重症) Ø ダントロレン(ダントリウム)1-2.5 mg/kg静注(重症)。⾼体温、筋強剛改善すれば1 mg/kg6時間毎に静注。48時間後より漸減もしくは50200 mg/⽇の経腸投与に変更 • 悪性緊張病(カタトニア)︓昏迷、カタレプシー、蝋屈症、無⾔症、拒絶症、反響⾔語。悪性は+⾃律神経症状。気分障害 (特に双極性障害)>統合失調症。抗精神病薬で誘発、増悪し得る。 Ø 抗精神病薬中⽌。チャレンジテスト︓ロラゼパム1-2 mg(ジアゼパムなら5-10 mg)静注して5-10分後に症状軽減あり。悪性カタトニアはECTが 1st(発症4⽇以内の施⾏で死亡率低下) • 急性ジストニア︓頸部、⾆、顎など無意識に体が動いてしまう。斜頸、頚部後屈、眼球上転発作。抗精神病薬で Ø 被疑薬中⽌で1-2⽇で改善。症状強ければ抗コリン薬考慮。ビペリデン(アキネトン)5-10mg筋注、アーテン1mg内服、ジフェンヒドラミン 50mg静注などの抗ヒスタミン薬(Parkinsonism Relat Disord. 2017 Mar;36:3-9) 。ポララミン5mg、アタラックスPも効くかも︖ Ø ビペリデン5-10mg筋注。無効であればジアゼパム5-10mg緩徐に静注(臨床中毒学)。 • アカシジア︓静座不能(じっとしていられない)。抗精神病薬で Ø ビペリデン5-10mg筋注。無効であればジアゼパム5-10mg緩徐に静注(臨床中毒学) 。 • セロトニン症候群︓⾼体温、腱反射亢進・クローヌス、分泌液だらだら。SSRIなどで(バルプロ酸、リチウム、トラマドール、 メトクロプラミドなど制吐薬、鎮咳薬も) Ø 通常は薬剤中⽌後24時間以内に症状は⾃然消褪。重症例ではペリアクチン4-24mg/⽇、4時間毎に経⼝投与検討

31.

セロトニン症候群の眼球クローヌス N Engl J Med 2016; 375:e38

32.

セロトニン症候群の⾜クローヌス http://brownemblog.com/blog-1/2017/7/24/serotonin-overload

33.

セロトニン症候群の膝クローヌス http://brownemblog.com/blog-1/2017/7/24/serotonin-overload

34.

ジストニア(眼球上転発作) https://www.youtube.com/watch?v=U5c0WaPvr8s

35.

アカシジアとジストニア https://www.youtube.com/watch?v=W_iiy8ISvdY&t=115s

36.

カタトニア https://www.youtube.com/watch?v=_s1lzxHRO4U

37.

急性中毒治療の原則 • 全⾝管理 • 吸収の阻害 • 排泄の促進 • 解毒薬・拮抗薬 • 精神科的評価と治療 臨床中毒学第1版

38.

吸収の阻害 • 胃洗浄 • 活性炭 • 全腸洗浄 • 吐根シロップ 臨床中毒学第1版

39.

胃洗浄 • ⽣命を脅かす可能性のある量の毒・薬物を服⽤してから1時間 以内に施⾏することができなければ考慮すべきではない (AACT/EAPCCTガイドライン) • 禁忌︓意識障害が不安定な患者や咽頭反射の消失している患者 に気管挿管などの確実な気道確保が施⾏されていない場合。⽯ 油製品(化学性肺炎)、酸やアルカリ(腐⾷作⽤)、消化管出 ⾎・穿孔のリスクのある患者。 1時間以上経過、意識レベル低下は基本的に胃洗浄しない 臨床中毒学第1版 INTENSIVIST 2017年3号 中毒

40.

胃洗浄の⽅法 左側臥位、頭部を約20度下げる。 成⼈では内径36-40Frの経⼝胃管 (液剤であれば経⿐胃管でも可)。 38℃程度に加温した⽔または⽣⾷ を⽤いる。 胃洗浄前に胃内容物をできるだけ 吸引。成⼈では200-300mLの洗浄 液を注⼊し、洗浄液を排液。この 操作を排液がきれいになるまで繰 り返す。洗浄液の総量は成⼈で24L程度。 胃洗浄終了後、必要であれば活性 炭を注⼊し、胃管を鉗⼦でクラン プしてから胃管抜去。 臨床中毒学第1版

41.

活性炭 • 活性炭の投与は、中毒をきたしうる量の(活性炭に吸着され る)毒・薬物を服⽤し、服⽤後1時間以内に施⾏することがで きれば考慮する(AACT/EAPCCTガイドライン) • 禁忌︓意識障害が不安定な患者や咽頭反射の消失している患者 に気管挿管などの確実な気道確保が施⾏されていない場合。イ レウスや消化管の通過障害のある患者。 1時間以上経過、意識レベル低下は基本的に活性炭はしない 臨床中毒学第1版

42.

活性炭の投与⽅法 18Fr程度の経⿐胃管を挿⼊して⼗ 分に胃内容物を吸引する。 患者を45度にベッドアップする (嘔吐や誤嚥のリスク減少)。 1g/kg(または服⽤量の10倍)の 活性炭を300mL程度(200-400mL) の微温湯に懸濁して、経⿐胃管よ り注⼊する。 意識清明であれば経⼝投与しても よい。 臨床中毒学第1版

43.

活性炭に吸着されない毒・薬物 A fickle(気まぐれ) A: alcohols(アルコール類)、alkalis(アルカリ類) F: fluorides(フッ化物) I: iron(鉄)、iodide(ヨウ化物)、inorganic acids(無機酸類) K: kalium(カリウム) L: lithium(リチウム) E: ethylene glycol(エチレングリコール) 臨床中毒学第1版

44.

全腸洗浄(WBI; whole bowel irrigation) • 中毒をきたしうる量の徐放剤、腸溶剤、鉄、(ボディパッカー またはボディスタファーによる)違法薬物のパッケージを服⽤ した場合であれば考慮する(AACT/EAPCCTガイドライン) • 摂取後2時間以内の開始を考慮 • 禁忌︓意識障害が不安定な患者や咽頭反射の消失している患者 に気管挿管などの確実な気道確保が施⾏されていない場合。イ レウスや消化管の通過障害、消化管穿孔、消化管出⾎、不安定 な循環動態、難治性の嘔吐のある患者。 臨床中毒学第1版 INTENSIVIST 2017年3号 中毒

45.

全腸洗浄の⽅法 18Fr程度の経⿐胃管を挿⼊して⼗分に 胃内容物を吸引する。患者を45度に ベッドアップする。直腸チューブを挿 ⼊する。活性炭の適応のある場合は、 活性炭投与を優先する(同時投与する と活性炭の吸着能が減弱する)。 ポリエチレングリコール電解質液を成 ⼈では1-2L/hの速度で、直腸からの排 液がきれいになるか、違法薬物のパッ ケージなどの排出が確認されるまで投 与する。意識清明であれば経⼝投与し てもよいが、実際には有効に投与する ために経⿐胃管が必要となることが多 い。 臨床中毒学第1版

46.

吐根シロップ • 医療施設では吐根シロップを投与しない(AACT/EAPCCTガイド ライン) 臨床中毒学第1版

47.

排泄の促進 • 尿のアルカリ化(尿細管からの再吸収を阻害) • 活性炭の繰り返し投与(MDAC; multiple-dose activated charcoal) • 急性⾎液浄化療法 臨床中毒学第1版

48.

尿のアルカリ化 • ⾎液透析法の適応のない中等症〜重症のアスピリン/サリチル酸 塩の中毒では第1選択の治療として考慮する(AACT/EAPCCTガイ ドライン) • 初期投与量︓炭酸⽔素ナトリウム200mEqを1時間以上かけて静 注する。先⾏する代謝性アシドーシスがあれば投与時間を短縮 するか投与量を増やす。 • 維持量︓炭酸⽔素ナトリウムを必要に応じて静注して尿のpHを 7.5-8.5に維持する。低K⾎症に注意し、認めたらただちに補正す る。 臨床中毒学第1版

49.

尿のアルカリ化 弱酸性の毒・薬物は、アルカリ性の尿中 では陰イオン型の割合が増加する。 陰イオン型は尿細管細胞を通過しにくい ため、尿細管から再吸収されずに尿細管 管腔内にトラップ(ion trapping)されて排 泄が促進される。 臨床中毒学第1版

50.

活性炭の繰り返し投与 • ⽣命を脅かす量のダプソン、カルバマゼピン、フェノバルビ タール、キニーネ、テオフィリンの服⽤であれば考慮する (AACT/EAPCCTガイドライン) • 腸肝循環する毒・薬物には有効な可能性がある • 禁忌︓意識障害が不安定な患者や咽頭反射の消失している患者 に気管挿管などの確実な気道確保が施⾏されていない場合。イ レウスや消化管の通過障害のある患者。 • ⽅法︓活性炭の初期投与後に、4時間毎に0.5-1g/kgを投与する か、もしくは経⿐胃管より≧12.5g/h以上の速度で持続投与する。 下剤とは懸濁しない。 臨床中毒学第1版

51.

急性⾎液浄化療法 • 分布容積(Vd)、蛋⽩結合率が⼩さい毒・薬物または代謝物の除 去に有効 • 抗精神病薬、三環系、ベンゾジアゼピン系、ジゴキシンは適応 なし(分布容積が⼤きく効果が期待できない) • するなら1st choiceはHD、循環動態不安定であればCHDF • ⾎液灌流(HP)はhigh-flux膜の登場などで使われなくなってき ている(分⼦量1000 dalton前後であれば透析除去率に⼤きく影 響しない) 臨床中毒学第1版 INTENSIVIST 2017年3号 中毒 透析会誌37(10):1893-1900,2004

52.

分布容積が⼩さいほうが透析有効 臨床中毒学第1版

53.

透析、いつするの︖

54.

透析、いつするの︖ • 急性薬物中毒の透析はCAT-MEAL(猫の⾷事)︕ C: カフェイン A(anticonvulsants): フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピ ン、バルプロ酸 T: テオフィリン、タリウム M: メタノール、メトホルミン E: エチレングリコール A: アスピリン/サリチル酸、アセトアミノフェン L: リチウム 臨床中毒学第1版

55.

EXTRIPの⾎液浄化療法の推奨 第⼀選択はHD(推奨度1C-1D) 適応なし 適応なし https://www.extrip-workgroup.org/recommendations

56.

Adv Chronic Kidney Dis. 2020;27(1):11-17

57.

Adv Chronic Kidney Dis. 2020;27(1):11-17

58.

Adv Chronic Kidney Dis. 2020;27(1):11-17

59.

Adv Chronic Kidney Dis. 2020;27(1):11-17

60.

蛋⽩結合率、分布容積が⼩さいほどよい 薬剤 分布容積 Vd(L/kg) 蛋⽩結合率 (%) 分⼦量 透析除去率 (%) 透析の適応 向精神薬 イミプラミン(トフラニール) 三環系 クロルプロマジン(ウインタミン) 抗精神病薬 ハロペリドール(セレネース) 抗精神病薬 ジアゼパム(セルシン) ベンゾジアゼピン系 リチウム(リーマス) 13.0 7.4 29.25 1.1 0.65 96 95 92 98 0 280 319 367 285 14 0 2.5 0 0 50 × × × × ○ 抗てんかん薬 カルバマゼピン(テグレトール) バルプロ酸(デパケン) フェニトイン(アレビアチン) フェノバルビタール(フェノバール) 1.2 0.185 1.40 0.72 78 80 80 50 236 166 252 232 10 20 4.0 52.0 △ △ △ ○ 循環器系薬 ジゴキシン(ジゴシン) フロセミド(ラシックス) 5 0.2 25 95 781 331 5 0 × × 抗菌薬 セフトリアキソン(ロセフィン) バンコマイシン 0.21 0.88 88 19 599 1449 2.5 10 × △ 解熱鎮痛薬 アスピリン アセトアミノフェン 0.12 1.03 80 35 180 151 50.0 10 ○ △ その他 プレドニゾロン(プレドニン) 0.5 90 360 7.5 × 透析会誌37(10):1893-1900,2004

61.

⼼不全

62.

Wet(うっ⾎)︖Cold(低灌流)︖ ⼼不全ガイドライン2018

63.

透析、いつするの︖

64.

透析、いつするの︖ • 急性⼼不全ならまずACS除外(右室梗塞は︖⾎圧⼤丈夫︖) • ACSなさそう、⾎圧OKなら基本的には酸素・NPPV、硝酸薬 • 体液過剰あれば利尿薬をしっかり使う • それでも体液管理困難であれば透析も検討する 要するに透析はAKIで利尿薬抵抗性の⼼不全のとき考慮

65.

利尿薬の使い⽅ これ以上投与しても効果が変わら ない投与量 第55回⽇本腎臓学会学術総会モーニングセミナー(柴垣有吾)

66.

疾患別使⽤量の⽬安 Loop diuretics: Dosing and major side effects - UpToDate

67.

実際の使い⽅ フロセミド⼀⽇必要量の⽬安(静注) =Cr×30くらい • フロセミド100mgまでは静注でもよい(効果は持続≒静注) • フロセミド20-40mg静注後、120mg-240mg/⽇で持続静注(⾼⽤ 量静注で⽿毒性のリスク) ローディングをすること︕ • サイアザイド系(フルイトラン®など)併⽤考慮 • K低下あればスピロノラクトン併⽤やKCl適宜補充 • アルカローシスであればアセタゾラミド(ダイアモックス®) も併⽤考慮 • 低Naのときはサムスカ使いやすいが⾮常に⾼価(7.5mg1298円) • 尿量の半分の量の5%ブドウ糖液(+KCl36mEq/L)を補充すると 電解質異常を来しにくい(例︓KCl20mEq+5%ブドウ糖500mL)

68.

AKI

69.

AKI(急性腎障害)診療ガイドライン 2016

70.

AKI(急性腎障害)診療ガイドライン 2016

71.

AKI(急性腎障害)診療ガイドライン 2016

72.

AKIでは透析は急がない • AKIで12時間以内の早期に透析を開始しても、72時間以上持続する時点で 開始しても、90⽇の死亡率は変わらない(STARRT-AKI)。 • 有意差はないが透析依存となるのは早期開始のほうが多い。 • 有害事象は早期開始群で有意に増加(低⾎圧、低P⾎症) N Engl J Med 2020;383:240-51 • 敗⾎症性ショックでも同様に早期開始(12時間以内)でも48時間以上持続 する際に開始でも死亡率変わらず。 N Engl J Med 2018;379:1431-42 • 過去の報告でも同様(早期導⼊vs72時間後でも死亡率変わらず) AKIKI study。敗⾎症患者が8割 N Engl J Med. 2016 Jul 14;375(2):122-33 • STARRT-AKI含め過去のRCTのメタ解析でも同様の結果 Lancet 2020; 395: 1506–15

73.

⼼外、外科術後、外傷では早期開始がよ いかも 早期介⼊(8時間以内vs12時間以内)で死亡率、腎 予後共によい結果(ELAIN Trial) 対象は⼼臓⾎管外科や腹部術後、外傷がほとんど で敗⾎症は少ない JAMA. 2016 May 24-31;315(20):2190-9. J Am Soc Nephrol. 2018 Mar;29(3):1011-1019

74.

透析、いつするの︖

75.

透析、いつするの︖ • AKIでは以下のときに透析に踏み切る ØK>6.0-6.5、pH<7.15、体液過剰による重症肺⽔腫のいずれか Ø8時間以上持続する⼼臓⾎管外科・外科術後、外傷患者のAKI Ø72時間以上持続するAKI

76.

横紋筋融解症は︖ • 横紋筋融解症だけでは透析の適応とはならない • 透析の適応はAKIのときと同じ • 治療としては基本的に⼤量輸液しかない 治療例) McMahon Score≧6 or CK>5000のとき(透析が必要となるリスクが⾼い) Ø 筋損傷後6時間以内に輸液負荷開始。初期輸液は1-2L/h、横紋筋融解症の改善かCK<5000と なるまで尿量200-300 mL/hとなるよう輸液を継続する。 125-250 mL/h (3-6L)、上限500 mL/h(12L/⽇) Ø ⽣⾷よりも乳酸リンゲルがベター(代謝性アシドーシスになりにくい)。 Ø 体液過剰が懸念されるときは、1号液も考慮。 Ø 重炭酸Na(メイロン)点滴はアシドーシス補正が必要なときのみ投与すべき。 Ø マンニトールは⼗分な輸液でも⽬標尿量が維持できないときのみ投与すべき。 Dis Mon. 2020 Aug;66(8):101015 Crit Care. 2014 May 28;18(3):224 Clin Biochem. 2017 Aug;50(12):656-662

77.

McMahon Score 5点未満では死亡や腎代替療法が必要と なるのは2.3%、11点以上では61.2% JAMA Intern Med. 2013;173(19):1821-1827 https://www.mdcalc.com/mcmahon-score-rhabdomyolysis

78.

敗⾎症性ショックに対するPMXは︖ 敗⾎症性ショックの患者にPMXを24時間で2時間×2回やった群とやらなかった群で死亡率は変 わらなかった(有意差はないがPMX群のほうが悪いくらい) JAMA.2018;320(14):1455-1463

79.

まとめ • ABCDEがあれば透析を考える • 中毒ではバイタル、瞳孔、⽪膚、腸蠕動⾳、反射・クローヌス、 ⼼電図を評価 • 抗精神病薬のQT延⻑、三環系のQRS延⻑を忘れずチェック • 慢性ベンゾ中毒、三環系使⽤者にフルマゼニルだめ︕ • CAT-MEALの中毒には要注意︕(透析が必要かも) • AKIでも透析は慌てない(ただし外科術後、外傷後では早期に透 析も考慮)