20220902 花粉・食物アレルギー症候群

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September 12, 22

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1.

アナフィラキシーショック

2.

51歳 ⼥性 【主訴】呼吸困難感 【現病歴】 • 4/15 13:30頃、お好み焼きを⾃宅で作り摂取(⼩⻨粉は冷蔵庫で保管 し、開封から1か⽉いない、エビ・イカを⼊れたのは初めてだったが、 お好み焼きはよく摂取している) • 16:30頃、マカダミアンナッツチョコ3つ、⽜乳(これらは普段から 摂取している)、メロン1/4個(好きではなく摂取は年に1回するか どうか) • 17時頃(摂取から20-30分程度)で腹痛出現。その後、⼝唇、顔⾯の 腫脹、紅潮を認めた。その後、呼吸困難感が出現。 • 18時、救急搬送

3.

【既往歴】⾼⾎圧、糖尿病 【アレルギー】花粉症(イネ疑いと眼科で⾔われたことがある) 【薬剤】ロキソプロフェン60mg1錠疼痛時、ノイロトロピン4単 位4錠分2朝⼣⾷後、芍薬⽢草湯2.5g1包分1朝⾷後、ランソプラ ゾール30mg1錠分1朝⾷後、レバミピド100mg3錠分3、フェキソ フェナジン60mg2錠分2、ジャディアンス10mg1錠分1朝⾷後 サプリ・漢⽅・OTCなし 【⽣活歴】 職業︓⾷品の品質管理 喫煙︓20本/⽇、20歳頃〜、飲酒︓ビール5本週3⽇程度 ADL︓⾃⽴

4.

⾝体所⾒ • 36.3℃、BP102/39 mmHg、HR102/分、SpO2 92%(10L)→91%(RA)、 RR30/分 • JCS Ⅱ-10、GCS E3V4M5 • 全⾝状態︓嘔気嘔吐あり • 頭頸部︓眼瞼結膜充⾎あり、眼瞼・⼝唇腫脹あり、気道狭窄⾳ 軽度あり • ⽪膚︓全⾝紅潮あり、発汗著明

7.

⾷物による不利益な反応のタイプ ⾷物アレルギー︓⾷物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して⽣体にとって不利益な症状が惹 起される現象 ⾷物アレルギーは、⾷物による有害反応が免疫学的機序によってもたらされている現象を指す ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

8.

IgE依存性⾷物アレルギーの臨床型分類 ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

9.

⾷物以外の抗原感作による⾷物アレルギー ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

10.

⾷物以外のアレルゲンに由来する⾷物関 連アレルギー 定義上は⾷物アレルギーに該当しない ⾷物そのものではなく、⾷品添加物や種々の⾷品添加成分が、⾷後に来すアレルギー症状の原因となる ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

11.

⾷物アレルギーと鑑別すべき疾患・病態 ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

12.

即時型症状の臨床所⾒と重症度分類 ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

13.

アナフィラキシーの診断基準 アナフィラキシー︓アレルゲン等の侵⼊により、 複数臓器に全⾝性にアレルギー症状が惹起され、 ⽣命に危機を与え得る過敏反応。さらに⾎圧低下 や意識障害を伴う場合をアナフィラキシーショッ クという。 ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

14.

50kgならボスミン3A+⽣⾷17mL(計 20mL)→2mL/hで0.1μg/kg/分 ⾷物アレルギー診療ガイドライン2021

15.

アナフィラキシーガイドライン2014

16.

アナフィラキシーの鑑別疾患 アナフィラキシーガイドライン2014

17.

花粉・⾷物アレルギー症候群

18.

花粉・⾷物アレルギー症候群 • 花粉・⾷物アレルギー症候群(pollen-food allergy syndrome: PFAS, 別名 pollen-food syndrome); ある特定の花粉抗原に感作された個体が、そ の花粉と交差抗原性を有する⾷物を経⼝摂取したときに現れる⾷物 アレルギーで、果物や野菜などの植物由来⾷品が原因になる • ⼝腔咽頭粘膜症状から始まることが多いため、当初は⼝腔アレル ギー症候群(Oral allergy syndrome: OAS)と呼ばれることが多かった。 • 機序は果物アレルゲンと花粉アレルゲンの間の交差反応による • 典型的な臨床像は、原因⾷品の摂取直後に⼝腔咽頭症状だけが現れ、 数時間以内に消褪するというものだが、約10%は⼝腔以外にも症状 が現れ、まれに(約1-2%)アナフィラキシーに進展する アレルギー 68(10), 1243-1244, 2019 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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※⾚字はイムノキャップで測定可能項⽬ http://uwb01.bml.co.jp/allergy/topics.html

21.

カバノキ科 イネ科 ブタクサ ヨモギ https://www.hycorbiomedical.com/post/oral-allergy-syndrome-oas

22.

PFASのアレルゲン • Pathogenesis related protein type 10(PR‒10,別名Bet v 1関連タンパク) 植物が感染微⽣物(ウイルス,細菌,カビ)の侵⼊や摂⾷昆⾍による⾷害などの物理 的ストレスから⾝を守るために産⽣する感染特異的タンパク質の⼀種 PR‒10感作によるPFASの原因⾷品は,リンゴ,イチゴ,モモなどのバラ科果物が代 表的 ⼀般に⼝腔症状のみの軽症で終わるが,⼤⾖⾷品(とくに,⾖乳やモヤシ)の交差反 応ではアナフィラキシーを⽣じ やすい • プロフィリン 細胞内⾻格を司るアクチン結合 性タンパクで,すべての真核⽣物が保有するた め, ひとたび感作されると,近縁関係にない種属 の⾷品にも,広く交差反応が誘導さ れる。そのため汎アレルゲン(pan‒allergen)とよばれる。 • ジベレリン制御タンパク(GRP) モモのPFASへの関与が⽰唆 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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PFASの臨床症状 • 原因⾷品摂取直後から1時間以内に、⼝唇・⾆・⼝腔粘膜・咽頭の瘙 痒や刺激感、閉塞感を⾃覚 。⼝唇や⼝腔粘膜の腫脹、⽔疱や⾎疱な ど他覚的所⾒を認めることもあるが、 ⾃覚症状のみで終わるケース のほうが圧倒的に多い。 • 時に、引き続いて⿐症状(⿐孔の瘙痒、くしゃ み、⿐汁、⿐閉)、眼 症状(流涙、眼球結膜の充⾎や腫脹)、⽿症状(⽿孔の瘙痒)、⽪膚症状 (眼瞼や顔⾯の浮腫、全⾝性蕁⿇疹)、消化器症状(腹痛、嘔気、嘔 吐、下痢)、呼吸器症状(呼吸苦、喘息発作、喉頭浮腫)を伴い、アナ フィラキシーショックに陥ることもある。 • まれに重症化する。カ バノキ科花粉‒⾖乳の間の交差反応や,ヨモ ギ花粉‒スパイス(セリ科のセロリ、ニンジンやスパイス)の間の交差 反応(celery‒mugwort‒spices syndrome)が代表例。 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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PFASの診断 ①問診から疑われる植物性⾷ 品について、I型アレルギー検査が陽性であること 検査︓⾎液検査(特異的IgE抗体測定など)や⽪膚テスト(プリックテストやスクラッ チテストなど)があり、必要に応じて、負荷試験(⼝含み試験)を実施 *PFAS では、アレルゲ ンエピトープの脆弱性から、標準化した抗原液を⽤いる⾎ 液検査や⽪膚テストでは偽陰性になりやすい。そのため、診断には、新鮮な⾷品 を使ったプリックテスト(プリック‒プリックテスト)が推奨されている ②原因⾷物と交差反応が疑われる花粉のI型アレルギー検査が陽性であること ③そのうえで、⾷物抗原と花粉抗原の間に交差反応が証明されること 交差反応を証明しうる市販検査がないので、臨床現場では PR‒10 やプロフィリン の感作の確認をもって、交差反応を⽰唆する所⾒として参考にする。2016年に⼤ ⾖ PR‒10であるGly m 4に対する特異的IgE抗体測定(Immuno-CAP)が保険収載された。 ⼤⾖ ImmunoCAP は偽陰性 となることがあるため、Gly m 4特異的IgE測定をスク リーニングに活⽤するとよい。 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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イムノキャップ 特異的IgEアレルゲンコン ポーネント https://www.thermofisher.com/phadia/jp/ja/our-solutions/immunocap-allergy-solutions/specific-ige-single-allergens/allergen-components.html

28.

PFASの症状出現時の対応 • ⼝腔内の⾃覚症状などの軽微な症状であれば、数分〜数時間で 症状は⾃然消褪するので頓⽤薬は 不要なことが多い。 • ⼝腔に限局するが⼝唇腫脹を伴う場合や、⼝腔以外にも症状が 及ぶ場合には抗ヒスタミン薬を内服することを考慮す る。 • ⾖乳によるPFASなど、全⾝症状の既往がある場合には、アドレ ナリン⾃⼰注射薬(エピペン®)の携帯も考慮する。 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

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再発予防 • 原因⾷品の経⼝摂取を避けることが基本。 • 抗原の脆弱性から、新鮮な果物で誘発されやすいが、加熱調理 した⾷品は誘発されにくい。 ジャムや⽸詰などの加⼯品の摂取 の可否については、プリック‒プリックテストで確認し、可能 なかぎりQOL向上に努める。 • また、PFASの感作源は花粉であり⾷品ではない。したがって、 誘発しない程度の果物摂取量を⾒計らい、許可することも検討。 ただし、アナフィラキ シーの病歴がある場合や、重篤な症状を 誘発しうる⾷品(⾖乳、スパイスなど)については厳格な除去が 必要になる。 ⼩児内科 53(6): 947-953, 2021

30.

考察 • イネ科の花粉(オオアワガエリ、カモガヤ)により感作され、 メロンによる⼝腔アレルギー症候群(花粉・⾷物アレルギー症 候群)、アナフィラキシーショックを来したものと考えられた。

31.

最終診断 • 花粉・⾷物アレルギー症候群によるアナフィラキシーショック

32.

Take home message • アナフィラキシーショックでは初期対応だけでなく、原因検索 と再発予防を︕