2022 検尿異常(血尿・蛋白尿など)

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September 12, 22

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1.

検尿異常(⾎尿蛋・⽩尿など) Urophiliaの園へようこそ

2.

蛋⽩尿、蛋⽩尿+⾎尿の評価法 • 尿試験紙法で(1+)以上は尿異常として、蛋⽩定量を⾏う。 • 糖尿病性腎症の早期発⾒には微量アルブミン尿の検査が重要。 • 蛋⽩尿は、正常(<0.15 g/gCr)、軽度(0.15~0.49 g/gCr)、⾼度(≧0.50 g/gCr)に分 類し、軽度以上を陽性とする。 • 尿⽐重が<1.010では希釈尿、>1.020では濃縮尿の可能性があり、尿試 験紙法での判定に注意が必要 • 蛋⽩尿、⾎尿ともに偽陽性・ 偽陰性があることに注意 • アルブミン尿は「糖尿病または早期糖尿病性腎症患者であって微量 アルブミン尿を疑うもの(糖尿病性腎症第1期または第2期のものに限 る)に対して⾏った場合に、3 カ⽉に1回に限り算定できる」 CKD診療ガイド2012

3.

CKD診療ガイド2012

4.

⾎尿の評価 • 初めて⾎尿を指摘された時点で、画像検査を含 めた精密検査により 尿路異常の有無を検索する。尿路異常がなければ、その後は原則的 に健診での経過観察でよい • しかし初回の画像のみでは泌尿器科的疾患の初期徴候であることを 否定できない。したがって、経過中に尿路刺激症状や⾁眼的⾎尿な どが出現したときには必ず医療機関を受診するよう指導する。 • 40歳以上の無症候性⾎尿では尿路悪性腫瘍の可能性が⾼くなるため 注意する。 • ⾎尿単独例では、経過中約10%の患者で蛋⽩尿陽性となる。蛋⽩尿 が陽性となった場合には、⾎尿+蛋⽩尿としての対応が必要 CKD診療ガイド2012

6.

CKD診療ガイド2012

7.

⾎尿診断ガイドライン2013

8.

⾎尿や蛋⽩尿では尿検査を繰り返せ • 尿検査を繰り返すことなしに⾎尿や蛋⽩尿の精査を始めない • 尿検査は偽陽性が多いため繰り返して施⾏する必要がある。異常な 尿検査の結果はしばしばコンタミのない尿の採取が困難であること や急性疾患罹患時の⼀過性の異常のためにみられる。 • 精査をすすめる前に下記のように尿検査を繰り返すことで追加検査 を減らせる可能性がある p顕微鏡的⾎尿に対して慢性的な⾎尿を評価するために滅菌コップで 3回尿検査を繰り返す p随時尿で蛋⽩尿を認めた患者に早朝尿で蛋⽩クレアチニン⽐を評価 する

9.

尿蛋⽩・潜⾎陽性で透析となるリスク 17年間のフォローアップで透析導⼊となる割合 (1000⼈あたり) 尿蛋⽩陽性、尿蛋⽩+尿潜⾎陽性は要注意 尿蛋⽩≧2+は⾼リスク 尿蛋⽩≦±かつ尿潜⾎≦±は透析となるリスクは 低い Kidney Int. 2003 Apr;63(4):1468-74

10.

偽陽性、偽陰性にご注意 • 蛋⽩尿は病気でなくても尿中に出現することがあり、激しい運 動をした後(運動性蛋⽩尿)、発熱の後(熱性蛋⽩尿)、スト レスのかかったとき、起⽴したとき(起⽴性蛋⽩尿)にも⼀過 性に陽性となることがある。これを⽣理的蛋⽩尿といい、病的 な蛋⽩尿とは区別している。 • 尿試験紙法では、Bence Jones蛋⽩や L 鎖などでは偽陰性となり、 アルカリ尿では偽陽性となる。微量アルブミン尿も検出感度以 下であるため、試験紙法では評価できない。 • 溶⾎に伴うヘモグロビン尿や、横紋筋融解症に伴うミオグロビ ン尿で尿潜⾎反応は偽陽性となる。またアスコルビン酸(ビタミ ンC)や試験紙の劣化により偽陰性を⽰す。 CKD診療ガイド2012

11.

尿試験紙検査における偽陽性、偽陰性 尿試験紙検査 偽陽性 偽陰性 ⾎尿 ミオグロビン尿、ヘモグロビン尿、⽉経出⾎、運動、古い尿(細菌からの酸化 剤の放出)、酸化剤の混⼊ ビタミンC、カプトプリル、⾼⽐重、蛋⽩尿、 尿pH<5.1 蛋⽩尿 アルカリ尿、濃縮尿、精液、造影剤、四級アンモニウム化合物、フェナゾピ リジン 酸性尿、希釈尿、アルブミン以外の蛋⽩ 尿糖 ケトン、レボドパ DM以外の尿糖︓胃切後(⾷後⾼⾎糖)、甲状腺機能亢進症、腎性尿糖、妊娠 ビタミンC、尿酸、⾼⽐重、アスピリン 尿ケトン 酸性尿、⾼⽐重、メスナ、レボドパ、フェノールフタレイン 検体放置 尿⽐重 上昇︓酸性尿、造影剤、マンニトール、デキストラン、蛋⽩尿 低下︓アルカリ尿 ビリルビン フェナゾピリジン クロルプロマジン、セレン ウロビリノーゲン 亜硝酸塩の増加、フェナゾピリジン 抗菌薬 亜硝酸塩 コンタミネーション、試験紙の空気曝露、ビリルビン⾼値、フェナゾピリジ ン ビタミンC、⾼⽐重、ウロビリノーゲンの増 加、硝酸還元酵素⾮産⽣菌、pH<6.0 ⽩⾎球エラスターゼ コンタミネーション、膣分泌物 ビタミンC、尿糖、ケトン尿、蛋⽩尿、⾼⽐ 重、酸化剤(セファロスポリン、テトラサイ クリン、ゲンタマイシン) Am Fam Physician 2005;71:1153-62 レジデントノート 19(6): 1012-1022, 2017

12.

検体を放置することによる尿検査結果の変化 レジデントノート 19(6): 1012-1022, 2017

13.

成⼈の⾁眼的⾎尿をきたす疾患 • 尿路上⽪癌(膀胱癌、腎盂尿管癌) 50歳以上の⾎尿で最も多い原因は膀胱癌 • 腎癌 • 前⽴腺肥⼤症 • 腎動静脈奇形 • 腎梗塞 • ⽷球体疾患︓IgA腎症、溶連菌感染後急性⽷球体腎炎、半⽉体形成性腎炎 • 尿路結⽯症 • 出⾎性膀胱炎︓①化学物質、②特異体質や免疫原性の薬剤反応、③ウイル ス感染、④原因不明の膀胱出⾎ • 特発性腎出⾎ ⾎尿診断ガイドライン2013

14.

⾎尿診断ガイドライン2013

15.

⾎尿診断ガイドライン2013

16.

変形⾚⾎球 Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate

17.

学校検尿で聞くこと 陸上競技や⾛る距離の多い球 技などの運動の後に⼀過性に ⽷球体性⾎尿が出ることが知 られている。さらに、剣道な ど強く⾜の裏を踏み込むこと を繰り返す運動では、溶⾎に よりヘモグロビン尿が出るこ とが知られ ている(⾏軍性⾎尿)。 乳幼児のレンガ尿︓保護者が ⾎尿と間違い⼼配し受診する ことが多いが、これは、おむ つにピンク⾊の尿酸塩や蓚酸 塩が付着し、ピンクやオレン ジの⾊調を呈するもの。 ⾎尿診断ガイドライン2013

18.

⼩児⾎尿・蛋⽩尿の運動・⾷事制限は︖ 無症候性顕微鏡的⾎尿では、運動や⾷事の制限は 推奨しない 無症候性顕微鏡的⾎尿・蛋⽩尿は基本的に激しい 運動以外は許可 ⾎尿診断ガイドライン2013

19.

よくある尿⾊変化の原因 ⾊ 病的原因 ⾷物や薬剤による変化 混濁 リン酸塩尿、膿尿、乳び尿、脂肪尿、⾼シュウ酸尿 プリン体が豊富な⾷物(⾼尿酸⾎症) 茶⾊ 胆汁⾊素、ミオグロビン そら⾖ レボドパ、メトロニダゾール、ニトロフラ ントイン、抗マラリア薬 カスカラ、レボドパ、メチルドパ、センナ 茶⾊が 胆汁⾊素、メラニン、メトヘモグロビン かった⿊ 緑/⻘ 緑膿菌による尿路感染症、ビリベルジン(胆汁⾊素) オレンジ 胆汁⾊素 ⾚ ⾎尿、ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿、ポルフィリア ⻩⾊ 濃縮尿 アミトリプチリン、インジゴカルミン、シ メチジン静注、プロメタジン静注、メチレ ンブルー、トリアムテレン フェノチアジン、フェナゾピリジン ビーツ、ブラックベリー、ルバーブ フェノールフタレイン、リファンピン ⼈参 カスカラ Am Fam Physician 2005;71:1153-62

20.

プロポフォールによる着⾊尿 J Clin Diagn Res. 2015 Nov;9(11):OD03-4

21.

尿臭 ⾷事による尿臭もあります ニンニク、アスパラガス(キャベツの匂い)、⽩ワイン(ソービニョンで猫の尿臭) 尿の臭い 原因 つんとする、汗臭い⾜ キャベツ グルタル酸⾎症Ⅱ型 チロシン⾎症 ⿂臭 メイプルシロップ、カレー トリメチルアミン尿症(⿂臭症) メープルシロップ尿症 ねずみ 汗臭い⾜ フェニルケトン尿症 イソ吉草酸⾎症 ⽢い スイミングプール β-ケトチオラーゼ⽋損症 ホーキンシン尿症 尿の異常な刺激臭は、バクテリアによるアンモニアの⽣成によって起こることがほとんど。尿中にケトン体が含ま れると、⽢い、あるいはフルーティーな臭いがすることがある。特異的な尿臭を伴う稀少疾患もある。 Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate

22.

尿⽐重 • 尿浸透圧の代⽤ <前提条件> 尿中に⽐重を重くする物質がないこと 尿糖陰性を試験紙で確認すること 造影剤やマンニトールなどが投与されていないこと • 乏尿・腎機能障害の鑑別→末期には1.010前後に固定(尿細管障 害)

23.

尿⽐重と浸透圧⽐ 尿浸透圧=尿⽐重下⼆桁x33[35-40]くらい • 350の倍数 ⽐重 浸透圧 0 0 1.010 350 1.020 700 1.030 1050 • 0.001=35-40mOsm/Lで換算することもできる。 例)1.015=(35-40)x15=525-600mOsm/L

24.

尿浸透圧 • 正常︓50-1200mOsm/L • GFR 25mL/分まではほぼ正常 • GFR 15mL/分でほぼ半分に(150-600) • 末期腎不全では等張尿に固定(300) 腎前性(>500) vs ているか︖ ⽔利尿(<250) vs 腎(実質)性(≒300) 尿細管が機能し 溶質利尿(>300) 多尿の鑑別

25.

尿⽐重と尿浸透圧 グルコースは分⼦量が⼤きいため、 尿糖があると浸透圧が⾼くなる Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate

26.

尿のpH • 正常:4.0-7.0 • pH>8.0 尿路感染(リン酸アンモニウムMg)の可能性を考える(urea spliOng bacteria; Proteus etc.) • 代謝性アルカローシスの回復期 (特にcontracSon alkalosis) 酸性尿→pH>6.0になると、過剰のHCO3-が排泄されはじめた証拠

27.

尿pH≧8ではウレアーゼ産生菌の存在を疑う 尿pH≧8ではProteus、Morganella、 Klebsiellaなどのウレアーゼ産生菌 による尿路感染を疑う 沈殿物にはリン酸マグネシウムア ンモニウム、リン酸カルシウムの結 晶が認められる 尿中分離細菌のウレアーゼ活性の陽性率は Proteus、Morganella、Klebsiellaで90%以上、 Citrobacter、Enterobacter、Pseudomonasは一部陽 Acta Urol. Jpn. 35: 277-281, 1989

28.

尿中ビリルビンとウロビリノーゲン 肝前性 (ヘム劣化亢進) 肝性 (肝細胞障害) 肝後性 (閉塞性) 病態 溶⾎性疾患 無効造⾎ 肝炎 肝硬変 遺伝性疾患 総胆管結⽯ 腫瘍 尿Bil 陰性 尿Uro 強陽性 便⾊ 正常 陽性 正常〜強陽性 正常 陽性 正常〜陰性 ⽩⾊

29.

尿沈査 • 3パターン ネフローゼ型nephrotic 腎炎型nephritic 慢性腎不全型chronic 多量の蛋⽩尿 脂肪球 脂肪円柱 種々の⾎尿 ⾚⾎球、⽩⾎球 蛋⽩尿、⾎尿は軽度 ⾚⾎球円柱、種々の蛋⽩ ろう様円柱 尿 顆粒円柱 ときにnephrotic しばしば⽩⾎球、顆粒球 円柱認める • ネフローゼ型 ⼀次性(原発性)︓微⼩変化群、膜性腎症 ⼆次性︓糖尿病性腎症が多い • 腎炎型︓⽷球体病変を伴う腎炎症候群

30.

円柱 • ⾚⾎球円柱、変形⾚⾎球︓⽷球体病変の存在(⽷球体性⾎尿) • ろう様円柱︓尿細管障害が強い • 脂肪円柱・脂肪球︓ネフローゼ症候群

31.

円柱類 • 円柱は尿細管腔を鋳型として形成される有形成分で、形状は主 に円柱状を⽰す。 • 円柱の基質成分は、尿細管上⽪細胞から分泌されるタム・ホー スファルムコ蛋⽩(Tamm-Horsfall mucoprotein; TH ムコ蛋⽩)と 少量の⾎漿蛋⽩とがゲル状に凝固沈殿したもの。 • この基質成分のみからなる円柱が硝⼦円柱であり、これに⾎液 細胞や尿細管上⽪細胞などが封⼊され、さらに崩壊や変性が加 わって各種円柱が形成される 。 • 円柱の出現は尿細管腔が⼀時的に閉塞されていたことと尿の再 流があったことを意味する。 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

32.

硝⼦円柱 • 各種円柱の基質となるもの • 健常⼈で認められることもあり、とくに激しい運動に伴う脱⽔ では出現頻度が⾼い。 • 健常⼈でも持続的に認める場合には臨床情報として考慮される べき所⾒である。また、蛋⽩尿を呈する腎疾患や全⾝性の⾎流 障害などで認められることもある。 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

33.

上⽪円柱(epithelial cast) • 基質内に尿細管上⽪細胞が封⼊された円柱 • 腎・尿細管障害で観察されることが多い 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

34.

顆粒円柱(granular cast) • 基質内に顆粒成分が1/3 以上封⼊された円柱 • 顆粒成分の多くは尿細管上⽪細胞が変性したものであるが、⾚ ⾎球や⽩⾎球などが変性したものも含まれる • ⾎漿蛋⽩由来と考えられる顆粒成分が認められることもある • 多くの腎疾患において、腎機能低下と強く関連する円柱であり、 腎実質の障害を意味する 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

35.

ろう様円柱(waxy cast) • 「ろう」のように均質無構造にみえることから、ろう様円柱と 呼ばれている • 尿細管腔の⻑期閉塞により円柱内の細胞成分や顆粒成分の変性 が進⾏したものや、⾎漿蛋⽩質が凝集均質状となって出現した ものが考えられている • ネフローゼ症候群、腎不全および腎炎末期などの重篤な腎疾患 にみられる Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

36.

脂肪円柱(fatty cast) • 基質内に脂肪顆粒および卵円形脂肪体が封⼊された円柱 • ネフローゼ症候群で⾼率に認められる Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

37.

⾚⾎球円柱(red blood cell cast) • ⾚⾎球が基質内に取り込まれた円柱 • ネフロンにおける出⾎を意味し、臨床的には IgA 腎症、紫斑病 性腎炎、急性⽷球体腎炎、膜性増殖性腎炎、ループス腎炎、 ANCA関連腎炎などの腎性出⾎を伴う患者尿に認められる 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

38.

⽩⾎球円柱(white blood cell cast) • 基質内に⽩⾎球が封⼊された円柱 • ネフロンにおける感染症や炎症性疾患があるときに出現 • 急性⽷球体腎炎や腎盂腎炎などの活動期には好中球主体の⽩⾎ 球円柱がみられ、慢性疾患ではリンパ球や単球を含む⽩⾎球円 柱が出現。 • 間質性腎炎では好酸球を含む⽩⾎球円柱を認めることがある。 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

39.

空胞変性円柱(vacuolar denatured cast) • ⼤⼩の空胞が認められる円柱 • 重症の糖尿病性腎症で多くみられ、⾼度の蛋⽩尿や腎機能低下 を伴う症例が多い 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

40.

塩類・結晶円柱(salt/crystal cast) • 無晶性塩類(リン酸塩、尿酸塩)やシュウ酸カルシウム結晶や 薬物結晶を封⼊した円柱 • 尿細管腔内での結晶化、閉塞が考えられ、尿細管間質の病態を ⽰唆する有⽤な成分 • ときに幅の広い円柱となって尿細管腔を拡張させ、円柱の内外 に線維状や円形・類円形の尿細管上⽪細胞を伴うことがある 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

41.

⼤⾷細胞円柱(macrophage cast) • 3 個以上の⼤⾷細胞が付着または封⼊された円柱 • 活動性のネフローゼ症候群、⾼度の尿細管障害、腎不全、⾻髄 腫腎などで認められる 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

42.

フィブリン円柱(fibrin cast) • 線維が詰まった円柱 • 糖尿病性腎症に認めやすく、⾼度な蛋⽩尿を背景にして、空胞 変性円柱と同時に、あるいは空胞変性円柱より、若⼲早期から みられることが多い 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

43.

ヘモジデリン円柱(hemosiderin cast) • 無染⾊標本下では⻩⾊から茶⾊に着⾊した顆粒円柱状にみえる。 Berlin blue 染⾊で⻘染することによって鑑別できる。 • 発作性夜間⾎⾊素尿症、⾎管内⾚⾎球破砕症候群、その他溶⾎ 性疾患で認められる。 • 同時にヘモジデリン顆粒やヘモジデリン含有細胞(尿細管上⽪ 細胞)を認めることが多い 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

44.

ミオグロビン円柱(myoglobin cast) • ⾚褐⾊に着⾊したろう様あるいは顆粒円柱としてみられる。 • 証明するためには免疫化学的な⼿法が必要。 • 横紋筋融解症やクラッシュ症候群などのミオグロビン尿症で認 められる。 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017 埼臨技会誌 64(1): 16-37, 2017

45.

Bence Jones 蛋⽩円柱 • Bence Jones protein(BJP)陽性の⾻髄腫患者尿に認められ、⽑ ⽟状・イクラ状のろう様円柱を呈して出現することが多い。 • BJP 円柱であることの証明には、免疫グロブリン L 鎖に対する 抗体を⽤いた蛍光抗体染⾊法などを⾏う。 *ヘモジデリン円柱・ミオグロビン円柱・BJP 円柱については必 ず Berlin blue 染⾊や免疫染⾊などの確認検査が必要である。確認 が出来なければ、基質の性状により、ろう様や顆粒円柱に鑑別し、 必要に応じてヘモジデリン円柱疑い、ミオグロビン円柱疑い、 BJP 円柱疑いとコメントする。 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

46.

円柱の形成メカニズム 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

47.

円柱の変性過程 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

48.

円柱の分類と関連する病態 Am J Kidney Dis. 2008 Jun;51(6):1052-67

49.

ATNの尿沈渣所⾒ • ATNで典型的な尿沈渣所⾒は”泥茶⾊”の顆粒円柱 • 6個以上の顆粒円柱を認めればATNの可能性が⾼い “泥茶⾊”円柱(顆粒円柱の⼀種) ※蝋様円柱は顆粒円柱の変成が進⾏したもの フレームワークで考える内科診断 ジェネラリストのための内科診断リファレンス

50.

腎前性AKI︖ATNに進展︖ • 腎前性AKIに続発するATNでは、FENa<1%となり得るためあまり 有⽤ではない • 顆粒円柱の有無は有⽤ • 顆粒円柱がなければ腎前性AKIの尤度⽐4.5、ATNの尤度⽐0.2 • 少なくとも6か⽉間顆粒円柱が存在すれば、ATNの尤度⽐10、腎 前性AKIの尤度⽐0.10 • 輸液チャレンジも有⽤(輸液負荷後に腎機能が回復すればATN より腎前性AKIを⽰唆) フレームワークで考える内科診断

51.

AINの尿沈渣所⾒ • AINのほとんどの症例で膿尿や⽩⾎球円柱を認める • 尿中好酸球の意義については不明瞭 ⽩⾎球円柱 フレームワークで考える内科診断

52.

尿中好酸球 • 尿中好酸球は有⽤ではなく、ATINのバイオマーカーとして使う べきではない。 • 尿中好酸球≧1%をカットオフとしたとき、ATINの31%で、ATNの 29%で陽性だった(感度は35%、特異度は68.2%)。 • カットオフを5%にすると特異度は91.2%まで上がるが、感度は 23.3%となる。 Adv Chronic Kidney Dis. 2017;24(2):57-63

53.

結晶とpHの関係 医学検査 Vol.66 No.J-STAGE-1 尿沈渣特集 2017

54.

よくある尿管結⽯とpH Am J Kidney Dis. 2008 Jun;51(6):1052-67

55.

尿酸結晶 シュウ酸カルシウム結晶 リン酸結晶 シスチン結晶 Am Fam Physician 2005;71:1153-62

56.

リン酸アンモニウムMg結晶(ストルバイト) Urinalysis in the diagnosis of kidney disease - UpToDate

57.

尿細管障害マーカー

58.

尿中β2ミクログロブリン • 基準値︓0.2-0.25 mg/L以下 • pH≦5.5の酸性尿では採取から測定までの時間が⻑い場合、測定 値が実際より低下する • 解釈には⾝体的要因(激しい発汗後、空腹時、発熱時など尿の 酸性度が⾼くなりやすい状態)、測定までの時間を考慮 • 感染症、悪性腫瘍、RA、SLEなど抗サイトカイン⾎症をきたす 疾患では、産⽣亢進による⾎清β2MGの上昇をきたし、再吸収 機能正常でも排泄量増⼤する(オーバーフロー) ⼩児内科 44(2): 329-332, 2012 • 尿中β2MG/尿Cr⽐≧0.5 μg/mgCrは尿細管障害の存在が疑われる 臨牀と研究 98(11): 1403-1406, 2021

59.

室温下での尿pHのβ2MGへの影響 Japanese Journal of Clinical Laboratory Automation 37(1): 155-159, 2012

60.

室温放置のβ2MGへの影響 Japanese Journal of Clinical Laboratory Automa`on 37(1): 155-159, 2012

61.

尿中NAG • 基準値︓蓄尿で1-5 U/L、随時尿で0.9-2.4 U/gクレアチニン • 尿pHが8.0以上のアルカリ側になると急速にNAG活性が低下 • 明らかな膿尿の場合は⽩⾎球に由来するNAGの影響が無視でき ないため、尿路感染時には⾒かけ上⾼値となる可能性あり • ⽇内変動があり早朝で⾼値となる ⼩児内科 44(2): 329-332, 2012

62.

NAGも尿pHにより⼤きく変動する Japanese Journal of Clinical Laboratory Automation 37(1): 155-159, 2012

63.

尿中α1ミクログロブリン • 基準値︓出⽣時5-10 mg/L、成⼈10-30 mg/L • pH4-8の範囲では4℃できわめて安定で、腎前性の増加による尿 中排泄量への影響がない点がβ2MGより優れている • 腎機能低下例など⾎中β2MGが上昇する病態では、尿中低分⼦ 蛋⽩の測定にはα1MGのほうがよい ⼩児内科 44(2): 329-332, 2012

64.

尿細管障害の評価にはα1MGがよい︖ • 尿中β2ミクログロブリンやNAGは尿pHや採⾎時間によって⼤き く影響を受ける • 尿細管障害の評価には⽣理的pHの範囲内では顕著な変化が認め られないα1MGの測定がよいかもしれない Japanese Journal of Clinical Laboratory Automation 37(1): 155-159, 2012

65.

尿⽣化学

66.

尿中電解質 尿 Na 容量調節の指標(Na の出納) 腎前性 vs 腎実質性 尿(Na+K)tonicity 浸透圧調節の指標(水の出納) 低 Na 血症の鑑別 尿K 低 K 血症の鑑別診断 腎性 K 喪失 尿 Cl 代謝性アルカローシスの鑑別診断 生食反応性 vs 抵抗性 尿(Na+K)-Cl 尿 AG NH4+の排泄(尿酸性化障害) 尿細管性アシドーシス

67.

急性腎障害 Hosp Med Clin 1 (2012) e338–e352

68.

腎前性AKIを⽰唆する⽣化学所⾒ • BUN/Cr>20(近位尿細管での尿素の再吸収が増加) 注)⾼蛋⽩⾷、消化管出⾎、組織の異化亢進/崩壊時の尿素産⽣、ステロイ ド使⽤でも上昇 • FENa<1%(FENaは利尿剤の影響を受ける) FENa≒尿Na/尿Cr が簡便 注)急性⽷球体腎炎、造影剤腎症、横紋筋融解症、溶⾎、腎移植後拒絶、 腎後性腎不全などでも<1%となり得る 腎後性腎不全では初期はFENa<1%、数⽇経過すると>1%となる 嘔吐などによる代謝性アルカローシスがある場合はFECl<1%(尿Cl<20)で判定 • FEUN<35%(利尿剤使⽤中も使える) フレームワークで考える内科診断 ジェネラリストのための内科診断リファレンス

69.

低ナトリウム⾎症の診断アルゴリズム Eur J Endocrinol. 2014 Feb 25;170(3):G1-47 レジデントノート. 2018;20(8):117-124

70.

SIADH診断基準 Eur J Endocrinol. 2014 Feb 25;170(3):G1-47

71.

⾼ナトリウム⾎症の原因と評価 N Engl J Med, 342: 1493–1499, 2000 J Crit Care, 28:216.e11-216.e20, 2013 Rev Med Suisse, 6:444-7, 2010 Am Fam Physician, 91(5):299-307, 2015

72.

多尿 Hosp Med Clin 1 (2012) e338–e352

73.

多尿の鑑別 Osmole excretion rate(尿浸透圧物質排泄量)=尿浸透圧×尿量 Am. J. Kidney Dis. 72, A17–A19 (2018)

74.

低カリウム血症の診断アルゴリズム a 利尿剤の用量の割に重症の低Kの背景にはアルドステロンの 過剰があるかも b 代謝性アルカローシスや尿pH7以上も嘔吐を示唆 c 代謝性アシドーシスの存在はRTAと他のほとんどの原因との鑑 別に有用である 尿K/Cr>22 mEq/g→腎性喪失を示唆 尿Na/Cl<0.7、尿Cl>20→下剤濫用? 尿Na/Cl>1.6、尿Cl<20→嘔吐? 尿Na/Cl≒1→利尿剤使用、RTA? 低Mg→薬剤性(PPIなど)、尿細管障害? JAMA. 2021;325(12):1216-1217

75.

尿Na/Cl>1.6は嘔吐、<0.7は下剤濫用 ● ● 神経性食思不振症(嘔吐)の診断のために、尿Na/Cl>1.6は感 度95.2%、特異度98.7% 下剤使用に対し、尿Na/Cl<0.7は感度86.5%、特異度100% The American Journal of Medicine (2017) 130, 846-855

76.

TTKGは使えない? ● TTKGは低カリウム血症があれば通常低下する。TTKGを提唱したHalperinは 算出の仮定が崩れたことから使用しないことを推奨している。 仮定 1. 髄質集合管ではカリウムの分泌/再吸収は起こらない 2. 皮質集合管終末部での尿浸透圧が血漿浸透圧とほぼ等しい (髄質集合管では目に見える溶質の再吸収は起こらず、浸透圧が上昇する唯一の 理由は水の吸収であるというもの) しかし髄質集合管において大量の尿素が再吸収され、同時にカリウムの排泄が起 こることがわかり仮定が崩れた。 Curr Opin Nephrol Hypertens. 2011 Sep;20(5):547-54 https://pbfluids.blogspot.com/2013/06/and-therefore-never-send-to-know-for.html

77.

使えるものは使う 臨床上は使えるかも • 脱⼒を伴ったカリウム濃度1.5〜2.6mEq/Lの43名に対してTTKG、尿中K/Cr、 スポット尿K濃度を測定したところ、低カリウム性周期性四肢⿇痺か否か (≒細胞内シフトか排泄亢進か)を区別するのにTTKG、尿中K/Crが有⽤で あった。その中ではTTKG>3, 尿中K/Cr>22で腎性喪失を⽰唆するとされた。 ⼀⽅でスポット尿K濃度は腎性排泄でも多尿を来す患者で低く出てしまい、 指標とはなり得なかった。 Arch Intern Med. 2004 Jul 26;164(14):1561-6 • カリウム濃度3.0mEq/L以下の脱⼒患者97名で周期性四肢⿇痺群とそれ以外 (原発性アルドステロン症、RTAなど)でTTKGは2.3±0.1 vs 7.0±0.4と乖離 がみられた。 QJM. 2001 Mar;94(3):133-9 • カリウム3.5mEq/L以下の26名においてTTKGは正常者(5.0±0.7)や下痢群 (1.6±0,3)に⽐べてミネラルコルチコイド過剰群(13.3±4.4)や利尿薬 群(8.6±1.3)は⾼値であった。 J Nephrol. 2000 Mar-Apr;13(2):120-5 TTKGは理論としては破綻しているが臨床上は使えるという考えもある 理論上は破綻していることを理解した上で参考値として使⽤しよう レジデントノート. 2018;20(8):125-134

78.

低K⾎症の診断アルゴリズム レジデントノート. 2018;20(8):125-134

79.

酸塩基平衡異常と尿検査

80.

代謝性アルカローシス なんとなく調子が悪い・・・(中枢神経系、心血管系、呼吸器系) きっかけ:脱水(HCO3↑)、嘔吐・胃液吸引、利尿薬(H+↓) 維持:有効循環血漿量↓、Cl↓、K↓(尿細管でHCO3↑) GFR↓ (腎不全) 代償:低換気 • 代謝性アルカローシス+呼吸性アシドーシス→利尿薬+COPD • 代謝性アルカローシス+呼吸性アルカローシス→嘔吐後の誤 嚥性肺炎(敗血症、肺塞栓症は除外必要)

81.

鑑別 ①腎不全やアルカリ投与がないか除外 ②尿中Clチェック(有効循環血漿量減少の指標) Cl反応性か抵抗性か <20mEq/L:有効循環血漿量減少(尿以外から喪失) ex)消化管からの嘔吐、吸引 >20mEq/L:腎から喪失 高血圧なし→利尿薬、Batter/Gitelman症候群、K, Mg欠乏 高血圧あり→レニン、アルドステロン測定 レニン↑:腎動脈狭窄症:悪性高血圧、レニン産生腫瘍 レニン↓+アルドステロン↑:原発性アルドステロン症 レニン↓+アルドステロン↓:Cushing症候群、Liddle症候群、甘草 治療(Cl反応性):生食(NaCl)+KCl ABCDEで覚えよう! A: アルドステロン症、B: BaJer/Gitelman症候群、C: Cushing症候群、D: 利尿薬、E: 電解質(低K、低Mg)

82.

代謝性アシドーシス • 急性:心血管系、慢性:筋骨格系 • AGMA(AG開大性アシドーシス) →薬物・毒物中毒を疑ったら浸透圧ギャップ(OG)(基準値:10mOsm/L以下)をcheck • NAGMA(AG非開大性アシドーシス) →原因が明らかでない場合は尿AG(UAG)で尿へのH+排泄障害をcheck • 代謝性アシドーシス+呼吸性アルカローシス →まずはアセチルサリチル酸(アスピリン)中毒かGNRによる敗血症性ショックを考える

83.

AGMA • AGが特に大きい→毒物・薬物中毒疑う • OG=実測の浸透圧-計算上の浸透圧 >20mOsm/L→アルコール中毒強く疑う 参考) ケトン体は1mEq/L=1000μmol/L、乳酸は1mEq/L=9.06mg/dL →乳酸アシドーシスかケトアシドーシスか推定できる

84.

AKAでは尿ケトンは半数で陰性 • アルコール性ケトアシドーシス(AKA)ではアルコールのADH による代謝によりNAD→NADHの反応が促進されており、酸 化還元電位は還元(NADH/NAD比が上昇)に傾いている • NADH/NAD比上昇=β-ヒドロキシ酪酸/アセト酢酸比上昇 →総ケトン体のうち主にβ-ヒドロキシ酪酸が存在 尿試験紙法ではアセト酢酸しか検出できない! cf. 尿ケトン陰性ならDKAはほぼ否定できる

85.

AKA治療過程で尿ケトン陽性に • 治療によりNADH/NAD比が改善すると、 β-ヒドロキシ酪酸 →アセト酢酸の反応が起こり、尿ケトン反応が強くなってく ることがある。これは病態の悪化を意味しない。 • また、アセト酢酸の存在下では、血清Crは実際より1-3 mg/dL程度高く検出され、病態の改善とともに血清Crの上 昇ということがしばしば起こる。腎機能の悪化と間違えない ように注意。BUNなどの変化を参考にする。

86.

NAGMA • NAGMA:塩基喪失、酸排泄障害、その他(大量輸液、TPN、 トルエン中毒) • UAG=測定していない陰イオン(UA)―測定していない陽イ オン(UC *ほとんどがNH4+) =尿中(Na+K)-尿中Cl

87.

尿細管性アシドーシス(RTA) • 近位尿細管性(Ⅱ型) • 遠位(Ⅰ型) • 遠位(Ⅳ型)=高K性RTA

88.

RTAと尿pH • 代謝性アシドーシスのとき通常尿pH≦5.3 • 酸塩基異常がないときは通常尿pH5-6 • 高Cl性の代謝性アシドーシスがあるのに尿pH>5.5のときは はRTAを疑う • しかし血管内脱水やウレアーゼ酸性菌による尿路感染症 のときもAG非開大性アシドーシスなのに尿pHは上昇してい ることがある(RTA mimickerに脱水、尿路感染症) • 遠位型RTAでは高Ca尿症を来す Ochsner Journal 16:525–530, 2016

89.

RTAとUAG • UAGは酸塩基異常がないときは通常正(20-90 mEq/L) • 遠位型RTAの診断のgold standardはアンモニウム負荷試験だ が、高Cl性の代謝性アシドーシスと不適切に高い尿pHのときは 負荷試験なしでも単回のUAGで遠位型RTAと診断には十分であ る(アシドーシスをさらに助長させるリスクや嘔気嘔吐、不整脈 などの副作用も考慮すること) • UAGは下痢と尿の酸性化障害がない場合はUAG<0となる。 • しかし脱水がある場合には尿Na<20 mEq/LとなればClの再吸収 が変化しUAG>0となることがある。 Ochsner Journal 16:525–530, 2016

90.

近位尿細管性RTA(Ⅱ型) • 頻度は比較的少ない • HCO3再吸収障害 • 原因:多発性骨髄腫、炭酸脱水素酵素阻害薬(アセタゾラミ ド) • K↓、UAG<0、尿pH<5.5、FE HCO3>15% • アシドーシスの程度は軽度(HCO3-は15mEq/L前後に落ち 着く) • 骨減少症などなければ、治療は不要

91.

近位尿細管性RTAのよくある原因 一次性:孤発性遺伝子変異(特発性);SLC4A4, OCRL1など 二次性: 自己免疫性;シェーグレン症候群 腎毒性;ゲンタマイシン、テトラサイクリン、トピラマート、 バルプロ酸、アセタゾラミド、鉛中毒 代謝性疾患;シスチン症、ウィルソン病、低Ca血症 その他;アミロイドーシス、多発性骨髄腫、単クローン性 免疫グロブリン血症、軽鎖沈着症(LCDD)、閉塞性尿路疾 患、ネフローゼ症候群、髄質囊胞性腎疾患(MCKD) Ochsner Journal 16:525–530, 2016

92.

遠位尿細管性RTA(Ⅰ型) • 頻度:多い • 集合管でのH+分泌障害 • 原因:自己免疫疾患(特にSjogren症候群やSLE)、高Ca尿症、 RAS阻害薬、ヘパリンの使用 • K↓(代償性の喪失)、UAG>0、尿pH(無治療)>5.5、UAG>0 • 尿酸性化障害あり • 治療:クエン酸カリウム(ウラリシット)1-2mEq/kg *高度のアシドーシスではNaHCO3 iv考慮(低Kの治療を優先さ せないと高度の低K血症を誘発するので注意)

93.

遠位尿細管性RTAのよくある原因 一次性:孤発性遺伝子変異(特発性);SLC4A1, ATP6V1B1な ど 二次性: 自己免疫性;シェーグレン症候群、SLE、RA、PBC、自己免 疫性肝炎 腎毒性;アムホテリシンB、リチウム、トリメトプリム その他;サルコイドーシス、アミロイドーシス、閉塞性尿路 疾患、間質性腎炎、腎盂腎炎、原発性副甲状腺機能亢進 症、血管内脱水(原因問わない)、CKD(原因問わない) Ochsner Journal 16:525–530, 2016

94.

遠位尿細管性RTA (Ⅳ型) • アルドステロンの欠乏や作用低下(RAS↓)→高K→NH3産 生低下 • 原因:CKD、原発性副腎不全 • K↑、UAG>0、尿pH(無治療)>5.5 • 尿酸性化は保たれている。 • 治療:アルドステロン作用薬(フロリネフ) *高血圧などで使いにくい場合はK制限、利尿薬が使用さ れる。

95.

アンモニウム負荷試験(酸負荷) • 尿pH、UAG測定 • NH4Cl(塩化アンモニウム)100mg/kgを食事と共にゆっくり経 口投与 • 6時間後に再検 • 尿pH<5.3であれば正常か近位型RTAを示唆、尿pH>5.3であ れば遠位型RTAの可能性あり • UAG<0なら正常か近位型RTA、UAG>0のままなら遠位位RTA と診断 Ochsner Journal 16:525–530, 2016

96.

高K性RTAのよくある原因 一次性:孤発性遺伝子変異(特発性);P450c11AS,WNK4 など 二次性: 原発性副腎不全;自己免疫性副腎皮質炎、副腎抑制 (低酸素血症、敗血症、重症疾患など)、先天性副腎過形 成(21水酸化酵素欠損症) 二次性副腎不全;CKD(糖尿病性、高血圧性など)、 ACE-I/ARB、視床下部-下垂体疾患 アルドステロン抵抗性;K保持性利尿薬、トリムトプリム、 CKD(ループス腎炎、逆流性腎症など) Ochsner Journal 16:525–530, 2016

97.

RTAの尿⽣化所⾒ Hosp Med Clin 1 (2012) e338–e352

98.

RTAの鑑別 • RTA鑑別:UAG、血清K、酸負荷時の尿pHが有用 • UAG<0→下痢なし→Ⅱ型RTA(確定診断:酸負荷で尿 pH<5.5、NaHCO3負荷でもFE HCO3>15%) • UAG>0(酸排泄障害あり)→Kチェック K↑:Ⅳ型RTA(確定診断:pH低下(または酸負荷)時の尿pH が低い。つまり尿酸性化障害がないということ) K↓:Ⅰ型RTA(尿酸性化障害)

99.

代謝性アシドーシスの治療 • 原疾患の治療が大前提 • 急性の場合、pH<7.1、HCO3<10mEq/Lなら治療必要 →必要量を1時間前後で滴下し反応をみる。 HCO3必要量=体重×0.6(10-実測HCO3) • 慢性の場合(ex: CKD, RTA)、HCO3=24前後を目標に補正 *ただし、肺機能とある程度の循環動態が保たれていること

100.

酸塩基平衡異常と尿検査 • • • • • 代謝性アルカローシスでは尿Clをチェック 尿Cl<20なら脱水疑い、> 20なら腎性喪失の検索を AG非開大性アシドーシスでは尿AG(Na+K-Cl)をチェック UAG<0なら下痢かⅡ型RTA疑い UAG>0でK↑ならⅣ型RTA、K↓ならⅠ型RTAを疑う