猿のVAIVT

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September 12, 22

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見習い芸人

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1.

猿の猿による猿のための シャントPTA 血液透析用バスキュラーアクセスのインターベンションによる修復( VAIVT: Vascular Access Intervention Therapy )の基本的技術に関するガイドライ ン 第1版 (2016年5月)

2.

基本事項 VAトラブル:狭窄、閉塞(血栓性閉塞、非血栓性閉塞) 狭窄:穿刺部の上流側 (動脈と静脈を人工的に吻合しているため、 血流の吻合側を上 流、心臓側を下流という)と下流側におきる。 血栓性閉塞最大の原因は狭窄。脱血、低血圧、過凝固状態も関与。 非血栓性閉塞の原因は長期に狭窄が進行 VA機能不全の徴候:脱血不良、穿刺困難、穿刺可能部位の上流側への移動、止血時 間の延長、血管痛、透析中の静脈圧の上昇、透析効率の低下など VAIVT前に:VA 機能不全徴候の確認および直近 3 回の透析記録の確認。透析記録 からは、 血圧の推移、 血流量 (QB) 、 静脈圧、穿刺部位、透析中の疼痛などの症状 を確認

3.

用語 VAIVT:Vascular access interventional therapy。透析用 VA の狭窄・閉塞を含むトラブルに対する経皮的治療全般を指す。 AVF:Arterio-venous fistula。自己動静脈を外科的に吻合することによって作製された透析用 VA AVG:Arterio-venous graft 。自己動脈と自己静脈間を移植血管で連結することで作製された透析用VA VA 回路:AVF は動静脈吻合部を、AVG は動静脈間を連結する移植血管を通過する血流が、心臓を出てから心臓 に戻るまでにたどる最短の経路全長を指す。AVF では動静脈吻合部までの動脈を、AVG では移植血管までの動 脈を流入動脈と定義する。AVF では動静脈吻合部から心臓までの静脈を、AVG では移植血管の静脈側吻合部か ら心臓までの静脈を流出静脈と定義する。 血栓性閉塞:VA 回路の一部に血栓が生じ、 その間の血流が遮断された状態を指す 非血栓性閉塞 :VA 回路の一部に狭窄が生じ、その狭窄が高じて血管内腔が完全に虚脱し、その間の血流が遮断 された状態。 手関節から肘関節までを前腕、肘関節から鎖骨下静脈の橈側皮静脈合流部より末梢までを上腕、鎖骨下静脈の 橈側皮静脈合流部から腕頭静脈の上大静脈合流部までを中枢静脈と定義。

4.

狭窄

5.

閉塞

6.

VAの診察 視診:上腕から手指の色、浮腫の有無、静脈や側副路を確認する。触診にて、上腕動脈 と橈骨動脈の拍動を確認後、吻合部から下流に向かって、静脈の走行、径、張りを診 察。駆血下で静脈の怒張も確認。 聴診:狭窄部に高調の狭窄音を聴取。狭窄があると狭窄部位とその直下の心臓側で いったん thrill と血流音が増強し、心臓側で急激に低下することが多い。 触診:血栓性閉塞は、血栓存在部を硬く触知する(非血栓性閉塞は、拍動の途絶として とらえられる。途絶部から側副路が認められる)。時に、非血栓性閉塞部が索状に触知 できる。

7.

VA機能の画像評価(超音波検査、VA造影) エコーではり 7~10MHz の高周波リニア型プローべを用いる。 AVF の場合は、上腕動脈-動静脈吻合部-前腕~上腕静脈を探索し、B-モード法、カ ラードプラー法により血管の走行、病変の性状を診断。血管径、狭窄の程度、内膜の状 態、石灰化、血栓(血液より高エコー輝度を示す)の有無とその範囲を診断。吻合の径 は 2 ㎜以上あれば、血流に問題は生じない。 閉塞病変の場合は、カラーシグナルの欠 如や血栓の有無を評価し、非血栓性閉塞の場合は、閉塞した索状の血管構造や側副 路の評価を行う。

8.

機能評価 機能評価は、上腕動脈血流量(FV: flow volume)および血管抵抗指数(RI: resistance index)(さらに拍動係数(PI: pulsatility index)も有用)測定が基 本。 FV 500ml/min 以下および RI 0.6 以上(PI 1.0〜1.6 以上で異常であり特に FV 350 ml/min 以下になると QB は 200ml/min を確保することが困難とな る。

9.

VA造影 造影検査は、 VAIVT 時に行う場合がほとんどであるが、複雑な VA の評価や超音波で評価が困 難な中心静脈病変の評価には診断的造影が必要となる。 造影には、 ①上腕動脈からの順行性 造影、②静脈から(マンシェットを収縮期血圧より 20~50mmHg 以上高く駆血して)の逆行性造 影がある。逆行性の場合は、 吻合部から動脈側が十分に造影されたのちに駆血を解除し、下流側 の静脈への還流を評価 する。前腕の造影時は、動静脈の重なりを避けるため、最低 2 方向から の撮像を行う。造影剤は、 150mgI/mlのヨード濃度 の造影剤を使用する。経動脈性造影で 3~5ml、逆行性静脈造影で 10ml を使用する。 ヨード造影剤が禁忌の症例でも、陰性造影剤の CO2 gas を単独で 20~50ml 用いて同様に VA 造影が可能である。ただし、①吻合部を介して上腕動脈から鎖骨下動脈や腕頭動脈まで逆流し た場合は、gas embolism から TIA を起こす恐れがあること、②総投与量は 200ml 以下、③CO2 の吸収時間から造影間隔は 3 分間空けること、に留意する。

10.

VAIVTの適応 VA を構成する流入経路となる動脈全長、動静脈吻合部(AVG では動脈側吻合 部) 、その下流の流出路となる中枢静脈までの、狭窄・非血栓性閉塞に起因す る血流低下・血栓性閉塞・静脈高血圧・造設後初期の発達不全等のトラブル症 例(1B) 脱血不良に関しては、通常の穿刺部で 200ml/min の脱血が可能であるかどう かがひとつの判断材料となる。 VA 造設直後の発達不良については、おおむね造設後1ヶ月を経過しても静脈の発達が不 良な状態をいう。この際の VAIVT 施行時期としては、造設から2週間以上あけてから施行 することが望ましい。

11.

VAIVTの不適応 感染した VA(AVF,AVG)症例、肘で表在性静脈が陳旧性に非血栓性閉塞し ている AVF が血栓性閉塞を来した症例、血栓性閉塞部より下流の流出路本 幹が非血栓性閉塞となっている症例(AVF,AVG)(1B)

12.

VAIVTのアプローチ AVF では経静脈性アプローチを原則とするが、 病変に応じて経動脈性アプ ローチの場合もある。AVG ではグラフトからのアプローチが基本で、特に血栓 性閉塞ではグラフトの離れた2カ所から対向穿刺でのシース挿入が必要である (1B) 経静脈性アプローチは経動脈アプローチと比較して動脈解離や血腫などの穿 刺合併症の危険性が少なく、また 6Fr.以上の大口径のシースを挿入可能であ り推奨される 経静脈性アプローチは経動脈アプローチと比較して動脈解離や血腫などの穿 刺合併症の危険性が少なく、また 6Fr.以上の大口径のシースを挿入可能であ り推奨される

13.

バルーンカテーテルの選び方 VA病変は拡張困難病変が多いため、基本的に高耐圧バルーンが望ましい。拡 張困難病変ではカッティ ングバルーンなどの使用も考慮する(1C) ただし、バルーンカテーテルの拡張により、 血管は直線化されるので、いずれも屈曲の強い病変への使 用は禁忌。 non-compliant balloon (ノンコン):バルーンにかけ る圧の大小に関わらず径が一定であるため、バ ルーンの耐圧の範囲でバルーン のくびれが消失するまで加圧できる。 semi-compliant balloon (セミコン):吻合部付近の屈曲した病変では、バルーンの拡張による血管の直 線化が 少ないセミコンプライアントバルーンカテーテルの使用が望ましい。 内腔 0.035 インチの一般型と内腔 0.0018 インチの特殊型バルーンカテ ーテルがある。 特殊型にはカッティングバルーンカテーテルと スリッピング防止型バルーンカテーテルがある。

14.

バルーン径の選び方 静脈病変に関しては、狭窄病変近傍の正常血管径に対して、駆血下の静脈径 と同サイ ズまたは1mmオーバーサイズを選択する。 AVFの吻合および動脈病変に は狭窄病変 近傍の正常血管径に対してジャストサイズを選択する(1B)

15.

バルーンPTAの拡張方法 原則として最大拡張圧(RBP)以下でバルーンのくびれが取れるまで加圧し、 30〜120 秒間保持を行うこ とが多い。 ただし解離の場合は低圧で長時間加圧する ことがある(1C) 拡張は、規定圧 (RBP: rated burst pressure)の範囲内でバルーンのくびれが消失する圧より 2 から 4 気 圧程度高い圧で 60 秒間拡張する。吻合部から動脈の狭窄を拡張する場合は、 spasm が生じるため、低 圧での拡張が望ましい。 60 秒間の拡張群と 180 秒間の拡張 群の VAIVT 後の開存期間を比較した報告では、長期の開存期間 に有意差は なかった。加圧は 30 秒~120 秒間保持することが多い。 加圧時間は 60 秒間が最も 多く全体の49%、 次いで120秒間が25%であった。 拡張回数は2回が最も多 く27%、 次いで、3 回が 17%、1回が 15%の順であった(IVRワーキンググループの報告)。 拡張後、病変に解離が見られる場合には、バルーンカテーテルの規定圧 以下の低圧拡張による 3 分間 以上の長時間拡張が試みられる

16.

バルーン拡張のエンドポイント バルーンのくびれの解消・残存狭窄率 30%以下を目標とし、AVF では thrill の出現ま たは改善があることが基本である(1C) 重要な点は、良好な thrill の出現である。良好な thrill が出現すれば、30%程度 の残 存狭窄は許容範囲内である。残存狭窄を認めても、thrill の出 現または改善があれば 終了とする。 造影上で改善していても、thrill が出現しない場合は、動脈の攣縮、血栓形成、拡張部よ り下流側の狭窄などが考えられるため、終了とはならず原因 を検索する。明らかな解離 を呈した場合は、低圧の長時間拡張(4~6 気圧程度 で 2 から 3 分間)で解離を押さえ ておく。解離腔に血栓が形成されるのを予防する。

17.

止血など シース挿入時にヘパリン1000〜2000単位を静注し、 手技を開始するが、 終了後は ACTを測定し 140 秒以上の場合は、硫酸プロタミンで半中和する。プロタミンショックを 回避す るため、数分かけて緩徐に静注する。 シース抜去後の圧迫は、シース挿入創から出血せず、かつ吻合部の thrill を触知できる 程度の圧迫とする。用手圧迫を 5~15 分で止血可能で、10 分間の止血バンドの軽い 圧迫を追加しておく。上腕動脈アプローチでも同様の止血を行うが、正中神経の圧迫を 起こさないように特に留意する。

18.

VAIVTに伴う血管損傷とその対処法 血管損傷の程度により対処法は異なる。血腫が増大せず血流に影響しない場 合は、痛 みに対する対症療法のみが必要となる。血管外漏出を呈し、血流に影 響がある場合 は、バルーンカテーテルを血管外漏出部位に進め、指とバルーン で圧迫しながら低圧 で 4〜5 分間加圧する。造影で血管外漏出と血流障害の有無 を確認する。繰り返すバ ルーン拡張と用手圧迫で造影上血管外漏出が消失しな い場合は、ステントの留置を考 慮する。静脈の完全またはほぼ完全な破裂また は裂開では外科的処置が必要となる (1C) 損傷がどの部位であっても、まず絶対にガイドワイヤーを抜かな いこと。ヘパリン化して いる場合には、ヘパリンの投与量にあわせて硫酸プロタ ミンを投与しヘパリンの中和を 速やかに行う。 可能であれば、 ACT の測定を行い、 その値で硫酸プロタミンの投与量 を決める。

19.

血管損傷時の対処法 1) 動脈側から吻合部 基本的に、2 気圧の低圧で 5 分間から 10 分間の拡張を行う。動脈が損傷から解離で閉塞した場合はステントの留置も考慮。ステントが使 用 できない場合は、バルーン拡張で止血し、後日、より中枢側での再吻合が必要となる。 2) 前腕からの上腕の静脈 少量のリークの場合は、5分間から10分間の2気圧の低圧拡張を静脈破綻部に行い、同時に用手的にバルーンを圧迫する。この止血 操作を 3 回繰り返しても、造影上リークが消失しない場合、自己拡張型のベアステントを留置し、同様の低圧バルーン拡張と用手圧迫でステ ントの網目からのリークを抑える。これらの止血操作で止血できない場合は、シャント血管の結紮術を考慮する。結紮でシャントを閉塞させた 場合も、早期に外科的処置を行えば、アクセスの再開通の可能性は高くなる 3) 中枢静脈の破裂 ヘパリンをただちに中和後に、リーク部位の 2 気圧10分間の拡張を行う。 リーク部位の用手圧迫は不可能であるが、多くの場合、過流量 シャントであり、吻合部近傍の静脈を用手圧迫することで、中心静脈のリーク部に流入す る血流を低下させ止血を促す。この方法で止血が 困難な場合は、ステント の留置で止血できる可能性が残されている。これらの処置で止血できない場合は、バルーンにより上流から の血流 を遮断した状態で、アクセスを結紮して止血する。

20.

血栓性閉塞の治療法 血栓溶解カテーテルでウロキナーゼや t-PA を用いた血栓溶解療法や、血栓吸 引カ テーテルを用いた血栓除去(吸引)療法などで血栓を処理する。デバイス により必要 シースサイズが異なり、挿入可能なシースサイズで治療の選択は制 限される。 AVG の 場合、 デバイスを用いずウロキナーゼ溶液をグラフト内に注入 し一定時間後に PTA を 行う”lyse-and-wait”法もある。ただし禁忌もあるため 慎重な使用が必要となる(1C) 血栓吸引や血栓除去療法には 6Fr シースの使用が必須であり、6Fr シー スを挿入する 余地のない血管径の場合は、 4Fr シースで使用可能な血栓溶解療法 を検討する。 た だし血栓溶解療法の場合はウロキナーゼやt−PA を使用するため、 禁忌例がある。

21.

血栓溶解療法の禁忌 禁忌 1)止血処置が困難な患者(頭蓋内出血、喀血、後腹膜出血等) 2)頭蓋内あるいは脊髄の手術または損傷を受けた患者( 2 ヶ月以内) 3)動脈瘤のある患者 4)重篤な意識障害を伴う患者(脳内出血を発症している可能性が高い) 5)脳塞栓又はその疑いがある患者(出血性脳梗塞を起こすことがある) 原則禁忌(投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること) 1)心房細動のある患者 (うち特に僧帽弁狭窄症患者) 、 感染性心内膜炎の患者、陳旧性心筋梗 塞の患者、人工弁使用患者 2)瞬時完成型の神経症状を呈する患者(脳梗塞である可能性が高い)

22.

血栓に対する治療のエンドポイント AVF では、血栓性閉塞していた部位に thrill あるいは強い拍動が出現し、血 管造影あ るいは超音波検査で著明な血栓量の減少を認めればバルーン PTA に移 行する。 AVG では同じく血栓閉塞部位で著明な血栓量の減少を認めればバルーン PTA に移行 する。バルーン PTA 後に造影剤の速い run-off の確認が必須である(1C)

23.

ステントの適応 早期リコイル症例、3ヶ月未満の短期再狭窄を繰り返す症例、長時間加圧で血 流障害 が改善しない血管損傷症例、解剖学的圧迫による中枢静脈の血流障害などが適応とな り、場合によっては血流障害を伴う残存血栓症例、仮性動脈瘤症 例なども適応となり得 る(1C) ステント適応部位は、原則的には穿刺部位とならない肘部以上の中枢側 静脈が望まし い。